不動産管理会社とは?選び方や「大家」「仲介会社」の違い、役割と関係を解説
賃貸アパートや賃貸マンションを運用する大家さんにとって強い味方となるのが、「不動産管理会社」の存在です。
賃貸管理や建物管理といった、本来は大家さんがおこなう業務を委託できる不動産管理会社ですが、実際にはどのような役割があるのでしょうか?
今回は不動産管理会社の業務内容や選び方について詳しく解説します。
これから不動産投資をはじめる人には必須の情報です。ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.不動産管理会社の役割
- 2.不動産管理会社の2つの業務
- 2.1.賃貸管理のおもな業務内容
- 3.賃貸管理と建物管理の違い
- 4.大家とは?その役割
- 5.管理会社とは?その役割
- 6.仲介会社とは?その役割
- 6.1.インターネットなどへの広告掲載
- 6.2.物件の紹介・ご案内
- 6.3.契約の手続き
- 7.賃貸借契約までは仲介会社、入居後は管理会社が基本
- 8.賃貸管理会社の手数料
- 9.良い不動産管理会社の見分け方
- 10.まとめ
- 11.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
不動産管理会社の役割
不動産管理会社とは、賃貸アパートや賃貸マンションなどの賃貸不動産物件を大家さんに代わって建物および入居に関わる管理をおこなう会社を指します。
詳しくは後述しますが、賃貸物件の建物の修繕やメンテナンス・清掃、入居者募集や入退去管理・入居者のクレーム対応などをおこないます。
なお不動産管理会社とよく混同される「不動産仲介会社」のおもな業務内容は物件の宣伝と契約業務です。
ただし、管理と仲介を兼ねている不動産会社もあるため、不動産管理会社を探す際は、その会社の業務内容をしっかりと確認するとよいでしょう。
不動産管理会社の2つの業務
不動産管理会社の業務は、「賃貸管理(仲介業務を含む場合あり)」と「建物管理」のふたつに分けられます。ここでは、仲介と管理全般を請け負う不動産管理会社のおもな業務内容を解説します。
賃貸管理のおもな業務内容
・入居者の募集(仲介業務)
賃貸物件の空室を埋めるために入居者を募集します。物件のチラシを作製したり、インターネットサイトに物件情報を掲載したり、また内見の案内などをおこないます。
・新規入居、契約更新時の賃貸契約手続き(仲介業務)
入居が決まった場合の新規賃貸契約手続きや、既存の入居者が契約を更新する際の手続きをおこないます。
・家賃集金業務
毎月の家賃集金をおこないます。滞納があった場合は家賃の督促をおこないます。
・入居者からのクレーム対応
設備の故障や入居者間のトラブルなどのクレームに対応します。場合によっては管理会社だけでは判断できない案件もあるため、どこまでを管理会社に任せるか大家さんとのあいだで取り決めておくとスムーズな対応がおこなえます。
・退去時の立ち会いおよび清算
退去時の立ち会い、敷金の精算、退去後の壁紙の貼り替えなどの修繕・クリーニングなど原状回復工事の手配をおこないます。
・建物の維持管理
外壁や屋上(屋根)、共有部(廊下やエントランス・駐車場など)に不備や不具合がないか、「法定点検」として義務化されている設備(消防設備や水道設備など)を定期的に点検し、必要に応じて修繕をおこないます。
また10年~15年周期でおこなう、外壁塗装や屋根の葺き替えなど「大規模修繕」の計画立案や手配も重要です。
・清掃業務
共有部やゴミ置き場、物件建物周辺の清掃全般をおこないます。物件の美観を保つことで、内見者の印象がよくなり入居付けにつながったり、既存入居者の満足度につながり退去防止になったりします。
賃貸管理と建物管理の違い
前述のように不動産管理は、「賃貸管理」と「建物管理」のふたつに分けられます。
賃貸管理は、入居者募集や家賃の集金・クレーム対応など、直接入居者がかかわる業務を指し、建物の点検・修繕や清掃業務など建物の維持管理に関する業務は建物管理にあたります。
なお、不動産管理会社に管理を委託する際は、賃貸管理と建物管理を別々の会社に委託することも可能です。それぞれの管理が得意な管理会社を上手に組み合わせて、最良の物件管理をおこなうのもよいでしょう。
ただし、その場合は業務委託内容と委託手数料の変動が予想されます。手数料の相場については後述しますが、委託を分散することで手数料が増える可能性もあるため、業務委託をする場合は複数の不動産管理会社から見積もりを取り、内容と費用面から比較検討することをおすすめします。
大家とは?その役割
前述のような賃貸物件の維持管理は、本来は賃貸物件の持ち主である大家さんがおこなう業務です。しかし、賃貸物件の管理には手間や時間がかかります。
そのため、サラリーマンなど本業を持っていて日常的な賃貸物件管理がむずかしい大家さんの多くは、不動産管理会社に業務委託をすることが一般的です。
不動産管理会社に業務委託しない場合は、賃貸物件の大家さんが物件管理全般を「自主管理」することになります。なお、業務の一部は不動産管理会社に委託し、自分でおこなえる範囲で自主管理することも可能です。
建物の維持管理
大家さんが建物管理を自主管理する場合は、メンテナンスや軽微な修繕、清掃などがおもな範囲になります。DIYに慣れているのであれば、原状回復工事で壁紙の貼り替えや、電気工事士資格を持っている場合は、照明器具の取替などがおこなえるため、費用の節約に役立ちます。
入居者の管理
入居者管理については、SNSや大家さん専用サイトを利用した入居者募集や、家賃の集金・督促、クレーム対応なども自主管理できます。
ただし、クレーム対応や家賃滞納の督促などは時間も労力もかかるため、本業を持っている人にはむずかしい場合があるため注意が必要です。
管理会社とは?その役割
前述のように不動産管理会社は、大家さんに代わって賃貸物件の管理をおこないますが、会社によって管理委託業務の範囲が異なります。
ここでは、ほとんどの管理会社に含まれている業務委託内容について解説します。
入居者の管理
入居者からのクレーム対応や退去時の立会い・精算をおこないます。
特にクレーム対応は、解決までに時間がかかると入居者の不満が高まるため、できるだけ迅速に対応する必要があります。
家賃の集金代行
昨今は家賃を現金で集金することは少なくなり、ほとんどが金融機関の振込みでおこなわれます。毎月の決められた日までに家賃が振り込まれたかチェックし、滞納があった場合は家賃の督促をおこないます。
ただし、入居者が家賃保証会社に加入している場合は入居者が家賃を滞納しても保証会社からオーナーに家賃が補填され、督促なども家賃保証会社がおこなうため、管理会社が督促する必要はありません。
建物の管理
賃貸物件の建物の価値を維持するためには、日頃からこまめなメンテナンスが欠かせません。管理会社は共有部の点検・修繕と日常的な清掃をおこないます。
こういった細かなメンテナンスをおこなうことで、大規模修繕までの期間を引き延ばすことができ、費用の削減につながります。
仲介会社とは?その役割
「不動産仲介会社」は、不動産の売買や賃貸の仲介および契約をおこないます。簡単に言うと、不動産を売りたい人と買いたい人、賃貸物件を貸したい人と借りたい人を結ぶのが仲介会社の仕事です。
ここでは、賃貸物件を取り扱う不動産仲介会社のおもな業務内容を紹介します。
インターネットなどへの広告掲載
賃貸物件オーナーの依頼を受け、物件情報を自社のホームページや不動産ポータルサイトなどへの掲載、チラシを作成し店頭に掲示したりポスティングしたりなど、賃貸物件の宣伝をおこないます。
特に昨今の賃貸物件の入居希望者が賃貸物件を探す際は、まずインターネットで希望する物件の条件を指定し、その検索結果のなかから気に入った賃貸物件を内見します。そのため、少なくとも大手賃貸不動産ポータルサイトへの物件掲載は必須です。
物件の紹介・ご案内
入居希望者から内見申し込み対応や、希望する条件に合致する物件の紹介、内見の際は現地までの送迎や物件内部を案内し、質問などの対応もおこないます。
契約の手続き
入居希望者が物件を気に入った場合、賃貸契約の手続きも不動産仲介会社の業務になります。賃貸借契約を結ぶ上で必要な重要事項説明書の交付と説明のほか、必要に応じて火災保険や家賃保証会社等の手続きをおこないます。
また退去時の解約手続き、契約更新時の更新手続きも仲介会社の業務内容に含まれます。
賃貸借契約までは仲介会社、入居後は管理会社が基本
ここまでご説明したように、不動産管理会社と不動産仲介会社の業務は大きく異なります。
入居者の募集など入退去にまつわる宣伝や契約関連をおこなうのが「仲介会社」で、入居後の家賃管理・入居者対応や建物のメンテナンス・清掃などをおこなうのが「管理会社」となります。
ただし、管理と仲介どちらも兼ねている不動産会社もあるため、委託する際は確認が必要です。
一般的に不動産物件が多い都市部は不動産の管理と仲介を分けておこなう会社が多く、逆に不動産物件が少ない地方では仲介と管理を兼任する会社が多い傾向があります。
また、不動産管理会社による「サブリース」があります。これは不動産管理会社(サブリース会社)が賃貸オーナーから賃貸物件を一括借り上げして第三者に賃貸します。
物件の入居者募集・契約業務、管理全般をサブリース会社がおこなうため、オーナーは手間がかかりません。また空室の有無にかかわらず毎月一定の家賃がオーナーに支払われるため、空室対策にも効果があります。
一方で、サブリース契約には、定期的な家賃額の見直しや解約に関する取り決めなどがあるため、サブリース契約時にはオーナーにとって不利な内容が含まれていないかしっかり確認しましょう。
賃貸管理会社の手数料
不動産管理会社に管理を委託する場合は、管理委託手数料(管理委託料)が発生します。
一般的な手数料の相場は1戸あたりの賃料の5%~8%です。
たとえば、家賃5万円で8戸の賃貸アパートを手数料5%の管理会社に委託した場合、毎月2万円を手数料として支払うことになります。手数料が8%であれば、3.2万円です。
ただし上記はあくまで相場となり、なかには手数料が5%以下という格安の不動産管理会社も存在します。
なお不動産会社によっては、建物管理だけまたは賃貸管理だけというように、業務の一部だけ委託することも可能です。また不動産管理会社によって基本となる業務委託内容も異なりますが、基本的に業務委託の範囲が広いほど手数料も高くなります。
そのため不動産管理会社を選ぶ際には手数料の価格だけでなく、基本の業務内容がどこまで含まれているのか、かならず確認しましょう。
良い不動産管理会社の見分け方
大事な賃貸物件は信頼できる不動産管理会社に任せたいものです。ここでは、良い不動産管理会社の見分け方について解説します。
・集客力があるか
入居が付かず空室ばかりでは不動産賃貸業は成り立ちません。そのため管理会社を選ぶ際は、どれだけ空室を減らせるか=入居者を呼べるかという「集客力」の有無が重要になります。
管理会社の集客力の有無を見極める方法としては、管理会社が公表する平均空室期間や入居率といったデータを参考に実績を確認し判断するとよいでしょう。
また、そのエリアの情報に詳しい会社であれば地域のアピールポイントを入居付けに活用できるメリットがあります。
・クレーム対応に迅速か
入居者からのクレームは、できるだけ迅速に解決する必要があります。手際が悪く時間が経つことで入居者の不満が募り、最悪の場合は退去してしまいます。
そのため、管理会社がどの程度クレーム処理能力があるか確認しましょう。
トラブル対応専用のコールセンターなどの有無や過去のクレーム対応実績などを確認するとよいでしょう。
・管理会社の経営状態
家賃の集金代行を委託する場合、入居者は家賃を管理会社が指定した銀行口座に振り込み、その後大家さんの口座に振り込まれます。
そのため、管理会社の経営状態が悪化し倒産してしまった場合は、大家さんが家賃を受け取れない恐れがあります。
管理業務を委託する場合は、信用調査会社や財務諸表などをチェックし、管理会社の経営状態に問題がないか確認しておくことも重要です。
まとめ
不動産管理会社は忙しい大家さんに代わって、クレーム対応や家賃の集金といった賃貸管理やメンテナンスなど建物管理をおこなってくれる重要な存在です。
管理会社の対応が入居者の満足度を左右するため、トラブル時には迅速に対応できる会社が望ましいです。また集客力によって空室リスクの低下にもつながります。
健全な賃貸経営をおこなうためにも信頼できる不動産管理会社を選びましょう。