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空室対策のリフォーム【効果とコスパで考える3つの方法】補助金で行う裏ワザ伝授

多くある空室対策のアイディアのなかで、リフォームは後回しが基本というのをご存知でしょうか。理由はユーザーニーズを考えるとリフォームは優先度が低いためです。


熱意をもって賃貸経営に望む大家さんや、なにかとセンスのいいアパートオーナーはリフォームに力を注ぎすぎる傾向にあります。ただ残念ながら、リフォームになんら効果が見込めない可能性もあるのです。


今回こちらの記事では、空室対策のリフォームをどうとらえるべきか考えます。


リフォームひとつとっても、優先順位やコツ、費用の抑えかたと覚えるべきことはたくさん。「空室になったらリフォームしよう! 」と勢いでお金を使ってしまう前に、ぜひこの記事をお読みください。


空室対策の考えかたが、少し変わるはずですよ!



目次[非表示]

  1. 1.空室対策としてのリフォームは後回しが基本!
  2. 2.「リフォームして空室対策を!」という考えかたで失敗する理由
  3. 3.補助金も活用!空室対策のリフォームは3段階にわけよう!
  4. 4.【空室対策1】ニーズに合わせた「設備」のリフォームで一発逆転!
  5. 5.【空室対策2】「内装」のリフォームは費用を抑えるのがコツ!
  6. 6.【空室対策3】リフォームしたら「家具」で成約率をさらにアップ!
  7. 7.【番外編】最後の砦?リフォームの「補助金」で空室対策
  8. 8.効果が見込めるリフォームなら最優先!空室対策は「ユーザーニーズ」が超重要!
  9. 9.まとめ



空室対策としてのリフォームは後回しが基本!

空室対策という言葉からリフォームリノベーション、設備変更などを思いつくかたは多いのですが、先にやらなければならないことがあります。


事実、あなたは空室対策と聞いて真っ先に以下のような施策をイメージされるのではないでしょうか。


  • インターフォンをモニターつきに変更
  • キッチンのリフォーム
  • 壁を抜いて間取り変更
  • 3点ユニットバスを風呂トイレ別・独立洗面台に交換
  • 共用部に宅配ボックスを設置
  • 外壁の塗装を塗り替え
  • 家具・家電つき賃貸にする


ほかにもエアコンを設置するとか1階のベランダにシャッターや二重サッシにするなど、おこなえることは多くあります。


ただリフォーム関連はすべて後回し。理由は「お金がかかるから」です。空室対策を考えるなら、先に以下3つの鉄則をしっかり検討する必要があります。


1.
所有する物件がなぜ空室になるか俯瞰して考える
2.
費用がかかる施策の優先度は低くする
3.
リフォームをしたいと考えるなら多角的に見て本当に必要か考える


昨今はセルフリフォームやDIYなどが人気で、多くの事例を目にする機会があります。


どれも素敵な写真ばかりでリフォームやリノベーションしたくなるのは、大家さんも同じだろうというのはわかります。ただ賃貸経営はあくまで利益あってこその事業。収支を考えると、やはり経費のかかることは後回しに考えるべきなのです。


それでも「入居者さんに喜んでもらいたいから! 」と考えるのであれば、まず多角的に所有物件をみて、そのリフォームが本当に必要かを考えましょう。そのうえでリフォームする箇所に優先度をつけるのが、正しい空室対策におけるリフォームのフローなのです。

 



「リフォームして空室対策を!」という考えかたで失敗する理由

上記を読んで「何を根拠に? 」と思われていませんでしょうか。


筆者は不動産ライターとしてさまざまな視点で不動産業界をみてきましたが、ちゃんと根拠データはあります。


以下は、大手メディアが調査した物件探しで重視する条件やポイントのランキングです。それぞれ、ひとり暮らしの女子学生や既婚世帯、年齢不問などでアンケートを取っています。



SUUMO (ひとり暮らし・夫婦)
Woman.CHINTAI (女子学生)
マイナビ賃貸 (年齢不問・男女)
マンションサプリ (既婚世帯)
1位
家賃
学校が近い
間取りや広さ
最寄り駅からの所要時間
2位
駅までの距離
コンビニやスーパーなどが近い
駅から近かった
家賃
3位
通勤・通学時間
駅が近い
賃料が希望と合致した
通勤・通学手段や所要時間
4位
路線・駅・エリア
家賃
コンビニやスーパーマーケットが近くにあった
間取り
5位
間取り
間取り
勤務先の企業(団体)から近かった
周辺施設
6位
立地・周辺環境
内装
周囲の景色や日当たりが良かった
面積・広さ
7位
広さ
治安
治安が良かった
向き・方角
8位
築年数
セキュリティ
入居条件が合致したから(女性限定・ペット可等)
自然環境(公園・緑など)
9位
設備・仕様
日当たり
近くに、親・親戚・兄弟(姉妹)・友人・知人が住んでいた
築年数
10位
初期費用
自転車置き場
設備が充実していた
出身地や実家などとの距離

出典: Woman.CHINTAI 現役女子大生が部屋選びで重視したポイントとは!? SUUMO きっかけは? 重視する条件は? 857人に聞いた引越し・住み替えの実態調査2017 マンションサプリ 物件選び、最も重視するポイント第1位は「最寄り駅からの所要時間」


上表のとおり、物件選びにおける設備関連の優先度は低いのが事実。もっとも重視されているのは、「家賃」「通勤通学などの交通利便」「周辺環境」です。


つまり家賃や立地、環境という賃貸ニーズを満たしていないのに空室対策のリフォームをおこなったところで、まったく無駄な出費にしかならないのです。


不動産投資という業界においても「立地」がとにかく重視されますが、それは賃貸ユーザーにとっても同じ。かといって、空室対策において立地は変えようがありません。


やはり家賃をはじめとした、募集条件の見直しからはじめるのが空室対策の正攻法と言えるでしょう。  



補助金も活用!空室対策のリフォームは3段階にわけよう!

前述までに対し、「リフォーム以外の空室対策でやれることはやったけど空室が埋まらない……」というかたもいらっしゃることでしょう。だとするなら、次はリフォームの検討です。


ただし! 個人的な趣味や自分の都合、根拠のない目論みでリフォームしてはいけません。以下のように、リフォームする箇所や内容に優先度をつける必要があります。


1.
賃貸ニーズとコストパフォーマンスを考えたリフォーム
2.
ライバル物件と差別化できるリフォーム
3.
内見で入居希望者の気持ちを掴んで逃がさないリフォーム


まずはユーザーに必要とされているリフォームからおこないましょう。その後、徐々に見た目や贅沢さを追求していくのが合理的なリフォームの手順です。  



【空室対策1】ニーズに合わせた「設備」のリフォームで一発逆転!

では、最初にお伝えした主なリフォーム箇所で優先度を考えてみましょう。


  • インターフォンをモニターつきに変更
  • キッチンのリフォーム
  • 壁を抜いて間取り変更
  • 3点ユニットをバストイレ別・独立洗面台に変更
  • 共用部に宅配ボックスを設置
  • 外壁の塗装を塗り替え
  • 家具・家電つき賃貸にする


あなたは上記のリフォーム内容をみて、比較的に安く済みそうな「インターフォンをモニターつきに変更」を最優先にと思われませんでしたか?


たしかに、本記事の最初に「お金がかからない空室対策からはじめる」とお伝えしました。ただ実際にリフォームをおこなうなら費用面だけでなく、賃貸ニーズという要素も踏まえて考えなければいけません。


つまり「コストパフォーマンス(費用対効果)」で考えるべきなのです。


ではコストパフォーマンスの参考として、2019年に全国賃貸住宅新聞が全国の不動産会社にて調査した「この設備があれば周辺相場より高くても決まる」ランキングをご覧ください。


上図は、当サイトの記事「空室対策の鉄板設備【無料インターネット】金持ち大家が教えたくない5つの導入ポイント」でもご紹介しているランキング。インターネット無料は毎年1位になっており、続いて宅配ボックスやオートロック、家具家電つきなどの設備が好まれています。


注目すべきなのが単身とファミリーともに、インターネット無料がトップにある点。


 また宅配ボックスやオートロックが上位にあるのをみると、「便利(スマート)」という現代ならではのキーワードが設備リフォームの肝だと言えそうです。


当然、インターフォンをモニターつきに変更するのも大事ですし、安く済ませられるので最初におこなうのも悪いことではありません。ただ必ずしも安いリフォームからおこなうのが正解ではなく、コストパフォーマンスの高いリフォームを考えていくべきと言えるでしょう。  



【空室対策2】「内装」のリフォームは費用を抑えるのがコツ!

入居希望者のニーズにあわせた設備が整えば、いよいよ「内装」のリフォームです。


真っ先に「壁を抜いて広い間取りにしたい! 」「ヨーロピアン風の内装に! 」と思われるかもしれませんが、ここでもやはり優先度を考えましょう。


筆者のオススメは、「アクセントクロス」です。


アクセントクロスとは、高級感を演出するために壁面の一部だけ色を変える手法。薄めのブルーやピンクのアクセントクロスを取り入れるだけで、部屋の雰囲気がガラリと変わります。


あまり派手すぎてはいけませんが、柄ものの壁紙もオススメ。

引用:こだわり”部屋”FILE マリンブルーを基調にした爽やかDIY部屋


 当サイトの記事「空室対策で優先して変える内装は「アクセントクロス」7つの効果と費用を解説」でも解説していますが、アクセントクロスを取り入れると以下の効果も得られます。


  • 費用が安く抑えられる
  • 内見率がアップする
  • 内見後も印象が強く残る
  • 家賃の下落防止になる
  • 退去の防止につながる
  • ターゲットに合わせやすい


もちろん、部屋全体を北欧風にしたり無垢の素材で自然な質感を演出したりするのもよいでしょう。ただ壁紙を一部変えるだけで済むアクセントクロスなら、費用も抑えられライバル物件との差別化を図れます


空室対策で内装をリフォームするにあたっても、コストパフォーマンスを考えるのが賢い方法と言えるでしょう。   




【空室対策3】リフォームしたら「家具」で成約率をさらにアップ!

仮に募集条件を見直して、リフォームもできることはやったという状況だとしましょう。ここまで解説した空室対策とリフォームをおこなっていれば、普通なら入居者は決まります。


ただ、それでも成約に繋がらなかったらほかにできることはないでしょうか。


そこで成約率のさらならうアップを図るため、備えつけの「家具」「家電」を検討してみましょう。


実は賃貸物件に家具を設置すると、大きなメリットが3つあります。



1.
学生や上京してくる人などの検討物件になりやすい
2.
内見率アップにつながり内見後も印象が強く残る
3.
家賃設定を相場より高めにできる


たとえば新築と比べたときに、家具・家電つき物件が勝てる部分を考えてみてください。



新築
家具・家電つき物件
デザインや設備がありきたり
おしゃれで差別化された設備や家具
内見をしても部屋の印象が残りづらい
家具・家電つきのため印象に残る
家賃が明らかに高い
周辺相場どおりか少し高めの家賃
入居審査が厳しい
入居者属性は比較的に広く募集している
破損や汚損に対するプレッシャー
よほど大きな傷などでなければ自然消耗の範囲


内見してくれたかたが、必ずしも上表のように都合よく考えてくれるとは限りません。


ただ家具・家電つきなら学生や上京する人の引っ越し費用削減になるため、少しだけ家賃を高めに設定するのも可能です。さらに内見後の印象も必ず残ります。不動産屋さんで「家具がついてたあの部屋なんですけど……」という話になりやすいのです。


もし「どんな家具や家電を設置すべき? 」という疑問があれば、ぜひ以下の記事をご参照くださ



ホームステージングとは、空室の物件に簡単な家具を配置して生活感を持たせ、成約率のアップと成約期間の短縮を図る手法。アメリカが発祥と言われていますが、日本でも徐々にブームの兆しがあります。


一般社団法人日本ホームステージング協会の調査によると、ホームステージングにより空室期間が1/3になると報告されています。


「新築じゃないけど、あの部屋よかったね」「あのブルーの壁紙の部屋」といったように、印象に残る部屋は必ず演出できます。ターゲットやユーザーニーズを見極めながら、素敵な部屋を演出しましょう!  



【番外編】最後の砦?リフォームの「補助金」で空室対策


いろいろな空室対策の方法をみてきましたが、賃貸物件の空室対策もいつかは八方ふさがりの状況が訪れます。そんな日が訪れたとき、検討することになるのが「ターゲットの変更」と「補助金制度」です。


ご存知のとおり、日本は超高齢化社会に向けてまっしぐら。またシングルマザーや外国人の数も増えています。


家賃滞納をはじめとした各トラブルや事件・事故などを懸念し、高齢者や外国人は賃貸物件で避けられがち。ただ逆に言えば、間違いなく賃貸需要のある入居者属性でもあるのです。


国土交通省では、上記の賃貸住宅が借りづらいかたがたを「住宅確保要配慮者」と位置づけ、居住支援制度「住宅セーフティネット」を開始しました。


引用:セーフティネット住宅 情報システム


以前に当サイトの以下記事でも解説していますが、住宅セーフティネット制度ではリフォーム補助金が出ます。


 

住宅要配慮者用の専用住宅として10年以上管理したり、家賃を簡単に変更できなかったりするなどの制限はあります。ただ要件にさえ合致すれば、最大で100万円のリフォーム費補助を利用できたり、住宅確保要配慮者のために家賃減額しても補助金を受け取れたりする仕組みです。


住宅セーフティネット制度は国と地方によるバックアップがある、まさに空室対策における最後の砦


高齢者の多いエリアだとか、経年劣化が激しい築古アパートにリフォーム費用をかける価値が見いだせないといった特殊要因があるなら、補助金制度を存分に活用して空室対策を図りましょう。



効果が見込めるリフォームなら最優先!空室対策は「ユーザーニーズ」が超重要!


さて、ここまでに解説させていただいたことを簡単に整理してみましょう。


  • 空室対策はお金のかかるリフォームから考えるべきではない
  • リフォームするならコストパフォーマンスを考えて優先順位を決める


空室対策の基本は「費用がかからないことからはじめる」のが基本。ただ今回解説させていただいたのは、あくまで空室対策の正攻法としてひとつの考えかた。


何をするにもお金がかかるのが世の常。いくらお金がかからない空室対策をしても、いつかは大がかりな原状回復工事やリフォーム、大規模修繕が必要になるのは大家さんの宿命です。破損や設備故障をほったらかしにして、費用のかからない空室対策をしたところで意味がありません。


間違いなく効果が見込める場合なら、リフォームを最優先にするのも空室の解決方法のひとつ。


絶対に忘れてはいけないのが、「ユーザーニーズ」がどこにあるかを見極めること。賃貸ニーズを的確にとらえて空室対策の努力をした物件は、入居希望者の気持ちをつかんで離しません。  



まとめ

周辺にライバル物件が多い立地だとするなら、努力と工夫による差別化は必須です。


ただ近所に新築が建ってしまえば、いくらリフォームしたところで敵うはずがありません。そもそも築年数が古いアパートを無理やりおしゃれにしてもニーズからズレますし、明らかに田舎のエリアで斬新なデザインにしたら違和感しかないでしょう。


  • ターゲット
  • ユーザーニーズ
  • エリアの雰囲気
  • トレンド
  • コストパフォーマンス


上記のバランスをよく鑑みて、「P(プラン)D(実効)C(評価・確認)A(改善)」を確実におこないましょう。 そうすれば必ず、満室経営が実現する日も訪れるはずです。



不動明師
不動明師
賃貸管理&売買仲介経験20年。アパート新築、購入、仲介、リノベーション、大規模リフォームに携わり、自身でも2棟のアパートを所有する不動産オーナー。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格を有し、不動産経営者に対して役立つノウハウを共有している。

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