賃貸アパートのインターネットは無料にするべき?大家さん向けインターネット導入やWi-Fiに関するイロハ
アパートなどの賃貸物件にも「インターネット設備」はあって当然になっています。なかでも、アパート大家さんにおすすめしたいのが「インターネット無料」設備です。
「全国賃貸住宅新聞」が毎年おこなっている「人気設備ランキング」でも、インターネット無料は5年連続1位を獲得しているほど人気の設備です。
そこで今回は、インターネット無料設備の導入にあたって、回線の種類や導入費用について解説します。
また、賃貸アパート経営中の大家さんにおすすめのインターネット業者も紹介します。
空室対策にも効果が期待できる「インターネット無料設備」の導入をぜひご検討ください。
目次[非表示]
- 1.アパートのインターネット無料とは?
- 2.無料インターネットは入居者に人気
- 2.1.入居者にとってインターネット無料は大きい
- 2.2.無料インターネット導入の仕組み
- 3.アパート無料Wi-Fiとは?インターネット無料との違い
- 4.アパートにインターネットを導入するにあたって
- 5.アパートにインターネットを導入するためにかかる費用
- 6.アパートに導入できるインターネット回線の種類を比較
- 6.1.アパートで使えるインターネット回線は3種類
- 6.1.1.固定回線
- 6.1.2.ホームルーター
- 6.1.3.モバイルWi-Fiルーター
- 6.2.インターネット回線の比較結果を紹介
- 6.2.1.インターネット回線の通信速度を比較
- 6.2.2.インターネット回線の月額料金を比較
- 6.2.3.インターネット回線の通信制限を比較
- 7.アパートにWi-Fiを設置する方法と費用
- 7.1.共用部設置型Wi-Fi
- 7.2.埋込み型Wi-Fi
- 7.3.置型Wi-Fi
- 8.アパート経営におすすめのインターネット業者
- 9.インターネット対応物件との違い
- 10.インターネット無料物件を選ぶメリット・デメリット
- 10.1.インターネット無料物件のメリット
- 10.1.1.近隣の競合物件との差別化になり、退去抑止効果が期待できる
- 10.1.2.賃貸物件の検索結果として表示される回数が増える
- 10.2.インターネット無料物件のデメリット
- 10.2.1.コストがかかる
- 10.2.2.入居者クレームになる可能性がある
- 11.速度で選ぶなら光回線がおすすめ!
- 12.インターネット無料のアパートが向いている人、向いていない人
- 13.インターネット無料の賃貸物件に入居する前に確認すべき点は?
- 13.1.回線変更の可否・回線業者やプロバイダの確認
- 13.2.セキュリティの確認
- 13.2.1.OSのバージョンを最新にする
- 13.2.2.ウイルス・セキュリティソフトの導入
- 13.2.3.パスワードを複雑にする
- 14.まとめ
アパートのインターネット無料とは?
アパートのインターネット無料(またはインターネット完備)とは、その物件に住めばネット回線を無料で利用できるインターネット設備を指します。
通常、アパートで入居者がインターネットを使用するには、入居者自身でインターネットの申し込みをおこない料金を支払います。
しかし、アパートのインターネット無料設備では、インターネットの申し込みはもちろん月額料金なども大家さんが負担するため、入居者自身の手間はもちろん費用も一切かかりません。
入居者は、入居したその日から各部屋に設置されているインターネット用のLANコンセントに手持ちのパソコンやWi-FiルーターをLANケーブルでつなぐだけで、インターネットが使えるのです。
無料インターネットは入居者に人気
ここでは入居者に人気のインターネット無料設備について導入方法などを、もう少し詳しく解説します。
入居者にとってインターネット無料は大きい
入居者にインターネット無料設備のあるアパートが選ばれる理由は以下のようになります。
・申し込み不要なので入居したその日からインターネットが使える
・工事費用や月額料金は不要
・引っ越し時の解約手続きは不要
入居したアパートでインターネットを使用するためには、申し込みから開通まで通常で2週間~1ヶ月程度要します。また開通にともなって工事費などの初期費用が発生する場合もあります。
さらに個人でインターネット契約をすると、月額5,000程度の使用料を支払わねばなりません。
加えて、個人で契約したインターネット回線は退去時に撤去が必要になる場合もあり、その際は別途取り外し費用が掛かることもあるのです。
こういった開通までの待ち時間や費用の一切が不要なため、インターネット無料設備のあるアパートを選ぶ入居希望者が増えています。
また、現況ではインターネット無料設備を導入済みの賃貸アパートの件数は多くありません。
周辺の競合物件の差別化をはかるとともに、空室対策として退去防止策として、インターネット無料設備はおすすめです。
無料インターネット導入の仕組み
アパートのインターネット無料設備には、以下3つのタイプがありますが、それぞれ導入方法や初期費用・月額使用料が異なります。
前述のように、アパートのインターネット無料設備の初期費用や月額使用料は大家さん負担です。そのため、アパートの規模や入居者の利便性など費用対効果を考えたうえで、インターネットのタイプを選ぶ必要があります。
・全室インターネット光回線を引くタイプ
インターネットの光回線ケーブルを近隣の電柱から建物内に引き込み、各部屋まで光回線ケーブルを通じて分配することでインターネット接続を可能にします。
全室光回線ケーブルが使用されているので、安定したインターネット接続が期待できます。
・インターネット光回線をLANケーブル各戸で分配するタイプ
インターネットの光回線ケーブルを近隣の電柱から建物内に引き込み、各部屋にLANケーブルを通じて分配することでインターネット接続を可能にします。
全室光回線を引くよりも速度は落ちますが、コストは低くなります。
・無線回線(Wi-Fi)を各戸で共有するタイプ
無線回線を使用し、共有部にWi-Fiルーターを設置することで、全室でインターネットのWi-Fi接続が可能になります。
個別にWi-Fiルーターを用意する必要はありませんが、アパートの規模によっては導入がむずかしい場合やWi-Fiルーターの数を増やす必要があります。
アパート無料Wi-Fiとは?インターネット無料との違い
アパートの「無料Wi-Fi」と「インターネット無料」は、どちらも同じ設備に思われがちですが、使用している回線の種類が異なります。
インターネット無料は有線回線で接続し、Wi-Fi無料は無線回線接続です。
Wi-Fi無料は入居直後からスマホやタブレットなどのWi-Fi接続が必要な通信機器を無料で使用できるインターネット環境を指します。
具体的には、建物の共有部分などに設置されたWi-Fiルーターから各部屋までWi-Fi電波を飛ばしたり各部屋にWi-Fiルーターを設置したりすることで、スマホなどのインターネット接続を可能にします。
一方、有線回線接続のインターネット無料設備でスマホやタブレットを使用する場合は、入居者自身で別途Wi-Fiルーターを準備・設置する必要があるのです。
有線回線と無線回線の違いは、次の『アパートにインターネットを導入するにあたって』の項で詳しく解説します。
アパートにインターネットを導入するにあたって
賃貸アパートに導入するインターネット回線には、「有線回線」と「無線回線」の2種類があります。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。
有線回線
外部から建物に引き込んだインターネット光回線を各部屋まで光ケーブルやLANケーブルでつなぎ、分配する方法です。
有線回線でスマホなどを使用するには、各部屋に別途Wi-Fiルーターなどを設置するのが一般的です。なお、埋込み型Wi-Fiルーターが室内に設置されている場合もあります。
有線回線接続のメリットは、無線回線に比べてインターネット接続が安定することです。
壁に設置されたLANコンセントとパソコンなどの通信機器をLANケーブルで直接接続することで、安定した接続が確保できます。そのためオンラインゲームや動画の生配信、リモート会議など、途中で回線切断したくない場合に向いています。
対してデメリットは、回線工事のために室内への立ち入り工事が必要なことです。
入居者がいる場合は、工事を在宅日程にあわせてもらわなくてはならず、導入まで時間がかかることも考えられます。
無線回線
外から建物内に引き込んだインターネット回線を建物の共有部などに設置したWi-Fiルーターで電波を飛ばし、各部屋でインターネット接続を可能にします。
無線回線のメリットは、工事が必要なのは共有部だけなので、各部屋の工事が不要な点です。そのため、インターネット導入まで時間がかかりません。
(ただし、各室にWi-Fiコンセントなどを設置する場合は立ち入り工事が必要になります)
デメリットは、建物の規模や構造によっては導入がむずかしくなることです。また共有部に設置したWi-Fiルーターから距離があったり障害物があったりするとWi-Fi電波が届きにくく、接続が切れてしまうこともあります。
アパートにインターネットを導入するためにかかる費用
アパートにインターネット無料設備を導入する際、気になるのが費用面です。
しかしアパートに導入するインターネット設備の費用は、アパートの規模やインターネット回線業者、インターネット回線の種類、サービス内容によって大きな幅があります。
ここでは、導入するために必要な初期費用と月額費用について、おおまかな目安額を紹介します。
実際に所有するアパートにインターネット無料設備を導入する際は、複数のインターネット会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
初期費用
【インターネット無料設備の初期費用額 目安】
*屋内工事を含む場合(無線は除く)
上記のように、インターネット無料設備の導入にかかる初期費は、3~40万円と大きな幅があります。
これは、すでに建物にインターネット回線が引き込まれているかいないかによって工事費用が異なるためです。また、建物の構造やインターネット回線の引き込み元となる電柱と建物の位置など、工事の難易度によっても変わってきます。
初期費用の内訳は、工事費用のほかケーブル代やLANコンセントなどの部品代なども含まれますが、インターネット会社によって異なるため、あらかじめ工事費用の内訳を確認しておきましょう。
なおインターネット会社により、初期費用を分割し、「毎月の月額費用」+「初期費用の分割払い」の合計金額を毎月支払う「工事費実質無料」を実施している場合があります。
初期費用を導入時に一括して支払うよりも金利分を多く支払うことになりますが、分割払いにすることで手元に現金を残せるメリットがあります。
ただし、分割支払い期間中に解約した場合は、違約金が発生する場合もあるため注意しましょう。
月額費用
【インターネット無料設備の月額 目安】
月額費用は1~3万円程度で、アパートの戸数やインターネット回線の種類、サービス内容で価格が変動します。
なおトラブル発生時のサポート費用は、インターネット会社によっては月額費用とは別料金の場合があります。毎月の月額費用に含まれる項目をしっかり確認したうえで契約しましょう。
アパートに導入できるインターネット回線の種類を比較
ここでは、アパートに導入できるインターネット回線を種類ごとに比較する方法を解説します。
アパートで使えるインターネット回線は3種類
アパートに導入できるインターネット回線は次の3種類になります。
・固定回線
・ホームルーター
・モバイルWi-Fiルーター
固定回線
アパートの自室まで光回線ケーブルやLANケーブル、同軸ケーブルなどの「有線」を使用してインターネット接続をおこなっているため、安定したインターネット接続が可能な点です。
とくに光ファイバーケーブルを使った光回線は、最大通信速度1Gbps~10Gbpsと超高速通信が可能です。安定面や速度面から考えるとおすすめ度No.1のインターネット回線になります。
一方、固定回線でインターネットを使用するには各戸で工事が必要になります。また、お住いのエリアによっては対応していない回線もあるため、事前に対応可能であるか確認が必要です。
ホームルーター
モバイル回線を使ってインターネット通信を可能にする、据え置き型のルーターを指します。ホームルーターのメリットは、工事や配線が不要な点です。コンセントを差し込むだけでインターネットをWi-Fiに接続して使用できます。
「光回線よりも速度が遅い」といわれるホームルーターですが、最近では最大速度2Gbps対応のホームルーターも登場し、速度面では光回線とそん色のない商品もあります。
デメリットは、固定回線に比べて通信が不安定になりやすく、障害物があるとWi-Fiにつながりにくい点があげられます。
また、使用状況によっては速度制限がかかる可能性があります。そのため、動画コンテンツやゲームを頻繁に利用する際は注意が必要です。
モバイルWi-Fiルーター
モバイル回線を使ってインターネット通信を可能にする、持ち運びできる通信端末です。
外出先でインターネットをWi-Fi接続ができるのが最大のメリットです。また工事なども一切不要なので、届いたその日から使用できます。
デメリットは、ホームルーターとほぼ同じです。固定回線に比べて通信が不安定になりやすく、障害物があるとWi-Fiにつながりにくい、使用状況によっては速度制限がかかる点があげられます。
インターネット回線の比較結果を紹介
ここでは、前述した3種類のインターネット回線を「通信速度」「月額料金」「通信制限の有無」の3種類で比較した結果を紹介します。
インターネット回線の通信速度を比較
インターネット回線の種類を比較して選ぶ際、1番重視したいのが「通信速度」です。前述の3種類のインターネット回線のうち通信速度で選ぶなら、断然速いのは光回線です。
アパートの自宅まで有線で回線接続されるので環境に左右されず、安定したインターネット接続を享受できるでしょう。
インターネット回線の月額料金を比較
インターネット回線の月額料金を比較すると、モバイルルーターが一番安いことがわかりました。
【各インターネット回線の月額料金】
・固定回線(光回線) : 戸建て4,500円~6,000円 集合住宅3,000円~5,000円
・モバイルルーター : 3,000円~4,500円
・モバイルWi-Fiルーター: 3,500円~5,000円
ただ、固定回線の戸建てプランを除くと、それぞれの月額料金には大きな差がないため、月額料金以外の部分の付加価値(初期費用やキャンペーンの有無など)で選ぶとよいでしょう。
インターネット回線の通信制限を比較
2022年8月現在、3種類のインターネット回線の通信制限を比較すると、完全無制限で利用できるのは固定回線のみです。
ホームルーターとモバイルWi-Fiルーターには、契約した容量を超えると一定の通信制限がかかります。通信制限を気にせずインターネット回線を利用したいなら、固定回線がおすすめです。
アパートにWi-Fiを設置する方法と費用
アパートにWi-Fi無料設備を導入する際は、下記3つの方法があり、費用なども異なります。
【Wi-Fi無料設備の工事費用・月額費用 目安】
共用部設置型Wi-Fi
建物に引き込んだインターネット回線を建物の共用部などに設置したWi-Fiルーターを経由して各部屋でインターネット接続を可能にします。
共用部設置型Wi-Fiのメリットは、共有部にWi-Fiルーターを設置するだけなので工事が短時間で済むことです。各部屋への立ち入り工事も不要です。
ただしWi-Fiルーターの設置場所と部屋のあいだに障害物がある場合や離れた部屋は、インターネット接続が不安定な場合があります。
工事費用は3~40万円、月額費用は1~3万円が目安です。
埋込み型Wi-Fi
建物に引き込んだインターネット回線を各部屋まで有線ケーブルでつなぎ、室内にWi-Fiルーターを埋込んだコンセントを設置することでWi-Fi接続を可能にする方法です。
室内にWi-Fiルーターが設置されている状態なので共有部設置型Wi-Fiに比べて、安定したインターネット接続が期待できます。またコンセントの種類によってはLAN接続も可能です。
ただし、埋込型コンセントを各部屋に設置するには立ち入り工事が必要になります。またインターネット回線が各部屋まで通じていない場合は、別途回線接続の工事をおこなう必要があります。
工事費用は3~40万円が目安ですが、埋込み型Wi-Fiコンセントのほうが、通常のLANコンセントよりも単価は高い傾向にあります。月額費用は1~3万円が目安となります。
置型Wi-Fi
配線不要で、コンセントに差し込むだけでWi-Fi接続が可能になるWi-Fiルーターです。
工事不要なので、室内のコンセントがある場所ならどこでも設置できます。
一方で置型Wi-Fiの多くは、月間データ量は無制限でも3日で10GBまでという短期間の容量制限がかかります。オンラインゲームや高画質動画視聴など、利用状況によっては通信制限がかかってしまう可能性があります。
なお置き型Wi-Fiの場合、簡単に持ち出せるため、退去時に持ち出されないよう注意が必要です。
置型Wi-Fiは、各部屋にWi-Fiルーターを置くだけなので、月額の保守費用はかかりません。工事費用も不要ですが、置型Wi-Fi本体代金が戸数分必要になります。
アパート経営におすすめのインターネット業者
ここでは、賃貸アパートのインターネット無料設備導入におすすめのインターネット業者を紹介します。
NTT
画像引用:NTT東日本 マンション全戸加入プラン
NTT東日本・西日本では、賃貸アパートや賃貸マンション向けの光回線インターネット「フレッツ光ネクストマンション全戸加入プラン」を提供しています。
有線方式で各部屋まで光回線を引き込むため、安定した速度で快適なインターネット接続を楽しめます。運営会社がNTTなので、日本全国どこでも契約しやすいのもメリットのひとつです。(一部、離島などは除きます)
【フレッツ光ネクストマンション全戸加入プラン 料金例】
初期費用:150,000円 (15,000円×10戸)
月額費用:35,500円 (3,550円×10戸 )
BUFFALO
画像引用:バッファロー
Wi-Fi機器大手メーカーの「BUFFALO(バッファロー)」が、賃貸アパートや賃貸マンションに向けて提供する、Wi-Fi無料設備が「アパートWi-Fi」です。
アパートWi-Fiのタイプには、以下の2種類があります。
・共用部設置タイプ
木造または鉄骨造、3階建以下、1部屋40㎡以下のアパートに対応しています。
・各戸設置タイプ
共用部設置タイプでは対応できない規模のアパート・マンションは、各戸設置タイプになります。
所有するアパート物件の規模に合わせて、上記のどちらかのWi-Fi無料を導入できます。
【アパートWi-Fi 料金例】
初期費用:378,000円
月額費用:12,960円
*木造アパート2階建て・ワンルーム10戸の場合
参考:バッファロー
アイコネクト
画像引用:アイコネクト
アイコネクトが展開する「アイネット」では、賃貸物件向けのインターネット無料設備「マンション全戸一括インターネット」を提供しています。
アイコネクトでは工事はもちろん、万一のトラブル発生時のサポートまで、すべてを自社のみで対応しています。
コストを最小限におさえたことで、競合他社よりも10~20%ほど安い業界最安クラスの料金でインターネット無料設備の導入を可能にしました。
初期費用0円、月額費用も前述のNTTフレッツ光ネクストマンション全戸加入プランの料金と比較すると、1/3以下という圧倒的な安さでインターネット無料設備を導入できます。
安くて快適なインターネット無料を提供することで、「空室対策になった」との大家さんの支持も多く、年間20,000戸以上もの導入実績を誇っています。
【アイネットマンション全戸一括インターネット費用 参考価格(初期費用無料プラン)】
初期費用:300,000円 ~ 470,000円
月額費用:7,000〜10,000円/10戸
参考:アイコネクト
インターネット対応物件との違い
「インターネット対応物件」と記載されている賃貸物件は、建物の共用部分まで回線が引かれている状態のことを指します。この場合、自室までインターネット回線を引き込まなければインターネットを使うことができません。そのため、入居者自身でインターネット回線事業者に連絡し契約を結ぶ必要があります。
その際は、配線工事やプロバイダーと個別に契約が必要になるケースもあります。申込みから工事完了までは通常2週間程度かかかります。とくに引越しシーズンの3月はインターネット回線工事も混み合うため、通常よりも時間がかかる場合も少なくありません。
入居後すぐにインターネットを使いたい人は、あらかじめ回線を申し込み、工事予約をしておくとよいでしょう。
インターネット無料物件を選ぶメリット・デメリット
入居者に人気のインターネット無料物件は大家さんにとっても多くのメリットがある一方で、注意したいポイントもあります。ここではインターネット無料物件のメリットとデメリットについて解説します。
インターネット無料物件のメリット
近隣の競合物件との差別化になり、退去抑止効果が期待できる
無料やインターネット無料は新築物件や築浅物件を除けば、導入済みの賃貸物件数はまだまだ少ないです。そのため入居者を獲得できる可能性が高まります。
また、前述したように通常インターネット回線を入居者自身で契約した場合、毎月5,000円程度のインターネット利用料金が必要です。しかしインターネット無料物件であれば、入居者がインターネット料金は不要なため、その分のお金を節約できます。
加えて、一度インターネット無料物件に入居すれば似た条件の物件が見つかりにくく、見つからない限りは退去せずに居住してもらえる可能性が高くなるため退去抑止効果が期待できます。
このようにインターネット無料設備は、空室対策や退去防止対策をしたいと思っている大家さんにはおすすめの設備です。
賃貸物件の検索結果として表示される回数が増える
昨今の賃貸物件探しはインターネットを使って物件を検索したうえで、気に入った物件を内見するのが一般的です。大手ポータルサイトでは物件検索条件として「インターネット無料」が選択肢として用意されています。
そのため、入居希望者がインターネットで物件の検索条件として「インターネット無料」を選択した場合、検索結果として表示される回数が増えるため、結果的に内見件数も増えるので成約される機会も増えるのです。
インターネット無料物件のデメリット
コストがかかる
無料インターネットを導入するにあたり、初期費用(工事費用など)や毎月のインターネット利用料金が必要となり、それら費用は大家さんが支払います。
しかし、物件の構造等によっては想定したよりも多額の工事費用が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
インターネット無料を導入して入居率が上がっても、コストがかかりすぎてしまっては本末転倒です。導入の際には、しっかりと見積もりを取ったうえで費用対効果を考慮する必要があります。
入居者クレームになる可能性がある
インターネット無料物件は基本的に1本のインターネット回線を入居者全員でシェアする仕組みになっているため、ネット回線に負荷がかかりやすくなります。そのため、回線の種類や物件の規模、利用時間帯によっては通信速度が遅くなるなどの問題が生じてしまうことがあり、過度に回線速度が遅い場合はクレームや退去につながる可能性があるため注意が必要です。
そのためインターネット無料を導入する際は、利用者が多く回線が混みあう時間帯でも速度を落とさずにインターネット接続できるよう、契約するインターネット回線の速度や通信量などに注目して選ぶとよいでしょう。
たとえば「IpV6」を導入しているインターネット回線事業者を選ぶ、全室にインターネット光回線を引くタイプなどの対策が効果的です。
速度で選ぶなら光回線がおすすめ!
前項の『インターネット回線の比較結果を紹介』で紹介しましたが、「固定回線」「ホームルーター」「モバイルWi-Fiルーター」3種のインターネット回線を比較した結果、通信速度が一番速いのは固定回線の「光回線」でした。
現在提供されている光回線の最大通信速度は1Gbpsと、ほかの回線と比較しても安定した速度を誇っています。最近では最大通信速度が5Gbps~ 10Gbpsの光回線も登場し、さらに高速通信も可能になっています。
なお、これから所有するアパートに無料インターネット回線を導入しようと考えている大家さんは料金面も気になるポイントです。
そこでおすすめなのが、「アイネット」の光回線インターネット設備です。
他社よりも10~20%ほど安い業界最安クラスの料金で導入できるので大家さんの負担が」すくなく、入居者は無料で光回線インターネット接続がおこなえるので、両者にとって大きなメリットが得られるでしょう。
ぜひ、ご検討ください。
インターネット無料のアパートが向いている人、向いていない人
アパートの「インターネット無料」設備は入居者に人気ですが、じつは万人に向いているかというとそうではありません。
ここではインターネット無料のアパートが向いている人、向いていない人の特徴を解説します。
向いている人
インターネット無料のアパートが向いているのは、「インターネットが利用できれば回線種別などはこだわらない」人や「入居直後からインターネットを利用したい」人です。
インターネット無料の設備があるアパートでは、入居者自身でインターネット回線の種類を選ぶことはできません。
その代わり、面倒な契約をすることなく入居後すぐにインターネット接続ができ、かつ無料で利用できるのがインターネット無料のアパートのメリットです。
そのため、インターネット回線の種類や速度などの品質などにこだわりのない人には、非常に便利でおすすめできるサービスです。
向いていない人
「インターネットの速度や品質にこだわりたい」人はインターネット無料のアパートが向いていないと言えるでしょう。
前述したように、インターネット無料の設備があるアパートでは、入居者自身でインターネット回線の種類を選ぶことはできません。
そのため、仕事や趣味で回線速度や品質を重視する人によっては物足りなさを感じるケースがあります。
特に大容量データを送受信する人は、満足のいくインターネット回線を自身で選びたいと考えていいます。そのためインターネット無料のアパートはあまり向いていないでしょう。
インターネット無料の賃貸物件に入居する前に確認すべき点は?
ここでは、入居者がインターネット無料の賃貸物件に入居する前に確認しておくべきポイントを紹介します。
回線変更の可否・回線業者やプロバイダの確認
基本的にインターネット無料の賃貸物件は基本的に、入居者個人で回線業者やプロバイダの変更はできません。
ただし、大家さんや管理貸家の許可を取れば、入居者個人でインターネット回線を契約できるケースがあります。
インターネット無料物件の部屋そのものは気に入ったが、インターネット回線やプロバイダにこだわりたいと考えている場合は、一度確認してみるとよいでしょう。
タイミング的には、物件の内見時に、「入居者個人で別のプロバイダと契約できますか? 」「○○光回線への変更は可能ですか? 」など確認してみましょう。
その光回線がその建物で使用できるかどうかは、光回線業者に問い合わせればわかります。
大家さんまたは管理会社の許可がもらえれば、引っ越し後に入居者自身で個別にインターネット回線の契約をしましょう。
ただし入居者自身で契約となるため契約料や工事費、インターネットの月額使用料は、自己負担となります。
なお、建物自体に希望するインターネット回線が引き込まれていない場合は近隣の電線からインターネット回線を建物に引き込む工事が必要になります。場合によっては建物の穴をあけるなどの処置が必要になることもあります。
大家さんや管理会社に許可を取るときは、工事の可能性についても説明しておきましょう。
また、アパートや戸建ての場合は、こうした個別契約や工事は許可をもらいやすいですが、分譲マンションの場合は管理組合の許可が必要になるため個別契約ができないことがあります。
インターネット回線の変更が許可されなかった場合は、利用している回線事業者とプロバイダを確認したうえで入居の有無を判断するとよいでしょう。
セキュリティの確認
個人情報の漏えいを防ぐだけでなく、ウイルス対策のためにもインターネットのセキュリティ対策は必須です。
しかしインターネット無料の賃貸物件では、1本のインターネット回線を入居者全員でシェアして使用します。そのため物件によってはセキュリティが万全ではない場合もあり、事前にセキュリティについて確認しておくことが重要です。
もしセキュリティが不十分だと感じた場合は、自分でセキュリティ対策をおこないましょう。対策として以下の3点をおこないましょう。
・OSのバージョンを最新にする
・セキュリティ対策ソフトを入れる
・パスワードを複雑にする
OSのバージョンを最新にする
パソコン、スマホともにOSのバージョンはつねに最新にしておきましょう。
最新OSにはセキュリティ上の脅威や問題点、不具合が修正されたアップデートプログラムが含まれています。
アップデートをしないままということは、セキュリティ上の脆弱性を持ちつづけることになるのです。そうならないためにも、かならずOSのアップデートをおこなって、セキュリティリスクを軽減することが望ましいのです。
ウイルス・セキュリティソフトの導入
ウイルス対策用にセキュリティソフトを導入しましょう。
ウイルスの種類は日々多様化しています。対策を怠るとパソコンやスマートフォンがウイルスに感染し、使用できなくなります。またほかのパソコンに感染させてしまう可能性もあるため、注意が必要です
ウイルス・セキュリティソフトの導入後も、定期的に自動更新設定にして最新版にアップデートをするようにしましょう。
パスワードを複雑にする
パスワードは、第三者が推測しにくいものにしましょう。
アルファベットの大文字と小文字、数字や記号などを各1文字ずつ入れ、できるだけ複雑なパスワードを作りましょう。パスワードの桁数を増やすのも有効です。
まとめ
入居者が無料でインターネットを利用できる、アパートのインターネット無料設備は、今後はますます増えていくことが予想できます。しかし現況では、まだまだ導入済みのアパートは多くありません。
アパートのインターネット無料設備は、大きく分けて「有線回線」と「無線回線」の2種類が選べます。費用も、業者やアパートの規模などによって大きな幅があります。
アパートのインターネット無料設備を導入する際は、費用対効果を十分考慮するとよいでしょう。