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マンション経営で経費になる費用は?上手に節税するポイントも



マンション経営のために物件を購入し、経営をはじめた後もさまざまな費用がかかります。

それら費用のなかには、節税効果につながる「経費」として計上できるものがたくさんあります。しかし、費用には経費にできるものとできないものがあるため、まずは経費にできる費用を知ることが重要です。


今回は、マンション経営の費用について、経費にできるもの・できないものを分けて解説します。また、上手な節税につながるポイントも紹介するので、マンション経営を検討している人は、ぜひ参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.マンション経営も経費計上できる
  2. 2.マンション経営で経費計上できる項目
    1. 2.1.建物や設備の減価償却費
    2. 2.2.経営に関わる税金
    3. 2.3.所有マンションが加入している損害保険料
    4. 2.4.建物や設備の維持管理費・修繕費
    5. 2.5.管理委託費
    6. 2.6.その他マンション経営に関わる費用
  3. 3.マンション経営の経費として計上できない項目
    1. 3.1.マンション経営に関係のない費用
    2. 3.2.不動産投資ローンの元金
    3. 3.3.所得税や法人税などの税金
    4. 3.4.罰則金
  4. 4.マンション経営で節税するためのポイント
    1. 4.1.領収書は徹底管理
    2. 4.2.確定申告は青色申告に
    3. 4.3.損益通算の活用
    4. 4.4.法人化
  5. 5.まとめ
  6. 6.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧


マンション経営も経費計上できる

マンション経営をはじめたばかりの人は、出ていくお金(費用)よりも入ってくるお金(家賃収入)に目が向きがちです。しかし、マンション経営をおこなう上で、経費にできる費用・できない費用を把握することは非常に大事です。


なぜなら、マンション経営にかかる税金は、マンション経営で得た家賃収入から経費を差し引いた「課税所得」によって決まるからです。そのため、経費として計上できる金額が多いほど所得の圧縮につながり、節税効果が大きくなるのです。


ただし、経費を大きくし過ぎると、今度は利益が減ってしまいます。マンション経営に必要な費用をしっかり把握し、経費として正しく計上することが、節税効果を最大限活かすことにつながります。


マンション経営で経費計上できる項目


マンション経営で発生する費用の多くは経費計上が可能です。利益を圧縮し、節税するためにも、経費にできるものはもれなく計上しましょう。


建物や設備の減価償却費

マンションなどの建物や付帯設備といった資産は、時間の経過とともに老朽化や性能の劣化によって価値が下がり、やがて資産価値がなくなります。それらの資産は、税法上で定められた耐用年数に応じて毎年一定額を「減価償却費」として経費計上していくのです。


減価償却費は、経費として大部分を占める費用です。また大きな特徴として、経費として計上できるにも関わらず、実質的出費をともなわないことがあげられます。


そのため、減価償却費は節税に欠かせない経費です。

減価償却費を経費計上することで帳簿上の支出は増加しますが、実施的な出費はしていません。しかし、帳簿上の支出は増えるので収益が減ります。すると課税対象となる所得が減少することで納税額も減り、結果的に節税につながるのです。


なお不動産投資においては、土地は経年によって劣化しないため減価償却資産には含まれません。したがって耐用年数も存在しません。


経営に関わる税金

マンション経営で発生する税金も経費にできるものがあります。ここでは、経費計上できる税金の種類を紹介します。


【経費にできる税金】

・固定資産税・都市計画税

・不動産取得税

・印紙税

・登録免許税

・事業税

・自動車税

・事業税(法人の場合)


なお、所得税・住民税、法人税は経費にできません。詳しくは後述の『マンション経営の経費として計上できない項目』で解説します。


所有マンションが加入している損害保険料

所有マンションを守るために加入した火災保険や地震保険の保険料は経費計上できます。

10年一括など数年分の保険料をまとめて支払っている場合は、保険料を資産計上し、毎年10分の1ずつを損害保険料として経費計上することができます。保険料を1年ごと支払っている場合は、そのまま経費として計上しましょう。


建物や設備の維持管理費・修繕費

マンション経営に関係する修繕費用は経費計上できます。

建物や付帯設備、エアコンや給湯器などの機械設備は時間経過とともに老朽化していきます。マンションの資産価値を維持し、安全に使用できるよう管理するためにも修繕は欠かせません。


日常的なメンテナンスや軽微な故障にかかる修繕のほか、入居者の退去後におこなう原状回復工事(壁紙の張替えなどのリフォーム費用、クリーニング代など)、エアコンの交換費用などは、「修繕費」として一括で経費計上します。


ただし、機能やグレードを向上させるためにかかった費用は「資本的支出」として減価償却し、毎年一定額を減価償却費として経費計上する必要があります。


管理委託費

マンション経営の業務を外部に委託した際に支払う「管理委託費」も経費として計上できます。なお、管理委託料の目安は賃料の5~8%(1戸あたり)になります。


委託内容は、マンションの共有部の清掃や設備のメンテナンスなどの建物の保守管理、入退去管理、入居者募集、家賃徴収、入居者対応、原状回復の手配などの事務業務と多岐に渡ります。


その他マンション経営に関わる費用

上記で紹介したマンション経営で経費計上できる費用以外にも、以下のように多くの種類の費用が経費として計上できます。


・入居者募集費用

マンションの入居者募集にかかった費用は経費計上が可能です。

賃貸借契約が締結した場合、入居者募集をおこなった不動産会社へ広告宣伝費や仲介料手数料などを支払います。


・セミナー参加費用

マンション経営に関する講習会やセミナーに参加した際にかかった費用は経費計上できます。ただし、あくまでマンション経営に関する内容のセミナーなどにかぎります。趣味目的の場合は経費にすることはできません。


・不動産投資ローンの利息

マンション物件を金融機関の融資を受けて購入した場合、借入金に利息が付きます。借入金元本と利息分は、毎月決められた額を一定期間に渡って返済していきますが、その際支払った「ローンの利息部分」は経費として計上することができます。

ただし、借入した元本部分は経費にできないため注意が必要です。


・仲介手数料

不動産仲介会社を通してマンションを購入した場合、支払った仲介手数料は経費にすることができます。

なお新築マンションの場合は、仲介会社を通さず、売主(不動産投資会社など)による直販などが多いため、仲介手数料は発生しないことが多いです。


・接待交際費

マンション経営の関係者(不動産管理会社の担当者など)や不動産投資に関する集まりなどで支払った飲食代は経費として計上が可能です。そのほか、不動産投資関係者の結婚式や葬儀などの祝儀・香典も交際費として計上できます。

ただし、プライベートと混同しないよう区別がつくようにメモなどを残しておきましょう。


・消耗品費

マンション経営に必要な消耗品(机や椅子、カメラなど)の購入代金で、ひとつあたり10万円以下のものは経費として一括計上できます。10万円以上の消耗品は減価償却をおこなう必要があります。


・事務用品費

筆記用具やノート、伝票類、コピー用紙やプリンターインク代などは事務用品費として経費計上が可能です。

消耗品費と混同しやすいですが、消耗品費はひとつあたり10万円とやや高価なものを、事務用品費はひとつ当たりの金額が安価なもの、と項目を分けておくと帳簿付けの際に迷わずに済みます。


・通信費

マンション経営関連の通信費が発生した場合も、経費計上できます。不動産情報を検索した際のインターネット料金や、管理会社との電話連絡などで支払った通話料金が該当します。

ただし、電話やインターネットをマンション経営以外の目的でも共有している場合は、家事按分(かじあんぶん)が必要です。マンション経営にかかった分の割合を決めて経費として計上しましょう。


・新聞図書費

マンション経営に関連のある書籍や雑誌、新聞代金は、経費にできます。ただし、不動産に関係のない書籍類は該当しません。


・交通費

不動産物件の下見やセミナー・講演など、マンション経営に関する移動に支払った交通費は経費にできます。電車代やタクシー代、飛行機代、ガソリン代などが該当します。


・税理士報酬・司法書士報酬

マンションを購入する際の登記手続きを司法書士に依頼したり、税理士と顧問契約を結んだり、スポットで確定申告など税務関係の処理を委託した場合に支払う報酬(依頼料)は、経費計上できます。


・借地手数料

土地を借りてマンション経営をおこなう場合、地主に借地手数料を支払う必要がありますが、これは経費計上が可能です。マンションオーナーは建物の購入費用を負担し、土地は別途借地契約を結ぶ形で、マンション経営ではよく見られるケースです。


・立ち退き料

なんらかの事情でオーナーから入居者へ立ち退き要請した場合に発生する、立ち退き料は経費にできます。立ち退き料は、転居をスムーズにするだけなく、入居者とのトラブルを避ける目的で支払われます。目安は賃料の6~12ヶ月分が一般的です。


・青色申告専従者給与

マンションオーナーが確定申告で「青色事業者」の場合、親族に支払った給与を、「青色申告専従者給与」として経費にすることができます。なお、青色申告専従者として認められるには、細かい規定があるので、それらの条件を満たしていることを確認しましょう。


マンション経営の経費として計上できない項目

ここまで、マンション経営で経費にできる費用を紹介してきましたが、なかには経費にできない費用も存在してます。間違った費用を経費として計上すると税務署から調査を受ける可能性があるため注意が必要です。

ここでは、経費にできない費用について解説します。


マンション経営に関係のない費用

マンション経営に関係のない費用は、経費計上できませんが、判断にむずかしい費用もありますが、判断に迷った際は「マンション経営をおこなううえで直接関わったかどうか?」を確認してみましょう。


たとえば、不動産投資セミナーに行った場合のセミナー費用は経費にできます。セミナー会場に行く際に支払った電車賃も経費にできます。しかし、セミナー前に飲食したランチ代は、直接マンション経営や不動産投資に関係ないため経費になりません。


また、マンション経営とプライベート両方で共有している費用(電話代金やインターネット料金など)は、家事按分で割合を決めて、マンション経営で使用した分のみを経費として計上する必要があります。


経費にできるか判断がむずかしい費用については税理士に相談しましょう。


不動産投資ローンの元金

前述のように、マンションの購入費用など金融機関から融資を受けた場合、返済金は元金+利息になり、これを毎月、決められた回数に分けて返済していきます。

この返済金のうち、経費として認められるのは利息のみで元本は含まれません。


物件の購入代金(建物部分)は、耐用年数をもとに減価償却費として毎年経費として計上できますが、借入金の元本として処理されるわけではありません。


所得税や法人税などの税金

前述のように、経費にできる税金に「所得税・住民税」「法人税」は含まれません。

なぜなら、所得税・住民税、法人税は所得者全員が課税対象者に該当するためです。ようするにこれらの税金は、マンション経営(不動産投資)に関係なくても発生するため、不動産所得の経費にはできないのです。


罰則金

経費計上できない費用のなかには、罰則金などがあります。

たとえば、視察目的で所有するマンション物件まで車で行ったところ、視察中に駐車違反の切符を切られたとします。この場合、ガソリン代は交通費として経費にできますが、駐車違反の罰則代は経費にすることはできません


なぜなら、駐車違反になったのはオーナー自身による過失であり、マンション経営は関係ないからです。駐車違反代は交通費に含まれないことを覚えておきましょう。


マンション経営で節税するためのポイント


ここでは、節税効果を高めて利益を増やすポイントについて解説します。


領収書は徹底管理

基本的に、確定申告時に経費にかかわる領収書や帳簿の提出は不要です。帳簿に記載した数字を集計し、決算書や確定申告書に記載するだけになります。

ただし、領収書などの書類は5年間、帳簿は7年間の保存義務があるため、しっかりと保存しておきましょう。

万一、確定申告時に不審な点が見つかり税務調査があった場合は、これらの書類の提出が必要になります。


領収書を紛失してしまった場合や、もともと領収書がない費用(関係者への祝儀や交通費など)については、間違いなく支払った事実があれば、必要経費に計上できます。金額がわかるように日付・金額・支払先などをメモし、証拠となるもの(写真や招待状など)があれば一緒に保管しておくと安心です。


なお、レシートも領収書の代わりになりますが、長期間保管すると印字部分が消えてしまうため、あらかじめコピーしたものを保管するとよいでしょう。


確定申告は青色申告に

不動産所得の確定申告をおこなう場合、「白色申告」と「青色申告」のどちらかを選択します。(なにもしない場合は自動的に白色となります)

2種類のうち節税効果が高いのは青色申告です。青色申告のメリットは以下のようになります。


・最大65万円の特別控除が受けられる

・青色事業専従者給与として家族に支払った給与を経費にできる

・赤字を翌年以降に繰り越せる(個人事業主で最長3年間)


ただし、青色申告で65万円の特別控除を受けるには「5棟10室」、つまり5つの物件もしくは10部屋以上を所有していることが条件になります。加えて、国税庁のe-Taxで確定申告をおこなうか、または電子帳簿保存を利用する必要があります。


条件を満たしていない場合は、青色申告をすることはできますが、青色申告の控除額が55万円に下がってしまうため注意が必要です。(青色申告では「複式簿記」で帳簿を付ける必要があります。「単式簿記」の場合、特別控除は10万円になります)


また、あらかじめ「開業届」と「青色申告承認申請書」を管轄の税務署に提出する必要があります。(青色事業専従者給与がある場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出も必要)


損益通算の活用

サラリーマンで会社から給与をもらっている場合は確定申告をおこない、給与所得と不動産所得を合算して課税所得を算出します。そのとき不動産所得が赤字(マイナス)だった場合、給与所得から不動産所得のマイナス分を差し引きする「損益通算」することで所得を圧縮させることで節税につながります。


また、減価償却費を経費計上することで、会計上の赤字をつくり損益通算することで、手持ちのお金を減らすことなく所得税を減らすことも可能です。


法人化

節税という面では、法人化することで税金が下がる可能性があります。

個人事業主としてマンション経営をおこなう場合、所得税率+住民税率(10%)の最大税率は55%ですが、法人税の最大税率は33%です。そのため一定額以上の所得を得られるようになった時点で法人化すると所得税よりも法人税のほうが安くなり、節税につながります。


ただし、法人化するにあたっては、会社設立の費用や手間がかかります。また法人化することで業務が煩雑になるデメリットもあるため注意が必要です。


まとめ

マンション経営の費用の大部分は経費として計上することが可能です。しかし、マンション経営に直接関係のない所得税など経費にできない費用もあるため注意しましょう。             

マンション経営でできるだけ多くの収益をあげるには節税が」欠かせません。費用をしっかり把握し、経費を正しく計上することが節税効果を最大限活かすことにつながります。


また、確定申告で青色申告の選択や、損益通算を活用することで、より節税につながります。

ぜひ当記事を参考に、得をするマンション経営を目指してください。


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岩崎
岩崎
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。満室経営を目指す大家さんに役立つ記事をお届けします。

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