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大家さんが加入するべき火災保険とは?保険料相場や選び方を解説



賃貸経営をおこなう大家さんにとって、火災や自然災害のリスクから目を逸らすわけにはいきません。これらリスクを最小に抑えるために必要なのが火災保険への加入です。
 
しかし火災保険の補償内容にはさまざまなものがあり、どの補償を選べばよいかわからないという大家さんも少なくありません。
 
そこで今回は、賃貸大家さん向けの火災保険について、特約の種類や補償内容、傘保険の選び方について解説します。また保険料の相場も紹介するので、ぜひ参考にしてください。


目次[非表示]

  1. 1.賃貸物件の大家様が加入すべき火災保険とは?
  2. 2.賃貸物件の大家さんが火災保険に加入するべき3つの理由
    1. 2.1.建物の火災リスク軽減のため
    2. 2.2.自然災害のリスク軽減のため
      1. 2.2.1.火災・落雷・破裂・爆発による損害
      2. 2.2.2.風災・雹災・雪災による損害
      3. 2.2.3.水災による損害
      4. 2.2.4.地震・津波による損害
    3. 2.3.上記以外の要因で建物に損害があった場合
      1. 2.3.1.水濡れによる損害
      2. 2.3.2.物体の落下・飛来・衝突による損害
      3. 2.3.3.盗難による損害
      4. 2.3.4.騒擾・集団行動等に伴う暴力行為による損害
      5. 2.3.5.予測できない事故が原因の破損や汚損
      6. 2.3.6.その他の損害
  3. 3.賃貸物件の大家さんが火災保険の選ぶ際のポイント
    1. 3.1.賃貸物件のリスクに応じた補償範囲で選ぶ
    2. 3.2.賃貸物件のリスクに応じた補償内容で選ぶ
  4. 4.賃貸物件の大家さんが加入しておくと安心な火災保険特約
    1. 4.1.建物管理賠償責任特約
    2. 4.2.家賃収入特約
    3. 4.3.家主費用特約
  5. 5.賃貸物件の入居者に加入してほしい火災保険特約
    1. 5.1.借家人賠償責任特約
    2. 5.2.個人賠償責任特約
  6. 6.賃貸物件の火災保険加入は義務なのか?
    1. 6.1.融資を利用した場合には火災保険の加入が条件となる
  7. 7.賃貸物件の大家さんが加入する火災保険の保険料相場
  8. 8.賃貸物件の大家さんにおすすめの火災保険
  9. 9.火災保険と火災共済の違い
  10. 10.まとめ
  11. 11.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧


賃貸物件の大家様が加入すべき火災保険とは?

「火災保険」は、賃貸経営をおこなっている大家さんにおすすめの保険です。
火災保険という名称ではありますが、じつは火災以外のさまざまな災害によって受けた損害に対して補償されます。万が一に備えて、ぜひ加入しておきましょう。
 
火災保険の主な補償対象となる災害は次のようなものがあります。

  • 火事
  • 台風や水害などの自然災害
  • 水漏れなどの事故
  • 盗難

 
なお火災保険の補償対象は「建物」と「家財」にわけられ、建物を補償する火災保険には対象となる賃貸物件の大家さん(貸主)が加入します。
電化製品や家具、日用品といった家財を補償する火災保険には、入居者(借主)が加入するのが一般的です。
 
また火災保険は、「基本的に補償される災害」と「特約で保証される災害」にわかれており、特約は任意で加入することが可能です。


賃貸物件の大家さんが火災保険に加入するべき3つの理由

火災や自然災害などで建物が損傷した場合、高額の修繕費が発生する可能性があります。
また損傷の程度によっては、賃貸経営の継続がむずかしくなり、家賃収入が途絶えるおそれも考えられます。
火災保険は、こういった災害や事故によるリスクをカバーできる唯一の手段です。
 
なお火災保険には、基本となる補償と、任意で付けられる特約による補償にわかれます。必要に応じた特約を付けることで、より手厚い補償を受けることも可能です。
 
ここでは、大家さんが火災保険に加入する理由を3つ紹介します。


建物の火災リスク軽減のため

火災や落雷、破裂・爆発が原因で、建物の一部または全部が焼失、もしくは破壊されてしまったときに保険金が支払われます。火災保険の基本となる補償です。
 
また消火作業の際に放水で生じた水濡れによる損害も補償に含まれます。
所有する建物が火元の火災だけでなく、隣家で発生した火災によって被害を受けた場合にも保険金が支払われます。
 
隣家の失火が原因で建物が被害を受けた場合であっても、「失火責任法」により隣の建物の所有者に損害賠償を請求できません。火災保険に入っていない場合は、全額を大家さん負担で修理などをおこなわなければならないため注意が必要です。


自然災害のリスク軽減のため

自然災害が原因で建物が損害を受けた場合に補償を受けることができます。補償の対象となるおもな自然災害は下記のようになります。


火災・落雷・破裂・爆発による損害

前述したように、火災保険の基本となる補償です。
火災、落雷、破裂・爆発(気体または蒸気の急激な膨張を伴う破壊、その現象)により、建物の一部または全部が、焼失または破壊されたときに保険金が支払われます。


風災・雹災・雪災による損害

台風や突風、竜巻、暴風などの風災により、屋根が飛んだ、風圧で窓ガラスが割れたなどの場合に補償される特約です。
ただし、開いていた窓から吹き込んだ雨や雨漏りによって生じた損害は補償されません。
 
雹災とは雹(ひょうが降った際に屋根や窓ガラスが破損した場合をいいます。雪災とは雪の荷重や落下、雪崩による事故のことです。
ただし、雪が解けた際の水が原因の洪水や、漏入、凍結は補償に含まれません。また除雪作業の事故は「雪災」の補償の対象外です。


水災による損害

台風や豪雨、雪解け水などが原因で起こる洪水や高潮、土砂崩れ・落石によって被害を受けた際に補償される特約です。
床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水被害を受けた場合で、損害が建物評価額(再調達価額)の30%以上のときに保険金が支払われます。


地震・津波による損害

地震や津波による損害に対する補償は、厳密には特約ではなく「地震保険」になります。
具体的には、地震などを原因とする火災・損壊・埋没・流失による損害が補償されます。
 
なお地震保険は、政府と民間の損害保険会社が共同で補償をおこなっているため、どこの保険会社で加入しても地震保険の補償内容や保険料は一律となっています。
 
また地震保険は火災保険とセットで加入する必要があり、地震保険単体では加入できないため注意しましょう。


上記以外の要因で建物に損害があった場合

火災保険は、災害以外の事由で建物や設備に損傷がみられた場合も補償の対象となります。災害以外の損害が補償される主なケースは以下のようになります。


水濡れによる損害

給水・排水設備の故障や詰まりなどが原因で起きた水漏れ事故による水濡れによる損害や、たとえば上階の部屋の漏水などが原因で下階の部屋が水浸しになってしまった場合などに補償されます。


物体の落下・飛来・衝突による損害

車の衝突で塀が破損したり、飛んできたボールなどによってガラスが割れたり、建物の外部から物体が落下・飛来・衝突したことで生じた損害が補償されます。
 
特に車の衝突による被害は、通常の場合は衝突した側の自動車保険から保険金を受け取れます。しかし、相手側が無保険だったり、飲酒運転の事故で保険が適用されなかったり、すぐに保険金が下りないケースもあります。


こういった場合でも大家さんが火災保険に加入していれば、保険金によって建物や塀の修理費用をまかなうことができます。


盗難による損害

盗難に伴う鍵部分や窓ガラスなどの損傷や、建物設備そのものの盗難などが補償されます。
ただし、大家さんが加入する火災保険の補償対象となるのは建物と設備だけです。
賃貸物件の居室内の家財を対象とする火災保険は、賃貸している入居者自身で加入してもらう必要があります。


騒擾・集団行動等に伴う暴力行為による損害

「騒擾(そうじょう)」とは、デモや暴動、労働争議など、一定規模以上集団で騒ぎを起こすこと、またはそれによって被害が生じる状態をいいます。これらの行為によって建物が損害を受けた場合に補償されます。


予測できない事故が原因の破損や汚損

上記のいずれにも該当せず、予測できず突発的に発生した事故によって建物が破損したり汚れたりした場合に補償されます。


その他の損害

上記以外の事由が原因となり、建物の破損などで入居者や通行人に損害を与えた場合の賠償責任についても、火災保険の特約として契約している場合は補償対象となるケースがあります。
大家さん向けの火災保険の特約については、後述する『賃貸物件の大家さんが加入しておくと安心な火災保険特約』の項で詳しく紹介します。


賃貸物件の大家さんが火災保険の選ぶ際のポイント

火災保険は、補償を組み合わせることでさまざまな損害をカバーすることが可能です。しかし補償を増やせば保険料が高額になってしまいます。
基本の契約に含まれる補償は外せませんが、不要な補償や特約を付けないことでコストの削減につながります。
 
そのためには、大家さんの所有する物件にとって本当に必要な補償かどうか見きわめが必要です。ここでは賃貸大家さん向けの火災保険の選び方について解説します。


賃貸物件のリスクに応じた補償範囲で選ぶ

自然災害にはさまざまな種類がありますが、物件の所在地によっては不要な補償もあるでしょう。たとえば雪災などは、積雪の少ない地域には不要な場合が多いです。
 
逆に、物件の立地によっては、かならず付けたい補償もあります。
たとえば所有物件の立地が河川から近かったり、山のふもと周辺だったりする場合は、浸水や崖崩れなどのおそれがあるため、万が一に備えて水災補償をつけると安心です。
 
まず、所有する物件の立地や地域によって被害を受ける可能性がある災害を絞り、そのうえで必要に応じて補償を選ぶとよいでしょう。


賃貸物件のリスクに応じた補償内容で選ぶ

賃貸物件向けの火災保険は、マイホームや賃貸入居者がかける火災保険とは補償内容が異なります。
たとえば、火災や自然災害などで建物に被害があった場合、賃貸経営が継続できず、本来の家賃収入を下回ってしまうケースがあります。
 
また賃貸物件のメンテナンス不足が原因で、建物の塀などが崩れて通行人や他者の所有物に被害を与えた場合は賠償費用が発生します。
 
これらの損失や被害は通常の火災保険では補償されないため、賃貸物件を対象とした火災保険の「特約」を付ける必要があります。
 
火災保険に加入する際は、賃貸物件ならではのリスクに備えた内容の特約を付帯しておくことも大切です。


賃貸物件の大家さんが加入しておくと安心な火災保険特約

賃貸大家さんが火災保険に入る場合、基本の補償内容だけではカバーされない部分も多いため、各種「特約」の検討をおすすめします。
 
火災保険の特約には賃貸物件向けの商品も多く、加入しておけばいざというときの強い味方になってくれます。
ここでは大家さん向けの特約を3つ紹介します。
(なお、特約の名称については保険会社によって異なる場合があります)


建物管理賠償責任特約

賃貸物件の建物や設備のメンテナンス不足などが原因で、入居者や通行人などに損害を与えた際に発生する賠償金を補償する特約です。
たとえば、塀が崩れて通行人がケガをしたり、駐車中の車に傷をつけてたりといったケースが該当します。
 
損害賠償は高額になるおそれもあるため、万一に備えて検討したい特約のひとつです。


家賃収入特約

火災や自然災害などで建物が損傷してしまうと賃貸経営が継続できなくなり、家賃収入が得られなくなるケースがあります。
このような場合でも家賃収入特約に加入していれば、賃貸経営がおこなえなかった期間の損失分の一部を補償してもらえます。
 
ただし、補償期間には限度が設けられていたり、空室率によっては加入できなかったり、加入条件や補償の制限がある場合もあります。加入する際は、補償される条件などをしっかりと把握したうえで加入しましょう。


家主費用特約

所有する賃貸物件内で死亡事故が発生した場合、特殊な清掃が必要になるケースがあります。また、死亡事故が発生した物件は、長期間空室がつづき賃料を得られなかったり、家賃を引き下げたり、なんらかの損失が生じます。
 
「家主費用特約」は、こういったケースで生じた特殊清掃などの原状回復費用や遺品整理などにかかった費用、家賃の損失分が保証される特約です。
 
ただし、賃貸借契約が締結されていない空き部屋で発生した死亡事故によって生じた損害については補償の対象外となるため注意しましょう。


賃貸物件の入居者に加入してほしい火災保険特約

賃貸物件の入居者に火災保険の加入は、法律上義務ではありませんが、入居条件として火災保険の加入を必須としているケースがほとんどです。その場合、基本の補償だけでなく、特約が付いている場合も多くみられます。
 
ここでは賃貸物件の入居者に加入してもらいたい、ふたつの特約について解説します。


借家人賠償責任特約

火災や偶然の事故などで借りている物件に損害が出た場合、大家さん(貸主)に対して修理費用や賠償費用などを補償します。
たとえば、料理中の失火によって、備え付けのコンロや換気扇、壁、天井などが損傷した場合のリフォーム費用などが該当します。


個人賠償責任特約

入居者自身や賃貸物件の所有者以外の人に、ケガをさせてしまった場合の治療費や、物を壊してしまった際の修理費や損害賠償を補償します。
たとえば、漏れで階下の部屋に損害を与えてしまった場合の修理費用などが該当します。


賃貸物件の火災保険加入は義務なのか?

結論から言うと、火災保険に加入するかどうかは任意です。そのため、火災保険に加入するしないは、大家さんが自由に決めることができます。
これは賃貸物件の入居者も同じですが、前述したように入居者の場合は入居条件として火災保険の加入を必須としているケースがほとんどです。
 
しかし安定した賃貸経営をおこなうためには、火災や自然災害によるリスクの軽減が欠かせません。
たとえば、火災が原因で賃貸物件を焼失したとします。その場合、建物を失うだけでなく、賃貸経営ができなくなり家賃収入の途絶えてしまうのです。
 
しかし、大家さんが火災保険に加入していれば保険金を受け取ることができ、特約を付けていれば、損失分の家賃が補填されるため、物件の再建築も不可能ではありません。
 
特に近年では、大型台風や豪雨による風水害の被害報告が増加しています。また日本の全国どこにいても地震の被害に遭う可能性もあります。
こういった火災や自然災害のリスクに対してなんらかの補償を受けるためにも、火災保険にはかならず加入することをおすすめします


融資を利用した場合には火災保険の加入が条件となる

収益物件を取得する際に金融機関から融資を受けた場合は、融資条件として火災保険の加入が必須になります。
 
火災保険未加入の物件に融資をおこなった場合、たとえば地震などの災害で建物が大きな被害を受けてしまうと物件の売却価格が下落してしまいます。そのためローンの返済が滞り、物件を差し押さえても元金を回収できない可能性が高くなってしまうのです。
 
したがって火災保険未加入の収益物件への融資は金融機関からするとリスクが高く、融資条件として火災保険の加入が必須とされているのです。


賃貸物件の大家さんが加入する火災保険の保険料相場

火災保険料は保険会社によって料金設定が多少異なりますが、建物の構造、専有面積、補償内容など、さまざまな要素によって決まるのが一般的です。
 
物件の種類などによって火災保険料はことなるため、一概に平均額を出すことはむずかしいですが、ワンルームの区分マンションの場合で基本の火災保険に施設賠償責任保険や地震保険を付けて年間2万円程度と言われています。
しかし、一棟マンションの場合は月額10万円を超える場合もめずらしくありません。
 
一棟アパートの火災保険料の相場は、基本の火災保険の場合で年間20万円前後、地震保険などを付けると年間60万円前後が目安になり、月額に換算すると16,000円~50,000円程度です。
 
特約を付けると補償が手厚くなりますが、保険料は高くなります。保険料を抑えるためにも、必要な補償はしっかりと付け、不要な保障は外すことが大切です。


賃貸物件の大家さんにおすすめの火災保険

ここでは賃貸経営をおこなう大家さんにおすすめの、賃貸物件向けの火災保険を紹介します。保険会社によって、特約の種類や補償内容、保険料が異なるため、複数社から見積りをとり、比較検討したうえで最良の火災保険を選ぶとよいでしょう。
 
・あいおいニッセイ同和損保『タフ・すまいの保険 建物の保険
損害保険金の支払対象となる事故の範囲に応じて、水災なしのプラン、破損汚損なしのプランなど、5つのプランから選択できます。
 
・東京海上日動『トータルアシスト住まいの保険(火災保険)
自然災害等を中心に補償する「スタンダードタイプ」、水災リスクの低い高層階向けの「マンション向けタイプ」、盗難や破損にも対応した「充実タイプ」の3種類の補償タイプから選べます。
 
・三井住友海上:『GKすまいの保険(すまいの火災保険)
「防犯対策費用特約」「特別費用保険金特約」などの自動セット特約があるほか、自然災害に備えるためのサポートコンテンツが充実しています。


火災保険と火災共済の違い

火災共済は非営利団体が運営しているため、火災保険に比べて掛金が安いのが最大の特徴です。
 
火災に対する補償内容については両者に大きな違いはありません。
ただ、自然災害による損害への補償は火災保険のほうが充実しており、火災共済は十分でないケースもあるため注意が必要です。
 
コスト面では、費用が安い火災共済が魅力的ですが、災害による補償面を考えた場合は火災保険に軍配が上がります。
火災共済を検討する際はコストだけでなく、補償内容をよく考慮することをおすすめします。


まとめ

賃貸経営をおこなううえで、火災や自然災害によるリスク対策は欠かせません。特に損害が補償される火災保険には、かならず加入することをおすすめします。
ただし、火災保険の基本の補償だけでは不十分な場合も多いため、必要に応じて特約を付けると、より安心です。
 
特に賃貸大家さん向けの3つの特約である「建物管理賠償責任特約」「家賃収入特約」「家主費用特約」は、万が一に備えてぜひ加入しておくとよいでしょう。
 
大家さんが安心で安全な賃貸経営をおこなうためにも、火災保険への加入を今一度おすすめします。


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岩崎
岩崎
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。満室経営を目指す大家さんに役立つ記事をお届けします。

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