アパート経営は儲かる?メリット・デメリットや失敗を回避する方法を紹介
「アパート経営をはじめたいけど本当に儲かるの?」
「アパート経営にはどんなメリットがあるの?リスクは?」
アパート経営が本当に儲かるか気になる人は多いでしょう。
実際にアパート経営で利益を出している大家さんがいる一方で、損失を出してる大家さんがいるのも事実です。
では利益を出す大家さんは、どのようなところに気を付けたり、どうやってリスク対策をおこなっているのでしょうか?
今回は、アパート経営が儲かるかどうかをメインに、メリットとデメリット、リスク対策の方法、節税の仕組みについて解説します。
また失敗事例も紹介するので反面教師として、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.アパート経営をする人は増えてる?
- 1.1.アパート建築数増加背景
- 1.2.アパート経営は儲かりにくい?
- 2.アパート経営のメリット
- 2.1.長期的な収入源の確保
- 2.2.節税対策
- 2.3.生命保険の代用
- 2.4.レバレッジ効果の高さ
- 3.アパート経営のデメリット
- 3.1.長期運用が前提
- 3.2.空室や滞納のリスク
- 3.3.金利上昇のリスク
- 3.4.老朽化・資産価値の下落
- 3.5.災害リスク
- 4.アパート経営の基礎知識
- 4.1.キャッシュフローが最重要
- 4.2.知っておきたい数字周りに関する知識
- 4.2.1.「NOI」
- 4.2.2.「減価償却費」
- 4.2.3.経過年数による節税効果の薄れ
- 4.2.4.経過年数による税負担の高まり
- 4.3.確定申告
- 5.アパート経営を失敗に招く代表事例
- 5.1.立地選び
- 5.2.多額な借り入れ
- 5.3.安易な空室対策のための高額投資
- 6.利益を生むためのアパート経営のポイント
- 6.1.物件管理を丸投げしない
- 6.2.お金の管理も丸投げしない
- 6.3.各社のプラン計画をしっかり比較検討
- 7.まとめ
- 8.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
アパート経営をする人は増えてる?
ここでは、アパート物件数の推移などアパート経営の現況をまとめました。
アパート建築数増加背景
令和3年度に国土交通省から発表された「新設住宅着工戸数の推移」を見ると貸家系の着工数は平成28年をピークに徐々に減少していることがわかります。
【新設住宅着工戸数の推移 貸家系】
*単位:千戸
平成27年:390
平成28年:433
平成29年:416
平成30年:398
令和元年 :341
令和2年 :310
参考:国土交通省『令和3年度 住宅経済関連データ 住宅建設の動向』
平成28年に貸家の着工数が増えた大きな理由として、平成27年の相続税改正があげられます。相続税の基礎控除額が5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)から3,000万円+(600万円×法定相続人の数)へと引き下げられ、それにともない課税対象者が全国で増加しました。
そんな相続税の節税対策として注目されたのがアパートを含めた賃貸経営です。相続税は、相続税評価額で決定しますが、現金の場合は額面通りの評価額なのに対して、不動産の相続税評価額は特例等により実勢価格(時価)よりも低くなります。そのため課税対象外、または課税額の減額が可能になるのです。
ようするに「アパート経営で儲ける」というよりも「相続税対策としてアパートを建てる」という人が増えたと考えられます。
アパート経営は儲かりにくい?
果たしてアパート経営は儲かるのでしょうか?
実は以前に比べてアパート経営は儲かりにくくなっていると考えられています。その理由のひとつが前述の相続税対策によるアパート物件の増加です。
そしてもうひとつの理由が、中国やアメリカで木材需要が急激に高まった煽りを受けたことで建築資材が高騰した、いわゆる「ウッドショック」です。世界規模で影響が出始めた2021年5月以降木材の輸入コストが上昇したことで、物件価格の上昇にともない、賃貸物件の利回りの低下も懸念されています。
ただし、賃貸マンションや軽量鉄骨造のアパートは木材使用率が低く影響が少ないとも言われています。とはいえ、これからアパート建築を計画するのであれば、複数の施工会社にプランや見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。
アパート経営のメリット
ここでは、以下のようなアパート経営のメリットを解説します。
・長期的な収入源の確保
・節税対策
・生命保険の代用
・レバレッジ効果の高さ
長期的な収入源の確保
アパート経営のメリットは、長期に渡って安定した家賃収入を得られることです。家賃収入は短期間で大きな利益をあげることはできませんが、入居者がいるかぎり収入が見込めるため、老後の資産形成や年金目的でのアパート経営をおこなう人も増えています。
またアパート経営では、管理全般を外部に委託できるので手間や時間がかかりません。そのため本業を持つサラリーマンの副収入を得る手段としても人気です。
節税対策
前述のように、不動産の相続税評価額は特例等により実勢価格(時価)よりも低くなるため、アパート経営は相続税対策として効果が期待できます。
また、本業で給与所得などのある人がアパート経営をおこなった場合、損益通算によって所得税が節税できる可能性もあるのです。
固定資産税の節税についてもアパート経営をおこなうことで、以下のような優遇措置が認められています。
・小規模住宅用地に対する固定資産税の軽減
・一般住宅用地に対する固定資産税の軽減
・店舗併用住宅等に対する固定資産税の軽減
・アパートを新築した場合の固定資産税の軽減
・特定市街化区域農地を転用してアパートを新築した場合の固定資産税の軽減
このように多くの節税対策につながるのがアパート経営の大きな魅力のひとつです。
生命保険の代用
アパート経営をはじめるにあたって、ほとんどの人は物件購入のために不動産投資ローンを利用します。その際、ローン申し込み者を対象とした「団体信用生命保険(団信)」への加入が可能です。(ローン利用の条件になっている場合も)
団信とは、ローン申し込み者が死亡した(または重度の障害が残った)場合、ローンの残債は保険によって完済され、家族(または本人)には無借金のアパート物件を残すことができる保険です。家族はそのままアパート経営をおこない毎月家賃収入を得ることもできます。
レバレッジ効果の高さ
アパート経営におけるレバレッジ効果とは「少ない自己資金でより大きな利益を得る」ことを指します。具体的には、借入金を活用して少ない自己資金で資産価値の高い不動産を購入し、収益性を高めることで投資効率のよいアパート経営をおこなえます。
ただし借入金額が大きくなると、月々のローン返済金額も高額になりがちです。借入は返済に無理のない範囲でおこないましょう。
アパート経営のデメリット
アパート経営にはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。ここでは、以下のデメリットについて解説します。
・長期運用が前提
・空室や滞納のリスク
・金利上昇のリスク
・老朽化・資産価値の下落
・災害リスク
長期運用が前提
前述のように、アパート経営は長期に渡って家賃収入を得られるメリットがありますが、裏を返せば長期間運用しなければ投資額が回収できないのはデメリットでもあります。
その間は、一定の入居率を維持するために空室対策をおこなったり、修繕をおこない物件価値を保たなくてはなりません。
したがって長期目線で、アパート経営の運用計画や資金計画を立てる必要があるでしょう。
空室や滞納のリスク
アパート経営において空室リスクは切っても切り離せない関係です。どんなに優良物件であっても入居者は、いつかは退去してしまい空室が発生するからです。
できるだけ空室リスクをおさえるには、賃貸需要の落ちない好立地に物件を所有することが重要です。また、リノベーションや設備投資をおこない、物件の付加価値をあげるのも効果が期待できます。
滞納リスクもアパート経営には大きなリスクのひとつです。滞納されてしまうと、その部屋の家賃を得られません。しかも、家賃の支払いはなくても入居状態であるため、新たな入居者を入れることもできず、収入がないまま部屋の劣化だけがすすんでしまうという、より深刻な状況になってしまいます。
家賃滞納を防ぐには、家賃保証会社との契約を入居条件にするとよいでしょう。家賃保証会社は、万一家賃滞納があった場合、入居者に代わって大家さんに家賃の支払いをしてくれます。また入居者への家賃回収もおこなうため大家さんの負担はありません。
金利上昇のリスク
不動産投資ローンを利用して借入をおこなった場合、金利の上昇に注意が必要です。金利が上昇した場合、月々のローン返済額が大きくなり毎月のキャッシュフローの悪化が懸念されます。
金利上昇リスクの対策としては、変動金利を固定金利に切り替える方法があります。自己資金に余裕がある場合は繰り上げ返済するのも効果的です。
また、借入時に頭金を多く入れて借入額を減らしたり、金利上昇リスクに備えて自己資金をプールしておくことも重要です。
老朽化・資産価値の下落
アパートは経年とともに老朽化がすすみ、資産価値が下がっていきます。資産価値の下落をおさえるには毎日の清掃やこまめなメンテナンスが欠かせません。
また約10年ごとに外壁塗装や屋根の葺き替えなどの大規模修繕をおこなうことで建物の資産価値を守りましょう。
なお大規模修繕費用は100万円単位で必要になります。一度に用意するのはむずかしいため、大規模修繕費用として毎月の家賃収入から積み立てをおこなうとよいでしょう。
災害リスク
アパート経営をおこなっていると、地震や台風による風水害といった自然災害や、火災や事故に巻き込まれるリスクがあります。
災害リスクの対策方法は、まず火災保険や地震保険に加入することです。火災保険は、あらゆる天災や事故の補償がされます。また同時に地震保険に加入することで、地震によって受けたダメージを補償することもできます。
保険に加入する際は、補償範囲や内容によって支払う保険料が異なります。災害が心配だからといって不要な保険に加入してしまうと、保険料が高額になりすぎる恐れがあるため注意が必要です。
また物件を選ぶ際には、各地域の行政が提供しているハザードマップなどで、災害リスクがどのくらいあるエリアなのかを調べておけば、災害被害の少ないエリアを選ぶことができ、保険料との費用対効果を考慮する助けにもつながります。
アパート経営の基礎知識
アパート経営をおこなうにはさまざまな知識が必要ですが、お金に関わる知識は非常に重要です。ここではアパート経営に関する数字について解説します。
キャッシュフローが最重要
アパート経営においてのキャッシュフローとは、家賃収入から経費を差し引いた「手元に残るお金」を指します。
キャッシュフローの計算式は以下の通りです。
【キャッシュフローの計算式】
キャッシュフロー = 不動産収入額 −( 経費 + ローン返済額 )
なおアパート経営では、キャッシュフローだけでなく会計上の数字を理解しておくことも大切です。会計上は利益が出ていても、キャッシュフローがマイナスになるケースも存在します。
会計上の利益を計算する際、経費として現金支出がなくても計上する場合やその逆のパターンがあるため、キャッシュフローと会計上の利益は違ってくるのです。
知っておきたい数字周りに関する知識
ここでは、会計上の数字について解説していきます。
「NOI」
NOI利回り(エヌオーアイ:Net Operating Income)とは、投資金額に見合うだけの利益を出せるかの指標のひとつです。
不動産投資におけるNOI利回りでは、空室率や経費を含めながら不動産の資産価値が計算できます。投下資金に対する投資収益の割合をより具体的かつ実質的にあらわせるのが、NOI利回りです。
なお、減価償却費や借入金元本返済額は含まれません。減価償却費は償却方法によって数値が変動しますし、ローンの金利は金融機関や債務者の状況によって異なるからです。NOI利回りではこのような不確定要素を含めないため、不動産そのものの客観的かつ現実的な収益性の数値化が可能です。
一般的なNOI利回りの相場は、土地代を含む場合で4%〜6%、土地をすでに持っていて建築投資に対する場合は7%〜8%と言われています。
NOI利回りの計算式は以下のようになります。
【NOI利回りの計算式】
NOI利回り(%) ={ 年間家賃収入 × ( 1 - 空室率 ) - 年間管理運営経費}÷ ( 物件購入価格 + 購入経費 ) × 100
「年間家賃収入」は、空室率を含めて1年間で得られる家賃の合計額です。「年間管理運営経費」は、以下のような項目になります。
・固定資産税および都市計画税
・各保険料
・管理委託費
・修繕費
・入居者募集費用(仲介手数料)
これらの費用は、おおよそで家賃収入の15%~30%が目安となります。
「減価償却費」
減価償却は不動産や設備に投資した費用を一定の期間に渡って、毎年経費として計上する会計手続きです。
減価償却費の特徴は、実際の出費はないにも関わらず経費計上でき、課税対象となる利益をおさえるため、節税効果につながることです。
なお、減価償却できるのは建物(躯体)と建物設備に関してのみで、土地は含まれないため注意しましょう。
経過年数による節税効果の薄れ
減価償却は、法定耐用年数によって償却期間が定められています。
たとえば木造アパートであれば躯体部分は22年で償却されます。この場合、22年間に渡って減価償却され、その間は減価償却費が経費として計上されるため、その分の利益が減少し、結果的に税額も減少するのです。
しかし22年を過ぎると減価償却が終了し、経費計上できる減価償却費が減ることで利益が増え税金が上がるため、結果として節税効果が薄まるのです。
経過年数による税負担の高まり
前述のように、減価償却期間が過ぎると減価償却費として経費計上できなくなるため、利益が上昇します。利益が高くなることで課税対象額も上がり、結果として税金額も増えるのです。
確定申告
確定申告とは、1年間の所得にかかる税金を計算し、納税額を報告する手続きのことです。1月1日~12月31日分の所得を、翌年の2月16日から3月15日までの間に税務署に確定申告書や決算書類などの必要書類を提出して、納税または還付等を受けることにより税金の過不足の清算をおこないます。
家賃収入がある人で不動産所得が20万円を超える場合は、確定申告をしなければなりません。なお不動産所得とは、不動産投資で得た収入から必要経費を差し引いた額を指します。
不動産所得 = 家賃収入などの不動産収入 - 必要経費
ただし、不動産所得が20万円以下の場合であっても「給与所得以外の所得」が20万円を超えている場合は確定申告が必要になります。たとえば、不動産所得が15万円、雑所得が5万円の場合、給与所得以外の所得が合計で20万円以上になるため確定申告が必要です。
アパート経営を失敗に招く代表事例
ここでは、アパート経営に失敗する要因についてまとめました。
立地選び
物件の立地選びはアパート経営の成否に大きく関わります。賃貸需要や利便性の高い好立地物件であれば入居付けもしやすくアパート経営は成功しやすくなりますが、その反対の場合は入居付けに苦労するため空室が増え、アパート経営のリスクが高まります。
空室を埋めるためには賃料を下げる必要もあり、賃料下落リスクの原因にもなります。
さらに、空室対策としてリフォームやリノベーション、設備投資などをおこなうとコストが増大し資金繰りがむずかしくなることも考えられます。
物件は一度購入すると買い直しなどは現実的ではありません。間違った物件を選ばないよう、物件選びは慎重におこないましょう。
多額な借り入れ
アパート経営は、不動産投資ローンの借入金を活用して少ない自己資金で資産価値の高い不動産を購入し、収益性を高めることで投資効率のよいアパート経営をおこなうのが定石です。
しかし、頭金なしで融資を受けるフルローンなどで多額の借入によって失敗するケースがあります。フルローンは少ない自己資金で不動産が購入できることがメリットですが、借り入れ総額が大きいため、月々のローン返済額が高額になるのがデメリットです。
そのため、退去者が出て家賃収入が減少したり、予期せぬ修繕費用が発生した途端、ローン返済が困難になることも考えられるため、多額の借入には注意しましょう。
安易な空室対策のための高額投資
空室対策のために、費用対効果を考えずにリノベーションをおこない失敗してしまうことがあります。
床材や壁紙をグレードの高いものを使用した場合、1室あたり約50万円前後の費用がかかります。家賃が5万円の部屋で50万円の投資をおこなった場合、すぐに入居が付いた場合でも回収に10カ月もかかってしまい、その間のキャッシュフローを圧迫します。
空室対策としてのリノベーションは効果的な方法のひとつですが、費用対効果を考慮した上でおこなうとよいでしょう。
利益を生むためのアパート経営のポイント
ここでは、アパート経営でお金を節約して利益を増やすヒントを紹介します。
物件管理を丸投げしない
所有するアパートが近隣にあり、時間に余裕があれば、アパートを自主管理してみましょう。自主管理することで管理委託料(家賃額の5~8%程度)が節約できます。また自主管理によってアパート経営の流れがつかめたり、入居者とコミュニケーションをとったり、大家さんとして勉強になることがたくさんあります。
また、サブリース契約を結んでいる場合、物件の管理委託料と手数料として、家賃額の10~20%程度がサブリース会社に支払われています。通常のアパート経営で管理委託した場合に比べて高額なので、かなりの出費になります。
サブリースせずとも入居が見込める場合は、思い切ってサブリース契約を解除したうえで自主管理するのもひとつの手段です。満額の家賃収入が得られるため、キャッシュフローにも余裕が生まれます。
お金の管理も丸投げしない
アパート経営で一番大きな支出は、借入金のローン返済金です。借入額や返済期間にもよりますが、空室や突発的な出費が発生した際にキャッシュフローが赤字になる場合は、ローン返済額に問題があるかもしれません。
ローン返済金が少なければ、通常の入居率でも余裕のあるキャッシュフローが望めます。ローン返済金をおさえるためには、自己資金を頭金として多く入れるとよいでしょう。頭金額によって借入額が減少するため、キャッシュフローに余裕ができます。
さらに効果があるのが、不動産を全額キャッシュで購入し運用することです。無借金でアパート経営をおこなえば、家賃収入の大部分が手元に残り、「儲かるアパート経営」を実現できるでしょう。
各社のプラン計画をしっかり比較検討
アパート経営をはじめる際、アパートプランを一括請求し、各プランを比較検討することで自分に最適なプランを選ぶことができます。
インターネットや足を使って自分自身でアパート物件を探すのもよいですが、時間と労力を節約したいなら一括請求を利用するのもおすすめです。
まとめ
アパート経営の魅力はたくさんありますが、なかでもレバレッジ効果と節税スキームの活用は儲かるアパート経営には欠かせません。ただしローン返済能力を超える多額の借入は、家賃収入が減少したり、費用が増加したりすると一気にキャッシュフローの悪化につながることもあるため注意が必要です。
またアパート経営を成功させるには、リスクをしっかりと理解したうえで、リスクを最小限におさえることが重要です。ぜひ当記事を参考に「儲かる」アパート経営を目指してください。