アパートの賃貸経営とは?メリットや賃貸マンション経営との違いについて徹底解説
賃貸経営を検討中の人のなかには、アパート経営とマンション経営のどちらをおこなえばよいか迷っている人もいるでしょう。不動産投資としてよく比較されるアパート経営とマンション経営は、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は不動産投資や土地活用方法としても人気のアパート経営について、メリットとリスクをはじめ、成功に導く事前準備のポイントや建築会社の選び方など、徹底的に解説します。
またアパート経営にかかる税金の種類も紹介しています。
これから賃貸経営を始める人はぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.アパート経営とは?
- 1.1.アパート経営とマンション経営の違いは?
- 1.2.不動産投資(アパート経営)と株式投資はどう違う?
- 1.2.1.違い①投資開始時の借入金の有無
- 1.2.2.違い②メインとなる収入の種類が違う
- 1.2.3.違い③管理方法
- 1.3.アパート経営に向いているのはどんな人?
- 2.賃貸経営でアパートを選ぶ3つのメリット
- 2.1.固定資産税や相続税の節税につながる
- 2.2.長期間安定した収入を得られる
- 2.3.定年後の生活資金になる
- 3.アパート経営のおもな3つのリスクと対策方法
- 3.1.空室リスクと対策方法
- 3.2.修繕リスクと対策方法
- 3.3.災害リスクと対策方法
- 4.アパート経営の成功は準備段階が重要
- 4.1.アパート経営をおこなう目的を明確にする
- 4.2.アパート経営に必要な知識を身に付ける
- 4.3.入居ターゲットを決める
- 4.4.厳密な収支計画を立てる
- 4.5.相続前提の場合、関係者との話し合いをしておく
- 5.アパートの建築会社の選び方と建築期間の目安
- 5.1.建築会社の選び方
- 5.2.建築会社を選ぶ際のチェックポイント
- 5.2.1.必要な費用の総額
- 5.2.2.希望通りの設計になっているか
- 5.2.3.信頼できるか会社か
- 5.2.4.担当者は信頼できるか
- 5.3.アパートの建築期間はどのくらい?
- 6.アパート経営を開始するまでに決めておきたい項目
- 6.1.入居者の募集条件を決定する
- 6.2.不動産管理会社を決める
- 6.3.収支計画の確認と再検討
- 7.アパート経営に必要な税金の種類
- 7.1.家賃収入に課せられる所得税と住民税
- 7.1.1.不動産所得における所得税の計算方法
- 7.1.2.不動産所得における住民税の計算方法
- 7.2.確定申告の基礎知識
- 7.3.不動産にかかる税金の種類
- 7.3.1.アパートの建築時にかかる税金の種類
- 7.3.2.アパートの保有時にかかる税金の種類
- 7.3.3.アパートの売却時にかかる税金の種類
- 8.まとめ
- 9.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
アパート経営とは?
「アパート経営」とは、アパートの部屋を第三者に賃貸して家賃を得る不動産投資方法のひとつです。
相続した土地などの活用方法のイメージが強いアパート経営ですが、建売の新築アパートや中古アパート物件を購入してアパート経営を始める人も増えています。
そんな人気のアパート経営とよく比較されるのが「マンション経営」です。
どちらも同じ賃貸経営ではありますが、アパート経営とマンション経営では異なる部分がいくつかあります。
また投資手法としてポピュラーな株式投資は、不動産投資であるアパート経営とはどのような違いがあるのでしょうか。
ここではアパート経営を紹介しながら、マンション経営や株式投資との違いを解説します。
アパート経営とマンション経営の違いは?
アパート経営は、基本的にアパート一棟を所有し、それぞれの部屋を第三者に貸し出して家賃収入を得ます。
一方マンション経営は、アパート経営と同様にマンション一棟を所有し賃貸する「一棟マンション経営」と、マンション内の1室を所有して賃貸する「区分マンション経営」の2種類にわかれます。
一棟マンション経営をおこなう場合、土地と建物を所有するため高額の費用が必要です。対して区分マンション経営は、マンションの1室を購入するだけなので一棟マンション経営と比べて安価で購入できるため、少額の自己資金ではじめることが可能です。
なおアパートとマンションを明確に区別する定義はありませんが、建物の構造や階数で区別するケースが多いです。
具体的には、次のような基準でアパートとマンションを区別されています。
- アパート:木造や軽量鉄骨造などで2〜3階建ての共同住宅
- マンション:RC造(鉄筋コンクリート造RC造)またはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)などで3階以上の共同住宅
またマンションは規模が大きく、一棟あたり数十戸以上というケースもめずらしくありません。一方アパートは一棟に多くても20戸程度と小規模な場合が多いです。
同じ一棟投資ではありますが、アパートの取得費(建築費や購入費用)に比べてマンションの取得費は高額になります。その分、自己資金も高額になるため、不動産投資初心者にはマンション経営よりもアパート経営をおすすめします。
不動産投資(アパート経営)と株式投資はどう違う?
ポピュラーな投資手法のひとつである「株式投資」は、アパート経営を含めた不動産投資とはどのような違いがあるのでしょうか。両者の大きな違いは、次の3点があげられます。
違い①投資開始時の借入金の有無
株式投資をはじめ、ほとんどの投資を始める際に必要となる資金は全額自己資金でまかなわなくてはなりません。そのため自己資金以上の投資はおこなえません。
しかし不動産投資は、収益物件の購入費用の大部分を金融機関から借りることが可能です。そのため不動産投資は「レバレッジ」を効かせた投資をおこなうことができるのです。
レバレッジとは「てこの原理」を指し、借入れたお金を投資に回すことで自己資金だけでは購入できない高額物件に投資し、より大きな収益を上げることができます。
また借入金の返済は毎月の家賃収入からおこないます。そのため上手に賃貸経営をおこなえば自分のお金を減らすことなく、ローン完済後の不動産の所有者になることもできるのです。
違い②メインとなる収入の種類が違う
アパート経営などの不動産投資のおもな収入源は、所有する収益不動産を貸し出して得る「家賃収入(インカムゲイン)」です。
短期間で大きな収益を得ることはできませんが、入居者さえいれば長期にわたって安定した家賃収入を毎月得ることができます。
不動産投資では、所有している不動産を売却して「売却益(キャピタルゲイン)」を得ることも可能です。しかし、比較的土地価格が安定している昨今では値上がりする土地の見極めがむずかしく、また売りたいときに売りたい価格で売れるとはかぎりません。
そのため不動産投資初心者には売却益を狙った不動産投資はリスクが高く、おすすめできません。
一方株式投資でメインの収入となるのは、保有する株式を売却することで得られる売却益(キャピタルゲイン)です。
株式投資は、株価が高くなることを期待して株を購入し、実際に高くなったタイミングで売却して売却益を得る、という流れを繰り返すことで利益を大きくしていくのが一般的です。
また株式は短期間で株価が大きく変動することもめずらしくありません。購入時の価格よりも大きく値上がりしたタイミングで株を売却できれば、短期間で大きな収益を得ることも可能です。
なお、株式投資でも配当金や株主優待を目的として株を保有することもできます。
違い③管理方法
株式投資では、株式の購入後は株価や市況のチェックなどを自らおこない売買のタイミングを見計らいながら株式を保有しますが、株式そのものには特別な管理などは不要です。
一方不動産投資では、賃貸経営中はアパートやマンションの建物・設備の管理をおこない、入居者に対しても適宜対応する必要があります。
退去者が出れば、室内クリーニングなどをほどこし、新規入居者の募集をおこなわなければなりません。
ただし、不動産投資における建物管理や入居者管理は、不動産専門の管理会社に業務委託することが可能です。
業務委託するためには管理委託手数料が必要ですが、大家さんの負担を大幅に軽減できます。特に本業を持つサラリーマン大家さんにとって管理会社は強い味方です。
管理全般を専門家に委託してしまえば、株式投資などほかの投資よりも手間も負担もかからないでしょう。
アパート経営に向いているのはどんな人?
アパート経営はだれにでもおこなえる投資方法です。
しかし、下記の条件のいずれかに該当する土地を所有している場合はアパート経営に成功する可能性が高く、言い換えればアパート経営に向いていると考えられます。
- 最寄り駅から徒歩10分圏内である
- 周辺に大学・企業・工場などの大規模施設がある
- 環境の良い住宅街の中にある
- 周辺にスーパーや飲食店など、生活利便施設がある
上記はいわゆる「好立地」と呼ばれ、アパート経営で成功するためには欠かせない要素のひとつです。もちろんこれらの条件以外にも注目すべき点はありますが、所有している土地が当てはまる場合は、一度アパート経営を検討してみましょう。
賃貸経営でアパートを選ぶ3つのメリット
アパート経営をおこなうことでさまざまなメリットが得られます。ここではアパート経営で代表的なメリットを3つ紹介します。
固定資産税や相続税の節税につながる
不動産投資をおこなうことで、固定資産税や相続税の節税効果が見込めます。
固定資産税の節税
アパート経営をおこなうことで「小規模住宅用地の特例」に適用されるため、固定資産税を安くできます。この特例では、住宅用地のうち一戸当たり200㎡までの部分について課税標準額が1/6に減額されます。
相続税の節税
相続税は、相続財産の「相続税評価額」によって相続税額が決まります。
現金や株式の相続税評価額は額面通りですが、不動産で相続した場合の評価額は時価よりも2割~3割程度安く評価されます。
さらに相続する土地にアパートなどの賃貸用建物が建っている場合は、「小規模宅地等の特例」の適用により、アパートが建築されている宅地は200㎡を限度として評価額が50%減額されます。
このように相続する土地でアパート経営をおこなうことで、同額の現金などで相続する場合に比べて相続税の節税効果が期待できます。
長期間安定した収入を得られる
アパート経営は、入居者さえいれば、毎月安定した家賃収入を長期にわたって得ることが可能です。
また区分マンションや戸建て賃貸など1戸だけに投資した場合、入居者がいなければ家賃収入はゼロ円です。
しかし複数の部屋を賃貸するアパート経営は、たとえ1室が空室になってもほかの部屋に入居者がいれば家賃収入がゼロ円になることはありません。
定年後の生活資金になる
前述したようにアパート経営は、長期にわたって安定した収入を得られ、節税にもつながります。そのため老後の生活資金作りにも適していると考えられます。
特に若いうちからアパート経営をおこなって定年を迎える前にローンを完済できれば、家賃収入のほとんどを自由に使うことも可能です。
またアパート経営が順調であれば、家賃収入の一部を貯めて、物件の買い増し費用とすることもできるでしょう。
アパート経営のおもな3つのリスクと対策方法
魅力的なメリットのあるアパート経営ですが、投資である以上リスクは避けて通れません。しかしアパート経営をはじめ不動産投資のリスクは、ほかの投資方法に比べるとあらかじめ対策を立てやすく、リスクを最小におさえやすいのが特徴です。
ここではアパート経営のおもなリスクを3つ、それぞれ対策方法とともに解説します。
空室リスクと対策方法
アパート経営のおもな収入源は入居者が支払う家賃です。そのため空室が長引くと家賃収入が減少してしまうため、できるだけ早く入居者を見つけなくてはなりません。
もし空室期間がつづく場合は適切な方法で空室対策をおこなう必要があります。
まずは、客付けに強い仲介会社と契約することをおすすめします。
それでも空室が埋まらない場合は、空室の原因を探り、原因に合った対策をおこないましょう。
たとえば築年数の経過による賃貸需要の低下であれば、最新設備を導入したり、キッチンやトイレ・ユニットバスを交換したり、入居ニーズにあったリノベーションなども検討しましょう。
リフォーム費用を抑えたい場合は、外国人や高齢者を受け入れるなど入居条件を緩和することで空室対策につながりやすくなります。
また周辺の競合物件の家賃相場を調査して、相場よりも家賃設定が高い場合は値下げも視野に検討しましょう。
修繕リスクと対策方法
アパート経営では、築年数の経過とともに建物や設備が老朽化し、故障や不具合が増えるため修繕や交換が必要になるため、修繕費が大きくなりやすく、キャッシュフローが圧迫されるおそれがあります。
またアパートの資産価値を保つために、10年~15年周期で外壁塗装や屋根の葺き替え、配管の交換といった大規模修繕工事をおこなう必要があります。
これを修繕リスクと言います。
これら修繕リスクの対策方法としては、大規模修繕を含めた長期的な資金計画を考えておくことが大事です。また大規模修繕工事費用だけでなく、日常的な修繕工事費用も毎月の家賃から少しずつ積立てをしておくと安心です。
災害リスクと対策方法
災害の被害を受けてしまうと、アパート経営を継続できなくなるおそれもあります。
たとえば、木造アパートはRC造のマンションと比べると火に弱く、火災になった場合は大きな被害が予想されます。
地震大国である日本では、どこであっても地震の被害に遭う可能性が高く、近年では風水害などの自然災害も増えています。
こういった火災や自然災害に備えて、火災保険や地震保険にはかならず加入しておきましょう。その際は地域のハザードマップでどのような災害の可能性が高いのかを確認しておくと補償範囲を検討する際の参考になります。
また中古のアパート物件を購入する際は、1981年以降の改正された新耐震基準で建てられた物件を選ぶことをおすすめします。
アパート経営の成功は準備段階が重要
アパート経営の成功は、アパート経営を開始する前の準備段階が非常に重要です。ここではアパート経営の準備段階でおこなうべき4つのポイントを解説します。
アパート経営をおこなう目的を明確にする
まず、アパート経営をおこなう目的を明確にしましょう。それによって、目指す方向性や達成すべき目標が異なってきます。
たとえば、相続税や固定資産税の節税目的、老後の資金を作りたい、〇年後までに△△万円貯めたい、などできるだけ具体的な目的を決めましょう。
目的をあいまいにしたままアパート経営をはじめてしまうと、想定した収益を得られなかったり、節税効果が薄かったり、失敗につながるおそれもあるため注意が必要です。
アパート経営に必要な知識を身に付ける
アパート経営の目的を決めたら、アパート経営に関する知識を身につけましょう。
建築業者の選び方や物件の選び方、利回りなどお金に関する知識、管理方法、課せられる税金の種類など、賃貸経営に関連する知識は多岐にわたります。
賃貸経営に関する知識が不十分なままアパート経営をはじめてしまうと、アパート経営に失敗するリスクが高まるため注意しましょう。
アパート経営(賃貸経営)の知識を身につけるには、次のような方法が一般的です。
- 市販の書籍を読む
- 不動産業者にヒアリングをする
- 大家さん同士の交流会に参加する
- セミナーに参加する
- インターネットで調べる
自分に合った勉強方法を見つけて、無理のない範囲で勉強するとよいでしょう。
入居ターゲットを決める
次に入居ターゲットを決める必要があります。
アパート物件を購入する場合は立地を自由に選べますが、所有する土地にアパートを建築する場合は、土地周辺の賃貸ニーズをリサーチしたうえでターゲットを設定しましょう。
たとえば、近隣に幼稚園や小中学校のある閑静な住宅街であれば、ファミリー層をターゲットにした間取りのアパートのほうが賃貸ニーズは高いかもしれません。
大学の近くならターゲットが学生なので1ルームや1kなどコンパクトな間取りにするなど、ターゲットに合った間取りや設備を考えましょう。
厳密な収支計画を立てる
アパート経営の多くは、アパートの建築費(購入費)の大部分を金融機関から借入れ、月々の家賃収入からローン返済をおこなうのが一般的です。そのためキャッシュフローがマイナスになればローンの返済がおこなえず、滞納がつづくとアパートを差し押さえられるおそれもあります。
そのような事態にならないためには、収支がプラスになるようにしっかりと収支計画立てることが大事です。
アパート経営の収支計画を立てる際は、次のポイントを明らかにしておく必要があります。
- 用意可能な自己資金額
- アパートローンの返済計画
- アパート建築(購入)に必要な初期費用(頭金、諸費用)
- アパート経営中に必要な維持費用(管理委託手数料、修繕費など)
- アパート経営で得られる不動産収入(家賃収入、礼金、更新料など)
まずアパートの建築費(購入費)によって、おおよその融資金額と必要な自己資金額が分かります。
アパート建築(購入)の費用面だけでなく、アパート経営を開始してからも維持費用や税金がかかります。想定した家賃額でキャッシュフローがプラスになるかどうか、厳密に収支シミュレーションをおこなうとよいでしょう。
相続前提の場合、関係者との話し合いをしておく
不動産所有者(被相続人)がなくなったあとで、相続人間でトラブルになるケースはめずらしくありません。特に相続人が複数いる場合は分配で揉めることも多いです。
そのため相続を前提としてアパート経営を始める際は、被相続人が亡くなったあとのアパート物件の相続について、関係者間でしっかりと話し合っておく必要があります。
またトラブルを防ぐためにも、被相続人は遺言書を作成しておくことをおすすめします。遺言書が残されていると相続の手続きをスムーズに進められるでしょう。
なお、確実に効力を持つ遺言書を作成するためにも、全国にある公証役場で公正証書遺言書を作成しておくと安心です。
アパートの建築会社の選び方と建築期間の目安
ここでは所有する土地にアパートを建築するケースを想定して、建築会社の選び方と建築期間のおおよその目安を紹介します。
建築会社の選び方
建築会社にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴を持ち、また一長一短があるため、「ここが良い、あそこは悪い」とは一概には言えません。
そのため、複数の建築会社から見積もりを取り、それらを比較検討したうえで、最終的に1社を選ぶことになります。
まずは建築会社の種類と、それぞれの特徴を見てみましょう。
地元の工務店
地域密着型の工務店は、そのエリアの情報が豊富です。また近隣であるため迅速な対応が期待できます。
建築費用は大手ハウスメーカーと比較すると安価なケースが多いですが、会社によって施工技術やアフターサービスにバラつきがあるため、かならず施工実績や口コミなどで評判の確認をおこないましょう。
ハウスメーカー
全国規模で営業展開しているため、対応エリアが広いため建築エリアを選びません。設計から完成までの施工の流れがシステム化されているため、施工から竣工までの期間が比較的短いのが特徴です。
また自社工場を持っているため安定した品質の建材を提供しています。
アフターサービスも充実しているため、はじめてのアパート建築でも安心できるでしょう。
一方で、広告・宣伝などが多いハウスメーカーの建築費は工務店に比べると高い傾向にあります。またアパートの規格が決められているため、自由度は低いです。
設計会社
設計の相談に乗ってくれるため、デザイン性の高いオリジナルのアパートを建築したい人におすすめです。
ただし、担当するのは設計のみの場合がほとんどなので、別に建築会社を探すか、設計事務所で紹介してもらう必要があります。
建築費とは別に設計費が発生するため、建築費の総額は高額になるケースが多いです。
建築会社を選ぶ際のチェックポイント
建築会社の種類が決まったら、最終的に建築を依頼する1社を選びます。ここでは、建築会社を選ぶ際の最終チェックポイントを紹介します。
必要な費用の総額
最終的に見込まれる建築費用の総額をチェックしましょう。見積りに記載された費用は建材のグレードと見合っているか、見積りとは別に追加費用が発生する可能があるかなどもあわせて確認します。
料金形態が不明瞭な建築会社は、見積りが安くても追加料金が加算される場合もあるため避けたほうが無難です。
希望通りの設計になっているか
完成した設計に不備があったり、余分なものが付いていたり、希望と異なる箇所がないか確認しましょう。設計図だけではわかりにくいためパンフレットの施工例を参考するか、モデルルームがある場合は直接見学して設備も実物を確認しておくと安心です。
信頼できるか会社か
アパート建築には高額な費用がかかります。そのため信頼できない建築会社に施工を任せるわけにはいきません。
信頼できるかどうかを判断するためには、実績や知名度、口コミなどを確認しましょう。
建築会社によっては、自社ホームページやパンフレットに施工実績の数字や満足度などを掲載しています。また口コミサイトなどの評判も参考にしましょう。
担当者は信頼できるか
建築会社の規模に関係なく、オーナーと直接やり取りをおこなう担当者が付くのが一般的です。連絡事項などはその担当者を通しておこなうため、担当者の能力や相性によって信頼度が変わります。
信頼できる担当者かどうか判断するためには、詳細なヒアリングをおこなったり、レスポンスの速さを計ったり、希望を汲んだ提案をしてくれるかなどをチェックしましょう。
アパートの建築期間はどのくらい?
アパート建築にかかる期間は、建物の構造によって異なります。一般的な2階建て木造アパートであれば、建築期間は3ヵ月~7ヵ月程度が目安です。
鉄骨造の場合は木造+1ヵ月程度、RC(鉄筋コンクリート造)であれば階数+3ヵ月~4ヵ月程度が目安になります。
ただし、上記はあくまでも目安です。建築予定の土地の状況や工事条件、天候などによって建築期間は変動します。また実際の建築期間とは別に、建物の設計期間を見込む必要があるほか、建築予定地に既存建物がある場合には解体撤去作業が必要です。
最終的な建築期間は建築会社からの正式なスケジュールを確認しましょう。
アパート経営を開始するまでに決めておきたい項目
ここではアパート経営を開始するまでに決めておきたい項目について解説します。
入居者の募集条件を決定する
アパートに住んでもらう人の属性を決定します。同時にペットや楽器演奏などを許可するかどうか、禁止事項の有無なども決めましょう。
入居条件を決める際は地域のニーズを参考にして、できるだけ多くの入居希望者に注目してもらえる条件にすることで、空室リスクをおさえることにつながります。
ただし、入居条件に制限を付けない場合、望まないタイプの入居者が集まる可能性もあるため、ある程度の入居条件の設定は必要です。
初めてのアパート経営であれば、管理会社と相談しながらベストな募集条件を決めましょう。
不動産管理会社を決める
アパート経営をおこなうには、建物の管理や賃貸管理をおこなう必要があります。アパートの管理は大家さんが自主管理することも可能ですが、管理業務は多岐にわたるため、その負担は大きいです。
特に入居者のクレーム対応は、緊急を要する場合も多く、早急な対応が求められます。そのためサラリーマンなど本業を持つ人には対応がむずかしい場合もあるでしょう。
そのため基本的な管理方針を決めたら管理会社と契約し、業務を委託するのがおすすめです。
管理会社によるアパートの管理形態には、大きく分けて次の3種類があります。多くの場合は、管理委託を選択します。
- 管理委託:管理会社に管理業務を委託する。オーナーと各入居者が賃貸借契約を締結する
- サブリース(パススルー型):管理会社とオーナー間で賃貸借契約を締結し、管理会社がアパートを一括で借上げ転貸する。毎月の家賃収入から一定の手数料を差し引いた額を管理会社からオーナーに支払われる
- サブリース(家賃保証型):管理会社とオーナー間で賃貸借契約を締結し、管理会社がアパートを一括で借上げ転貸する(パススルー型と共通)。空室の有無に関係なく、毎月一定額の賃料から手数料を差し引いた残りが管理会社からオーナー様に支払われる
収支計画の確認と再検討
募集条件や管理内容を決めたら、当初の収支計画に問題がないか再検討しましょう。収支計画に支障が見つかった場合は収支計画を見直しましょう。
実際のアパート経営が赤字にならないように、空室率を変えたり、維持費用額を変えたり、さまざまなパターンで収支シミュレーションをおこなうことが大事です。
アパート経営に必要な税金の種類
アパート経営をおこなうことで、さまざまな税金がかかります。
ここでは、アパート経営をおこなううえで納めなければならない税金の種類と税金の計算方法を解説します。
家賃収入に課せられる所得税と住民税
アパート経営で得た家賃収入に対しては、所得税と住民税が課されます。
ただし、家賃収入そのものが課税対象となるのではなく、年間の家賃収入からアパート経営にかかった年間の必要経費を差し引いた「不動産所得」に対して課税されます。
不動産所得 = 年間家賃収入 - 年間必要経費
不動産所得における所得税の計算方法
所得税額は、課税所得金額に応じた税率をかけてから、控除額を差し引いて求めます
所得税額 = 課税される所得金額(不動産所得) × 所定の税率 - 控除額
【所得税の税率】
引用:国税庁『No.2260 所得税の税率』
不動産所得における住民税の計算方法
住民税は、「所得割」と定額で課税される「均等割」の2種類を合算して納付します。
所得割は前年の所得に対して課税され、税率は10%程度(道府県民税・都民税4%+区市町村民税6%)ですが、自治体によって若干異なる場合があります。
均等割は全国一律で5,000円(道府県民税が1,500円、市町村民税が3,500円)です。
住民税は以下の式で計算します。
住民税額 = 課税される所得金額 × 10%(所得割税額)+ 5,000円(均等割)
確定申告の基礎知識
一定額以上の不動産所得がある場合、確定申告をおこなう必要があります。
確定申告は、毎年1月1日~12月31日の1年間に発生した所得について、翌年2月16日~3月15日までに申告し、納付すべき所得税額を確定・納付します。
ただし、サラリーマンがアパート経営をおこなっている場合、不動産所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありません。
なお、不動産所得が20万円以下の場合であっても住民税の申告をする必要があるため注意しましょう。
またアパート経営が、おおむね10室以上の規模で賃貸している場合「事業規模」とみなされるため「事業税」の課税対象となります。
確定申告の申告方法は「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。
白色申告は申請手続きが不要で、簡易簿記の帳簿のみで申請ができます。手軽におこなえるのがメリットですが、節税効果はほとんどありません。
青色申告は、事前に開業届を提出し「青色申告承認申請書」の提出が求められます。記帳は複式簿記でおこなわなければならず、手間はかかりますが節税面のメリットが大きいです。
特に青色申告特別控除は、要件を満たしているのであれば最大65万円の控除が受けられます。
そのほかにも青色事業専従者給与の経費計上できたり、繰越損失として赤字を最大3年間繰り越しできたり、節税効果が期待できます。
不動産にかかる税金の種類
所得税や住民税以外にもアパート経営には、さまざまな税金が課せられます。
ここでは、アパートの建築時・保有時・売却時に必要となる税金の種類をそれぞれ紹介します。
アパートの建築時にかかる税金の種類
不動産取得税:固定資産税評価額 × 4%
*ただし、特例により標準税率が軽減され、土地及び住宅:3%(2027年年3月31日まで)、住宅以外の家屋:4%となります。
登録免許税:固定資産税評価額 × 各税率
【各税率】
- 所有権移転登記:2.0%(1.5% 令和8年3月31日まで)
- 住宅用家屋所有権保存登記:0.4%(0.15% 令和9年3月31日まで)
- 住宅用家屋所有権移転登記:2.0%(0.3% 令和9年3月31日まで)
- 抵当権設定登記:0.4%(0.1% 令和9年3月31日まで)
印紙税:記載された契約金額によって異なる
アパートの保有時にかかる税金の種類
所得税:課税所得 × 税率 - 控除額
住民税:課税所得 × 10% - 控除額 + 均等割額
固定資産税:固定資産税評価額 × 1.4%
都市計画税:固定資産税評価額 × 0.3%
アパートの売却時にかかる税金の種類
譲渡所得 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特例控除
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率
譲渡所得税・住民税の税率は、物件の保有期間によって異なります。
【譲渡所得税率】
まとめ
アパート経営のメリットは、なんといっても入居者さえいれば長期にわたって安定した家賃収入を得られることです。上手に運用すれば、老後の生活資金を得るための強力な手段になります。
一方でアパート経営にはリスクもあります。ただアパート経営のリスクはあらかじめ対策が立てやすいケースも多く、リスクを最小に抑えることも可能です。
アパート経営を成功させるためには、目的を明確にしたうえでアパート経営の知識を身に付けて、収支計画をしっかりと立てることです。
アパート経営の管理業務は管理会社に業務委託できるため、サラリーマンのように本業を持つ人には負担の軽減につながります。
相続した土地の活用方法として、資産運用として、当記事を参考にアパート経営を検討してみてはいかがでしょうか。
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