アパート経営で家賃設定どうしてる?【宅建士が公開+3000円の方法】適正価格の目安を計算
アパートの家賃、なにを基準に設定していますか? 今まで「なんとなく決めていた」という大家さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし家賃をなんとなく決めてしまうと、将来的な家賃や収益性の変動に対する対応もなんとなくになります。つまり、アパート経営にブレが生じる可能性があるのです。
そこで適正な家賃の設定方法を「あぱたい」が解説します。設定基準となる要素を紹介するほか、プレミアムな条件次第では家賃増額も!?
目次[非表示]
アパート経営の家賃を設定するのに必要な3大要素
家賃を決める要素は主に3つ
- アパート経営に最低限必要な費用
- 周辺の家賃相場
- 所有物件のスペック
上記は家賃設定の指針になりますので、まずは基盤となる要素としてしっかり把握する必要があります。
1.アパート経営に最低限必要な費用
家賃設定に必要な要素として最初に把握すべきが、アパート経営に必要な費用。「アパートの管理費用」や「租税公課」、「アパートローンの返済」など、さまざまなコストがあげられます。
アパート経営にかかる費用がいくらなのかを把握し、設定した家賃で費用を払えることが最低条件になります。
2.周辺の家賃相場
つづいて所有するアパートの周辺において、どれくらいの家賃で賃貸されているか不動産ポータルサイトなどで確認しましょう。間取りや構造による家賃相場が把握できます。
家賃だけではなく、共益費(管理費)と合わせた額で確認するのも忘れずに。
3.物件のスペック
家賃水準の高さは、以下のとおり構造別で並べ替えられます。
- RC・SRC造(鉄筋コンクリート・鉄筋鉄骨コンクリート)
- 重量鉄骨
- 軽量鉄骨
- 木造
立地や築年数が同じでも広さや設備の充実度、間取りなどにより家賃は変動します。
周辺の家賃相場チェックでも、なるべく所有アパートと同じスペックを対象にしましょう!
木造でも上手に活用すると、利回りのよい優良物件になりますよ>>アパート経営で木造と鉄骨儲かるのは?【10項目で比較】木造投資の天才大家の実例付き
アパート経営の家賃を正しく設定する方法!
アパート経営に係る費用や家賃相場をもとに設定する家賃。ただ、いざ「家賃額を決める! 」となると、やはり “なんとなく” になりそうで不安ですよね。 前章で解説した家賃の設定方法には、考えかたやコツがあります。
「アパート経営の費用」から最低限の家賃設定を確認する
一般的に賃貸経営で必要な経費は、家賃収入の20~30%程度。年単位で支払う固定資産税や損害保険料などは、月額に換算して考えます。
例えば8戸あるアパートで家賃8万円という物件が満室と仮定して、アパート経営で理想的な費用を計算してみましょう。
家賃8万円 × 8戸 × 費用割合20~30% = 12.8~19.2万円
入居率8割(空室2戸)であれば9.6~14.4万円の経費が理想です。入居率5割(空室4戸)なら満室の50%以内に経費が収まればアパート経営は可能です。
逆算すると、毎月かかる費用の3~5倍が目標として設定すべき家賃の目安。得られる家賃が毎月支払う費用以下であれば、当然アパート経営は赤字です。 もし毎月のコスト以下でしか家賃を設定できないアパートなら、アパートの売却を検討したほうがよいかもしれません。
「周辺の家賃相場」と設定した目標家賃を比較する
アパート経営の費用から目標とする家賃がわかったら、所有アパートに条件が近いライバル物件を探しましょう。そのうえで目標家賃と周辺の家賃相場でどう違うかを確認します。
例えば周辺のライバル物件と比較しながら、上図のように検討してみるとよいでしょう。 最後に所有物件とライバル物件とのスペックを比較しつつ、家賃設定を調整していきます。
「物件のスペック」で設定家賃を調整する
比較条件 |
設定家賃 |
広さや間取りがよい |
2,000円アップ |
バス・トイレ別 |
2,000円アップ |
駅から遠い |
1,000円ダウン |
オートロック |
2,000円アップ |
※設定家賃の一例 簡単におこなう方法としては、不動産ポータルサイトの検索条件をすべて洗い出し、各条件の重要度を決めます。
そのうえで、ライバル物件に勝る条件が多いなら1,000円単位でアップ。逆にライバル物件に勝る条件が少ないなら、1,000円単位で家賃を下げるなどしてみましょう。
設備や立地で敵わないなら、条件緩和で付加価値を高めればライバル物件と差別化を図れます!
上表は一般的に人気のある条件。立地や設備は家賃設定に大きく関わってきます。
- ルームシェア可
- 保証人不要
- フリーレント
- ペット可
など 条件緩和はメリットデメリットがあるので、所有物件で可能か、収益性にどう影響するか見極めながら検討しましょう。
賃貸物件の検索条件ランキング!家賃が上がるプレミアム条件とは?
表は、民間の賃貸住宅に住む人が重要と答えた条件ランキング20位です。 物件スペックや人気の設備について国土交通省が公表している「住生活総合調査」をご紹介します。
「住宅の広さや間取り」はやはりダントツの条件。部屋が広いというだけで、高い家賃設定が十分可能と言えますね。 また、災害や治安といったセキュリティに関する需要の高さもうかがえます。現代ならではの傾向として興味深い結果ですが、セキュリティを重要視する入居者は今後も増えるでしょう。
さらに、全国賃貸住宅新聞2019年入居者人気設備ランキングをみるのもよいでしょう。
単身・ファミリーともに、無料インターネットが1位です。インターネットは4年連続の1位なので、もはや当たり前になったようです。
24時間利用可能のゴミ置き場もランキングを上げてきました。 ほかにもマンションなら普通に思えても、アパートでは差別化につながる設備は多くりあります。
無料インターネットはどんな物件でも見るようになりました。 なにがあってなにが足りないかをこまかく把握し、ライバル物件と比較してより有利な条件を増やしていきましょう。 無料インターネットを未導入ならこちらの記事を参考にしてください。
大家の声も掲載しています>>アパート経営に無料Wi-Fiインターネット【大家の感想付】宅建士が5つのポイントを解説
自分のアパート経営にしかない魅力を見つければ高い家賃も設定できる!
設備や検索条件のランキングだけが家賃設定の指針ではありません。自分のアパートにしかないプレミアム条件があれば、さらに高い家賃を設定することも可能です。
アパート経営の家賃を設定する要素として「どうしてもこの物件に住みたい! 」と思える特徴があれば、多少強気でも入居につながります。
- 緑や自然が多く、夏も比較的涼しい地域
- おしゃれなお店が多いなどブランド力のある地域
- 毎年近所で花火大会があってよく見える物件
- 窓側に建物がなく、日当たりが保証される物件
不動産ポータルサイトにはないプレミアム条件があれば、少し家賃が高くても借り手はあらわれるはず。 家賃の正しい決めかたは、借りてもらえた1番高い家賃がそのアパートで設定できる家賃なのです。 ではひとつの例をあげて、家賃を設定していく具体的なプロセスをみてみましょう。
【ライバル物件】
家賃:7万円(満室に近い)
構造:木造
間取り・広さ:1K(20㎡)
駅徒歩:5分以内
築年数:5年
主な設備や売り:バス・トイレ別、オートロック、商店街沿いの物件
|
【所有物件】
当初家賃7万
築年数や駅からの距離はライバル物件より劣りますが、広さとリノベーションにより築浅ライバル物件の家賃に近づけられます。
駅から近いけど騒がしいのは嫌という人にとって、「大通りから外れた閑静な住宅街にある物件」はプレミアム条件です。
筆者であるわたしの経験上、あまりにも駅から近すぎるのは騒がしいから避けたいという入居希望者は一定数います。
さらにアクセントクロスなどでセンスのある内装であれば、ライバル物件との差別化にもつながります!
アクセントクロスの詳しい解説はこちらも参考にしてくださいね>>空室対策で優先して変える内装は「アクセントクロス」7つの効果と費用を解説
築年数とオートロックがないという欠点は、リノベーションによるモニタ付インターホンと独立洗面台の導入で補います。 所有物件の強みは、ライバル物件より広いという点。
そして前章の検索条件ランキング上位にあった独立洗面台も明らかに有利な条件のため、家賃をプラス2,000円としました。
上記までのように、合理的に考えていくと適正家賃の設定はむつかしくありません。 ライバル物件より高い家賃を設定するなら、まずは「勝っている点」と「負けている点」を明確にすること。そのうえでプレミアム条件を付加できれば、きっと借り手がみつかるはずですよ!
まとめ
筆者のわたしが6年ほど住んだ、築30年の軽量鉄骨アパート。この物件は、東京で住みたい街ランキング上位の駅から10~15分ほどのエリアです。
外観もとても古く洗濯置場も外でしたが、アパートは大家さんの敷地内で窓の外は大家さんの庭。隣に建物がないことで日当たりがよく、静かだったのもプレミアムな条件のひとつでした。
周辺の築浅アパートより5,000円~7,000円程度安いにも関わらず、わたしが退去するまで空室はひとつもありませんでした。 アパート経営に必要な家賃設定の要素は
- アパート経営に最低限必要な費用
- 周辺の家賃相場
- 物件のスペック
これらを基準としたうえで、ライバル物件にはないプレミアムな条件を探る。これこそが正しい家賃設定の要素となるのではないでしょうか。
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