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アパート経営で抑えたい専従者給与【10万が妥当額?】青色白色・法人で経費にする方法


アパート経営の節税対策になる……と、多くの大家さんがおこなっている青色申告と専従者給与。青色申告をおこなうための条件と、専従者給与を経費に算入できる金額や申請方法をご存知でしょうか。


確定申告のときに「専従者給与を認めてください」と税務署に頼んでも認めてもらえません。事前の準備が必要です。


青色事業専従者給与を認めてもらい節税効果を高める方法と、白色申告や法人申告の場合で異なる点など、アパート経営の規模によって変わる専従者給与の扱いかたについて「あぱたい」がお伝えします。



目次[非表示]

  1. 1.専従者給与とは?アパート経営の節税対策!
    1. 1.1.青色事業の場合は経費扱いにできる
    2. 1.2.白色事業の場合は控除される
    3. 1.3.法人の場合は従業員となる
  2. 2.青色事業専従者給与を経費にする方法
    1. 2.1.青色事業専従者控除の対象者や条件は?
      1. 2.1.1.ほかの職業に就いていても専従になる?
      2. 2.1.2.専従として認められる勤務期間は?
    2. 2.2.青色事業専従者にするための注意点は?
  3. 3.青色事業専従者に支払う給与の適正額は?
    1. 3.1.専従者の作業量や事務処理の手間を考慮する
    2. 3.2.配偶者控除や扶養控除額を考慮する
    3. 3.3.収支から妥当額を考慮する
    4. 3.4.過去の判例を参考に妥当額を考慮する
  4. 4.まとめ




専従者給与とは?アパート経営の節税対策!


アパート経営に関わる事務作業を家族にしてもらうと給与を支払うことができ、支払った給与は経費に算入可能。


こうすると節税効果があり、アパート経営のキャッシュフローが改善します。 アパート経営の事業所得は決算が終わると申告しますが、経費算入の方法は法人の場合と個人事業の場合とで異なり、個人事業は「青色申告」と「白色申告」でも異なります。



青色事業の場合は経費扱いにできる


青色申告事業の場合、事業に関わる配偶者や親族を専従者として、支払った給与を経費に算入することが認められています。


専従者は生計が同一なので “所得の分散” になり、所得税や住民税の節税にも役立つでしょう。 専従者給与を経費算入するためには、その年の3月15日までに管轄税務署へ、「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していることが必要。


また、経費として認められる給与額は「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載された金額以内でなければいけません。


専従者給与額に上限はないが適切な金額を!ただし、配偶者控除や扶養控除の適用ができなくなることを覚えておきましょう。



白色事業の場合は控除される


白色申告の場合は専従者給与としてでなく、配偶者が86万円、そのほかの親族は50万円を上限として「事業専従者控除」ができます。


ただし青色事業と同じく、配偶者控除や扶養控除の適用ができなくなるので注意が必要です。計算するとどちらが得かわかるカニ! 



法人の場合は従業員となる


法人としてアパート経営をおこなっている場合、配偶者や親族を従業員や取締役として給与または役員報酬を支払い、経費に算入することができます。


個人事業の場合と異なり配偶者や親族は “専従” する必要はなく、ほかに仕事をしていてもかまいません1年のうち半年超の勤務が必要といった制限もなく、支払った給与などは必要経費になり、103万円以下の給与であれば受け取ったかたも所得税は0になるのです。


会社の決算はどのようになるのだろう? 


下表は賃貸事業所得が200万円のとき、従業員として家族に給与を支払った場合と支払わなかった場合で、法人税がどのように変わるのか簡単に計算したものです。



賃貸事業所得
法人税
従業員なし
200万円
30万円
従業員給与あり(103万円)
97万円
14.55万円


]法人税が半額になり節税効果があるます!



青色事業専従者給与を経費にする方法


青色申告により専従者給与を経費算入するには、「青色申告承認申請」を申告しようとする年の3月15日までに、管轄する税務署に届出なければなりません。


参考:『国税庁』所得税の青色申告承認申請手続


誰でも申請すると承認されるわけでなく、次の青色事業者としての事業規模を満たしていることが必要です。


  1. 貸間やアパートは10室以上
  2. 戸建の場合は5棟以上


参考:『国税庁』事業としての不動産貸付けとの区分


このほか専従者給与が経費算入できる条件など、こまかいルールがあるので解説します。



青色事業専従者控除の対象者や条件は?


専従者控除の対象者と条件について以下のとおり定めがあります。


  1. 申告者と “生計を一にする” 配偶者か親族
  2. 申告する該当年の12月31日現在で15歳以上である
  3. ほかの仕事につかず専従しており事業に従事した期間が年間に6ヶ月超である
  4. 生計が同一であれば別居していてもよい
  5. 専従者の人数に制限はない
  6. 給与額は “労務の対価” として認められる範囲である



上記の条件のうち「ほかの仕事につかず専従しており事業に従事した期間が年間に6ヶ月超である」については、漠然としているので少し掘り下げて説明します。


「給与額は “労務の対価” として認められる範囲である」については次章で解説を加えます。  



ほかの職業に就いていても専従になる?


“ほかの仕事につかず専従している状態” について明確な基準はありません


判断がむずかしい場合は税務署に問い合わせするのが最善ですが、およその目安をあげてみましょう。


  1. ほかの仕事に正社員として働いている場合は認められない
  2. 学生は対象外、ただし夜間学校に通い日中従事するなどの場合は認められる可能性も
  3. 年に数回または週末のみなどのパートやアルバイトは、事業に主として働ける場合認められる


このほか働きかたが多様化している現代です。判断がむずかしいケースもあるでしょう。独断で判断せず、税務署や顧問税理士に相談するようにしてください。  



専従として認められる勤務期間は?


事業に従事した期間が6ヶ月超あれば「専従」と認められます。つまり1日の一定時間を事業に関係する仕事をし、ひと月に一定日数を継続して6ヶ月間を超えていると認められると解釈できますが、ほかにも次のようなケースも該当します。


たとえば正社員として勤務していた会社を8月末に退職したのち、12月までの期間に3ヶ月間従事した場合です。


従事可能期間「9月~12月」までのうち3ヶ月間従事しているので、「従事できる期間の2分の1」を超えており、このようなケースは認められます。



青色事業専従者にするための注意点は?


専従者給与を経費にする方法を述べてきましたが、最後にいくつか注意点があります。


前述したように「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出します。 提出期限はその年の3月15日までです。その年の1月16日以降に開業した場合、あるいはあらたに専従者が増えた場合は、その日から2ヶ月以内に提出しなければなりません。


記載内容は次の項目です。


  • 青色事業専従者の氏名
  • 職務の内容
  • 給与の金額
  • 支給期


給与の金額が届出た金額を上回る場合は「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出しなければなりません。


参考:『国税庁』青色事業専従者給与と事業専従者控除 


控除がないので専従者給与の金額が控除額を下回る場合は、節税効果がなくなるので給与額を決める際は控除額を念頭に考える必要があります。  



青色事業専従者に支払う給与の適正額は?


専従者給与額に上限はありませんが、適正額と認められる金額でなければなりません。また過少に設定すると節税効果がなくなるので注意が必要。


給与額の目安や認められなかった事例などを交え、考えかたのヒントをご紹介します。



専従者の作業量や事務処理の手間を考慮する


専従者給与を決めるポイントのひとつ目は、作業量や手間などの実働時間から考える方法です。具体的に考えかたを整理すると以下になります。


  1. ひと月の作業時間を推測して一般的な時給を目安にする
  2. 管理会社に管理を委託していない場合は、管理会社に支払うであろう管理費を目安にして少し上乗せする
  3. 他人を雇うと仮定した場合に “求人募集” に応募してくれそうな金額か? を検討する
  4. 月額88,000円以上になると「源泉徴収」が必要となり、事務上の手間が増えるので88,000円未満が望ましい


以上のことを考慮すると10万円未満が妥当な給与と考えられます。 ただし管理会社に業務委託している場合や、サブリース契約により実質的な事務作業がない場合は、過大な給与とみなされ経費算入を認められないこともあるので注意が必要です。  



配偶者控除や扶養控除額を考慮する


前述したように専従者給与の支払いを受けると配偶者控除や扶養控除が受けられません 参考として現在の配偶者控除と扶養控除の上限額を下表にまとめました。


控除を受ける納税者 本人の合計所得金額
一般の控除対象配偶者
老人控除対象配偶者
900万円以下
38万円
48万円
900万円超950万円以下
26万円
32万円
950万円超1,000万円以下
13万円
16万円


引用:『国税庁』配偶者控除



一般の扶養控除
38万円
19歳以上23歳未満の特定扶養親族
63万円
同居老親等以外の者の扶養控除
48万円
同居老親等の者の扶養控除
58万円


引用:『国税庁』扶養控除


専従者給与は控除額を上回る金額にしなければ節税の意味がありません。該当するかたの控除額を確認して専従者給与を決めるようにしてください。


申告者本人(大家さん)がサラリーマンの場合も注意が必要です。サラリーマンは社会保険に加入し、一般的に家族は扶養家族になっています。


専従者給与が高くなると扶養から外されしまい、所得税・住民税・健康保険税の支払いが別途発生し、それぞれ次の金額を超えると課税されたり健康保険加入が義務となってしまいます。


  • 所得税は年間103万円
  • 住民税は年間100万円
  • 健康保険税は年間130万円



収支から妥当額を考慮する


月額10万円前後が専従者給与の目安と考えられます。アパート経営の収支内容から考えることも必要でしょう。 「専従者の作業量や事務処理の手間を考慮する」で述べたように、管理委託している場合の「管理費+α」もひとつの目安ですが、管理費はおよそ家賃収入の5%前後。


上乗せしたとして7%ぐらいが目安と考えるのが妥当ではないでしょうか。


年間家賃収入
専従者給与比率
1,000万円
10.0%
1,500万円
6.7%
2,000万円
5.0%
2,500万円
4.0%
3,000万円
3.3%


家賃収入2,000万円のアパートで専従者給与が100万円の場合が5%です。家賃収入が2,000万円を超える場合は「法人化」することも選択肢ではないかと考えられます。  



過去の判例を参考に妥当額を考慮する


税理士が妥当と判断した専従者給与額が「国税不服審判所」で否認された判例があります。 専従者給与額は約400万円、かなり高い給与と感じますがこの判例では事業主の不動産所得は約4,700万円。所得に対する比率は1割未満ですから、家賃収入に対する比率はもっと下回っているはずです。


収入に対する比率だけで妥当性は認められず、実際の事務量を考慮した場合に高額だと判断され、専従者給与が否認されました。


参考:『税務調査対策を中心とした税理士向けサービス - KACHIEL(カチエル)』不動産所得と専従者給与の是非 


専従者の仕事量を考慮し常識的な範囲に抑えることが必要だったのでしょう。  



まとめ


家族がおられる大家さんは、専従者給与を支払って経費にすることが可能です。


条件をクリアできると「青色事業専従者給与」が、規模がまだ小さい大家さんは「事業専従者控除」が利用でき、ご本人の所得から控除する配偶者控除や扶養控除よりも得なことがあります。


年間数十万円前後の節税効果ですが、個人事業でおこなうアパート経営では、けっして小さくない金額でしょう。 制度を知っているか知らないかで、20年間のアパート経営なら節税できる金額は数百万円にもなるのです。


手続きは税務署に申請書と届出書を提出するだけ。 まだ利用していない大家さん! すぐに申請準備にかかりましょう。



西塚
西塚
猫好きの会社員兼WEBライター。とにかく文章書くことが好きで、まいにち記事執筆中。大家さんに向けて、有益な情報を届けられるように頑張ります!

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