賃貸物件のオーナーが抱えるよくある悩みとは?
不動産投資は、株やFXなどに比べてリスクの低い投資方法のひとつです。しかし賃貸経営には、空室リスクや家賃滞納リスクなど不動産投資得特有のリスクが付きまといます。
そして、それらさまざまなリスクに悩む賃貸経営中のオーナーは少なくありません。
そこで今回は、賃貸物件のオーナーが抱える悩みとその解決法を解説します。
悩める大家さんは必見です。
目次[非表示]
- 1. 賃貸物件のオーナーさんが抱えやすい悩みとは
- 2.賃貸経営をしていくためのポイントをご紹介!
- 3.賃貸トラブルを避けるためにオーナーができることは?
- 3.1.入居者の審査をしっかりと行う
- 3.2.物件を貸し出すときの状態を記録しておく
- 3.3.家賃保証会社を検討する
- 4.オーナーさんが賃貸経営で関わる会社や相手
- 5.賃貸物件経営で失敗する主な理由とは?
- 5.1.入居者が見つからない(空室が多い)
- 5.2.収支を考えずに賃貸マンションを開始
- 5.3.マンション経営のお金に関する知識不足
- 6.賃貸物件経営によくある7つの失敗事例と対策
- 6.1.リサーチ不足による失敗
- 6.2.周辺状況の変化による失敗
- 6.3.入居者の募集方法による失敗
- 6.4.入居者トラブルによる失敗
- 6.5.利回りの設定による失敗
- 6.6.高額なローンを組んだことによる失敗
- 6.7.売りたくても売れないという失敗
- 7.賃貸物件経営で失敗しないリスク管理のコツ
- 7.1.税金の知識を身につける
- 7.2.運用中の赤字を気にしすぎない
- 7.3.早期売却を恐れない
- 7.4.管理費をできるだけ安くする
- 7.5.家賃の見直しによる入居率の改善
- 7.6.幅広いアピールで入居者を募る
- 7.7.金銭面でのリスク管理
- 8.まとめ
- 9.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
賃貸物件のオーナーさんが抱えやすい悩みとは
ここでは、賃貸物件のオーナーが抱える一般的な悩みをまとめました。
空室率
賃貸経営中のオーナーを悩ますのが「空室率」です。空室状態がつづけば、その間の家賃が入らず収入が減ってしまうため、空室率を下げたいと考えるのは当然です。
空室率を下げるには、空室の原因を突き止めたうえで空室対策をおこなう必要があります。
詳しい空室対策方法についてはこちらの記事をご覧ください!
>>安定した賃貸経営に欠かせない「空室対策」とは?効果的な10の方法を紹介!
入居者トラブル
賃貸物件の入居者による家賃滞納などの賃貸トラブルは、賃貸経営において非常に警戒すべきリスクのひとつです。
家賃滞納リスクの対策方法は、「賃貸トラブルを避けるためにオーナーができることは?」の項をご覧ください。
ほかにも、ゴミの不法投棄や近隣住民への迷惑行為といった入居者トラブルも考えられます。これらのトラブルは、不動産管理会社と連携しながら迅速な対応をおこなうことが望ましいです。
賃貸管理会社が怠慢
賃貸物件のスペックは悪くないのに入居が付かない、家賃の振り込みが遅かったり、管理物件の報告や連絡がなかったりする場合は、賃貸管理会社の業務怠慢が疑われます。
入居者募集方法の見直しや定期連絡するよう依頼し、それでも改善されないようなら賃貸管理会社の変更を検討しましょう。
キャッシュフローの悪化
キャッシュフローの悪化は、賃貸オーナーの最大の悩みです。ローン返済が負担の場合は、ローンの借り換えをおこない金利を下げるなどの対策が有効です。また、入居率を上げたりランニングコストを見直し無駄な出費を抑えたり、キャッシュフローの改善につとめましょう。
設備故障費用
突発的な設備の故障は、思わぬ出費につながります。修繕費用の捻出に悩まないためにも、あらかじめ修繕費用として資金をプールしておくことをおすすめします。
物件の売却
賃貸物件を売却するべきかどうかで悩むことがあると思います。もし売却益が出るようであれば売却を検討するとよいでしょう。
また、賃貸経営がうまくいっておらず赤字状態であれば、損切り覚悟で売却することで、それ以上のダメージを負わなくて済みます。
賃貸経営をしていくためのポイントをご紹介!
ここでは賃貸経営のトラブル回避のために、ぜひ知っておきたいポイントを紹介します。
賃貸トラブル回避のため知っておくべき「改正民法」
2020年4月の民法改正により、賃貸借契約の一部に変更がありました。
・賃貸借終了時の敷金ルール、原状回復ルールの明確化
改正民法では、敷金の返還範囲や原状回復費用負担についてのルールが以下のように明確化されました。
【敷金は、原状回復工事の経年変化以外の損傷を修繕することに使われ、残りがある場合は賃借人に返還される】
【賃借人が負う原状回復義務について、通常損耗や経年変化による部分についてはその義務を負わない】
オーナーと入居者間でしばしばトラブルになっていた退去時の原状回復費用や敷金の返却でしたが、今後は上記のルールにのっとった対処が求められます。
なお、原状回復の通常損耗や経年変化にはどのようなケースが該当するのか、あらかじめチェックしておきましょう。
参照:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
トラブルを防ぐにはまず契約書類の確認を
賃貸トラブルを未然に防ぐためには、あらかじめ賃貸借契約書の内容や入居者本人・連帯保証人の身元をしっかり確認しておくことが重要です。
賃貸トラブルを避けるためにオーナーができることは?
ここでは、賃貸トラブルを未然に防ぐためにできることをまとめました。
入居者の審査をしっかりと行う
賃貸トラブルをできるだけ避けるためには、入居審査を慎重におこなうことが重要です。契約書類や入居希望者の身元は十分確認しましょう。家賃の支払い能力だけでなく、入居希望者の身なりや言動などから人柄もよく観察しましょう。
物件を貸し出すときの状態を記録しておく
入居者が退去する際の原状回復の範囲で揉めることがないよう、できれば入居者とともに室内に傷や汚れ・破損などがないことを確認するか、あらかじめ室内を写真や動画などで記録を残しましょう。いざというとき証拠として役立ちます。
家賃保証会社を検討する
家賃滞納を防ぐためには、家賃保証会社との契約を入居条件にすると非常に効果があります。万が一、滞納があった場合も家賃保証会社が家賃を保証してくれ、入居者への督促も保証会社がおこなってくれるため安心です。
オーナーさんが賃貸経営で関わる会社や相手
賃貸経営をおこなううえで、さまざまな会社や事務所などに関わることになります。ここでは、各会社の役割について紹介します。
不動産管理会社
オーナーからの委託で賃貸物件の管理業務をおこなうのが「不動産管理会社」です。入居者対応として設備の修繕・手配やクレーム処理、家賃回収代行、共用部の清掃などをおこないます。なお管理範囲は、オーナーと不動産管理会社との契約内容によって異なります。
仲介会社
仲介会社は、貸主(オーナー)と借主(入居希望者)をつなぎ、賃貸借契約を成立させる役割を持ちます。入居付けのために入居者募集広告を掲載したり、物件の内見案内をしたり、賃貸借契約手続きをおこなってくれる場合もあります。
サブリース会社
サブリース会社は、大家さんから借り上げた賃貸物件を第三者に転貸する会社を指します。
サブリース契約は空室期間でも家賃保証があるため空室対策に効果的ですが、一方で定期的な家賃額の見直しや免責期間があるため、契約内容をしっかり確認したうえで利用することをおすすめします。
税理士・公認会計士
税理士・公認会計士は、事業経営者の税務会計業務を代行します。賃貸経営では、日常的な会計処理や確定申告書の作成などを委託するオーナーも少なくありません。なお、税務会計のサポート範囲は契約内容により異なります。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、お金の流れについての専門知識を活かし、事業経営のキャッシュフローについて的確なアドバイスをしてくれます。経営の安定性をはかるためにも、ファイナンシャルプランナーは心強い存在です。
弁護士
賃貸経営において、家賃延滞や入居者間のトラブル、原状回復費用負担のトラブルなど、弁護士に相談・依頼をすることで入居者との交渉や法的な手続きを代行してくれます。
リフォーム会社
物件建物のリフォームやリノベーションをおこなってくれるのがリフォーム会社です。工事のノウハウが豊富で、退去後の原状回復や修繕はもちろん、物件の付加価値を上げるリノベーションまでおこなう会社もあります。
賃貸物件経営で失敗する主な理由とは?
賃貸オーナーの最大の悩みは、賃貸経営が失敗で終わってしまうことです。ここでは、賃貸経営が失敗する主な理由についてまとめました。
入居者が見つからない(空室が多い)
物件を選ぶ際、立地や周辺の賃貸需要を間違えてしまうと入居がつかず、空室が多くなることでキャッシュフローの悪化を招きます。特に駅から遠い、周辺環境が悪い、人口流失が著しいエリアでは募集しても入居者は見つかりにくいです。
賃貸経営の成功は物件の立地によって大きく左右されるため、物件を選ぶ際には賃貸需要の高いエリアで好立地物件を選びましょう。
収支を考えずに賃貸マンションを開始
価格の安さや利回りの高さだけで賃貸物件を購入した場合、想定以上の修繕費用がかかったり、立地が悪く空室がつづいたり、結果的に損になる場合があります。
賃貸物件を購入する際は、目先の利益だけにとらわれず、しっかりと収支シミュレーションをおこなったうえで安定したキャッシュフローを得られる物件を選びましょう。
マンション経営のお金に関する知識不足
マンションなどの賃貸経営をおこなうには、キャッシュフローや利回りの仕組み、計上できる費用の種類、税金など、お金に関するさまざまな知識が必要です。これら知識がないまま漠然とした計算で賃貸経営をつづけていると、気が付いたら赤字になっていたということも考えられるため注意しましょう。
賃貸物件経営によくある7つの失敗事例と対策
ここでは、具体的な賃貸経営の失敗事例とともに、その対策方法をまとめました。
リサーチ不足による失敗
事例:「車必須のエリアだと知らず、価格の安さだけで地方都市の物件を購入したが、駐車場のない物件だったため、入居付けに苦労した」
これは、馴染みのないエリアの物件にもかかわらず、リサーチを怠ったがために招いた失敗です。こうならないためにも、立地や周辺環境のリサーチはかならずおこないましょう。
周辺状況の変化による失敗
事例:「大学の移転によって学生がいなくなり、ほとんどの部屋が空室になった。家賃を下げても入居がつかず、最終的には売却してしまった」
これは明らかに、移転した大学の学生だけを需要にしていたために起きた失敗です。賃貸需要のあるエリアの物件を選ぶことは重要ですが、ひとつの賃貸需要に依存するのは悪手です。
また、現在は賃貸需要があるエリアでも、今後もその需要がつづくとはかぎりません。物件を選ぶ際には、今だけでなく、今後の社会情勢や景気の変化などを考慮しながら物件を選ぶことが大事です。
入居者の募集方法による失敗
事例:「入居希望者が少なく、入居募集を委託している不動産会社に確認したら大手賃貸ポータルサイトに掲載している物件の募集資料が古く写真もなかった」
最近の物件探しは、まずインターネットで希望する条件をもとに物件を検索し、内見するという流れが一般的なため、そこに掲載されている物件情報や写真が内見への判断材料となります。その判断材料が少ない場合は入居付けに結び付きにくいです。
まずは「この物件を見てみたい」と思ってもらえるよう、入居者目線でポータルサイトに掲載されている募集資料の見直しをおこないましょう。
入居者トラブルによる失敗
事例:「入居者の家賃滞納がつづき強制退去してもらった。家賃の回収だけでなく裁判費用や時間もかかって大変だった」
家賃滞納は家賃回収に時間がかかる場合も多く、また強制退去となると裁判が必要など、オーナーにとっては大きな悩みの種になります。家賃滞納を防ぐには、前述のように家賃保証会社との契約が効果的です。
利回りの設定による失敗
事例:「高利回りに惹かれて物件を購入したが、退去者が出たらキャッシュフローがマイナスになった。購入時に提示された利回りは満室時の表面利回りだと後で知った」
物件情報に記載されているのは「満室時の表面利回り」であることがほとんどです。現実的な収支を見るには、各種費用を含めて計算した「実質利回り」を参考にする必要があります。
高額なローンを組んだことによる失敗
事例:「フルローンで賃貸物件を購入したが、毎月のローン返済が重く、キャッシュフローがほとんど残らない」
不動産物件によっては、頭金不要のフルローンで融資を受けることができます。しかし、借入額が高額になるため、毎月のローン返済額大きくなります。そんな状況で空室が立て続けに出ると即、赤字になることも少なくありません。不動産投資ローンを組む場合は、無理なく返済できる範囲で融資を受けることが重要です。
売りたくても売れないという失敗
事例:「赤字の築古物件を売却しようとしたが、耐用年数を超えているため融資がつかず、買ってくれる人があらわれない」
築古の賃貸物件は、家賃も下がり、修繕費用などの維持費も負担になるため、売却を検討する機会が増えます。しかし、法定耐用年数を超えた賃貸物件は金融機関から融資を断られることも多く、買い手がつきにくく、売りたくても売れないという状況に陥りがちです。
すでに売りにくい状況であれば、建物を解体し更地で売却するなどの方法が考えられます。
物件の売却を検討する場合は「出口戦略」として、あらかじめ売却時期を設定しておくことが大事です。
賃貸物件経営で失敗しないリスク管理のコツ
賃貸経営を長期間に渡って安定しておこなうためには、しっかりとリスク管理をする必要があります。ここでは賃貸経営を失敗させないコツを紹介します。
税金の知識を身につける
不動産所得には、所得税と住民税が課せられます。また、不動産取得時には不動産取得税や印紙税、登録免許税が課せられますし、固定資産税は毎年納税義務があります。
一部の税金は、特例による軽減措置が適用される場合もあるので、しっかりと確認をおこないましょう。
運用中の赤字を気にしすぎない
賃貸経営開始時は、初期費用の支払いなどでキャッシュフローがマイナスになりやすいです。しかし、入居率が満室に近く、収支シミュレーション通りのキャッシュフローを実現できているのであれば賃貸経営は順調と考えられ、やがて黒字に転じる可能性が高いです。
不動産投資が成功したか否かは、物件を売却した時点の収支によって決定します。家賃収入がマイナスでも売却益が出て最終的に黒字になれば、この不動産投資は「成功した」ことになるのです。そのためにも物件を売却する際は、できるだけ高く売れるタイミングを見計らいましょう。
早期売却を恐れない
賃貸物件は所有しているだけで、さまざまな費用や税金などの維持費がかかります。そのため、キャッシュフローの改善が望めないと判断した場合は、物件の取得時期に関わらず、できるだけ早く物件を手放すことでダメージを最小限に抑えることにつながります。
また前述のように、売却益がある場合は赤字分を指し引いても黒字になる可能性もあるので、できるだけ高値で物件を売却できる時期を見計らいましょう。
管理費をできるだけ安くする
キャッシュフローを改善するためにはランニングコストの見直しも必要です。賃貸管理会社に支払う管理費用は管理会社によって差があるため、できるだけ安くコストパフォーマンスのよい管理会社を選ぶことでコストカットできます。
また時間に余裕がある場合は、オーナー自身が管理をおこなう「自主管理」にすることで管理費用を削減できます。
家賃の見直しによる入居率の改善
入居が付かない理由のひとつに、周辺の家賃相場に比べて所有する賃貸物件の家賃が高い可能性があります。一度、周辺の家賃相場を調査してみましょう。もし所有物件の家賃が周辺相場とかけ離れていた場合は、入居付けがしやすくなるように家賃を下げてみることをおすすめします。
幅広いアピールで入居者を募る
入居者募集を委託している仲介会社の動きに不満がある場合は、大家さん自らが「自主客付け」することも可能です。
できるだけ所有物件を多くの人に見てもらうために、TwitterやインスタグラムなどのSNSに物件情報を掲載したり、大家さんと入居希望者を直接結ぶ「ウチコミ!」サイトなどを利用するのも一案です。
大家さん向け入居者募集について詳しくはこちらをご覧ください!
>>「入居者募集方法 大家さん向け入居者募集のアイデア、契約、種類と特徴を解説」
金銭面でのリスク管理
不動産投資で失敗しないためには、できるだけ利回りの高い物件を安く購入することが重要です。しかし、前述の失敗事例でも紹介したように、利回りの高さだけで物件を購入しても賃貸経営が成功するとはかぎらないため注意が必要です。
まとめ
賃貸物件のオーナーが抱える悩みとその解決方法を解説しました。
賃貸経営をつづける以上、空室リスクやキャッシュフローの悩みは尽きません。しかし、あらかじめリスク内容を把握し、しっかり対策をおこなうことで、オーナーが抱える悩みを解消することが可能になるのです。