アパート経営を始めるのに必要な自己資金はいくら?目安と不足している場合の対処法を解説
「アパート経営を始めるには、自己資金はいくら必要?」
「自己資金が足りないけど、ローンは組める?」
アパート経営に興味があっても資金面の不安から最初の1歩が踏み出せないという人も多いでしょう。
そこで今回はアパート経営を始めるために必要な自己資金の目安、ローンの種類、リスクの対処方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.アパート経営に必要な自己資金の目安はいくら?
- 2.アパート経営に必要な費用の種類
- 2.1.1. アパートの取得費用(購入または建設費用)
- 2.1.1.アパート建設費用①:本体工事費
- 2.1.2.アパート建設費用②:付帯工事費
- 2.2.2.アパートの購入・建設時にかかる諸費用
- 2.2.1.アパート建設時に発生する可能性のある諸費用
- 2.3.3.アパート経営をおこなう際の維持・管理費用
- 3.アパート経営で自己資金が不足している場合の対処方法
- 3.1.アパートローンの種類
- 3.1.1.アパートローンの種類
- 3.2.アパートローンの融資限度額
- 3.3.ローン返済計画を立てておく
- 4.アパート経営のリスクを理解する
- 5.まとめ
- 6.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
- 7.この記事を読んだ方におすすめのお役立ちサイト
アパート経営に必要な自己資金の目安はいくら?
アパート経営を始める際は、物件価格(建設費用)の一部を自己資金(頭金)で賄い、残りの資金は金融機関から融資を受けるのが一般的です。
これによって自己資金が不足していても、高額のアパートを取得してアパート経営を始めることが可能になります。
必要な自己資金(頭金)に決まりはありませんが、物件価格(建設費用)の1割~3割程度が目安と言われています。
自己資金を多く入れることで借入が減るため、余裕を持って月々のローン返済がおこなえるようになりますし、融資審査も有利になる可能性も期待できるのです。
また頭金とは別に、ローンの保証金や各種手続きにかかる手数料や登記費用といった諸費用も自己資金から支払う必要があります。諸費用の目安は、物件価格(建設費用)の8%~10%程度です。
たとえば4,000万円のアパートを建築するのであれば、頭金として400万円~1,200万円、諸費用として320万円~400万円、合計で720万円~1,600万円ほどの自己資金が必要となる計算です。
物件価格(建設費用)が高額になればなるほど、必要となる自己資金も多くなります。
アパート経営開始後、なんらかの事情で現金が必要になるケースもあるため、できるだけ手元に資金を残しておくことも大事です。
最終的に頭金と諸費用でどの程度の自己資金を用意しておけばよいか、手元にいくらくらいの資金を残しておけば安心なのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
アパート経営に必要な費用の種類
ここではアパート経営をおこなう際に必要な費用について解説します。
アパート経営するにあたって必要な費用は主に以下の3つに分類できます。
- アパートの取得費用(購入または建設費用)
- アパートの購入・建設時にかかる諸費用
- アパート経営をおこなう際の維持・管理費用
それぞれについて解説します。
1. アパートの取得費用(購入または建設費用)
アパート経営を始めるためには、まずアパート物件を入手しなくてはなりません。しかしアパートと言っても、新築でアパートを建設するか、新築の建売アパートを購入するのか、それとも中古のアパート物件を購入するかなどによって必要な費用も変わってきます。
特にアパートを建設する場合は、建てるアパートの規模や立地によって建設費用に幅が出ます。またアパートの建設時にはどのような費用が含まれているのかわからないという人も多いでしょう。
新築でアパートを建設する場合に必要な費用は、おもに「本体工事費」と「付帯工事費」があります。
ここではアパートを建設するにあたって必要となる「本体工事費」と「付帯工事費」の内容について具体的に解説します。
アパート建設費用①:本体工事費
本体工事費は、アパートの建物部分の工事にかかる費用です。本体価格とも呼ばれます。
本体工事費に含まれる工事の内訳は以下のようになります。
【本体工事に含まれる工事の内訳】
- 躯体工事費:建物の基礎工事や構造の建築にかかる費用(仮設工事費が含まれる場合もある)
- 仕上げ工事費:外装・内装のかかる工事費、屋根や外壁・内装などの仕上げ工事にかかる費用
- 設備工事費:水回り(キッチン・浴室・洗面所・トイレなど)の室内設備の設置、電気工事にかかる費用
なおアパートの本体工事費に必要な費用は構造別の「坪単価」で決まります。以下は一般的な本体工事費の構造別坪単価の相場です。
【構造別本体工事費の坪単価相場(2階建ての場合)】
- 木造:77万円~100万円
- 軽量鉄骨:80万円~105万円
- 重量鉄骨:90万円~120万円
- 鉄筋コンクリート造:95万円~125万円
坪単価は、建設するアパートの階数やアパートを建てる地域によって異なりますし、建築会社によっても幅があります。
坪単価の違いによってアパートの建設費用が決まるため、最終的には利回りにも大きな影響を与えます。
アパートを建設する際は、複数社の建築会社から見積もりを取り、価格や品質を見きわめたうえで検討するとよいでしょう。
アパート建設費用②:付帯工事費
付帯工事費は別途工事費と呼ばれ、電気・ガス・水道などインフラの引き込み工事や地盤改良工事をはじめ外構工事など、本体工事以外の工事にかかる費用を言います。
主な付帯工事費には、以下のような工事が該当します。
【付帯工事費に含まれる工事の内訳】
- 電気・ガス・水道の引き込み工事:電気・ガス・水道の引き込み工事にかかる費用
- 外構工事:庭、駐車場、門塀・門柱・フェンスなどの設置などにかかる費用
- 地盤改良工事:土地の地盤を補強に必要な工事費用
- 土地造成工事:アパート建設用地の造成・整地にかかる費用
- 解体工事:家屋など建築物が残っている場合の取り壊しや廃棄物処理にかかる費用
- その他の工事:本体工事に含まれなかった設備工事にかかる費用
付帯工事の中には実際のアパート建設時におこなわれない工事もあるため、工事現場によって必要な費用は異なります。特に地盤改良工事、土地造成工事、解体工事などはケースバイケースで工事内容や工事費用が変わってきます。
たとえば、アパートの建設予定地の地盤がしっかりしていれば地盤改良工事は不要ですが、使途目的が異なる土地を転用してアパートを建てる場合や傾斜地などは、造成工事にかかる工事費は高額になりやすいです。
付帯工事費を抑えるためにも、アパートの建設予定地を決める際はあらかじめ土地の状態を確認しておきましょう。
2.アパートの購入・建設時にかかる諸費用
アパートを建設する、または購入するどちらの場合であっても、ローン契約や登記などの手続きをおこなう際には手数料や税金などが発生します。
このようにアパート取得時に発生するアパート本体の建設費や購入価格以外に必要な費用をまとめて「諸費用」と呼び、建設費用または物件価格の8%〜10%が目安となります。
以下は、アパートの取得時に発生する一般的な諸費用に含まれる主な費用になります。
◦不動産登記費用(登録免許税)
アパートを取得した場合に必要な登記申請にかかる費用です。費用は登記の種類によって異なります。
- 所有権移転登記(土地):評価額×2.0%(2026年3月31日まで1.5%)
- 住宅用家屋所有権保存登記(新築建物):評価額×0.4%(2027年3月31日まで0.15%)
- 住宅用家屋所有権移転登記(中古建物):評価額×2.0%(2027年3月31日まで0.3%)
- 抵当権設定登記(ローン借り入れ):借入額(債権額)×0.4%
◦司法書士報酬
登記などの手続きを司法書士に依頼した場合は報酬を支払います。相場は10万円~20万円です。登記手付きを自分でおこなう場合は発生しません。
◦印紙税
不動産売買契約や建築会社との工事契約、ローン借入の契約書作成時に必要となる税金で契約金額によって変動します。
◦不動産取得税
購入・建設などで新たに不動産を取得した際に支払う税金です。「固定資産税評価額×3%」が課せられます。
◦固定資産税・都市計画税
固定資産税はアパートや土地などの不動産の所有者に課せられる税金です。「固定資産税評価額×1.4%」が上限となりますが、税率は自治体によって異なる場合があります。
また所有する不動産が市街化区域内にある場合は、都市計画税が課せられます。「固定資産税評価額×0.3%」が上限となりますが、税率は自治体によって異なる場合があります。
◦損害保険料(火災保険・地震保険)
火災や地震・台風などの災害リスクへの備えとして、保険へ加入した際に支払う保険料です。地震保険は単体では加入できないため、保険とセットで加入しておきましょう。
◦ローン事務手数料
アパートの取得時に金融機関から融資を受けた場合に発生します。
ローン事務手数料は「定額制」と「定率制」の2種類があり、定額制は3万円~6万円程度、定率性は借入金額の1%~3%が目安となります。
◦ローン保証料
ローン保証料は金融機関がローン保証会社と契約を結ぶ際に支払う費用です。
契約時に借入金額の1%〜2%程度を一括で支払うか、またはローン金利に年0.2%~0.3%程を上乗せして支払うかのどちらかになります。
◦仲介手数料
不動産会社を介してアパートを購入した場合は、仲介手数料が必要になります。
仲介手数料は売買契約が成立した場合に不動産会社に対して支払う成功報酬で、宅地建物取引業法で上限額が定められています。
なお仲介手数料の上限は、「売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税」で計算できます。
アパート建設時に発生する可能性のある諸費用
アパートを建設する場合は、以下のような諸費用が発生するケースがあります。ただし、これらは本体工事や付帯工事に含まれる場合もあるため、重複しないようにあらかじめ確認しておきましょう。
◦アパートの設計料
「設計施工分離方式」でアパートを建設した場合に発生する費用で、建築事務所に支払います。相場は本体工事費の5%~15%程度ですが、依頼する設計事務所や設計士によって変動します。
◦測量・地盤調査費用
アパート建設予定地を調査する際に発生する費用です。費用の目安は、測量費が約30万円、地盤調査費用は40万円~50万円となります。
◦水道分担金
新規で水道の引き込み工事をおこなった場合に自治体に納める費用です。水道分担金の名称や金額は、市町村によって異なります。
また建物の規模などによっても費用は異なりますが、100万~数百万円かかる場合もあります。
3.アパート経営をおこなう際の維持・管理費用
アパート経営を開始したあとは、物件の維持・管理のための費用(ランニングコスト)が必要です。維持管理費用はアパートを自主管理するか、管理委託するかによって変動しますが、家賃収入の20%~30%が目安となります。
一般的なアパート経営に必要な維持管理費用には以下のような費用があります。
- 管理委託手数料:アパートの管理業務を不動産管理会社に委託した場合に必要な費用。相場は家賃の5%~8%/月
- 水道光熱費:アパート共用部の電気代や水道代など
- 損害保険料:火災保険や地震保険など、アパートに付保する際の保険料
- 修繕費:アパートのメンテナンスや修繕に必要な費用
- 修繕積立金:10年~15年周期でおこなう大規模修繕工事用の積立金
- リフォーム費用:退去後の室内清掃や内装工事など、原状回復にかかる費用
- 入居者募集費用:仲介手数料や広告費など、入居者募集に関わる費用
- ローンの返済金:金融機関から融資を受けた場合の返済金で、元金+利息を毎月支払う
- 税理士報酬:税務に関する手続きなどを依頼した場合に発生する報酬
- 租税公課:固定資産税・都市計画税、所得税、住民税など
家賃収入のうち大きな割合を占める維持・管理費用をできるだけ抑えることができれば、キャッシュフローに余裕が生まれるでしょう。
アパート経営で自己資金が不足している場合の対処方法
アパートの取得には高額の費用が必要です。それら費用を全額自己資金で賄えるケースは非常に稀なため、アパート経営を始めるほとんどの人が金融機関の融資(ローン)を利用します。
ローンを利用することで少額の自己資金でアパート経営を始めることができますが、ローン種類や金融機関の種類によって融資限度額や金利などの融資条件は異なります。
ここではアパートローンの種類や上限額について解説します。
アパートローンの種類
まず、アパートローンを取り扱っている金融機関は、「民間金融機関」と「公的金融機関」の2種類にわけることができます。それぞれの特徴は次のようになります。
◦民間金融機関の種類
民間資本によって運営されている金融機関のことで、都市銀行や地方銀行、信用金庫・信用組合、ノンバンクなどが該当します。
各行それぞれの金融商品を提供しており、融資条件などもそれぞれ異なります。
アパートローンに関しては、規模の大きな都市銀行や大手地方銀行は低金利ですが、その代わり融資審査が厳しい傾向です。
反対にノンバンクは融資審査が比較的ゆるく、属性が低く、他行で融資を断られた人でも融資を受けられる可能性が高いです。しかしローン金利も高く設定されているのが特徴です。
◦公的金融機関の種類
政府が全額、または一部の資金を出して運営している金融機関で「政府系金融機関」とも呼ばれます。日本政策金融公庫(日本公庫)や商工組合中央金庫、住宅金融支援機構などがあげられます。
日本国内の経済発展や中小企業の活動支援を目的としている点が、民間金融機関と大きく異なる点です。
融資に関しては、主に中小企業や個人の事業者への支援を積極的おこなっていて、利息や融資期間、審査基準など、民間金融機関と比べて借入条件がしやすい傾向にあります。
日本公庫の場合、若年層やシニア層、女性を対象にした融資の優遇装置などを実施しています。
アパートローンの種類
まず、基本となるアパートローンについて理解しましょう。
アパートローンとは、賃貸用不動産の購入や建築資金を融資する金融商品を言います。アパートだけでなくマンションや戸建て住宅など、賃貸物件とする不動産の購入資金として利用できます。そのため不動産投資ローンと呼ばれる場合もあります。
アパートローンのように、不動産投資用の収益物件の購入に利用できるローンには以下のような種類があります。
◦提携ローン
主に自社物件の購入者を対象に、不動産会社が金融機関と提携して独自のプランを提供しているローンです。
金利も低く、手続きも不動産会社があいだに入ってくれるため手間が少なないなど、ローン申込者にとってもメリットが大きいです。
ただし、利用できるローンのプランが限定されている点はデメリットと言えるでしょう。
◦プロパーローン
金融機関がそれぞれの融資申し込みごとに金利や融資期間などを独自に決定したうえで融資をおこなうローンです。
一般的なアパートローンとは異なり、保証会社を入れずに金融機関が貸付をおこなうため、金融機関が貸し倒れのリスクを負います。
プロパーローンは融資限度額や使途目的も限定されないなどメリットが大きい反面、融資審査は非常に厳しいと言われています。
アパートローンの融資限度額
アパートローンは、賃貸用不動産の購入や建築資金を融資するローンを言います。不動産投資ローンと呼ばれる場合もあります。
一般的にアパートローンの融資限度額は、融資申込者の年収の7倍~10倍が目安です。
たとえば年収600万円の人がアパートローンで融資を受けられる範囲は4,200万円~6,000万円です。ただし、融資申込者の属性や頭金の額によって、融資限度は変動します。
ローン返済計画を立てておく
スムーズなアパート経営をおこなうためには、あらかじめローン返済計画を立てておくことが重要です。
もし、取得するアパートがまだ決まっていない場合は、用意できる自己資金額と借入可能額から購入できる物件のおおよその価格が判断できます。
月々のローン返済額は、借入れした額を借入期間で割ることでざっと計算できます。3,000万円の中古アパートを取得するとした場合、自己資金を物件価格の1割(300万円)を用意すると、借入金は2,700万円です。これを30年で返済するのであれば、1年あたり90万円、月々7万5,000円の返済となります。
ここに金利分の返済が加わるため実際の返済額はもう少し増えますが、それらを踏まえて、月々の返済額を考慮して、無理なくローン返済ができるような資金繰りを考えておくとよいでしょう。
アパート経営のリスクを理解する
アパート経営をおこなうにあたって、資金面以外にも考慮しておく点はたくさんあります。特にアパート経営にまつわる各種リスク対策は無視できない問題です。
リスクといっても、アパート経営に関するリスクの多くは、あらかじめ対策をおこなえるケースも多いです。大事なのはリスクの内容を理解したうえで、適切な対策をおこなうことです。
ここではアパート経営に関するリスクと対策方法について解説します。
資金面のリスク
アパート経営の魅力のひとつは、金融機関から融資を受けて「他人資本」で高額の投資をおこなえることです。しかし、アパートの取得費用の大部分を借入れられると言っても、ある程度の自己資金は必要です。
前述したようにアパート取得時に必要な自己資金は、頭金として物件価格(建設費用)の1割~3割程度、諸費用として物件価格(建設費用)の8%~10%程度です。
アパートの取得費が大きければ大きいほど、必要になる自己資金も高額になります。
頭金が不要な「フルローン」を利用する方法もありますが、その場合、通常の融資審査よりも厳しく評価されることになります。またフルローンは借入額が大きくなり月々のローン返済が負担になるおそれもあるため、アパート経営初心者のかたにはおすすめできません。
なかなか必要な額の自己資金を用意できない場合、無理に借り入れをしてアパート経営をはじめるよりは、無理のない範囲で購入できる区分マンションなどを運用しながら、アパートの購入資金を貯めることをおすすめします。
修繕リスク
アパート経営のように建物を一棟丸ごと管理する場合、建物や設備などの修繕費が大きくなりやすいため注意が必要です。
特に10年~15年ごとにおこなう「大規模修繕工事」はアパートの規模にもよりますが数百万円単位の修繕費が発生します。
大規模修繕工事は、屋根の葺き替えや外壁塗装、給排水管の取り換えなど、アパートの資産価値を維持するためには欠かせない工事です。
万が一工事費用が捻出できずに工事ができない場合、建物の耐久性の低下のため安全性を損なったり、外観の傷みが目立つと入居率の低下につながったりと、さまざまなリスクにつながります。
そのため大規模修繕工事を欠かすことはできません。過不足なく大規模修繕工事をおこなうためには、あらかじめ大規模修繕に必要な工事費用を算出したうえで毎月の家賃から大規模修繕工事費の積立てをおこなうことをおすすめします。
またアパートの建物や設備は、築年数とともに老朽化し、それに伴って修繕の頻度も上がります。
アパート経営をおこなう場合は、大規模修繕だけでなく経年による修繕費の負担についても留意しておきましょう。
流動性リスク
株式やFXなどのほかの投資商品と比較すると、不動産は流動性が低く、現金化がしにくいです。なかでも一棟アパートは、区分マンションや戸建てに比べて買い手が見つかりにくい傾向があります。
売却できない場合は売却価格を下げて対応することになります。しかしローンの残債がある場合、売却代金を下げ過ぎるとローンの一括返済ができなくなるおそれがあります。
売却代金でローンの一括返済ができないときは、不足分を自己資金や借入金などで補填しなければなりません。
このように「売りたくても売れない」というリスクを避けるためには、アパートを取得する段階で出口(売却)を意識してアパートを購入、または建設する必要があります。
たとえば新築でアパートを建設する場合、こだわりのデザインで高額の建築費用をかけて建てたアパートは売却額も高額になります。しかしアパートの売却額には相場があるため、あまりにも相場からかけ離れた価格を設定してしまうと買い手は見つかりにくくなってしまいます。
こういった事態を避けるためにもアパートを取得する際は、買い手の立場も考慮し、最終的な出口を見据えて物件を選ぶことが大事です。
空室リスク
アパート経営は、区分マンションの運用などと比較すると利回りが良く大きなリターンが期待できます。
しかし一方で、規模が大きく高額の取得費用や維持管理費が必要となるため、リターンが大きくても黒字になるまでにはかなりの時間を要します。
特に注意したいのが経年によって上昇する空室率です。
新築のアパートは人気が高いため入居者が集まりやすく、また「新築プレミアム」として相場よりも高く家賃を設定できます。しかし「新築」を謳える期間は短く、その後は通常の家賃で空室リスクに対応しなければなりません。
さらに年数が経つと空室を埋めるために家賃の引き下げを検討した場合、想定した利回りを維持できなくなり、毎月多額の赤字が発生するおそれも考えられます。
こういったアパート経営のリスクを回避するためには、賃貸需要が落ちない利便性の高いエリアを選び、一時的な空室リスクに備えて十分な資金を用意する必要があります。
またそれ以外のリスク対策をしっかりおこなうことも重要なポイントです。
また空室リスクを抑えるためには、既存の入居者の満足度を維持して退去させない工夫も大事です。入居者の満足度を下げないためにも、建物や設備の状態を維持したり、クレームに迅速に対応したりする必要があります。
アパートの管理を不動産管理会社に業務委託している場合は、管理会社のノウハウを頼りましょう。管理会社と連携を取り、空室対策に効果的な提案を検討するとよいでしょう。
まとめ
アパート経営に必要な自己資金の目安は、頭金がアパート取得費用の1割~3割程度、諸費用がアパート取得費用の8%~10%程度が相場となります。アパートの取得費用が高額になればなるほど、必要となる自己資金も増加します。
またアパート経営は、アパートを取得してからも維持管理のための費用が必要です。維持管理費用の目安は、家賃収入の20%~30%程度を占めるため、できるだけ維持管理費用を抑える工夫も必要となるでしょう。
用意できる自己資金が少ない場合は、無理にアパート経営に着手せず、まず区分マンションなどを運用し、必要な自己資金が準備できてからあらためてアパート経営を検討しても遅くはありません。
まずは綿密な資金計画を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。
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