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不動産業界のDXとは?メリットや不動産業界の置かれている課題について


不動産業界でも、IT化やデジタル技術による業務効率化を目指す「デジタルトランスフォーメンション(DX)」の推進が進められています。すでに賃貸物件の検索や不動産売買・賃貸の本契約など、DX化している部分もありますが、今後の不動産業界のDX化の課題や問題点にはどのようなことが考えられるのでしょうか。


そこで今回は、不動産業界のDXの現状と今後の課題、導入するメリットについて解説します。またすでにDX化した不動産会社の成功事例も紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
  2. 2.不動産業界のDXとは?
  3. 3.不動産業界の現状と課題
    1. 3.1.アナログな商習慣が変革されつつある
    2. 3.2.消費者ニーズの変化による課題
  4. 4.不動産DXで実現可能なこと(メリット)
    1. 4.1.業務効率化
    2. 4.2.人手不足解消
    3. 4.3.コスト削減
    4. 4.4.顧客満足度向上/新規顧客獲得
    5. 4.5.古いシステムからの脱却
  5. 5.不動産DXの成功企業事例
    1. 5.1.長谷川コーポレーション 
    2. 5.2.三井不動産
    3. 5.3.野村不動産
    4. 5.4.GA Technologies
  6. 6.不動産業界DXまとめ
  7. 7.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)とは、IT技術やデジタル化を活用して、人々の生活やビジネスをよりよく、より豊かに変革させるという概念です。


DXのそもそもは、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていくこと」という概念がもとになっています。


すでにDXは、わたしたちの日常でも頻繁に目にしています。

たとえば銀行口座の開設や振込みなどのオンラインバンキングやネットショッピングとその決済などはまさにDXの代表と言えるでしょう。


不動産業界のDXとは?

不動産業界でも、徐々にDXの波が従来の業務を少しずつ変えていますが、まだまだDXの必要性やDXの余地は大きく残されている状態です。

今後の不動産業界のDX化は、日常業務がどれくらいデジタル化できるかが目標になると考えられています。


後述しますが、現況すでに重要事項説明などの契約手続き、不動産物件の検索、3D内見・内覧など、DX化がすすんでいます。

また、近年はリモートワークが推進され、実際にリモートワークを導入している企業も増えました。


一方でDX人材の確保がむずかしいことや法規制が不動産業界のDX化の障害となる面もいまだ少なくありません。特にITに精通したDX人材の育成が遅れているなか、急激なDX化はかえって業務上の混乱を引き起こしかねません。

今後のDX化を推進するためにも、現状の課題点を把握したうえでDX化による効果を現場の従業員全員が理解し、少しずつアナログな業務を変えていく体制が求められるでしょう。


不動産業界の現状と課題

ここでは、不動産業界のDX化について現状を確認しながら課題となる部分をまとめました。


アナログな商習慣が変革されつつある

スマートフォンの普及により、不動産売買契約や賃貸契約においては、一足早くDX化した部分が見られます。特に賃貸物件探しについては、賃貸検索の大手ポータルサイトを中心に、インターネットを利用した物件検索が主流になっています。

入居希望者は、まずインターネットで希望する条件で物件を検索し、気に入った物件を取り扱う不動産会社に連絡して内見するという流れです。


またコロナ禍の「リモートワーク」や「外出自粛」がきっかけとなり、不動産会社に来れない不動産物件の購入希望者や賃貸物件入居希望者をターゲットに、インターネットを利用した集客方法がさらに拡大しました。

パソコンやスマホでWeb会議アプリなどを使用し、物件内覧・内見、重要事項説明・本契約などをおこなう企業が増加したのです。


しかしDXは比較的新しい取り組みということもあり、いまのところ不動産業界全体には行きわたってしない状況です。特に成功例が少ない現況では、デジタル化するよりも混乱を避け、従来の紙と電話でおこなうやり取りが好まれる場合も少なくありません。


ただし今後は、他業種がそうだったように、DXで成功する不動産会社が増えることが予想されます。それにともないDXによって、不動産業界全体が活況することに期待が寄せられます。


消費者ニーズの変化による課題

前述のように、近年はインターネットで物件情報の検索・収集をおこなうのが主流となっています。

加えて、コロナ禍の影響で非対面の接客を求めるユーザーニーズが増えていることから、今後はさらにオンラインを駆使したサービスの増加が予想できます。


しかし、そもそも不動産業界は、不動産物件情報の送受信や書類のやり取りに電話やFAXを使うなどアナログ方式の業務が多い業界です。特に昔から地域で不動産業を営む小規模な不動産会社は従来の方法で業務を継続させる傾向が強く、また従業員の高齢化など、オンライン利用のむずかしさが想定できます。

こういった地域密着型の不動産会社がどのようにDXに対応していくのか、今後のユーザーニーズの変化に対応できるかについては大きな課題となるでしょう。


不動産DXで実現可能なこと(メリット)

不動産業界でDX化することで、以下のようなメリットが得られます。


業務効率化

DXで一番のメリットは、既存の業務の自動化や効率化をすすめられる点です。

紙で保管しているさまざまな社内データ(不動産物件情報や顧客情報、業務ノウハウなど、業務全般の資料)をデジタル化することで業務の効率化がはかれます。


加えて入力ミスや入力漏れといった手作業によるミスの減少、また情報を共有することで、だれにでも簡単に素早く必要な情報を取得できるため、問い合わせや確認業務にかかる時間を短縮できます。

これらを総合すると導入時のコストを考慮しても、結果的に人件費の削減や時間の節約につながるでしょう。


人手不足解消

DXで業務効率があがれば、これまで手作業や単純作業にかかっていた時間や手間が削減できます。それによって人手不足の解消に効果が期待できます。

たとえば物件査定など、DX化で専門ツールを導入すれば経験の浅い人でもベテラン並みに査定業務をこなすことが可能になるでしょう。


また小規模な不動産会社では、繁忙期には電話対応に追われて通常業務が後回しになってしまうこともあります。そこで自動音声案内対応ツールを導入すれば、電話対応に煩わされることなく日常業務が可能になります。


このようにツールを活用することで個人の能力差による業務量が均され、ひとりにだけ業務が集中するのを防げるだけでなく、業務成果のバラつき解消にもつながります。

DXによって業務効率が上がれば、少ない人数でも業務をおこなえるようになるでしょう。


コスト削減

DXによって新しいシステムやツールを導入することで、余分な作業が省け、残業代などの圧縮につながります。そのため、これまでよりも少ない人件費で業務をおこなえます。

また、データ化にともない、書類やコピー用紙などの消耗品にかける経費を削減でき、これまで保管スペースとして確保していた倉庫や保管庫も不要になるでしょう。


ほかにも、IT重説(重要事項説明)が解禁になったことで、Web会議システムを用いた契約業務が可能となりました。

これによって遠方まで出向かずに古曲との商談や契約がおこなえ、交通費が削減できるようになったのです。


このようにDXでデジタル化やデータ化を採用することで、さまざまな場面でコストカットがおこなえます


顧客満足度向上/新規顧客獲得

DXによって業務を効率化することで顧客対応が迅速におこなえるため、顧客満足度の向上につながり、新たな顧客を獲得できるチャンスが広がります。


前述のように近年はインターネットを利用した物件探しが主流です。

そこにAIを利用したチャット問い合わせサービスやVR内見サービス、Web会議を利用した物件相談など、DX関連ツールを活用した新規サービスを取り入れる余地は十分にあると考えられます。


DX化することで、社内業務の効率化と顧客満足度の向上、不動産会社とユーザーがwin-winの関係をつくることも可能なのです。


古いシステムからの脱却

古いシステムから脱却するためにもDXは有効な手段です。

特に「レガシーシステム」と呼ばれる1980年台に構築された過去の技術や仕組みのシステムを使用している場合は要注意です。


その大きな理由が、経済産業省が2018年に報告した「2025年の崖」です。

2025年の崖とは、このまま企業がレガシーシステムからDXに切り替えない場合、2025年から2030年にかけて国内で年間、最大12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘したものです。


ここままDX化せずにレガシーシステムを使用した場合、想定できる問題点には以下のようなものがあります。


・他システムに切り替える前にシステム自体の運用が終了してしまう

・レガシーシステムの維持や継続に膨大なコストがかかる

・レガシーシステムを把握している人材が不在なため、新システムへの移行が困難

・ライバル企業に業務効率化や集客面において後れをとる


これらの事態を回避するためには、できるだけ早い段階でレガシーシステムからDXへの移行が必要です。競合企業に後れをとらないよう、すぐにでもDX化の検討をおこないましょう。


不動産DXの成功企業事例

ここではDXを導入し、成功した不動産会社の事例を紹介します。


長谷川コーポレーション 

長谷工コーポレーションでは、新築分譲マンションを探す人をサポートするためのDX

サービス『マンションFit』を提供しています。


マンションFitの特徴は、「だれに相談すればよいのか?」「どのような準備をしたらよいのか?」「(希望するマンションの)イメージが湧かない」といった、マイホームに漠然とした興味を持つ顧客予備軍を取り込むためのサービスとなっています。


利用方法は、LINE上でマンションFitの公式アカウントを友だちに追加するだけです。その後、いくつかの質問に回答するだけで、長谷工グループが持つ28万件の購入者データをもとにした「おすすめ物件」情報が紹介されます。また希望すれば、営業担当者のつかない非対面のモデルルーム見学の予約も可能です。


だれでも無料で簡単に利用できるLINEを活用し、いつでもどこでも気軽に登録・利用ができるDX化のよい例となっています。


三井不動産


三井不動産では、自社のDX推進事例をまとめた「2020 DX白書」を公開するなど、DXの推進に積極的に着手しています。

これまでに、システムの統合やクラウドの活用、ペーパーレス化、印鑑レスなどを導入し、受発注や会計業務の35%(約58,000時間)削減に成功しています。


QRコードを用いた非接触システムで入退館ができる法人向け多拠点型シェアオフィス「ワークスタイリング」の提供や、またコロナ禍の初回緊急事態宣言中は在宅勤務を推進し、リモートワーク率9割を達成しました。


このように業務効率化とともに働き方改革の推進、加えてユーザーニーズに合わせたDXシステムで成功しています。


野村不動産

DX推進する野村不動産では、株式会社デジタルガレージが開発した電子契約一元管理サービス「Musubell(ムスベル) for 仲介」を導入しました。

Musubell for 仲介は、不動産売買契約の電子化、契約から取引完了までのステータスの一元管理、契約書類の署名・捺印等の手続きの電子化などに対応しています。


なお、これらDX化によって契約手続きにかかる業務コストの削減に成功しています。

また住宅ローンについても、業務専用のアプリ「野村の仲介+いえーるダンドリ」を導入し、こちらも顧客の受託ローン業務の効率化に成功しました。


なお野村不動産は活用する電子契約の機能には、弁護士ドットコム株式会社の「クラウドサイン」を採用しており、今後もサービスの拡充を計画中とのことです。


GA Technologies

2013年に設立したGA technol0giesは、経済産業省と東京証券取引所が実施する「DX調査2020」においてDX銘柄に認定された企業です。


不動産ビジネスにテクノロジーやイノベーション技術を駆使し、デジタル化を推進しています。これまでに投資用ローンの申し込みや審査のオンライン化、紙媒体資料や契約書のデータ化など、不動産取引関連業務のデジタル化をおこなっています。


また完全非対面での不動産販売による顧客体験の提供、不動産オーナーに資産管理アプリの提供など、不動産業界のDXの先駆け的存在です。


不動産業界DXまとめ

企業の業務効率化を考えるうえで、不動産業界のDX化は非常に重要です。特にレガシーシステムをいまだに使用している場合は、「2025年の崖」に向けてできるだけ早くDX化する必要がありそうです。


だだし、具体的な計画なしにDX化をすすめても、現場はかえって混乱する恐れがあります。しっかりと現況の課題点を洗いだしたうえでシステムを構築し、状況を確認しながら慎重にDX化を目指すとよいでしょう。


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岩崎
岩崎
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。満室経営を目指す大家さんに役立つ記事をお届けします。

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