賃貸マンション・アパートでの光回線(光ファイバー)の選び方を解説!光ファイバー対応と完備の違い
賃貸物件の設備欄に記された、「光ファイバー(光回線)対応」と「光ファイバー(光回線)完備」は、どのような点が違うのでしょうか?
今回は光ファイバー(光回線)について、「対応」と「完備」の違いや、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。どちらがいいか迷った際の参考にしてください。
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- 1.光ファイバーとは?
- 2.賃貸マンション・アパートのインターネット回線設備の形態はおもに3パターン
- 2.1.1. 各部屋までインターネット回線が引かれている「インターネット無料(完備)物件」
- 2.2.2. 建物の共有部までインターネット回線が通っている「インターネット回線対応物件」
- 2.3.3. 建物に光回線がまったく通っていない「インターネット未対応(非対応)物件」
- 3.光ファイバー対応と光ファイバー完備の違い
- 3.1.光ファイバー対応とは
- 3.2.光ファイバー完備とは
- 3.3.光ファイバー未対応(非対応)とは
- 4.賃貸物件で利用できるインターネット回線の種類
- 4.1.光ファイバー(光回線)
- 4.2.ケーブルテレビ(CATV)のインターネット回線
- 4.3.電話回線(ADSL回線)
- 5.光ファイバー対応賃貸物件のメリット・デメリット
- 6.光ファイバー完備賃貸物件のメリット・デメリット
- 7.集合住宅向け光ファイバー(光回線)プラン「マンションタイプ」が安い理由
- 8.インターネット重視で賃貸物件を選ぶときのポイント
- 8.1.契約前に通信速度や回線の種類を確認する
- 8.1.1.物件に導入されているインターネット回線の種類や配線方法
- 8.1.2.回線のおおよその通信速度
- 8.2.プロバイダーを紹介してもらえるか確認する
- 9.賃貸物件のインターネットが遅いときの対処法
- 9.1.Wi-Fiルーターの電源を入れなおす
- 9.2.Wi-FiルーターやLANケーブルを取り換える
- 9.3.プロバイダーの変更を検討する
- 9.4.混雑しない時間にインターネットを使う
- 10.まとめ
- 11.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
光ファイバーとは?
光ファイバーとは、透過率の高いガラスやプラスチックなどで作られた特殊な繊維を指します。1本1本は非常に細い繊維ですが、これを複数束ねると大容量の光(情報)を通す「光ファイバーケーブル」となり、これが今日インターネットの「光回線」として使用されています。
そのため、光ファイバー=光回線の意味合いで使われるケースが多いです。
光ファイバーケーブルを使ったネット通信の仕組みは、Webサイトや動画、音楽などのデータをいったんレーザーの光に変換して光ファイバーを通します。
その後、再びデータに戻されパソコンやスマホ、タブレットなどのデバイスに伝送されたものを私たちユーザーが閲覧したり視聴したりしているのです。
賃貸マンション・アパートのインターネット回線設備の形態はおもに3パターン
賃貸物件の設備欄を見ると「インターネット完備」「インターネット対応」「インターネット未対応(非対応)」のいずれかが記載されているのがほとんどです。ここでは、それぞれの内容を解説します。
1. 各部屋までインターネット回線が引かれている「インターネット無料(完備)物件」
「インターネット回線無料(完備)物件」とは、各部屋までなんらかのインターネット回線がプロバイダや回線事業者との契約済みの状態で引き込まれており、入居者が入居後すぐにインターネットを使用することができる状態の物件を指します。
引き込まれているインターネット回線の種類は、光回線のほかケーブルテレビ回線やWiFiなどの場合もあります。引き込まれているのが光回線の場合、「光回線無料」や「光ファイバー完備」と記載されているケースも見られます。
入居者がインターネットを無料で使用できる仕組みは、毎月のインターネット使用料を大家さんが負担しているためです。詳しくは後述する『光ファイバー対応と光ファイバー完備の違い』の項をご覧ください。
2. 建物の共有部までインターネット回線が通っている「インターネット回線対応物件」
「インターネット対応物件」は、なんらかのインターネット回線が建物の共用部まで引き込まれている状態を指します。各部屋で入居者がインターネットを使用する場合は、入居者自身で回線契約やプロバイダ契約をおこない、また契約や工事にかかる初期費用や月々のインターネット使用料も入居者が負担します。
なお引き込まれているインターネット回線の種類は、光ファイバーやケーブルテレビ回線、WiFi、いずれかの場合が多いです。引き込まれているのが光回線の場合、「光ファイバー(または光回線)対応」と記載されているケースも見られます。
3. 建物に光回線がまったく通っていない「インターネット未対応(非対応)物件」
建物にインターネット回線がまったく導入されていない状態の物件です。
入居者がインターネット未対応(非対応)物件でインターネットを利用するためには、ポケット型WiFiやホームルーターを使用するほか、入居者が自分でインターネット設備を引き込む方法が考えられます。
光ファイバー対応と光ファイバー完備の違い
賃貸物件の設備欄に、「光ファイバー(光回線)対応」や「光ファイバー(光回線)完備」と記載されている場合があります。どちらの賃貸物件の場合も光回線のインターネットが使用できるという意味ですが、じつは大きく異なる部分があるのです。
それぞれの違いを解説します。
光ファイバー対応とは
「対応」の場合、光回線がマンションの共用部分まで導入されている状態を指します。この場合、入居者が室内でインターネットを使用するためには回線事業者(+プロバイダー)と契約を結び、共有部から自身の部屋までネット回線の分配工事をおこなう必要があります。
そのため工事費用や月々のインターネット使用料金が別途必要です。
光ファイバー完備とは
「完備」物件は、すでに部屋まで光回線が配線されている状態のことを指します。改めての回線工事や回線事業者(プロバイダー)との契約は不要です。
入居者は室内に設置された端子部とパソコンなどのデバイスをLANケーブルなどで接続するだけでインターネットを使用できます。
なお、光ファイバー完備の賃貸物件の中には、入居者が無料でインターネットを使用できる「インターネット無料」の物件が増えています。
入居者がインターネットを無料で使用できる仕組みは、毎月のインターネット使用料を大家さんが負担しているためです。
インターネット無料設備は、入居者側は毎月の通信料が節約でき、大家さんは入居付けがしやすくなるため空室対策につながり、双方にとってメリットがあります。
光ファイバー未対応(非対応)とは
建物に光ファイバーのインターネット設備が導入されていない状態を指します。インターネット回線自体が未対応か、または光ファイバー以外のインターネット回線が導入されているケースも含まれます。
賃貸物件で利用できるインターネット回線の種類
ここではインターネット回線の種類を紹介します。
光ファイバー(光回線)
「光ファイバー(光回線)」は、前述の光ファイバーケーブルを使用したインターネット回線を指します。
光回線は、一度に大量のデータを素早く伝送できるためインターネットの回線速度が上がり、また安定した接続が可能です。
一般的な光回線の最大通信速度は1Gbps(NURO光は2Gbps)ですが、5Gbpsや10Gbpsといった超高速光回線も増えつつあります。
ケーブルテレビ(CATV)のインターネット回線
ケーブルテレビ会社が提供する有料テレビ放送や電話用の光ファイバーケーブルと同軸ケーブルを利用してインターネット接続をおこないます。
光回線未対応エリアや電波障害や電波が届きにくいエリアでも導入でき、またケーブルテレビの使用料のみでインターネットが使えたり、割引料金で契約できたりといったメリットもあるため広いエリアで普及しています。
ケーブルテレビのインターネット回線の最大通信速度は事業者によって異なりますが、320Mbps程度が一般的です。
電話回線(ADSL回線)
ADSL回線は、アナログ電話回線を使用してインターネット接続をおこないます。電話線さえ引かれていれば全国各地ほとんどのエリアで利用できることから2000年代はじめ頃のインターネット回線の主流でした。
しかしその後、電話回線のデジタル化や光回線など高速インターネット回線の普及にともないADSL回線の利用者は減少し、2023年1月を目処にADSLの提供終了が決定しています。(一部エリアを除く)
現在ADSL回線を使用している場合は、早めにほかの回線に変更を検討するとよいでしょう。
光ファイバー対応賃貸物件のメリット・デメリット
光ファイバー対応賃貸物件のメリットとデメリットは以下のようなことが考えられます。
・メリット:入居者が回線事業者やプロバイダーを選べる
・デメリット:入居者が回線工事をおこなう必要があるため手間や時間、費用がかかる
下記でそれぞれを詳しく解説します。
メリット
光ファイバー対応の賃貸物件のメリットは「使いたい回線事業者とプロバイダーを入居者自身で選択できる」点です。
携帯電話のキャリアとまとめてセット割を活用していたり、インターネットの速度にこだわりがあったり、解約違約金を払いたくない人にとって、入居先のインターネット回線が選べないと困ることもあるでしょう。
そのため、転居前から利用していた回線とプロバイダーをそのまま使いたい人にとって、好きな回線を選べることは大きなポイントになります。
デメリット
デメリットは開通までの時間がかかることと、契約や工事の手間と費用の発生があげられます。
入居直後からインターネットを使用したい場合は、引っ越しと工事日のスケジュールを合わせる必要があります。タイミングによっては工事が間に合わず、入居後しばらくはインターネットが使えない場合もあるため注意が必要です。
プロバイダーによっては開通するまでの期間、無料でポケットWi-Fiなどを貸し出してくる場合もあるので確認してみましょう。
また転居するにあたって回線事業者とプロバイダーそれぞれに住所変更手続きや工事依頼などをしなくてならず手間がかかります。室内工事が必要な場合は立ち合いが必須なので、そのための時間を割く必要がありますし工事費用も発生します。
光ファイバー完備賃貸物件のメリット・デメリット
光ファイバー完備の賃貸物件のメリットとデメリットは以下のようになります。
・メリット:手続き不要で入居後すぐにインターネットが使用できる
・デメリット:回線事業者やプロバイダーを選べない。回線速度が遅い。賃料が高めなことがある
下記でそれぞれ詳しく解説していきます。
メリット
すでに室内まで光回線の配線が完了しているので、入居してすぐにインターネットを使用できるのが最大のメリットです。
個人で回線事業者やプロバイダーと契約をする手間や工事にかかる時間や費用が不要な面もメリットになります。また退去する際も違約金や撤去費用も発生しません。
また大家さんにとっても、光ファイバー完備の導入が空室対策につながるというメリットがあります。
デメリット
自分で回線事業者やプロバイダーを選べないことをデメリットに感じる人もいるでしょう。
特にインターネット環境にこだわりたい人にとって、思ったような通信速度が出なかったり通信が不安定だったりするのはストレスかもしれません。
また光ファイバー完備物件や「インターネット無料」物件では、家賃が高めに設定されることがあります。
入居者と大家の双方が満足できる設備の導入が望ましい
ネット上では、「インターネット無料物件は、家賃や共益費にネット料金が上乗せされているらしい」、「光ファイバー完備物件に住んだのに速度が遅すぎる」など、ネガティブな口コミも見受けられることがあります。
口コミのように光ファイバー完備物件やインターネット無料物件すべてがそうかというと、そのようなことはありません。入居してすぐにインターネットが使用できる環境や、インターネット無料設備に満足している入居者が多いのも事実です。
大事なのは入居者自身が求める環境下でインターネットが使用できるかどうかの見きわめです。そのため、回線速度や家賃が心配なのであれば入居前に検討中の物件家賃を周辺の家賃相場と比較したり、大家さんや不動産会社に確認したり、「この物件なら大丈夫」と判断した物件を選ぶとよいでしょう。
そして大家さんも、光ファイバー完備やインターネット無料設備を導入する際は、単なる空室対策だけでなく、入居者の期待に応えられるインターネット設備の導入を意識する必要があります。
インターネット設備を導入し物件の資産価値を高めた上で家賃を値上げすることは、ごく一般的なことです。ただし、その場合は周辺の家賃相場を参考にする必要があります。相場を大幅に超える値上げは逆効果になりかねません。
光ファイバー完備やインターネット無料で入居者の満足度が高まれば退去防止につながり、結果的に空室を出さない「空室対策」につながるのです。
インターネットは、賃貸物件であっても「あって当たり前」の設備になっています。それを踏まえた上で、入居者にとっても大家さんにとってもメリットのあるインターネット設備の導入が望ましいと言えるでしょう。
集合住宅向け光ファイバー(光回線)プラン「マンションタイプ」が安い理由
賃貸物件に光ファイバー(光回線)を導入する場合、集合住宅向けと戸建てでは、導入プランが異なります。基本的に集合住宅は「マンションタイプ」を、戸建ては「戸建てタイプ」を選びます。
光ファイバー(光回線)の戸建てタイプは、家屋に引き込んだ1本の光ファイバーケーブルを占有します。安定した通信速度が期待できますが工事費用や月額料金は割高になります。
一方、マンションタイプは最寄りの電柱から光ファイバーケーブルを建物内の共有部に引き込んでMDF(主配線盤)に接続したのち、各戸まで光ファイバーケーブルやLANケーブルを使用して分配します。
1本の光ファイバー(光回線)を複数の住人でシェアすることで、ひとりあたりの利用料金が低くなるため、マンションタイプの料金は戸建てタイプよりも安く設定されています。
インターネット重視で賃貸物件を選ぶときのポイント
インターネット環境重視で賃貸物件を選ぶ際は、入居前にインターネット設備についてしっかり確認することをおすすめします。ここでは事前に確認しておきたいポイントを紹介します。
契約前に通信速度や回線の種類を確認する
インターネットの使用頻度が高い人にとって通信速度が遅いのはかなりのストレスです。
入居後にインターネット環境の悪さを後悔しないためにも、契約前にはかならず以下の点を確認しておきましょう。
物件に導入されているインターネット回線の種類や配線方法
インターネット回線には、光ファイバー(光回線)やケーブルテレビ回線などの有線接続のほか、Wi-Fiを使用する無線接続など複数の種類があります。また、共有部から各戸までの配線方法にも種類があり、配線方法によって回線速度や安定性は異なります。
検討中の賃貸物件の回線と配線方式を確認しておきましょう。
回線のおおよその通信速度
回線速度を確かめるには、実際にインターネットに接続し、速度判定アプリなどを使って測定する必要があります。そのため入居前に詳細に測定するのはむずかしいですが、導入している回線や配線方式で最大通信速度がわかります。物件問い合わせのついでや内見時に不動産会社や大家さんに確認しましょう。
プロバイダーを紹介してもらえるか確認する
不動産会社によっては、プロバイダーを紹介してもらえるか確認してみましょう。不動産会社を通して申し込むことで、プロバイダー探しや工事の手配などの手間が省け、結果的にスムーズにインターネット環境を整えることが可能です。
賃貸物件のインターネットが遅いときの対処法
賃貸物件のインターネット速度が遅いと感じたときは、以下の方法で速度が上がることがあります。
Wi-Fiルーターの電源を入れなおす
急に速度が遅くなった場合はWi-Fiルーターの熱暴走が原因かもしれません。一度Wi-Fiルーターの電源を切り、5分ほどおいてから再度電源を入れることで復旧する場合があります。
Wi-FiルーターやLANケーブルを取り換える
使用しているWi-FiルーターやLANケーブルが古い場合、光回線の最大通信速度に対応していないことが考えられます。Wi-FiルーターやLANケーブルを最新のものに取り換えることでインターネット速度が上がる場合があります。
プロバイダーの変更を検討する
回線が同じでも、プロバイダーによって対応エリアの会員数などから通信速度が変わります。そのため、プロバイダーを変えることでインターネットの速度を改善できる可能性が高くなります。口コミなどを参考に「速い」プロバイダーを選ぶとよいでしょう。
混雑しない時間にインターネットを使う
アパートやマンションなどの賃貸物件では、複数の住人で光ファイバー(光回線)を共有します。そのため、ひとりで1本の光ファイバーを独占した場合に比べてどうしても速度が落ちてしまいます。
特に夜間や休日など、インターネット利用者が集中する時間帯は、インターネット速度が遅くなりがちです。
快適なインターネット接続をおこなうなら、そういった混雑する時間を避けるのも一案です。動画のダウンロードなど通信量の多い作業は、できるだけ利用者の少ない平日の日中に済ませておくなどの対策をおこないましょう。
まとめ
自由に回線業者やプロバイダーを選べる「光ファイバー(光回線)対応」に対して、「光ファイバー(光回線)完備」は回線などを選べない代わりに入居後すぐに手続き不要でインターネットを使用できます。
どちらも一長一短があるので、メリットとデメリットを比較して自身が望むインターネット環境により近い方を選ぶとよいでしょう。