アパート経営にかかる費用はいくら?必要資金と維持費、準備すべき内容を徹底解説
アパート経営をするには、まず物件を購入しなければならないため、物件購入費用がかかります。
そのほかにも、手数料や登記費用、各種保険料などさまざまな費用がかかってきます。
ローンで物件を購入した際には、ローン返済もおこなう必要があります。ローン返済は家賃収入からおこないますが、空室があると収入がなくなるため、注意しなければなりません。
想定よりもアパート経営は費用がかかるため、事前に費用の内訳などを明確にしておくといいでしょう。
目次[非表示]
- 1.アパート経営にはどんな資金が必要なの?
- 1.1.アパート建設の初期費用
- 1.2.アパート建設費以外にかかる費用
- 1.3.アパートの維持費
- 2.アパート経営にかかる初期費用
- 2.1.アパートの取得費用
- 3.建物以外にかかる費用
- 3.1.不動産取得税
- 3.2.印紙税
- 3.3.登記費用
- 3.4.アパートローンの手数料(保証料+事務手数料等)
- 3.5.各種保険料(火災保険・地震保険)
- 3.6.外注費
- 4.アパート経営にかかる維持費用
- 5.アパート購入にローンはつきもの
- 5.1.元手には現金とローンを併せた人が多い
- 5.2.金利を考えないと損をしてしまう
- 6.アパート経営の方法
- 6.1.自主管理
- 6.2.管理会社に委託
- 6.3.サブリース契約をして一括借上げ
- 7.アパート経営のリスク
- 7.1.空室のリスク
- 7.2.金利上昇のリスク
- 7.3.老朽化によるリスク
- 7.4.不動産を放置するリスク
- 8.アパート経営をするには自己資金はいくら必要?
- 9.アパート経営の事前準備の重要性
- 10.まとめ
アパート経営にはどんな資金が必要なの?
アパート経営を始めようとしたときに必要な資金を紹介します。
アパート建設の初期費用
アパート経営をするには、まずアパートを建設する必要があります。木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造で費用は異なります。
一般的にアパートと呼ばれるものは、木造または鉄骨造で出来ています。
木造の場合、おおよそ坪単価は77~97万円、鉄骨造の場合、坪単価は平均で80~105万円です。
参考:HOME4U 土地活用 アパート経営ガイド アパート経営をするには自己資金はいくら必要?
アパート建設費以外にかかる費用
アパート建設費以外には、ローン関連費用、登記費用、不動産所得税、火災保険費用などがかかります。
ローン関連費用は、ローン返済費用含め、ローンを組んだ際にかかった手数料などです。
アパートを建設した際、所有権保存登記する必要があります。その際、登記費用がかかります。
不動産所得税は、アパートを経営しているその固定資産税評価額×3%(2021年3月31日まで)を納めなければなりません。
また、もしものときのために火災保険をかけておくことをおすすめします。急な火事で家が焼けてしまった場合でも、保険が効きます。
アパートの維持費
アパートを綺麗に保つためには、共用部の清掃や壊れてきた部分の修繕などをおこなわなければなりません。築年数が経てば経つほど、間違いなく劣化してきます。何もしないままでいると、建物が古くなってきて、入居したいと思う人が集まらなくなる可能性があります。
また、賃料収入に対する所得税と住民税、アパートを保有していることに対する固定資産税も毎年支払う義務があります。
アパート経営にかかる初期費用
アパートの取得費用
アパート経営時に始めにかかる費用は、アパート取得費用です。規模や構造、エリアにより、値段は大きく異なります。
アパートの取得費用は、坪単価×延べ床面積で計算できます。
おおよその費用は、下記の表の通りです。
木造アパート(2~3階建て) |
1坪当たり:40~60万円前後 |
鉄骨造アパート(2~4階建て) |
1坪当たり:50~70万円前後 |
鉄筋コンクリート(アパートではあまり使われていない) |
1坪当たり:70~100万円前後 |
アパートでは、鉄筋コンクリートはほとんど使用されないため、木造もしくは鉄骨造が一般的です。
建物以外にかかる費用
不動産取得税
アパートを購入した際にかかる税金を不動産取得税といいます。購入時、すぐに税金を支払わなければならないわけではなく、購入後半年~1年半後に請求されます。
不動産取得税は、以下の方法で計算されます。
固定資産税評価額×税率(3%)=不動産取得税
印紙税
印紙税は、契約書に添付する収入印紙の代金のことです。印紙代により、税金が異なります。
1万円を超える印紙を購入する場合は、事前に予約が必要なこともあるため、注意が必要です。
登記費用
アパートを購入したら、所有権を証明するために登記登録をしなければなりません。
登記費用は、5,000万円のアパートを購入した場合おおよそ30~50万円ほどかかります。
アパートローンの手数料(保証料+事務手数料等)
アパートローンには、保証料と事務手数料の2種類の手数料が発生します。
保証料の目安は借入額の2%程度、事務手数料は定額制と、借入額によって変動する定率制がありますが、定額制であればおおよそ3万円程度です。
各種保険料(火災保険・地震保険)
アパートを購入したら、必ず火災保険や地震保険に加入しましょう。災害はいつ起きるかわかりません。火災保険は、アパートの規模や構造によって料金は異なりますが、10年契約でおよそ50万円前後です。
外注費
外注費とは、下記のようなものを指します。
- 税理士や弁護士への相談料や依頼料
- 入居者募集する際に管理委託を依頼する費用
- 不動産仲介会社の仲介手数料
税理士や弁護士に相談する費用は、依頼先によって異なります。無料のところもあります。
仲介手数料は、以下の計算式で出すことができます。
売買価格×税率(3%)+6万円+消費税
アパート経営にかかる維持費用
光熱費
共用部分の電気代や水道内などの光熱費が毎月かかります。
大きな金額ではありませんが毎月発生するため、忘れずに支払いましょう。
修繕費
アパートの共用部分の設備などが壊れた際に修繕費がかかります。築年数が経つにつれて建物は劣化していきます。修繕費はいずれかかるようになると認識しておいたほうが良いでしょう。
また10~20年単位で、外壁などの大きな修繕工事が必要となってきます。
リフォーム費
入居者様が退去した際に、床の貼り替えや水回りのメンテナンスなどが発生します。次の入居者様に気持ちよく入居してもらうためにかかせないのがリフォームです。
築年数が経つにつれて、リフォームする箇所も増えてきます。
リフォーム費用もいずれ必要になるということを忘れずに認識しておきましょう。
損害保険料
火災保険料や地震保険料のことです。災害で建物に損害があった場合に保険が下ります。
火災保険の契約は最短1年から最長10年のため、アパート購入時に10年契約をしましょう。まとめて保険料を支払うほうが料金が安くなります。
また10年経過したら、再加入することをおすすめします。
管理費
アパートの管理は、管理会社に任せる場合が多いです。そのため、管理会社へ支払う費用が発生します。
管理費は、管理会社によって異なりますが、おおよそ毎月の家賃の5%程度です。
管理会社は、アパート周りの清掃、入居者対応、契約更新の手続きなどさまざまな管理業務をおこなってくれます。
仲介手数料
不動産会社が入居者様募集をおこない入居者様が決まったら、不動産会社へ仲介手数料を支払います。仲介手数料は、家賃の半月分です。
アパート購入にローンはつきもの
元手には現金とローンを併せた人が多い
アパートを購入する際、ある程度まとまった現金とローンを併用する人が多いです。現金のみで購入したほうがローンを組む必要がなく、家賃収入は手数料などの費用を引いた分以外全て自分のものになります。しかし、現金の準備が難しい場合は、ローンを組みましょう。
ローンはオーナーの収入や職業などによって、融資してもらえる金額は異なります。また、審査が通らない場合もあるため、ローンを併用してアパート経営を始めようと思ったら、まず始めにローンでいくら融資してもらえるか事前に確認しましょう。
ローンを組んだ場合、計画的に返済をおこなわないと赤字になってしまいアパート経営が出来なくなってしまいます。そうならないためにも、ローンを組むときに、借入額、金利、返済年数などをきちんと確認して、失敗のないアパート経営をおこないましょう。
金利を考えないと損をしてしまう
ローンを組むと金利は必ず発生します。金利や返済期間は事前に確認しておくことをおすすめします。まず、アパートを購入する際に見込みの収益を予想しましょう。収益からローン返済できるかきちんと確認しないと、アパート経営は失敗します。
ローンもさまざまな種類があるため、借入可能額、金利、返済期間の3つを考慮して、どのローンを組むか考えましょう。
アパート経営の方法
アパート経営には、いくつか方法があります。
自主管理、管理会社に委託、サブリース契約をして一括借上げの3つの方法について紹介します。
自主管理
自主管理は、オーナー自ら入居者募集をおこない、物件周りの清掃や、契約の手続きなど物件の管理を全て自分でおこなう方法です。
管理費用はおさえることができますが、手間と時間がかかります。1棟、2棟のアパート経営ならなんとかなるかもしれませんが、それ以上の数の物件管理を1人でおこなうことは難しいです。
管理会社に委託
管理会社に物件の管理を全て委託する方法です。入居者募集から物件周りの清掃まで依頼します。オーナーの手間は減りますが、管理会社に委託する場合は、管理費がかかります。
信頼のできる管理会社を見つけることでアパート経営もしやすくなります。
サブリース契約をして一括借上げ
オーナーが持っているアパートを丸ごと1棟サブリース会社が借ります。オーナーは全室貸している状態のため、家賃収入は毎月きちんと入ってきます。そして、借りたサブリース会社が入居者様を募集し、入居者様を集めて、賃貸します。
一括借り上げの場合のオーナーの収入は以下の通りです。
家賃 – 手数料 = オーナーの収入(家賃の80~90%)
空室があっても収入に変動はないため、オーナーは安定した収入を得ることができます。
アパート経営のリスク
空室のリスク
空室ができてしまうと、その分の家賃収入もなくなり、ローン返済にも響いてきます。
空室のリスクには、さまざまな原因があります。立地なのか、設備なのか、経年劣化によるものなのか、きちんと空室の原因を見極めることが重要です。
立地が原因の場合は対策を取ることは難しいですが、他の原因であれば新しい設備の導入やリフォームなどの空室対策を取ることで空室を防ぐことはできます。
金利上昇のリスク
現在は、バブル時代と比較すると、低金利でローンを組むことができます。
通常、金利は景気が上がると金利も上昇します。そのため、今後日本の景気があがっていくと、金利が上昇する可能性があります。しかし、現在は日本は好景気であるにも関わらず、低金利状態が続いているため、いつどのタイミングで金利が上昇するかはわかりません。今後金利上昇する可能性があるということを頭に入れておきましょう。
老朽化によるリスク
築年数が経過するにつれて、アパートも老朽化します。建物の外壁で古さを感じると、入居者様が集まらず空室が多くなってしまいます。
リフォームやリノベーションをすると費用がかかりますが、アパート経営の今後を考えると、リフォームやリノベーションをして綺麗にすることも空室対策の1つの方法と言えます。
不動産を放置するリスク
不動産を放置しても、管理費や固定資産税などの維持費はかかってきます。また放火などの被害に合う可能性、老朽化や倒壊で建物の資産価値が下がる可能性、不審者が出入りする可能性などさまざまなリスクがあります。
放置をしても、物件の管理者は不動産を適切に管理する管理義務があるため、何もせずに放置しておくことはできません。
アパート経営をするには自己資金はいくら必要?
物件を購入する際には現金がなくてもローンを組むことで購入することができます。しかし、頭金や諸経費は現金で支払う必要があります。
建物の規模などにより金額はさまざまですが、諸経費は5~8%で計算をすると、物件をフルローンで購入する場合、物件価格の5~8%、頭金を入れる場合で10%~30%ほどが必要な自己資金となってきます。
例えば、5,000万円の物件を購入する場合、フルローンで250~400万円、頭金を入れる場合で500~1,500万円ほどの自己資金が必要となります。
諸経費や頭金もローンで補うことができるローンもありますが、金利が高いため、おすすめしません。空室などで家賃収入が減り、返済が厳しくなった際にも大変になるため、諸経費や頭金だけでも現金を用意したほうが良いでしょう。
アパート経営の事前準備の重要性
アパート経営を始めるために、さまざまな準備をすることで失敗するリスクを回避することができます。
例えば、家賃相場はどのくらいなのか、購入するアパートの周辺環境の調査、駅までの距離、周辺の不動産に周辺環境について聞いてみるなど、難しいことはありません。実際にアパート周辺を歩いてみて調査することも大事です。
ターゲット層が分かれば、そのターゲットに向けて、アパートの設備などを整えていくことで、すぐに入居者様が決まることもあります。
まとめ
アパート経営は、ローンを組んで物件を購入するため、現金の準備をする必要がないと思われがちですが、頭金や諸経費などは現金で支払うため、いくらか現金を準備しておくことが必要です。
また、築年数経過による老朽化で大規模なリフォームや、空室対策で新しい設備の導入などが必要となってくるため、アパート経営は思っているよりもお金がかかります。リフォームや新しい設備導入は、いずれ必ず必要となってくるでしょう。ただアパート経営をするだけではなく、入居者様のための経営をすることが重要です。
アパート購入費以外にも、手数料や保険料、維持費、光熱費などさまざまな費用が必要となってきます。
いつ空室ができるか予想がつかないため、空室ができて一時的に家賃収入がなくなっても対処できるように、ある程度の現金は常に持っておくことをおすすめします。
アパート経営にはさまざまなリスクがつきものですが、事前にリスクを回避するための方法を準備し、アパート経営をおこないましょう。