オートロックでもマンションで置き配はできる?利用方法を解説
不在時などでも非対面で荷物を受け取れる便利な「置き配」ですが、オートロック付きマンションで置き配を利用することは可能なのでしょうか?
また置き配を利用する際は、どのような点に注意すべきなのでしょうか?
今回は荷物の置き配について、オートロック付きマンションで利用する方法や注意点について解説します。
目次[非表示]
置き配のニーズが増えている理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響をきっかけにECサイトの利用者が増加する中、「置き配」の需要が高まっています。
置き配とは、受取人が荷物の置き場所を指定して、非対面で配達物を受け取ることができる便利なサービスです。
受取人は留守にしていても当日中に荷物を受け取れますし、配達員も再配達をする必要がありません。このように置き配は、受取人だけでなく配達側にとってもメリットのあるサービスなのです。
では実際、置き配の利用割合はどの程度になるのでしょうか。
下記は、株式会社ナスタがおこなっている「置き配に関する実態調査」の結果をグラフにしたものです。
引用:(株)ナスタ『ナスタ調べ 置き配に関する実態調査』
調査結果によると2023年の置き配利用経験率は67.3%となり、2019年の調査開始時(26.8%)と比べて2.5倍に増加していることがわかりました。
2022年の調査結果(61.3%)と比べて6.0ポイント増加傾向にあることから、今後はさらに置き配のニーズが増加すると考えられます。
参考:(株)ナスタ『ナスタ調べ 置き配に関する実態調査』
再配達の増加が社会問題となっている
ECサイトの利用者が増加に伴い社会問題となっているのが、荷物の受取人が不在で配達員が荷物を持ち帰る「再配達」の増加です。
受取人にとって再度配達してもらえるサービスは利便性が高いですが、その反面、再配達が増えることにより配達側の負担の増加が問題視されています。
下記の表は、国土交通省が令和4年4月におこなった『宅配便の再配達率のサンプル調査』の結果を発表したものです。
この結果によると、令和4年4月の宅配便配達個数の総計は約263万個でした。その内、約30万個が再配達となり、その割合は11.7%と前年度の調査結果よりも0.5ポイント上昇しています。
引用:国土交通省『報道発表資料 令和4年4月の宅配便の再配達率は約11.7%』
特に働き方改革関連法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで十分な人数のドライバーを確保できないなど、いわゆる「2024年問題」が今後の運輸業に与える影響が懸念されています。
そのため政府は、2025年度に再配達の削減に向けて、置き配をはじめ非対面での受け取り方法(宅配ボックスや自宅以外での受け取りなど)の活用を推進しています。これによって今後置き配の利用率はさらに高まると考えられています。
集合住宅(アパートやマンション)への置き配は可能?
ここでは、アパートやマンションなどの集合住宅への置き配が法律的な問題はないか、オートロック付き物件への置き配は可能かどうかについて解説します。
共用部に宅配荷物を置くのは例外となる
そもそもアパートやマンションなどの集合住宅の管理規約などでは「専用使用部分でない共用部分に物品を置くことは原則として認められない」と謳われています。また消防法でも避難の障害となるものを通路に置かないよう定めています。
しかし、「置き配」が普及してきたのが極めて最近であることから、国土交通省が公表しているひな形であるマンション標準管理規約には、置き配について、禁止または許可との記載はありません。
ただし、2021年に標準管理規約が改定された際、国土交通省は『マンション標準管理規約(単棟型) 新旧対照表 第18条(使用細則)に対するコメント』にて、共用部に宅配荷物を置くのは「例外」とするとしています。
なお、その場合は火災などで避難する際の妨げにならないよう留意する必要があるとされていることから、マンションごとのルールが必要になると考えられます
オートロック付きマンションの置き配はできない?
オートロック付きマンションの場合、かならずしも置き配ができるとはかぎりません。受取人が不在の場合は居住者にオートロックを解錠してもらえないため建物内に入れず、結果的に置き配はできないのが一般的です。
ただし最近では、オートロック付きマンションの置き配サービスを提供する運送会社も増えています。
またスマートフォンなどから遠隔操作で解錠できるタイプのオートロックの場合、不在時
でも場所を指定して置き配してもらうことが可能です。
オートロック付きのマンションで置き配を利用する方法
前述したようにオートロック付き集合住宅では、不在時に配達員が建物内に入れないため、置き配することはできません。しかし昨今では、オートロック付き物件でも置き配できるサービスが増えています。これらサービスは、個人で導入するマンションも増えています。
ここではオートロック付きマンションで不在時でも置き配が利用できるサービスを紹介します。
株式会社ライナフ『スマート置き配』
画像:株式会社ライナフ『スマート置き配』
『スマート置き配』は、株式会社ライナフがオートロック付きマンションのオーナーや管理会社向けに提供している、置き配対応サービスです。
スマート置き配と提携した配達会社がエントランスのオートロックを解錠し、置き配を希望した場合のみ、配達先の玄関前など指定された場所に置き配をおこないます。
オートロック解錠用のデジタルキーは、スマート置き配専用で1回しか使用できません。またオートロックの解錠履歴を各配達サービスが管理するためセキュリティ面も安心です。
ヤマト運輸『EAZY』
画像:ヤマト運輸『EAZY』
ヤマト運輸が提供する『EASY(イージー)』は、デジタルキーを活用した置き配サービスです。
配達直前まで直前まで受け取り方法の変更ができ、置き配場所の選択肢が多く、置き配完了後は配達時の写真付きのメールを送信してくれます。
また、デジタルキーによる解錠は荷物1つにつき1回のみなのでセキュリティ面も安心です。
ただし、『EASY(イージー)』を利用する際はマンションのオーナーや管理会社が事前にオートロックの解錠を許諾している必要があります。またEAZYを利用できるのは提携したECサイトやフリマサイトの荷物のみになります。
【EAZY利用可能ECサイト・フリマサイト】
- Amazon(クロネコメンバーズのみ)
- メルカリ
- Yahoo!ショッピングの一部ストア
- ニッセン
- Yahoo!フリマ
- Yahoo!オークション
- アンダーアーマー
- ZOZOTOWN
- LOHACO
- .st(ドットエスティ)
- 再春館製薬所
- ユニクロ
- ジーユー
- ハンコヤドットコム
- サウンドハウス
- LOCONDO(ロコンド)
- 無印良品
なお、提携したECサイトやフリマサイトであっても、高額商品や特定の商品カテゴリなどによっては利用できない場合があります。置き配を指定する場合は注意しましょう。
置き配の指定場所を工夫する
オートロックを解錠できない場合、駐輪場の自転車かごやマンションの受付など、オートロックを解錠しなくても立ち入れる場所へ置き配してもらうことも可能です。
ただし、その場合はだれでも立ち入りが可能な場所となるため、荷物の盗難リスクや破損リスクが高まります。
対策方法としては、自転車に置き配用のバッグを鍵付きワイヤーで固定するなどの工夫が必要です。
コンビニ受け取り・マンション以外の宅配ボックスの利用
置き配の指定はできないが再配達は避けたい、当日中に荷物を受け取りたい場合は、自宅近くのコンビニや最寄り駅に設置された宅配ボックスなどの利用を検討しましょう。
深夜・早朝など配達時間外でも利用できるため、在宅時間が不規則で配達時間内に在宅できない人におすすめです。
ECサイトで商品の注文時、または宅配会社から荷物のお届け通知がきた際に、コンビニの店舗や提携している宅配ボックスを受取先に指定するだけと手続きも簡単です。
受け取りの際は荷物のお問い合わせ番号や専用認証キーなどが必要なためセキュリティ面でも安心です。
置き配ではありませんが、置き配代わりの受け取り方法として知っておくと便利です。
オートロック付きマンションで置き配を利用する際の注意点
オートロック付きマンションで置き配を利用する際は以下の点に注意が必要です。
ハッキングによる不正開錠の可能性
今回紹介した『スマート置き配』や『EASY』は、デジタルキーを利用してマンションのオートロックシステムを解除してマンション内に入り、玄関に置き配をするという仕組みです。そのためハッキングの可能性はゼロではありません。
ただし、デジタルキーを活用した置き配サービスは開始されてから日が浅いこともあり、現況ではハッキング被害の報告はあがっていません。かといって、今後もないとは言い切れないのが実状です。
またハッキングによってオートロックが不正開錠されても、すぐに犯罪に結びつくわけでもありません。
そもそもオートロックがあっても、共連れ(住人の後ろについて一緒に館内に入り込む)のように部外者が不正に入館することは可能です。
大事なのはオートロックのセキュリティを過信せず、各住戸の施錠をしっかりとおこなうことが、最大の防犯対策につながります。
置き配した荷物の盗難
置き配で一番心配なのが、荷物の盗難です。さまざまな人が行き来する共用廊下などに置き配指定をした場合、盗難にあう可能性もあります。
置き配にした荷物が盗まれた場合、基本的には荷受人の自己責任とされています。
原則として宅配業者やECサイトなどは補償義務を負わないとされていますが、ECサイトや配送会社などに連絡し、補償の制度があるかどうかを確認してみましょう。
たとえばAmazonは、置き配された商品がなくなった場合、再送または返金による補償をしています。
また置き配の盗難などの損害をカバーする保険も登場しています。
置き配の利用率が高い人は、保険の加入を一度検討してみてもいいでしょう。
まとめ
置き配需要が高まるなか、オートロック付きマンションに向けた置き配サービスの提供もすすんでいます。
しかし置き配には盗難や破損といったリスクも伴うため注意が必要です。
万が一盗難などにあっても、基本は荷受人の自己責任となるため、不安な場合はAmazonなどの置き配盗難時の補償があるECサイトを利用したり、置き配保険を検討したり、自衛することも大事です。
2024年問題に向けて、個人のレベルでも再配達率を削減するためにも、上手に置き配を活用しましょう。
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