アパート経営を辞めたい理由とは?最後に失敗しない正しい廃業方法
アパート経営を辞めたいけれど、辞め時や辞める方法がわからない、ということがありませんか?前向きな理由もあれば、終活や経営不振が理由であることも。
アパート経営は長期的な事業ですが、だからこそ出口戦略として辞め時や正しい辞め方を知っておくことが大切です。また、後継者への承継の仕方についても正しく知っておくことで、相続のリスクに備えることができます。
やり残しのないアパート経営のために、出口戦略について「あぱたい」が詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.アパート経営を辞めたくなる理由とは?
- 1.1.十分な資産の確保ができた
- 1.2.他の資産運用に興味が出てきた
- 1.3.加齢によって終活を意識し始めた
- 1.4.賃貸経営の後継者がいない
- 1.5.相続したが賃貸経営をしたくない
- 1.6.経営が上手くいっていない
- 2.アパート経営を辞める方法とは?
- 2.1.土地・アパートを売却する
- 2.1.1.売却に強い不動産会社を探す
- 2.1.2.高く売るための策を練る
- 2.1.3.アパートローンの完済が必須
- 2.1.4.掛かる税金と手数料
- 2.2.アパートを取り壊して土地を有効利用
- 2.2.1.取り壊し費用が必要
- 2.2.2.入居者がいる場合は立退料を払うケースも
- 3.辞めない選択!追加投資で再生
- 4.出口戦略を成功させる3つのポイント
- 4.1.物件購入・新築は慎重に行う
- 4.2.タイミングを見極める
- 4.3.売却する際はできるだけ高額で
- 5.アパートを相続して引き継ぐ方法
- 5.1.生前贈与でアパートを移転する
- 5.1.1.ローンの残債があると節税にならない
- 5.2.遺言書を残して事業継承する
- 5.2.1.後継者はひとりに定めておく
- 6.まとめ
アパート経営を辞めたくなる理由とは?
アパート経営は長期間の事業です。特に何もしなくても比較的安定した利益を出すことができるため、気づいたら何十年経っていたということも。
しかし、事業として考えればアパート経営にも終わりの時期があるはずです。その辞め時を見逃してしまうことで、思わぬリスクを背負ってしまうことがあるかもしれません。
アパート経営にはどんな辞め時があるのか、詳しく見ていきましょう。
十分な資産の確保ができた
アパート経営で目標としていた十分な利益が出た時は、辞め時の一つと言えるでしょう。
アパート経営は時期的な目標が立てづらいものですが、ただ漫然と長期的に所有するのではなく、ターニングポイントごとに今後の事業方針を考えていくことが良好な経営につながります。
例えば、一棟目は小規模なものを現金で購入し何年か所有して十分な利益が確保できたら、二棟目はそれを担保にしてアパートローンで購入することでステップアップができます。
あるいは、不動産の価格が上がっている時期であれば一棟目を売却することでより大きな利益を確保できますね。
時期的な目標を設定することで、アパート経営の方針が立てやすくなります。
他の資産運用に興味が出てきた
アパート経営はいわゆる不労所得であり、安定した利益の出やすい事業です。 しかしローンの比率が高いと、利益が出るまで時間がかかってしまいます。
そのため、アパート経営を辞めて他の資産運用を始める人も少なくありません。特に若いオーナーは、株式投資や投資信託などで短期的なリターンを得たいという人も多いようです。
40代50代になって、本業が忙しくなったオーナーや、資金的に余裕の出てきたオーナーが、アパート経営に戻ってくる傾向があるようです。
加齢によって終活を意識し始めた
逆に、年齢を重ねたことで終活を意識してアパート経営を辞めることがあります。
自分の死後、残される人に迷惑をかけずスムーズに資産を引き継げるように整理するのが終活です。アパート経営は負担に感じる相続者もいるため、自分の生前に整理しておこうとする人も多いようです。
相続者の意向を上手く反映できるよう、よく話し合っておくことをお勧めします。
賃貸経営の後継者がいない
事情は様々ですが、後継者がいないことでアパート経営を辞めるケースがあります。
相続する子供がいたとしても、アパートの経年による劣化や、入居者とのトラブルがあり、経営を引き継ぐことが困難な場合も。
こういった場合は、一旦アパートを取り壊して、売却したり管理しやすい土地活用に変更したりといった手を打つべきです。
相続したが賃貸経営をしたくない
アパート経営を辞める理由のなかで多いのが、親からアパートを相続したものの子供は賃貸経営をしたくないというケースです。
特に、子供の住まいが都市部にありアパートが地方にある場合などが多いようです。
地方でアパート経営をするのは、都市部で不動産投資をするのとは全く異なり、大変負担が大きくなります。
経営が上手くいっていない
アパート経営を辞める最大の理由がこれです。
アパートを建てたが、思ったように利益が出ないという悩みは少なくありません。また入居者の問題や近隣とのもめごとで経営が上手くいかなくなってしまう場合もあります。あるいは、築年数が経ってから急に空室が増えたり賃料が下落する場合も。
いずれにしても、経営が上手くいっていない原因が何なのかつきとめるのが大切です。
改善の余地がなければ、経営を辞めてしまうというのも一つの手です。
アパート経営を辞める方法とは?
様々な理由で「アパート経営を辞める」選択をした場合、辞める方法にはどのようなものがあるのでしょうか?
辞める理由や、辞め時によって、どんな方法が適しているのか考えていきましょう。
土地・アパートを売却する
土地とアパートをセットで第三者に売却するのが、入居者に迷惑がかからず手間のない方法です。
入居者としては、売却でオーナーが代わっても、賃貸借契約がそのまま引き継がれて引き続き住むことができるので、影響は最小限で済みます。
売却に強い不動産会社を探す
売却する際、不動産会社を探す時の注意点があります。
まず、居住用の戸建てやマンションの売買を専門としている不動産会社よりは、投資用不動産を取り扱っている会社を探すこと。
また、地元の不動産会社である必要はあまりありません。
そして、早く売りたい場合は直接買い取りをしている業者に声をかけるのも手ですが、その場合、金額はかなり下がることに注意が必要です。
高く売るための策を練る
アパートの売却価格を決める時は、築年数や立地だけでなくアパートの利回りが大きく影響します。
例えば、月の賃料収入が50万円のアパートを利回り10%で表示すると、売却価格は6000万円です。どのくらいの利回りであれば買い手がつき易いかは、同エリアの同築年数の物件を参考にすると良いでしょう。
賃料収入が多ければ多いほど高く売れますので、空室があればできるだけ高い賃料で埋めてしまうことです。
また修繕が必要なものがあれば、売却前に修繕したほうが良い場合があります。それを理由に値下げ交渉をされることがあるからです。
アパートローンの完済が必須
ローンの残債がある場合は、売却と同時に完済することが必要です。もしローンの残債に足りない場合は、その不足部分を自己資金で補う必要があります。
そういったことがないように、売却の価格設定はローンが完済できる金額にすることが多いです。ただし売却時にも税金や手数料がかかりますので、見落としてマイナスになることがないよう確認しましょう。
掛かる税金と手数料
アパートを売却した際、その売却益に対して「譲渡所得税」がかかります。売却金額から取得費や売却にかかった費用を差し引いた金額にかかる所得税です。さらに売却益に対して「住民税」がかかります。
それ以外には、売買契約書に貼付する収入印紙、不動産の名義変更をするための司法書士へ支払う費用、売買仲介をした不動産会社に支払う仲介手数料といった費用が発生します。
アパートを取り壊して土地を有効利用
アパートが古くなって維持管理が難しくなった場合や、立地上アパート以外の土地活用が有効な場合など、アパートを取り壊して別の用途で土地を有効利用する方法があります。
取り壊し費用が必要
アパートを取り壊す場合、解体費用が発生します。
解体の際に気を付けたいのは、立地や形状によって費用が割高になるケースです。狭い道路や崖地になると解体工事が難しくなるため、一般的な相場より割高になります。
また、周辺の住民には騒音や振動など生活に影響がありますので、十分な説明と配慮が必要です。
入居者がいる場合は立退料を払うケースも
もしアパートに入居者がいる場合には、解体の前に退去してもらう必要があります。
しかし、入居者にすんなりと承諾をしてもらえないことが…。その場合、オーナーが入居者に対して、転居にかかる費用を立退料として支払う必要があります。
また、入居者の退去まで半年から一年以上かかるような場合もありますので、期間にも余裕を持った計画が必要ですね。
辞めない選択!追加投資で再生
売却や解体してしまうより、追加投資をしてアパートの再生をしたほうがいいケースがあります。
アパートは経年とともに劣化していきますし、設備や見栄えが陳腐化していきます。追加投資をして修繕やリフォーム工事を行うことで、入居率を回復させられる場合がありますよ。
その際の注意点としては、工事内容を事業者任せにするのではなく、管理会社や入居者の意見を聞いてトレンドを取り入れるようにしましょう。
出口戦略を成功させる3つのポイント
所有しているアパートが良い物件だったとしても、環境の変化や入居者の滞納など他の要因でアパート経営が上手くいかなくなる可能性は常に含んでいます。アパートを所有する場合には、手放す時の出口戦略を練っておくことがとても重要です。
出口戦略を成功させる3つのポイントについて、ご紹介しましょう。
物件購入・新築は慎重に行う
出口戦略で最も大切なのは、売却がスムーズにできることです。
購入時や新築時はどうしても表面的な利回りに惑わされやすいものですが、物件を購入する買い手の目線で、確実に収益の上がる物件を購入、新築することが成功する秘訣であると言えます。
集客力の高い物件というのは、立地や環境、築年数、物件の状態や居住率などで測ることができます。
また、購入時だけでなく将来に渡って需要がある物件かどうかも、見極めるポイントです。新しく駅ができる場所や大学の移転など、今後の需要の変化を予測しましょう。
タイミングを見極める
出口戦略には、売却のタイミングも大事です。
売却価格から購入価格と家賃収入の総合計を差し引いた額が同じになったタイミングが、アパートの損益分岐点です。この損益分岐点を上回ったら、それ以降が物件を売却するタイミングと言えるでしょう。
とはいえ築年数が経ちすぎても売却しづらくなります。アパートの法定耐用年数以内のタイミングで売却に出すと、買い主がローンを組みやすくなるというメリットがあります。
売却する際はできるだけ高額で
実際に売却する場合、複数の不動産会社に査定を依頼し、その査定金額を参考に売却金額を決めます。そのやり取りの中で、信頼できる会社に仲介を依頼するといいでしょう。
お勧めなのは、投資用不動産を多く扱っている不動産会社です。不動産投資をしたいオーナーは売買で縁のあった不動産会社と繋がっていることが多いため、売却物件の情報をすぐに買い手に伝えてくれるからです。
高額で売却するための一番の近道は、情報が新鮮なうちに資力のある買い手に購入してもらうこと。優良な買い手の情報をもっている不動産会社を選びたいですね。
アパートを相続して引き継ぐ方法
第三者に賃貸する土地や建物は、現金に比べて相続税評価額が大きく下がりますので、アパートを所有することは相続税対策としてとても有効です。
しかし、引き継ぎの仕方で相続税、贈与税の額が大きく変わってきますので、生前から十分に準備することが大切です。
生前贈与でアパートを移転する
相続財産の中に収益を生み出しているアパートがある場合には、相続時精算課税制度を利用して生前贈与することがあります。これは、継続的に入ってくる賃料収入を引き継ぐことができるので、相続税の対象となる財産の増加を防ぐことができるからです。
また贈与時の評価額は固定資産税評価額となるため時価より低く、さらに借家権割合の分が評価減となり、税率を抑えることができます。
相続時精算課税制度には2500万円の非課税枠があり、またそれを超えた場合でも一律20%の贈与税となっています。もちろん相続時には贈与した金額も全て相続税の対象ですが、すでに贈与税として支払っている分は控除されます。
ローンの残債があると節税にならない
アパートを生前贈与する場合に気を付けたいのは、ローンの残債があると節税効果がなくなってしまうという点です。
贈与するアパートにローンの残債があると、それは負担付贈与となり、贈与を受けた側は引き続きローンの返済をする必要があります。
さらに、負担付贈与の場合は建物の評価が固定資産税評価ではなく時価での評価となるため、節税効果が全くなくなってしまいます。
遺言書を残して事業継承する
相続によってアパート経営を引き継ぐ際、法定相続人が複数人いるような場合は、遺言書を残して事業承継することをお勧めします。
遺産分割協議が終わるまでの間も、アパート経営は継続しているからです。そこで承継者が決まらないと、アパートで得られる利益はどんどん減っていってしまいます。
そのため、あらかじめ遺言書で事業承継について残しておくことが必要です。
後継者はひとりに定めておく
アパート後継者は、ひとりに定めておいたほうが良いです。
残す側からしてみれば、兄弟仲良く収入を分け合えばいいと思うかもしれません。しかし、長期的に兄弟が仲良くアパート経営をしていくということは非常に難しいことです。それぞれ別の生活をしていれば、アパート経営についての方針が合わなくなることもあります。
アパートについては後継者をひとりに定めて、他の相続人にはその他の財産を分配するのがよいやり方だと思われます。
まとめ
アパート経営は安定した長期的な事業ですが、出口戦略を持って運営していくことでより多くの利益が見込めます。
アパートの売り時を見極めたり、相続対策をしたりして、リスクの少ないアパート経営を目指しましょう!
リスクの少ないアパート経営は満室経営のはず! 満室経営には設備の充実が必要です。今話題の無料のインターネットサービスについてくわしくお伝えしている記事があるので、合わせてご覧ください。