賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーは儲かるのか?メリットデメリットや仕事内容、年収を解説
「賃貸経営って儲かるの?」
「賃貸経営のメリットとデメリットを知りたい」
「家賃以外に収入はあるの?」
「賃貸オーナーにはどんな仕事があるの?」
今回は、これから賃貸オーナーになりたい人のために、賃貸経営についての疑問にお答えします。
目次[非表示]
- 1.賃貸住宅(マンション/アパート)経営の仕組みと特徴
- 2.賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーって儲かる?
- 2.1.一棟マンションの収益シミュレーション
- 2.2.区分マンション1室の収益シミュレーション
- 2.3.一棟アパートの収益シミュレーション
- 3.賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーになるメリット・デメリット
- 3.1.賃貸経営のメリット
- 3.1.1.長期的に家賃収入が入る
- 3.1.2.少ない資金から始めることができる
- 3.1.3.生命保険の代わりになる
- 3.1.4.節税効果が期待できる
- 3.2.賃貸経営のデメリット
- 3.2.1.賃貸経営ならではのリスクがある
- 3.2.2.流動性が低い
- 3.2.3.コストがかかる
- 4.賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーの仕事と収入
- 4.1.不動産オーナーの仕事内容
- 4.2.不動産投資で得られるおもな収入
- 5.賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーになるには? 不動産購入の流れ
- 6.まとめ
- 7.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
賃貸住宅(マンション/アパート)経営の仕組みと特徴
賃貸経営は不動産投資の種類のひとつで、購入や建築、相続した賃貸物件(一棟アパート、一棟マンション、区分マンションなど)を第三者に賃貸して家賃収入(インカムゲイン)を得ることを目的とします。
また投資用物件を売却して売却益(キャピタルゲイン)を狙うことも可能です。
賃貸経営などの不動産投資は、大きな節税効果が期待できるという特徴があります。
家賃収入は不動産所得として計上しますが、減価償却費の経費計上や損益通算をおこなうことで効果的に所得を圧縮できるため、結果として所得税を少なくできます。
また管理全般を外部の管理業者に委託できるため、本業を持っているサラリーマンでも賃貸物件のオーナーになりやすいという特徴があります。
賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーって儲かる?
不動産投資を考える上で一番気になるのが「儲かるかどうか」でしょう。
そこで今回は『LIFULL HOME‘S見える!賃貸経営』(2022年4月時点)を参考に、東京都の「一棟マンション」「区分マンション」「一棟アパート」それぞれの想定利回りから、月額利益をシミュレーションしてみました。
なお、利回りとは「投資した金額に対してどのくらい儲かるのか=利益が出るのか」を判断する指標のひとつで、パーセンテージで表されます。
利回りには、下記の3種類があります。
・想定利回り:満室を想定した利回り
・表面利回り:現在の空室状況を反映した利回り
・実質利回り:経費や空室率を反映した利回り
*各物件シミュレーションの共通として、頭金を物件価格の1割、借入期間35年、金利2%で計算しています。計算はあくまでシミュレーションです。実際の物件とは異なる結果になる場合があることをご留意ください。
一棟マンションの収益シミュレーション
東京都の一棟マンションの想定利回りは「5.8%」でした。
そこで「LIFULL HOME’S不動産投資」から、利回り5.8%の物件をサンプルとして抽出し計算しました。
【シミュレーション物件データ】
・物件価格:1億9,800万円
・築年:32年
・間取り:ワンルーム
・総区画/戸数:15戸
・満室想定年収:1,148.4万円(想定月収:95.7万円)
・頭金:1,980万円(借入額1億7,820万円)
想定利回りには運用中のランニングコストが反映されていません。なお、一般的なランニングコストは毎月の家賃収入の15~30%です。
今回はランニングコストを20%とし、想定月額家賃95.7万円からを差し引き、利益額を計算しました。
すると手残り金は76.56万円となり、実質利回りは4.1%となりました。
利益はわるくありませんが、一棟マンションのデメリットはなんといっても価格が高額なことです。億を超える借入れは一般サラリーマンには非常にむずかしいと言わざるを得ないでしょう。
区分マンション1室の収益シミュレーション
東京都の区分マンションの想定利回りは「5.5%」、一棟マンションと同様に該当物件を抽出し計算しました。
【シミュレーション物件データ】
・物件価格:1,590万円
・築年:27年
・間取り:1K
・総区画/戸数:24戸
・満室想定年収:87.45万円(想定月収:7.28万円)
・頭金:159万円(借入額143.1万円)
想定月額家賃143.1万円からランニングコスト20%を差し引いたところ、5.824万円が手残り金となり、実質利回りは3.9%でした。
区分マンションは、少ない自己資金ではじめられるため、不動産投資初心者にもおすすめですが、デメリットは空室になると家賃収入が0円になってしまうことです。そのため、集客が途切れない優良物件を見つけ、運用中は空室対策を欠かさないようにしましょう。
一棟アパートの収益シミュレーション
東京都の一棟アパートの想定利回りは「6.3%」、一棟マンションと同様に該当物件を抽出し計算しました。
【シミュレーション物件データ】
・物件価格:7,800万円
・築年:7年
・間取り:-
・総区画/戸数:6戸
・満室想定年収:491.4万円(想定月収:40.95万円)
・頭金:780万円(借入額7,020万円)
想定月額家賃40.95万円からランニングコスト20%を差し引きしたところ、32.76万円が手残り金となり、実質利回りは4.5%となります。
一棟アパートは、物件選びさえ間違えなければ高利回りで運用も可能です。また価格帯も幅広いので借入れで賄える物件を見つけやすいのもメリットです。
一方で、構造の都合で隣室の音が響くこともあるため、入居者トラブルには注意が必要です。
賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーになるメリット・デメリット
ここでは賃貸経営をおこなうことで得られるメリットとデメリットについて解説します。
賃貸経営のメリット
長期的に家賃収入が入る
賃貸経営を含む不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資方法と言われています。賃貸需要の高い賃貸物件を選び、しっかり空室対策などをおこなうことで、毎月安定した家賃収入を長期に渡って得ることができます。
少ない資金から始めることができる
アパートやマンションなどの賃貸物件の購入費用は、不動産投資ローンを利用するのが一般的です。そのため、少ない資金で高額の投資用不動産を取得し運用することが可能です。
生命保険の代わりになる
不動産投資ローンを利用する場合、団体信用生命保険(任意加入の場合あり)に加入するため、ローンの契約者が死亡するなど万一があった場合は、ローンの残債が保険によって完済されます。
家族には完済された賃貸物件が遺されるので、そのまま賃貸を継続して家賃収入を得たり、売却してまとまった現金にしたり、生命保険代わりになります。
節税効果が期待できる
賃貸経営をおこなうことで節税効果が期待できます。
不動産所得が赤字のとき、ほかの所得(給与所得など)と損益通算したり、経費計上できる減価償却費を上手に活用したり、課税所得を圧縮することで所得税や住民税の節税につながります。
また、不動産の相続税評価額が実勢価格(時価)より低いことを活かした相続税対策も効果的です。
賃貸経営ならではの税制上のさまざまな優遇措置も受けられるのも大きなメリットになります。
賃貸経営のデメリット
賃貸経営ならではのリスクがある
賃貸経営をおこなう上で気を付けたいのがリスクです。
家賃がおもな収入源の賃貸経営にとって、空室リスク対策は常に意識しておく必要があります。空室がつづくとキャッシュフローが悪化し、場合によってはローン返済が滞ってしまうため注意が必要です。
そのほかにも家賃下落や金利上昇、災害リスクなどがあります。
リスクがあることを理解した上で、適切な対策をおこなえばリスクを最小限におさえることが可能です。
流動性が低い
不動産は株式などに比べて流動性(換金性)が低いのがデメリットです。
不動産の売却には通常2ヶ月~6ヶ月程度かかるとみておきましょう。
また、購入希望者が見つからず売るに売れないということもあるため注意しましょう。
コストがかかる
賃貸経営中には、さまざまなランニングコストがかかります。ランニングコストとの一般的な目安は月額家賃収入の15~30%程度です。
収入に対してランニングコストが多すぎる場合は、キャッシュフローが減少してしまうため注意が必要です。
賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーの仕事と収入
ここでは不動産投資をおこなう際のオーナーの仕事内容と収入となるものについて紹介します。
不動産オーナーの仕事内容
マンションやアパートを自主管理しているオーナーの仕事は、入居者にかかわる「賃貸管理」と建物を管理する「建物管理」に分かれます。
なお、オーナーの仕事の一部は、不動産管理会社に管理委託料を支払い委託することも可能です。
【賃貸管理】
・入居者の募集関連:入居者募集活動、内見案内、入居審査、賃貸契約書の作成など
・入居者対応:家賃の集金、クレーム対応、退去時の対応など
【建物管理】
・日常的なメンテナンス作業や業者の手配など
・共有部の清掃
・
・大規模修繕の計画
・経営状況の把握と改善:入居率・空室率やキャッシュフローの把握、空室対策の計画実施、経費削減の方法など
不動産投資で得られるおもな収入
不動産投資のおもな収入源は、アパートやマンションの入居者が支払う「家賃」ですが、ほかにも収入となるものがあります。ここでは代表的な収入を紹介します。
・家賃
賃貸経営のおもな収入源です。
・共益費(管理費)
入居者から徴収する共益費(管理費)も収入のひとつです。
・礼金
新規入居者が賃貸借契約締結時に支払う謝礼金です。
・更新料
入居者が賃貸契約を更新する際に支払います。
・その他の収入
アパート敷地内の駐車場の駐車料金や、敷地内に設置した自動販売機の売上金などもオーナーの収入となります。
賃貸住宅(マンション/アパート)オーナーになるには? 不動産購入の流れ
賃貸経営をおこなうにあたって、不動産投資用物件を購入するまでの一般的な流れを説明します。
・STEP1:予算と相場から物件の条件を決める
賃貸経営をはじめるにあたって、まずは物件の予算額や条件(希望収入額、立地、区分か一棟物件か、間取りなど)を決めておきましょう。
なお不動産購入には時間がかかるのが一般的です。条件によっても変わりますが、目安として2~3ヶ月はかかると考えておきましょう。
・STEP2:物件を探す
条件に従って物件を探します。インターネットを使ったり、現地の不動産会社に尋ねたり、不動産投資会社を訪れるのもよいでしょう。
・STEP3:物件を選び、買付証明書を提出して銀行でローン審査を受ける
気に入る物件があれば「買付証明書」を提出して、金融機関で不動産投資ローンを申し込み、事前審査を受けましょう。
・STEP4:売買契約を結び手付金を支払う
ローンの事前審査に通ったら売買契約を結び、手付金を支払います。ローンの本審査に申し込み、審査がおりるのを待ちましょう。万一、ローンがおりなかったことを考えて、かならず「ローン特約(審査に通過しない場合、違約金なしで手付金が返還される)」を契約条件に盛り込んでおきましょう。
・STEP5:決済・引き渡しをおこなう
本審査に通過したら不動産投資ローン契約を結び借入れをおこない、売主に代金を支払います。その後、物件が引き渡されるので賃貸経営を開始します。
まとめ
賃貸経営のメリットは、少ない資金で大きな不動産を取得でき、長期に渡って家賃を得られるほか、税効果も期待できます。一方でデメリットやリスクもあります。賃貸経営を成功させるためにもデメリットを理解し、リスクを最小限におさえる対策を心がけましょう。