火災保険を申請する方法とは?失敗しないコツや審査に落ちる原因
「台風で建物が破損したので火災保険申請したが、審査で否認されてしまった!」
じつは保険申請をしても審査がきびしく、保険金を受け取れなかったケースはめずらしくありません。では、なぜ火災保険の審査はきびしいのでしょうか?
その理由のひとつが、個人で火災保険の申請のむずかしさが挙げられます。保険の知識がない素人が保険申請をおこなう場合、損害箇所の見落としや損害の証拠をきちんと説明できないことも多いです。また提出書類の不備もあり、思っていた額の保険金が出なかったり、給付が遅れたりするのです。
そこで今回は、火災保険申請サポート業者を使った保険申請の方法をはじめ、火災保険の申請を成功させるコツについて解説します。また火災保険申請の審査が通らない理由についても述べているので、ぜひ今後の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.サポート業者を使った火災保険申請の方法
- 1.1.火災保険申請サポート業者に依頼する
- 1.2.火災保険申請サポート業者に火災保険の契約内容をチェックしてもらう
- 1.3.火災保険申請サポート業者に現地調査をしてもらう
- 1.4.火災保険申請サポート業者に必要書類を準備してもらう
- 1.5.火災保険会社が現地調査をおこなう
- 1.6.保険金を受け取って火災保険申請サポート業者に報酬を支払う
- 2.火災保険の申請に失敗しないための9つのコツ
- 2.1.①事故があったらすぐに保険会社に連絡する
- 2.2.②必要書類の不備をなくす
- 2.3.③契約内容をもう一度チェックする
- 2.4.④事故発生日を明確にしておく
- 2.4.1.自然災害の場合
- 2.4.2.番外編:盗難被害の場合
- 2.5.⑤被害箇所の写真を多く撮る
- 2.6.⑥信頼できる担当者や修理業者に依頼する
- 2.7.⑦保険金が少ないと感じたら抗議する
- 2.8.⑧複数の業者から無料で見積もりをしてもらう
- 2.9.⑨現地調査でチェックされるポイントをおさえる
- 3.火災保険申請に行う際に準備すべき必要書類
- 3.1.保険金請求書
- 3.2.事故内容報告書
- 3.3.工事費用の見積もり書
- 3.4.物件と損害箇所の写真
- 4.火災保険で外壁塗装は可能?適用条件とは?
- 5.なぜ火災保険の審査が厳しいと言われるのか?
- 6.火災保険の審査が通らないよくある理由
- 6.1.経年劣化と判断された
- 6.2.保険加入前から破損していた
- 6.3.機能性に問題がない場合
- 6.4.補償対象外や免責など契約内容の問題のため
- 7.まとめ
- 8.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
サポート業者を使った火災保険申請の方法
災害で所有物件が損害受けてしまった場合、火災保険に加入していれば安心ですが、「火災保険の申請方法がわからない!」という人も多いでしょう。
そこでおすすめなのが火災保険申請のお手伝いをしてくれる「火災保険申請サポート業者」です。保険の専門家であるサポート業者が火災保険申請に必要な作業をサポートしてくれるため、オーナー様(保険契約者)の手間が省け、簡単に申請がおこなえます。
またプロが直接被害箇所を確認してくれるので適切な保険金がもらえる可能性が高くなります。
ここでは火災保険申請の方法について、火災保険申請サポート業者に依頼したケースの手順について紹介します。
火災保険申請サポート業者に依頼する
まず火災保険申請サポート業者へ連絡しましょう。電話やメールのほか、ホームページの問い合わせフォームなどを活用しましょう。
なおサポート業者によっては、調査対象物件を限定している場合があります。サポート業者を選ぶ際は、所有物件が調査対象になっていることを確認しましょう。
火災保険申請サポート業者に火災保険の契約内容をチェックしてもらう
連絡後ヒアリングがおこなわれ、現地調査の日程などを決めていきます。
ヒアリングでは火災保険の種類を確認されますが、補償内容の詳細を覚えてない人は、サポート業者の担当者に契約内容や対象物件について確認してもらい、調査可能か判断してもらいましょう。火災保険の証券を手元に準備しておくとスムーズです。
火災保険申請サポート業者に現地調査をしてもらう
現地にて火災保険申請サポート業者の担当者に調査してもらいます。物件を見ながら損害箇所を確認してもらい、気になる被害があれば補償対象かチェックしてもらいましょう。
通常は確認がむずかしい屋根の上など物件全体を詳しく調査するので、オーナー様が見つけられなかった」損害箇所などが発見されることも少なくありません。
また建物の外側だけでなく、屋内や敷地内なども火災保険の補償対象になることも多いため、広い範囲で詳しく調査がおこなわれます。
火災保険申請サポート業者に必要書類を準備してもらう
現地調査した結果をもとに、保険会社へ提出する資料をサポート業者が作成してくれます。
契約者であるオーナー様は、サポート業者に作成してもらった資料を保険会社へ提出するだけなので、ほとんど手間はかかりません。
火災保険会社が現地調査をおこなう
作成した書類を提出したあとは、審査結果の決定通知書を待つだけです。
そのあいだに保険会社による現地調査がおこなわれます。
保険金額が大きい場合などには、保険会社の鑑定人による「立ち会い調査」が入る場合があります。
保険金を受け取って火災保険申請サポート業者に報酬を支払う
保険会社から決定通知書が届いたら、あとは保険金の入金を待ちましょう。決定通知書が届いてから、1週間以内に保険金が振り込まれるのが一般的です。
保険金を受け取ったら火災保険申請サポート業者に報酬を支払います。
なお火災保険申請サポート業者は基本的に成功報酬です。そのため保険金を受け取れた場合のみ、所定の手数料を報酬として支払うことになります。
火災保険の申請に失敗しないための9つのコツ
火災保険申請は、保険の知識を持たない素人には非常にむずかしいです。ちょっとしたミスで、本来もらえる保険金がもらえないことも少なくありません。
しかし、あらかじめ気を付けておくポイントをおさえておくことで、申請で失敗する確率を下げることは可能です。
ここでは火災保険の保険金を速やかに、かつ何得できる金額を受け取るためのコツを解説
①事故があったらすぐに保険会社に連絡する
自然災害による損害は速やかに保険会社に報告をしましょう。損害が発生してから時間が空いてしまうと損害が起きた原因の証明がむずかしくなるため、保険金の受け取り金額が低くなる可能性があります。また最悪の場合は受け取れない場合もあるため注意が必要です。
なお大きな自然災害が発生した場合、保険会社への問い合わせが集中するため電話がつながりにくく、連絡が遅れる可能性があります。その場合は、損害を受けた日時や原因など詳細をメモに残し、先に申請に必要な書類の準備などをおこないましょう。
②必要書類の不備をなくす
申請書類の記入漏れや必要書類に不備があった場合、修正のために時間がかかります。こういった提出種類に不備があると、もらえる保険金が少なくなる可能性があるため注意が必要です。
書類の不備を防ぐためには以下の点にとくに注意しましょう。
・損害箇所の写真はかならず添付する
損害が受けたことを証明するために必要なため、添付し忘れると証明ができず、保険金を受け取れなくなります。
・建物登記簿謄本や住民票の添付が必要になる場合もある
火災保険の適用対象が建物かつ請求額が高額な場合、建物登記簿謄本の添付を求められる場合があります。また火災や災害で本人確認書類を紛失した場合、本人確認のための住民票を提出する必要があります。
・訂正箇所には訂正印が必須
書類の記入時に間違ってしまった箇所には訂正印が必須です。なお間違って記入した箇所を二重線で消したうえで訂正印を押してください。
③契約内容をもう一度チェックする
火災保険申請をおこなう前に保険の契約内容を確認しておきましょう。
火災保険は契約内容によって補償内容が変わります。そのため、補償内容を把握していなければオーナー様(契約者)の負担金が増える可能性があるため注意が必要です。
火災保険の補償内容は以下のようになります。
・建物のみ
・家財のみ
・建物+家財
損害を受けたものによっては保険対象外となることがあります。たとえば、建物と家財の両方が補償内容と思っていても、実際の補償範囲が建物のみの契約だった場合、家財は保険対象外となります。
そのほかにも自己負担額(免責額)はいくらなのか、特約はつけていたのかなども確認しておきましょう。
契約内容がわからない場合は保険会社に確認しましょう。
④事故発生日を明確にしておく
火災保険では、損害が発生した日時や原因を明確に保険会社に報告する必要があります。これらをしっかり報告するために、損害が発生した日時・原因をメモなどに残しておきましょう。
ただし、自然災害のように発生日が不確定なケースについては、以下のような補足をおこなうとよいでしょう。
自然災害の場合
自然災害による損害は、その原因が自然災害によるものか、またいつの災害によるものか特定しにくい場合も多いです。
こういったケースは、気象状況などのデータを添付して信ぴょう性を高めることで、保険申請が通りやすくなる可能性があります。
たとえば、気象庁のホームページから、物件周辺の当日の気象状況(天気、風速や降水量など)の情報を確認して記録しておくとよいでしょう。
番外編:盗難被害の場合
盗難被害は、実際に盗難にあった旨を証明しなければなりません。盗難が発覚した時点で、まずは警察に通報し「盗難届」を出しましょう。その際に発行される受理番号は、保険金請求の際に必要になります。
盗難された物品についてはメモなどにまとめます。高額の物品については、購入時のレシートやクレジットカードの購入履歴、購入した店舗の履歴などで証明するとよいでしょう。購入履歴がない場合でも、購入時の箱などの付属品や、着用・使用している写真などがあれば証明が可能です。
⑤被害箇所の写真を多く撮る
被害箇所の写真があれば証明しやすく、保険会社にも伝わりやすくなります。
そのため被害内容を証明できる写真は、できるだけ被害状況が鮮明に確認できるものが望ましいです。
また損害箇所だけではなく、比較のために損害していない箇所も撮影してきましょう。そのほかにも建物全体、損害を受けた家財の全体を撮影しておくとよいでしょう。
写真は最低でも5枚、損害を証明できる画像であればもっと多くても問題ありません。
⑥信頼できる担当者や修理業者に依頼する
最近ではインターネット経由で火災保険に加入する人も増えています。自宅にいながら保険に加入でき手軽な保険料から人気ですが、担当者と直接対面して損保会社や補償内容を決めたい人には代理店を経由して契約する「代理店型」がおすすめです。
その際は、信頼できる担当者がいる代理店を選びましょう。日頃から連絡を密にくれたり、レスポンスが迅速だったり、信頼できる担当者がいれば保険申請もスムーズにおこなえます。こまかな相談もできるので心強い存在になるでしょう。
また修理業者も信頼できる業者を選びましょう。さまざまな修理業者のなかには修理費用を高く見積もって儲けようとする、たちが悪い修理業者も存在します。ほかにも保険金を不当に請求させようとする詐欺紛いの業者もいます。
こういった悪質業者に騙されないためにも、信頼できる修理業者に修理を依頼しましょう。信頼できる修理業者は、知り合いから紹介してもらったり、口コミサイトで評判のよい業者から選ぶとよいでしょう。
⑦保険金が少ないと感じたら抗議する
保険金額は、申請時に提出された書類をもとに割り出されるため、想定していた額よりも給付額が少ない場合もあります。提示された保険金が少ないと感じた場合は異議申立てをすることも可能です。
契約者から異議申し立てを出された場合、保険会社は再審査をおこない再度金額を割り出します。その際は、保険会社が提示した金額の算定根拠に対し、それを覆す根拠を提示する必要があります。
根拠を提出する際には、損害箇所を調査した修理業者の意見なども伝えたうえでオーナー様(契約者)自身の考えを伝えましょう。単なる「不満」にならないようにするのがコツです。
それでも納得できない場合は「そんぽADRセンター」に相談する
再審査でも結果が変わらず、それでも納得がいかない場合は「そんぽADRセンター(一般社団法人 日本損害保険協会)」に相談してみましょう。
そんぽADRセンターとは、保険契約者と損害保険会社のトラブルに関して、問題解決に向けて支援してくれる組織です。専門の知識や経験を有する紛争解決委員(弁護士など)が、中立・公正な立場からトラブルの解決に向けて支援をしてくれます。
◇「そんぽADRセンター(一般社団法人 日本損害保険協会)」
https://www.sonpo.or.jp/index.html
⑧複数の業者から無料で見積もりをしてもらう
保険金を請求する前に、無料見積もりを利用して、複数の修理業者から見積もりを取りましょう。
複数の見積もりのなかで金額が一番高い金額で保険申請をすれば、保険金額が高くなる可能性があります。
⑨現地調査でチェックされるポイントをおさえる
火災保険申請のおこなうと保険会社から鑑定人が派遣され、保険金の査定がおこなわれますます。(現地調査をしない場合もあります)
鑑定人とは、正確には「損害保険登録鑑定人」と呼ばれる、不動産の保険価額の算出や損害額の鑑定の専門家です。保険会社の依頼を受けて鑑定をおこないますが、あくまで第三者機関としての立場で査定をおこないます。
鑑定結果(保険金額ではなく、保険の適用範囲内かどうかなど)はその場で鑑定人から報告されますが、内容に納得できない場合はその場で交渉が可能です。
万一に備えて、査定箇所をあらかじめ把握しておき、反論する際の根拠を準備しておきましょう。
現地調査で鑑定人が査定をおこなうのは以下のポイントです。
・損害箇所の確認、見積もり額は妥当かどうか
・交換品の価格
・修理方法と業者について
・不要な施工がないか
きちんと根拠を示すことができれば、保険金額が増える可能性が高まります。
火災保険申請に行う際に準備すべき必要書類
火災保険申請には基本的に下記の書類が必要となります。
・保険金請求書
・事故内容報告書
・工事の見積もり書
・物件と被害箇所の写真
ここでは各書類について解説します。
保険金請求書
保険会社に保険金を申請するための書類です。火災、その他の自然災害、盗難などすべての損害において必要な書類となります。
フォーマットは各社で異なりますが、記載する項目は以下のようになります。
・保険金請求日
・氏名、住所などの請求者情報
・請求する火災保険の証券番号
・他社の保険契約状況
・保険金の支払い口座情報
未記入の保険金請求書は、保険会社から取り寄せるほか、WEBサイトの専用フォームなどに入力する方法もあります。なお通常、実印の押印は不要ですが、保険金が高額になる場合は必要になるケースもあるので注意しましょう。
事故内容報告書
損害箇所の状況を説明する報告書です。いつ、どのような損害を受けたかなど、内容をこまかく記載します。
ただし前述したように、自然災害による損害は、その原因が自然災害によるものか、またいつの災害によるものか特定しにくいです。気象状況などのデータを添付して信ぴょう性を高めましょう。
未記入の事故内容報告書は、保険金請求書同様、保険会社から取り寄せるほか、WEBサイトの専用フォームなどに入力する方法もあります。
工事費用の見積もり書
火災保険申請サポート業者や修理(リフォーム)業者に見積もりを依頼します。
工事費総額のみでなく、修理内容・部品材料の数量・単価などの内訳がわかるようにしてもらいましょう。
見積もり内容と価格が適正だと判断された場合、保険会社は現地調査をせずに保険金を支払うことも多いです。ただし、過度な金額の請求とみなされた場合は支払いが遅れたり、調査を元に支払いが拒絶されたりすることもあるので注意しましょう。
なおトラブル防止のために、火災保険申請サポート業者や修理(リフォーム)業者には、工事の契約は保険金が入金されてからと伝えておくとよいでしょう。
物件と損害箇所の写真
事故内容報告書に記載した損害箇所について証拠となる写真です。
前述したように、できるだけ被害状況が鮮明に確認できる写真のほか、損害していない箇所、建物全体、損害を受けた家財の全体の写真も用意しましょう。
中古物件など途中から火災保険に加入した場合は、保険加入後の損害であることを証明できるような購入時の写真などがあるとなおよいです。
火災保険で外壁塗装は可能?適用条件とは?
火災保険が外壁塗装に適用されるには、以下の3つの条件があります。
・破損の原因が日常生活上の事故によるもの
・被災から3年以内に申請をおこなったもの
・修理金額が火災保険の免責金額を超えるもの
これらの3つの条件に当てはまる場合は火災保険で外壁塗装をおこなうことが可能です。
それぞれの条件について解説します。
破損の原因が日常生活上の事故によるもの
前提として、火災保険が外壁塗装に適用されるのは、「災害や日常生活上の事故によって外壁・屋根に補修・塗装などが必要になった場合のみ」です。
つまり、同じ外壁・屋根が破損した場合でも、その原因が火災または自然災害でなければ火災保険の補償は受けられないのです。
ここでいう自然災害とは、風災(台風)・雪害(豪雪)・豪雨などを指します。なお水害(洪水・高潮など)は、プランによっては補償の対象外なので注意しましょう。
被災から3年以内に申請をおこなったもの
火災保険は被害を受けてから3年で申請ができなくなります。
これは、保険法により保険金請求の時効は支払事由が発生してから3年と定められており、損害を受けてから時間がたつと、保険金の支払対象になるかの調査や支払うべき保険金の決定が困難となるからです。
参考:e-Gov法令検索『保険法第95条(消滅時効)』
なお、自費で工事をおこなってしまった場合でも3年以内であれば、当時の証拠や工事の請求書をもとに保険金を申請することができます。
修理金額が火災保険の免責金額を超えるもの
免責金額とは、自己負担しなければならない金額を指します。免責金額を設定した場合、損害にかかる修理費用が免責金額以下の場合は火災保険適用外となるため注意しましょう。
なお免責金額をいくらに設定できるかは保険会社や商品によって異なります。火災保険全体の免責設定の相場は基本補償全般で、免責なしから10万円までのあいだです。免責金額を増やせば保険料が安くなりますが、災害発生時は免責金額によっては保険金を受け取れない可能性もあるためリスクが増えます。
いくらまでなら自己負担できるか、支払う保険料と補償額のバランスを考えながら適切な免責額を設定しましょう。
なぜ火災保険の審査が厳しいと言われるのか?
きびしいと言われる火災保険の審査ですが、それはなぜなのでしょうか。おもな理由として、以下の4点が考えられます。
・被害の発見や原因の特定が困難
・保険会社が火災保険を使われること自体よく思っていない
・保険会社寄りの査定がおこなわれている
・現地調査をするスタッフも保険会社寄りの査定をするため
それぞれについて解説します。
被害の発見や原因の特定が困難だから
火災保険の審査がきびしいと言われる理由のひとつとして、「個人での被害箇所の発見・特定」のむずかしさが挙げられます。
火災保険申請は、契約者側で損害を見つけ、損害を受けた時期や原因を特定し証拠として申請する必要があります。
しかし、屋根などは被害を見つけにくく、気がついたら損害を受けてから時間が経っていることが多いため、損害の時期や原因の特定が困難になりやすいです。そのため申請しても補償範囲外とされてしまい、保険金をもらえないケースも少なくありません。
実際、火災保険契約者の多くは損害を受けていてもそれに気付かず、申請漏れの状態になっていると言われています。気づいても事故原因の特定にいたらず、「経年劣化」などと判断されてしまうことから「火災保険の審査はきびしい」と言われるのです。
保険会社が火災保険を使われること自体よく思っていないから
保険会社や代理店は本音では、火災保険を使われること自体をよく思っていないと考えられます。火災保険に関して以下のような声が聞こえています。
・必要な金額が判明したら保険外にされた
・虚偽申請あつかいにされた
・保険適用外の明確な説明がされなかった
火災保険会社すべてではありませんが、一部では保険契約者の信頼を失って当然の対応がみられるようです。とくに個人で火災保険申請をおこなった場合はきびしい対応が多いようです。
保険会社寄りの査定がおこなわれるから
火災保険申請後の査定は、外部の鑑定会社や社内の鑑定人によっておこなわれます。原則として鑑定士は中立の立場にありますが、鑑定料は保険会社が支払うことから保険会社寄りの査定が疑われるケースもあるようです。
実際に査定結果で「経年劣化」とされることもめずらしくありません。保険の知識を持たない保険契約者は査定結果に対して反論できる根拠を示せないことも多く、その場合経年劣化で処理されてしまいます。
このようなケースが多いことから、査定が保険会社寄り=審査がきびしいと言われる理由のひとつと考えられます。
火災保険の給付金詐欺が増えたため
一部の悪徳業者が原因で、火災保険の審査がきびしくなっていると考えられます。
最近増えているのが、「嘘の理由で保険金を請求させる」ケースです。
無料の家屋調査を装い、建物の一部に破損箇所のある家を訪問し「自然災害で破損したと言って保険金を請求すれば大丈夫」と、嘘の保険申請をするようそそのかします。ときには故意に屋根などを破損させてから訪問し、あたかも今発見したかのように振る舞う場合もあるようです。
このように保険の契約者に保険金詐欺の片棒をかつがせようとする事例が増え、保険会社も保険申請に目を光らせているため保険の審査が厳しくなっているのです。
火災保険の審査が通らないよくある理由
「火災保険申請をしたが否認されてしまった……」
残念ながら、火災保険の申請をしてもかならず保険金が支払われるとはかぎりません。とくに個人で火災保険申請をおこなうと否認されることが多いです。
保険の審査に通らないおもな理由には、以下の4つが挙げられます。
・経年劣化である
・保険加入前から破損していた
・機能性に問題がない
・補償対象外や免責など契約内容の問題
それぞれについて解説します。
経年劣化と判断された
火災保険は「自然災害や偶発的に起きた事故や災害によって受けた損害」を補償する保険です。よって時間の経過によって破損が起こる「経年劣化」は補償範囲に含まれません。
ただし、損害の原因が自然災害や偶発的な事故で起きたのか、それとも経年劣化によるものか判断するのは素人にはむずかしいです。
保険契約者が自然災害でできた損害だと思っても、専門業者が調査したところ経年劣化だったということは頻繁にあります。
査定結果や提示された保険料に納得できない場合は抗議することができます。ただしその場合は、示された内容を覆す根拠を提示する必要があります。
むずかしいかもしれませんが、しっかりとした根拠を示すことができれば、補償範囲内の損害と認められ、もらえる保険金が増える可能性があります。
保険加入前から破損していた
保険加入前から破損していた箇所については補償対象外です。
純粋な勘違いならしかたありませんが、故意に保険加入後の破損と虚偽申請をした場合「詐欺罪」に該当し、有罪となれば10年以下の懲役刑を受けることになってしまうため絶対にやめましょう。
機能性に問題がない場合
フローリングが少しへこんだ、外壁に擦りキズがついたなど、破損したのが外観だけで機能性に問題がない場合は火災保険の補償対象外になります。個人で判断できないばあいは、専門業者に判断してもらいましょう。
機能性に問題が起きるほどの破損でも、故意だった場合は補償対象にならないため注意しましょう。
補償対象外や免責など契約内容の問題のため
そもそも火災保険の補償対象外の場合や修理費用が免責金額に満たない場合は、審査に通ることはありません。
とくに補償内容が異なる数種類のプランがあったり、保障がオプションだったりすると、補償をつけたと勘違いしてしまうケースが多いです。
たとえば、建物と家財両方に補償がつくプランを選んだつもりが建物だけの場合、家財が損傷しても補償は受けられません。
また免責に関しては、内容をよく理解していない場合も少なくないです。免責金額とは、自己負担しなければならない金額を指し、損害にかかる修理費用が免責金額以下の場合は補償適用外となります。
免責金額が60,000円で修理費が50,000円の場合は補償対象外となり、修理費用50,000円は全額自己負担になります。
修理費用が100,000円であれば免責金額を超えているので補償対象となり、保険金40,000円と自己負担60,000円で修理します。
万が一のとき、いくらまでなら自己負担できるかをもとに、免責金額を設定しましょう。
まとめ
火災以外にも補償が受けられる火災保険は、大事な不動産物件のためにも加入しておきたいものです。
今回解説したように火災保険の審査がきびしい理由のひとつが、火災保険の申請時に損害理由の根拠を提示する必要があるためです。しかし、その破損箇所が本当に災害によってできたものであるかの判断は素人には非常にむずかしいと言わざるをえません。
火災保険の申請で失敗したくない場合は「火災保険サポート業者」に申請のサポートをお願いしましょう。保険の専門家であるサポート業者が直接被害箇所を確認してたうえで保険の申請がおこなえるため、適切な保険金がもらえる可能性が高くなります。
また火災保険申請に必要な書類の作成もサポートしてくれるので、オーナー様(保険契約者)は簡単に申請がおこなえます。
また万一、保険会社が提示した保険金額に納得できない場合は抗議することも可能です。その場合は、保険会社が提示した金額の算定根拠に対し、それを覆す根拠を提示する必要があるので、しっかり準備して臨みましょう。
ふたつ目の火災保険の審査がきびしい理由として、不正に保険申請をさせようとする悪徳業者の存在が挙げられます。原因不明の可損箇所を自然災害で破損したと偽って保険金の申請をさせようとする手口には要注意です。
災害などで受けた破損箇所は、時間が経てばたつほどいつできたか、どうしてできたかの証明がむずかしくなります。そのため損害に気づいたらすぐに保険会社に連絡し、できるかぎりスピーディーに、またサポート業者の手を借りて正しく火災保険申請をおこないましょう。