不動産の管理委託手数料の相場は?業務委託内容と管理会社を選ぶコツを紹介!
賃貸物件の賃貸管理業務をおこなってくれる「不動産管理会社」の存在は、大家さんの負担を軽減してくれる心強い味方です。
しかし賃貸管理を管理会社に業務委託する際は「管理委託手数料」が発生します。そのため、できるだけ手数料が安い会社を選びたくなりますが、手数料の安さだけで選ぶのは禁物です。
管理会社選びを間違ってしまうと、心強い味方どころか、大事な賃貸物件のマイナス要因となってしまうおそれもあるため注意が必要です。
では、不動産管理会社を選ぶ際はどのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
今回は賃貸管理をおこなう不動産管理会社について、管理委託手数料の相場をはじめ、手数料に含まれる業務と含まれない業務を解説します。また不動産管理会社を選ぶ際の注意点も紹介します。
ぜひ管理会社を選ぶ際の参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.賃貸管理の管理委託手数料の相場
- 1.1.サブリースの管理委託手数料の相場
- 2.賃貸管理の管理委託手数料に含まれる業務内容
- 2.1.入居者管理業務
- 2.1.1.入居者の募集
- 2.1.2.賃貸借契約の締結・更新の手続き
- 2.1.3.退去手続き、立会い、精算、原状回復工事の手配
- 2.1.4.家賃の集金・管理、滞納金の督促
- 2.1.5.入居者からのクレーム対応
- 2.2.建物管理業務
- 2.2.1.共有部の定期清掃
- 2.2.2.定期巡回による建物や設備の点検・修繕
- 2.2.3.大規模修繕計画の作成・手配
- 3.管理委託手数料に含まれない業務内容
- 3.1.原状回復工事費用
- 3.2.室内設備の修繕・交換にかかる費用
- 3.3.特別なメンテナンスや法定点検にかかる費用
- 4.賃貸管理を不動産管理会社に委託するメリット
- 4.1.プロの管理を受けられる
- 4.2.クレームやトラブル対応を任せられる
- 4.3.空室対策につながる
- 5.不動産管理を管理会社に委託するデメリット
- 5.1.管理委託手数料が必要
- 5.2.管理会社の質に差がある
- 6.不動産管理会社を選ぶ際の注意点
- 6.1.管理委託手数料の安さだけで選ばない
- 6.2.客付け力はあるか
- 6.3.担当者の対応はよいか
- 7.まとめ
- 8.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
賃貸管理の管理委託手数料の相場
「管理委託手数料」とは、所有するアパートやマンションなどの収益物件の賃貸管理業務を不動産管理会社に委託する際に支払う費用のことです。
管理委託手数料の相場は、委託する管理業務の内容によって幅がありますが、一般的には「家賃収入の5%~8%」程度が目安となります。
上記は管理業務の全般(入居者管理・建物管理)を委託した場合です。たとえば集金管理のみを委託するケースでは、家賃の3%程度が管理委託手数料の相場となります。
また管理委託手数料が相場よりも安い場合、利用したい管理業務の一部がオプションとして別途料金になる場合もあるため注意が必要です。
不動産管理会社を選ぶ際は、料金の安さだけでなく、委託できる管理業務の内容もしっかりと確認しましょう。
詳しくは後述する『不動産管理会社を選ぶ際の注意点』で詳しく解説します。
サブリースの管理委託手数料の相場
不動産管理会社とサブリース契約を結んだ場合の管理委託手数料は、家賃の10%〜20%が相場と通常の管理委託料よりも高額となりますが、これは管理会社が空室リスクを引き受けるためです。
サブリース契約は「一括借り上げ」とも呼ばれ、不動産管理会社がアパートなどの収益物件を丸ごとオーナーから借り上げ、第三者に転貸しする賃貸形態です。
不動産管理会社は、入居者募集、契約手続き、クレーム対応、建物管理などの管理業務全般をおこない、空室の有無にかかわらずオーナーに毎月一定額の賃料を支払います。
オーナーは収益分の管理をする必要がなく、また毎月安定した家賃収入を得られるのがメリットですが、一方で通常よりも高額の管理委託手数料が発生するのがデメリットとなります。
賃貸管理の管理委託手数料に含まれる業務内容
不動産管理会社がおこなう賃貸管理業務は、大きくわけて「入居者管理」と「建物管理」の2種類があります。管理会社によっては、どちらかのみの管理をおこなう場合もあります。
ここではそれぞれの業務内容を紹介します。
入居者管理業務
入居者管理は、借主(入居者)に関連する各種手続きや快適に過ごすためのサポートをおこないます。主な業務は以下のようになります。
入居者の募集
空室が出た場合の入居者募集に関する業務をおこないます。
賃貸ポータルサイトや自社サイトへの物件掲載、チラシの作成・配付、問い合わせ対応、内見案内がおもな業務になります。
賃貸借契約の締結・更新の手続き
入居申し込み者の入居審査をおこない、通過した場合は賃貸借契約の締結手続きをおこないます。
また契約満了を迎える既存入居者に対して「更新確認書」を発送し、更新する場合は賃貸借契約の更新手続きをおこないます。
退去手続き、立会い、精算、原状回復工事の手配
既存入居者が退去する際の手続き及び、退去後の原状回復工事の手配をおこないます。
退去立会いでは、入居者と一緒に室内をチェックし修繕費の負担割合を決め、修繕費や日割り家賃の精算をおこない、鍵を返却してもらいます。なお精算は、入居時に預かった敷金から差し引きするのが一般的です。
家賃の集金・管理、滞納金の督促
入居者からきちんと家賃が支払われているかチェックしたのち、オーナーの口座へ振込みます。
家賃滞納の督促業務も管理会社がおこないます。ただし、入居者が家賃保証会社と契約している場合の督促業務は、家賃保証会社が受け持ちます。
入居者からのクレーム対応
設備の故障、水漏れなどのトラブルや騒音など、入居者からのクレーム対応をおこないます。
対応が遅れると入居者の信頼度や満足度が低下するため、できるだけ迅速な対応が求められます。
建物管理業務
建物管理は、物件の資産価値の維持や低下を防ぐために建物や設備の点検や修繕などをおこないます。主な業務内容は以下のようになります。
共有部の定期清掃
建物の共有部を清潔に保つために定期的な清掃をおこないます。建物周辺、エントランス、廊下、階段をはじめ、駐輪場やゴミ置き場などの整理のほか、草取りなどが含まれる場合もあります。
定期巡回による建物や設備の点検・修繕
曜日や時間を決めて定期的に建物の共有部を巡回し、劣化や損傷した箇所はないかチェックします。対応が必要な箇所があった場合は修繕などの手配をおこないますが、電球の交換などその場で対応するケースもあります。
大規模修繕計画の作成・手配
大規模修繕とは、日々の修繕では実施するのがむずかしい建物の外壁塗装や屋根部の葺き替え・塗り替え、給排水配管の交換など大がかりな修繕や改修をいいます。
大規模修繕は10年~15年周期でおこなわれ、修繕費用も高額です。
そのため賃貸経営を開始すると同時に大規模修繕計画を立てたうえで、それに沿って修繕工事をおこないます。
また劣化程度や工事費用の変動によって、当初計画した大規模修繕計画の見直しなども、管理会社がおこないます。
管理委託手数料に含まれない業務内容
月々の管理委託に含まれていない管理業務を依頼する際は、別途手数料が発生するのが一般的です。
ここでは、通常の管理委託業務に含まれていない管理業務と目安額を紹介します。
原状回復工事費用
入居者の退去後におこなう原状回復工事にかかる費用は、通常の管理委託手数料には含まれていません。一般的な原状回復工事内容は以下のようになります。
- 室内クリーニング(排水管清掃含む)
- エアコンクリーニング
- 壁紙の貼り替え
- フローリングなどの床材の張り替え
- 畳の表替え
単身向けの部屋で室内クリーニングと壁紙の貼り替えをおこなった場合の原状回復費は7万円~10万円程度が目安ですが、原状回復費用は、部屋の広さや施工内容は異なります。
室内設備の修繕・交換にかかる費用
給湯器、エアコン、照明器具、トイレ、キッチン、バスルームなどの室内設備の修繕費、老朽化している場合は交換費用などは、管理委託手数料とは別に必要となります。
特別なメンテナンスや法定点検にかかる費用
日常的なメンテナンスや清掃とは別に、特別な施工をおこなう場合、その費用は別途となります。たとえば、外壁や床の高圧洗浄、粗大ごみ処分、植栽の選定などが該当します。
また各種の法律に基づいて点検が義務化されている、消防用設備点検やエレベーターの定期点検、浄化槽の保守点検・清掃など「法定点検」にかかる費用も別途となります。
賃貸管理を不動産管理会社に委託するメリット
ここでは不動産管理会社に賃貸物件の管理業務を委託するメリットを紹介します。
プロの管理を受けられる
不動産管理会社は賃貸管理のプロであり、さまざまな不動産管理業務に関するノウハウを蓄積していますし、加えて法律や経営に関する専門家も在籍しています。
そのため管理全般において、それぞれの方面のプロの手によって高品質で効率的な管理が期待できます。
特にクレーム対応や契約関連業務は、賃貸経営に不慣れな大家さんにとって負担が大きいです。不動産管理会社に管理業務を委託することで、そういった大家さんの負担を軽減することができます。
クレームやトラブル対応を任せられる
前述したように、不動産管理会社は賃貸管理のノウハウが豊富であり、その道のプロが集まっています。
そのため、入居者からのクレームや各種トラブルの対応を任せることが可能です。
たとえば、契約関連のミスによるトラブルを防いだり、家賃滞納トラブルに対して適切な対応をおこなったり、設備の故障などのクレームに迅速に対応したりといった期待ができます。
賃貸経営に不慣れな大家さんには対応がむずかしいトラブルであっても、プロの不動産管理会社に任せることで、トラブルの回避やリスクの軽減につながるでしょう。
空室対策につながる
入居付けに強い不動産管理会社を選ぶことで空室対策につながります。なかなか入居者が決まらない場合も積極的に空室対策のアイデアを提案してもらえます。
また共有部の清掃や入居者からのクレーム対応などをしっかりおこなうことで入居者の満足度が上昇し、退去防止に役立つでしょう。
不動産管理を管理会社に委託するデメリット
不動産管理会社に管理委託する場合はメリットだけでなく、デメリットも考慮する必要があります。ここでは、不動産管理会社に管理委託するデメリットを紹介します。
管理委託手数料が必要
前述したように、不動産管理会社に管理業務を委託する場合、「家賃収入の5%~8%」程度の管理委託手数料が必要です。管理委託手数料は毎月発生しますし、家賃が高額なほど手数料も高くなります。
特に管理委託手数料の高い管理会社と契約してしまうと負担が大きく、月々のキャッシュフローに悪影響となる場合もあるため注意が必要です。
管理委託手数料を抑えたい場合は、複数の管理会社から見積りを取り、業務内容と料金を比較検討することをおすすめします。
管理会社の質に差がある
不動産管理会社は多数あり、優良な会社がある一方で質が劣る会社もあります。
そのため、管理会社選びを間違ってしまうと賃貸経営に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
管理会社を選ぶポイントについては、次項の『不動産管理会社を選ぶ際の注意点』にて解説します。
不動産管理会社を選ぶ際の注意点
安定した賃貸経営をおこなうためには、優良な不動産管理会社に管理委託する必要があります。では優良な管理会社を選ぶ際は、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
ここでは不動産管理会社を選ぶ際の注意点を解説します。
管理委託手数料の安さだけで選ばない
毎月発生する管理委託手数料を節約するのは大事なことです。しかし手数料の安さだけで選んでしまうと、管理の質が低かったり、必要な管理業務が別料金だったりする場合があるため注意しましょう。
不動産管理会社を選ぶ際は、次のポイントをチェックしてみましょう。
- 委託手数料に含まれる業務内容
- 管理会社の実績や口コミ
まず、管理委託手数料に含まれている管理業務の内容をチェックしましょう。手数料が安い管理会社は、清掃や巡回の回数が少なかったり、クレーム対応が遅かったり、通常は含まれている業務が別料金だったりするケースがあります。
手数料の安さだけで決めてしまうと、却って費用がかかったり、入居者の満足度が低下したりするおそれがあるため注意が必要です。
そういった管理会社を選ばないためには、管理会社の実績や口コミなどをチェックしましょう。
管理会社によっては、自社ホームページなどに管理実績として、管理戸数やリピート率、顧客の感想・口コミなどを掲載しています。
そういった掲載がない場合は、管理会社の担当者に直接尋ねてみるとよいでしょう。
また、その管理会社が管理している賃貸物件を実際に見てみることで、管理の雰囲気がつかめます。
たとえば、建物周辺にゴミが散乱していたり、ゴミ置き場に収集日でないゴミが放置されていたり、建物の傷みが目立ったりする場合は、管理の質が高くない可能性があります。
入居者に長く入居してもらうためは、入居者が満足するサービスを提供する必要があります。そのため、不動産管理会社を選ぶ際は手数料の安さだけでなく、管理業務の内容やサービスの質も考慮したうえで決定する必要があるのです。
客付け力はあるか
賃貸経営の主な収入源は入居者が支払う家賃です。安定した家賃収入を得るためには、できるだけ空室率を抑える必要があります。
そのため管理会社を選ぶ際は、客付け力の高い管理会社を選ぶことが必須です。
管理会社の客付け力を確認する際は、次のポイントをチェックしましょう。
- 得意としている物件の種類
- 管理会社が管理する物件の入居率
- 空室から客付けまでの平均期間
管理会社によっては、収益物件の種類によって入居付けの得手不得手がある場合もあります。たとえば戸建て賃貸や区分マンションなどが得意など、会社によって得意なジャンルはまちまちです。
そのため、委託したい物件と同じカテゴリーの物件の管理が豊富な会社を選ぶことが大事です。
また前述したように、管理会社のなかには管理実績を自社ホームページなどに掲載しています。そこで、管理物件の入居率を確認してみましょう。管理物件の入居率が95%以上を目安にすれば、集客力に期待できます。
その際、空室から客付けまでの平均期間も確認するとよいでしょう。
担当者の対応はよいか
優良な不動産管理会社であっても担当者の質には差があります。
担当者が優秀であれば、迅速なクレーム対応や積極的な客付け、各種提案などが期待できます。
しかし担当者が以下のような場合は注意が必要です。
- レスポンスが遅い
- ホウレンソウがない
- クレーム対応が遅い
- 空室期間が長期化している
- 書類などのミスが多い
上記のような不備が多いと入居者の不満につながったり、余計な費用が発生したり、賃貸経営にマイナスにはたらくおそれも考えられます。
電話やメールの対応速度や対応の内容は満足できるか、報告・連絡・相談は適宜おこなわれているか、かならずチェックすることをおすすめします。
またクレーム対応は入居者の満足に直結しやすいです。そのため、あまりにも対応が遅かったり、入居者の不満が解消されない対応結果だったりすると、入居者の退去につながってしまいます。
このようにさまざまな対応が遅い管理会社は避け、レスポンスが早く対応の良い担当者のいる会社を選びましょう。
担当者に不満がある場合は管理会社に相談し、注意してもらいましょう。それでも改善しない場合は担当替えをお願いするか、管理会社の変更を検討するとよいでしょう。
不動産管理会社は、賃貸経営にとって欠かせない大事なパートナーです。そのため信頼できる優秀な担当者がいる会社を選ぶ必要があります。
管理会社選びを失敗しないためにも、担当者のレベルはきちんと確認しておくことをおすすめします。
まとめ
不動産管理会社に賃貸管理を業務委託する場合に必要な管理委託手数料の相場は「家賃収入の5%~8%」程度が一般的です。ただし、管理会社によって手数料に含まれる業務内容は異なります。また業務内容によっては、もっと安い手数料を提案している会社もあります。
ただし、管理委託手数料の安さだけで管理会社を選ぶのはおすすめしません。
管理会社を選ぶ際は、管理内容や別途料金の有無、客付け力などの実績を確認したうえで、複数の管理会社を比較検討したうえで、ベストの会社を選ぶとよいでしょう。
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