賃貸経営で起こりうる7つのトラブルを紹介!それぞれの対処の仕方とは?
賃貸経営では、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
いずれのリスクも解決までに時間がかかると、さらなるトラブルの原因になったり、金銭的な損失につながったり、大家さんにとって大きなデメリットにつながるおそれがあります。
賃貸経営のトラブルを完全に避けるのはむずかしいですが、起こりうるトラブルと適切な対応方法を把握しておくことで損失を最小に抑えることは可能です。
そこで今回は、賃貸経営でよくある7つのトラブルを対応策とともに解説します。
またトラブルを防ぐためのポイントも紹介するので、賃貸経営トラブルが心配な大家さんは、ぜひ当記事を参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.賃貸経営でよくあるトラブル7選を対策方法付きで解説
- 1.1.入居申し込みの内容が虚偽だった
- 1.2.家賃滞納によるトラブル
- 1.3.ゴミ出しや騒音など入居者トラブル
- 1.4.原状回復費の支払いによるトラブル
- 1.5.空室の長期化
- 1.5.1.①家賃が相場より高い
- 1.5.2.②管理会社の客付け能力が低い
- 1.5.3.③物件の立地が悪い
- 1.5.4.④設備が古い
- 1.6.管理会社が原因で起きるトラブル
- 1.7.設備の故障などのトラブル
- 2.賃貸経営でトラブルを防ぐための3つのポイント
- 2.1.信頼できる管理会社に業務委託する
- 2.1.1.実績は豊富か
- 2.1.2.担当者の対応は良いか
- 2.1.3.経営状況は安定しているか
- 2.2.管理会社に任せきりにしない
- 2.3.トラブル対応は迅速におこなう
- 3.まとめ
- 4.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
賃貸経営でよくあるトラブル7選を対策方法付きで解説
賃貸経営をおこなっていると、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。トラブルを放置すると問題がさらに大きくなったり、入居者の退去につながったり、大家さんにとってデメリットになりかねません。
そのためトラブルが発生した場合、できるだけ迅速な対応が必要です。ではトラブルが起きた際は、どのような対応をおこなえばよいのでしょうか。
ここでは賃貸経営でよくある7つのトラブルとその対処方法を解説します。
入居申し込みの内容が虚偽だった
入居者が記載した入居申込書の内容が虚偽だと発覚するケースは少なからずあります。ただ、入居者がきちんと毎月の家賃を払い、トラブルなどを起こさずに生活している分には発覚しづらいです。
問題は、家賃滞納や入居者トラブルなどが発生した際に、入居申し込みが虚偽だった場合です。
大家さんとしては「虚偽の申告があったので賃貸借契約を解除したい」と思いますが、残念ながら、一度賃貸借契約をしてしまうと虚偽の申告があったとしても、一方的に契約を解除するのはむずかしいのが実状です。
ただし、賃貸借契約書に「賃貸借契約に虚偽申告があった際は契約を解除する」という内容を記載してある場合は契約を解除することが可能です。
また虚偽の申告の多くは、勤務先や収入など入居審査に関わる項目がほとんどです。そのため、入居申し込み時には本人の申告だけではなく、源泉徴収表や健康保険証などの提出・提示を求めたうえで申告内容が正しいかどうか確認しましょう。
家賃滞納によるトラブル
家賃の滞納は、賃貸経営においてめずらしくないトラブルのひとつですが、ひとたび起きると長引く可能性があるため、決しておろそかにはできません。
単に入居者が家賃の支払いを忘れていたのであれば催促すれば解決しますが、問題なのは「支払い能力がない」や「支払う気がない」ケースです。
「家賃を滞納するなら退去してもらえばよいだけなのでは?」と考える大家さんも少なくなくありませんが、残念ながら賃貸借契約を解除するのはそう簡単ではありません。
なお大家さんは家賃を滞納した入居者に対して家賃を督促することが可能ですが、手段によっては違法行為となってしまうおそれがあるため注意が必要です。
家賃滞納を理由に退去してもらう場合、以下のような手順を踏んだうえで法的措置をおこなう必要があります。
- 家賃滞納が発覚した時点で口頭や手紙で支払いを催促する
- 連帯保証人に連絡する
- 内容証明郵便で催告をおこなう
- 契約解除を通知
- 明け渡し請求の訴訟
- 強制執行
上記の手順を踏みながら、4の契約解除の通知を発送する時点で3ヶ月分程度の家賃滞納があれば、賃貸借契約の法定解除が認められるのが一般的です。
なお家賃滞納発覚から強制執行までの平均期間は5ヶ月~7ヶ月程度かかります。
また家賃滞納から強制執行までにかかる費用は、ワンルームマンションで60万円ほどが目安です。これに別途弁護士への報酬が必要です。
強制執行明け渡し訴訟の費用や強制執行費用は入居者に請求できますが、流れから考えて、強制執行にかかる費用は一旦大家さんが立て替えて、手続き後に入居者へ請求することになります。
ただし、入居者の支払い能力によっては回収がむずかしいケースもあります。さらに入居者が自己破産してしまった場合、自己破産前の滞納した家賃の支払いは免責となるため注意が必要です。
このように家賃滞納トラブルは大家さんにとって、金銭的・精神的・時間的な負担が非常に大きいです。
そのため家賃滞納トラブルへの対処方法は「家賃滞納を発生させない」のが一番です。
入居審査の基準を厳しく設定し、十分な支払い能力の有無だけでなく、服装や話し方・態度を参考に人柄なども判断しましょう。入居後のトラブルを抑えるためにも、素行が悪そうな人は入居を断るなどの対策をおこないましょう。
さらに家賃滞納を防ぐ効果的な方法のひとつとしておすすめなのが、「家賃保証会社」の利用です。
家賃保証会社とは、契約した入居者の家賃の支払いを大家さんに保証するサービスです。
万が一入居者の家賃滞納があったとしても、滞納された家賃や強制執行の費用を入居者に代わって家賃保証会社が立て替えてくれるため、大家さんは損害を受けずに済みます。
なお家賃保証会社との契約料は入居者が負担しますが、最近では家賃保証会社との契約を入居条件にするケースも増えているため、入居者の理解も高まっています。
大事な収入源である家賃を確実に確保するためにも、家賃保証会社の利用をおすすめします。
ゴミ出しや騒音など入居者トラブル
アパートやマンションなど、複数の他人が生活している賃貸物件では入居者のマナー違反などが原因で発生するトラブルも多いです。
おもな入居者トラブルには以下のようなものがあります。
- 騒音:大音量の音楽、足音、深夜に騒ぐなど
- におい:室内やベランドにゴミを放置しているなど
- 禁止事項を守らない:喫煙する・ペットを飼うなど
- ゴミ出しのマナー違反:指定日以外のゴミ出し、共用部に粗大ごみを放置するなど
こういったトラブルの多くは、ほかの入居者からの苦情を受けて発覚するケースがほとんどです。そのため対処が遅れたり、解決に至らなかったりした場合、苦情を言った入居者が退去してしまうケースも多いため、迅速な対応が求められます。
入居者トラブルは、まず現状の確認が大事です。
特に騒音などは人によって感じかたはさまざまなため、一部の入居者からのクレームだけで判断せず、実際の音を確認したうえで原因を突き止め、どういった対策をおこなうか検討するとよいでしょう。
騒音やにおい、ゴミ出しマナーなど物件全体に関係するトラブルの場合は、文書などで入居者全体に注意喚起をおこないましょう。それでも改善が見られない場合は、個別で連絡をするなどの対応が必要となります。
なおペットの飼育など、特定の入居者だけが該当する場合は、その入居者のみに通知します。
入居者のマナー違反などのトラブルを防ぐのは非常にむずかしいです。対策方法としては、家賃滞納と同じように入居審査をきびしくおこなうことです。
特に頻繁に転居している場合は、なんらかのトラブルが原因で転居を繰り返している可能性も考えられます。
入居審査は、経験豊富な管理会社と連携して入居希望者を見きわめましょう。
原状回復費の支払いによるトラブル
退去後、原状回復費の負担割合でトラブルになるケースもよくあることです。
基本的に原状回復費用については、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に沿って、敷金から原状回復費用を敷金から差し引くことが可能です。
問題は敷金なしで入居した場合、退去者が「お金がない」などの理由で原状回復費用を支払ってくれないケースです。
この場合、まずは口頭なので請求をおこない、支払いがされない場合は内容証明郵便で請求をしましょう。ただし、記載した内容によっては大家さんに不利となってしまう可能性もあるため、できるなら内容証明郵便を送る場合はあらかじめ弁護士へ相談すると安心です。
それでも支払いがされない場合は、弁護士からあらためて請求してみましょう。弁護士から請求をすることで支払ってくれるケースもあります。
弁護士から請求をしても支払いがない場合は、原状回復費用支払を求めて調停を申し立てることになります。調停による解決がむずかしい場合は訴訟を提起することも可能です。
ただ、調停や訴訟になった場合、原状回復費用を回収したとしても弁護士費用(+成功報酬)のほうが高額になるケースも考えられるため注意しましょう。
こういったトラブルを避けるためには入居時の敷金をしっかりと設定し、退去者が納得できるよう、国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に沿って原状回復費の負担割合を明らかにしておきましょう。
空室の長期化
アパートやマンションなどの賃貸経営のおもな収入源は、入居者から受け取る家賃です。そのため空室になると家賃収入が減ってしまいます。
空室期間が長くなればなるほど収入が減少し、ローン返済に手元資金から持出しが発生したり、最悪の場合は収益物件を差し押さえられたりするため、できるだけ早く空室の原因を突き止めたうえで空室を埋める必要があります。
空室が長期化する理由はさまざまですが、おもに次の4つの原因が考えられます。それぞれの原因に見合った対策をおこないましょう。
①家賃が相場より高い
長期入居者が退去後、昔の家賃相場のまま入居者を募集した場合、現在の家賃相場にそぐわないケースがあります。
周辺の家賃相場を調査し、相場よりも明らかに高額な場合は家賃を相場程度まで引き下げることで入居につながりやすくなります。
②管理会社の客付け能力が低い
管理会社にも得意分野があります。管理会社の営業力が低いと感じたら、ほかの管理会社に変更するのも解決方法の必要です。管理会社を選ぶ際は、入居率などの実績を確認しましょう。
③物件の立地が悪い
賃貸経営の成功の可否は、物件の立地に大きく左右されます。駅から遠い物件や周辺にコンビニなどがないなど、立地条件が悪いと入居は付きにくいです。
この場合は募集条件の緩和(高齢者や外国人を受け入れ可、ペット可、楽器可 など)することで、周辺の競合物件との差別化につながりやすいです。
④設備が古い
室内設備(エアコン、トイレ、キッチンなど)が古く、見劣りする場合は新しい設備に入れ替えることで入居に結び付きやすくなります。
また入居者ニーズの高い設備(インターネット無料、宅配ボックス、モニター付きインターホンなど)を導入するのも効果が期待できます。
管理会社が原因で起きるトラブル
賃貸経営のトラブル対応で、大家さんの強い味方になってくれる管理会社ですが、管理会社選びを間違えてしまうとトラブルの解決どころかさらなるトラブルにつながるケースもあるため注意が必要です。
特に以下のような管理会社には注意が必要です。
- 管理会社が営業活動をおこなっていない、そもそも営業力がない
- 入居希望者からの問合せや申込時の対応が悪かったり、遅かったりする
- 入居審査が適切ではない
- 物件の掃除や管理がずさんで、汚れや傷みが目立つ
- 入居者からのクレーム対応が遅い
- 連絡や報告などがほとんどない
- 管理委託手数料が高い
上記のいずれかに当てはまる場合は、管理会社の変更を検討しましょう。
特にオーナーチェンジ物件の場合、管理会社もそのまま引き継ぐケースも多いです。
いずれにしても、管理会社に不満に感じる部分が多いときは、あらためて管理会社を探して変更することで、さまざまなトラブル防止につながるでしょう。
設備の故障などのトラブル
故障した設備の修理費用や交換費用の負担で入居者トラブルになるケースがあります。
基本的に設備の修繕・交換に関する費用は、貸主である大家さんが負担します。ただし、故障や破損の原因が入居者にある場合はそのかぎりではありません。
もし故障の原因が入居者の使い方に問題があった場合は、修理や交換費用は入居者の負担となりますが、その場合は入居者の使い方に問題があったことを明示しなくてはなりません。
そのため、設備の故障が発生した場合は、その原因の調査と修繕の手配を迅速におこなう必要があります。入居者からも故障に至った原因をヒアリングしたうえで、入居者の使用方法が原因であれば、費用負担について納得してもらえるよう説明しましょう。
賃貸経営でトラブルを防ぐための3つのポイント
ここでは賃貸経営でよくあるトラブルを防ぐためのポイントを3つ紹介します。
信頼できる管理会社に業務委託する
賃貸経営のトラブルの多くは、管理会社が対応してくれます。そのため、迅速かつ適切な対応をしてくれる信頼できる管理会社を選びましょう。
また管理会社の入居者対応が素早く丁寧だったり、物件の清掃が行き届いたり、既存の入居者が気持ちよく暮らせる環境であれば長期入居につながる可能性が高まります。
しかし、管理会社の対応が悪かったり、清掃などが不十分だったりすると、退去者が増えてしまうケースもあるため注意が必要です。
健全な賃貸経営には信頼できる管理会社は欠かせません。管理会社を選ぶ際は、次のポイントをチェックしてみましょう。
実績は豊富か
これまで管理した物件数、入居率、顧客満足度などをチェックしましょう。管理会社によっては自社ホームページなどに管理実績としてデータを掲載しています。掲載がない場合は、直接確認してみましょう。
担当者の対応は良いか
管理会社の担当者の対応(レスポンスは早いか、密に連絡をくれるかなど)をチェックしましょう。
レスポンスが早く、こまめにホウレンソウをしてくれる担当者であれば、なにかあったときには迅速な対応が期待できます。
経営状況は安定しているか
管理実績が豊富でも経営が安定していない管理会社には、業務委託すること自体が不安になるでしょう。
管理会社の経営状態が悪化すれば、集金した家賃を大家さんに振り込むのが遅れたり、最悪のケースでは振り込まれないまま倒産したりするおそれもあります。
管理会社を選ぶ際は会社の経営状態に問題がないか、かならずチェックしましょう。
管理会社に任せきりにしない
管理を委託している場合でも、賃貸経営は大家さん主体でおこなう必要があります。
管理会社に任せきりで大家さんの目が届かない場合、たとえば建物のメンテナンスや清掃がおろそかになったり、不適切な入居者の選定につながったり、収益性や資産価値の低下を招く原因になりかねません。
信頼できる管理会社であっても、物件所有者は大家さんです。定期的に物件の管理状況や問題点の有無などを確認し、管理会社との信頼関係を築くことが大事です。
トラブル対応は迅速におこなう
賃貸経営のトラブルは放っておいても解決しないばかりか、時間の経過とともに悪化するおそれがあります。
入居者間のトラブルなら入居者が不満から退去したり、家賃滞納トラブルであれば滞納期間が長期化したり、いずれも収入の減少につながります。
そのため、トラブルが発生した場合は連絡を受けたらすぐに対応し、迅速な解決を心がけましょう。
トラブルを早期解決できれば入居者の心証が良くなり長期入居につながったり、最短で家賃滞納者の退去や家賃回収をおこなえたり、被害を最小におさえることも可能です。
トラブルが発生した際は、迅速に対応するようにしましょう。
まとめ
賃貸経営をおこなううえでトラブルを完全に避けることはむずかしいです。しかし、よくあるトラブルとその対処法について理解しておくことで、トラブルが発生した際に適切な対処をとることができ、損失や被害を最小に抑えることにつながります。
また賃貸経営のトラブルの解決には、管理会社の存在が欠かせません。大家さんと管理会社が連携してトラブル対策にあたり、迅速に解決することで、安定した賃貸経営へとつながるでしょう。
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