賃貸管理会社の手数料はいくら?相場やメリットと注意点も解説
不動産投資をおこなううえで、収益物件の管理業務内容は多岐にわたります。そのため賃貸管理会社に収益物件の管理を委託している大家さんは多いでしょう。
収益物件の管理を委託するためには「委託手数料」がかかりますが、「コスト削減のため、なるべく安い会社を選びたい」と考えていませんか?しかし、安さだけで賃貸管理会社を選ぶのは避けたほうがよいでしょう。では、なにを基準に賃貸管理会社を選べばよいのでしょうか。
そこで今回は委託手数料の相場を紹介しながら、賃貸管理会社のおもな業務内容やメリット、安さだけで選んではいけない理由について解説します。
目次[非表示]
- 1.賃貸管理の委託内容は?
- 1.1.管理委託手数料とは?
- 1.2.仲介手数料とは
- 2.委託手数料の相場はどのくらい?
- 2.1.委託手数料の相場はいくら?
- 2.2.委託手数料が安い会社には要注意
- 3.委託手数料に含まれる業務と別料金の業務について
- 3.1.賃貸管理会社に委託できる業務
- 3.2.委託手数料とは別料金の業務もある
- 4.賃貸管理会社に委託手数料を支払う際の注意点
- 5.賃貸管理会社に管理を委託するメリット
- 5.1.管理にかかる大家さんの負担を軽減できる
- 5.2.プロのノウハウを身に付けられる
- 5.3.入居者満足度が向上する
- 6.手数料の安さだけで賃貸管理会社を選んではいけない理由
- 7.賃貸管理会社の選び方
- 7.1.他社と比較して割高か判断する
- 7.2.選ぶべきは入居付けに強い会社
- 8.まとめ
- 9.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
賃貸管理の委託内容は?
アパートやマンションの賃貸経営の賃貸管理は多岐に渡るため、「委託手数料」を支払って賃貸管理会社に収益物件の管理を任せている大家さんは多いでしょう。ただし通常の委託手数料とは別に「仲介手数料」が発生する場合があります。
ここでは管理委託手数料と仲介手数料について解説します。
管理委託手数料とは?
賃貸管理会社に収益物件の管理を委託するにあたって委託手数料が発生します。一般的に「家賃収入額×△%」が手数料として支払われます。
空室・満室に関係なく「満室時家賃収入×△%」のように手数料が固定の場合と、「現況受けとっている家賃収入×△%」で計算する、手数料が変動するパターンがあり、どちらを採用しているかは賃貸管理会社によって異なります。
いずれにしても、入居者がいるあいだは毎月、管理委託手数料が発生します。
仲介手数料とは
仲介手数料とは、不動産会社(不動産仲介業者)が入居者募集をおこない賃貸借契約を締結した際、貸主・借主から不動産会社に支払われる成功報酬です。
委託手数料が毎月発生しますが、仲介手数料は賃貸借契約締結時にのみ発生します。
仲介手数料は、宅地建物取引業法に受け取れる上限額が記載されているため、各不動産会社は上限の範囲内であれば自由に仲介手数料を請求できます。
仲介手数料の上限は、貸主と借主それぞれ家賃の0.5カ月分です。ただし、承諾があれば貸主が1カ月、借主が1カ月など、どちらか一方に家賃1カ月分までを請求することも可能です。
委託手数料の相場はどのくらい?
ここでは、収益物件の管理委託手数料の相場についてお伝えします。
委託手数料の相場はいくら?
一般的に、収益物件を管理委託する場合の手数料は家賃収入の5%程度が相場といわれています。ただし、賃貸管理会社によって幅があるため、5~8%が目安になります。
なお、賃貸管理会社は委託された収益物件に対して次のような管理業務をおこないます。
・入居者募集業務
・入退居、更新などの契約に関する業務
・入居者対応(退去時の立会い、クレーム対応など)
・建物管理(清掃やメンテナンス、原状回復工事などの手配)
賃貸管理会社によっては管理全般ではなく、大家さんが希望する業務のみを引き受ける場合もあります。
たとえば、建物管理は大家さんが自主管理して、それ以外の業務を委託することも可能です。
委託手数料が安い会社には要注意
前述のように、収益物件の管理委託手数料の相場は家賃収入の5%程度です。ただし、委託手数料額は、大家さんと賃貸管理会社の同意があれば自由に設定することが可能です。
そのため、管理手数料を1~3%程度と相場より安くしている会社や、手数料を定額制にする会社も増えています。
ただし、委託手数料が安い場合、業務内容が一般的な場合と比べて少ない可能性があります。委託したい業務が別料金になっている場合、結果的にそれらも依頼することになると大幅に手数料が増えてしまうため注意が必要です。
管理手数料の安さは魅力ですが、それだけで賃貸管理会社決めるのではなく、賃貸管理の内容や実績も含めて検討する必要があります。
委託手数料に含まれる業務と別料金の業務について
収益物件の管理を委託する際に発生する費用は、委託手数料だけとはかぎりません。
ここでは賃貸管理会社に委託できる一般的な業務内容と、別途の費用がかかる可能性がある業務について説明します。
賃貸管理会社に委託できる業務
賃貸管理会社に委託できる一般的な業務には次のようなものがあります。
【入居者に関する業務】
・入居募集
・賃貸借契約の締結や更新
・家賃の集金、滞納家賃の督促
・退去時の手続きや立会い・精算
・原状回復工事(または業者の手配)
・入居者からの問い合わせやクレーム対応
・入居者への業務連絡など
【建物に関する業務】
・巡回
・共有部の定期清掃
・建物や設備の点検
・室内設備や建物全体の修繕(または業者の手配)
上記は一般的な例となるので、賃貸管理会社を検討する際は、委託手数料の範囲で対応してもらえる業務内容を確認しましょう。
また、提示された委託手数料の範囲を超えた業務を委託したい場合は、手数料を多少上乗せする形で委託できれば費用をおさえられる可能性もあります。
なお、先述のように、業務の一部のみを委託し、残りの業務を大家さんが自主管理することも可能です。自主管理することで管理委託料をおさえたい場合は、賃貸管理会社に相談してみるとよいでしょう。
委託手数料とは別料金の業務もある
賃貸管理会社によって、毎月の委託手数料の範囲でおこなう業務内容は異なります。賃貸管理会社によっては、上記の業務のうち、別料金になる可能性もあるのです。
毎月の委託手数料とは別に料金が発生する可能性のある業務は次のようなものがあります。
◇原状回復費用
部屋の面積や間取りによって費用は異なりますが、通常の状態であればワンルームで10万円以下の場合がほとんどです。各箇所の費用目安は以下のようになります。
(ワンルームの場合)
・ハウスクリーニング:15,000~30,000円
・壁紙の張替え:1,000~1,500円/㎡
・クッションフロアの張替え:約2,500円/㎡
・畳の表替え:4,000~4,500円/1畳
なお、給湯器やエアコン、照明器具、トイレなどの修繕・交換費用は別途請求される場合が多いです。
◇建物管理費用
定期清掃や点検費用などが別料金となる場合があります。料金は物件の規模や構造、設備(エレベーターや受水槽、貯水槽など)の有無によって異なります。
これらは、毎月の委託手数料に含まれている場合もありますが、回数や清掃の範囲などが限定されていることもあるため、確認してみましょう。
賃貸管理会社と契約する場合は、料金とともに、手数料に含まれている業務と別料金の業務をしっかり確認しましょう。
賃貸管理会社に委託手数料を支払う際の注意点
賃貸管理会社を選ぶ場合は次の点に留意しておきましょう。
・委託手数料は賃貸管理会社が自由に決められる
・仲介手数料は交渉により下げることも可能
委託手数料は賃貸管理会社が自由に決められる
収益物件の委託手数料は、法律などで決められていないため、賃貸管理会社が自由に設定することが可能です。
一般的に委託手数料の目安は家賃収入の5%といわれていますが、実際には3~8%程度と幅があります。
たとえば、月額家賃が50万円の場合、委託手数料が3%であれば支払う手数料は15,000円になります。これが8%だと40,000円です。その差は月額で25,000円、年間では30万円と大きな差が生じます。
費用が減少すれば利益が増えるため、費用をおさえるためにも委託手数料の割合が低く設定されている賃貸管理会社を選びたいところですが、あまりにも手数料が安い賃貸管理会社はおすすめできません。理由について詳しくは後述します。
仲介手数料は交渉により下げることも可能
仲介手数料の上限額は宅地建物取引業法によって定められているため、上限を超えての受け取りは認められていません。
しかし、下限は定められていないため、場合によっては仲介手数料の値下げ交渉に応じてもらえる可能性があります。
特に一棟物件の入居者募集を委託している場合は、退去のたびに入居者を募集するので仲介手数料も頻繁に発生しますし、賃貸管理会社との付き合いも密になりやすいです。かならず応じてもらえるとはかぎりませんが、一度交渉してみるとよいでしょう。
賃貸管理会社に管理を委託するメリット
ここでは、収益物件を管理委託するメリットについてまとめました。
管理にかかる大家さんの負担を軽減できる
前述のように、収益物件の賃貸管理は多岐にわたります。大家さんが自主管理するケースもありますが、物件規模によっては大家さんの負担が大きくなる可能性があります。
しかし、賃貸管理会社に委託すれば、すべての業務をおこなってくれるため大家さんの負担はほぼありません。
特にサラリーマンなど本業を持っている人は、管理を委託することで本業への支障なくなるので安心して不動産投資がおこなえるでしょう。
プロのノウハウを身に付けられる
賃貸管理会社は管理のプロです。所有する収益物件の管理を委託すれば、どのような賃貸管理をおこなっているのか身近で確認できるので、プロのノウハウを学べるチャンスです。
ある程度、賃貸管理のノウハウが身についたら、管理の一部を自主管理に切り替えることで費用の削減にもつながります。
入居者満足度が向上する
プロに管理を委託することで、設備の不具合や入居者トラブルなどのクレーム処理がスムーズにすすむことが期待できます。
入居者の不満は退去につながることもあるため、できるだけ迅速に解決して、入居者に満足してもらう必要があります。問題が早期解決することで入居者の満足度や信頼度があがり、それが長期入居へとつながるのです。
入居者を退去させないのも立派な空室対策方法のひとつです。安定した家賃収入を得るためには、賃貸管理会社の存在は欠かせないといえるでしょう。
手数料の安さだけで賃貸管理会社を選んではいけない理由
委託手数料の設定は、賃貸管理会社が自由におこなえるため料金に差があります。しかし、管理手数料の金額だけで賃貸管理会社を選ぶと、想定外の費用がかかってしまう場合があるため注意が必要です。
入居者が満足できる業務がおこなわれているか
管理委託料が安く、賃貸管理業務がほぼ含まれていたとしても「安かろう、悪かろう」では管理委託する意味がありません。
賃貸管理会社のサービスの質は入居者の満足度に大きな影響を及ぼすため、あまりにも管理状態がよくない場合は退去者が出るかもしれません。
そうならないためにも賃貸管理会社を選ぶ際は、サービスの質や実績をかならず確認しましょう。また、こまめに物件の共有部やゴミ置き場の様子などを定期的に確認し、不備があればその都度意見することでサービスの向上が期待できます。
費用の合計が相場を超えるケースもある
委託手数料が安い場合、多くの業務が別料金に設定されている可能性があるため注意が必要です。月額委託手数料が安くても、必要な業務を別料金でつけてみたら、トータル額が委託手数料の相場を超えていたというケースも実際にあるのです。
まずは、大家さんが委託したい業務が別料金になっていないか確認したうえで、費用を計算してみましょう。その結果、委託管理手数料の相場を超えるようであれば、賃貸管理会社の切り替えを検討してもよいかもしれません。。
逆に、必要な業務を別料金で委託してもまだ安いようであれば、サービスの質によっては継続してもよいでしょう。重要なのは、コストとサービスのバランスであることを忘れないようにしましょう。
安い賃貸管理会社を探すよりも空室対策に注力しよう
費用の削減は収益アップにつながりますが、実際のところ委託手数料を1~2%下げるのであれば、空室を埋めて家賃収入を増やすほうが収益増加には効果的です。
つねに満室であれば、委託手数料が安ければそれだけコストカットにつながりますが、安い賃貸管理会社については、ここまでのあいだに述べてきたように懸念材料も多いです。
いま一度、安い賃貸管理会社を選ぶメリットとデメリットを慎重に比較し、判断するとよいでしょう。
賃貸管理会社の選び方
ここでは、これまでとは逆に委託手数料が割高だった場合について、賃貸管理会社を切り替えるべきかどうか、変更する場合の賃貸管理会社の選び方について解説します。
他社と比較して割高か判断する
現在支払っている委託手数料が「高いのか? それともか安いのか? 」判断するには、複数の賃貸管理会社を比較する必要があります。
現在支払っている委託手数料と別途支払っている費用を確認しましょう。
・委託手数料額
・管理手数料に含まれる業務内容
・別料金で支払っている額と業務内容
上記の点を確認することで、現状の管理委託に支払っている費用のトータル額が把握できます。
比較する他社についても、取り寄せた見積もり書などを参考に同様に計算してみましょう。できれば1社だけでなく2、3社を比較するのが望ましいですが、個別に見積もり依頼をするのが手間な場合は、賃貸管理会社の一括検索サイトなどを利用しましょう。
各社、手数料に含まれる業務内容と別料金になる業務を洗い出し、その費用をトータルした額を比べることで、相対的に「安いか、高いか」判断ができるでしょう。
選ぶべきは入居付けに強い会社
他社と比較した結果、「高い」という結論に至った場合は、ほかの賃貸管理会社への切り替えを検討します。では、どのような管理会社を選べばよいのでしょうか。
賃貸管理会社を選ぶポイントは、「家賃収入を最大化できるか」です。いくら委託手数料を安くしても、空室が減らないかぎり利益は増えません。
入居率を上げて家賃収入の最大化を実現するためには、入居付けに強い賃貸管理会社を選ぶ必要があります。
賃貸管理会社が入居付けに強いかどうかは、その会社の管理実績の「入居率」を確認します。
入居率の目安としては、95%以上であれば客付けに強い会社であると判断してよいでしょう。
ただし、賃貸管理会社によって入居付けが得意な物件、不得手な物件などがある場合も考えられます。たとえば、学生をターゲットにした単身向け物件の入居付けは得意でも、ファミリー向け物件はあまりあつかっていない場合もあります。
あつかいが少ないタイプの場合、思ったように入居付けができないこともあるため、自分が所有している物件タイプの入居付けに強い会社を選びましょう。
まとめ
不動産投資に欠かせない収益物件の賃貸管理は、大家さんが自主管理するよりも管理のプロに委託することで入居者の満足度も向上します。
コスト削減のため、委託手数料が安い会社を選びがちですが、手数料が安くても業務内容によっては別料金がかかる場合もあるため注意が必要です。
なお、賃貸管理会社の切り替えを検討する場合は、手数料の安さだけでなく家賃収入を増やせるよう入居率の高い賃貸管理会社を選ぶことをおすすめします。
まずは、現在支払っている委託手数料が相対的に高いのか安いのか、いま一度確認することをおすすめします。結果次第で賃貸管理会社の切り替えを検討するとよいでしょう。