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アパート経営で経費として落とせる項目、落とせない項目を解説!



アパート経営をおこなう際には、さまざまな費用が発生します。それら費用のなかには確定申告時に「経費」として計上できるものも多数あります。
計上できる経費が増えれば不動産所得が減るため、節税を意識するうえで経費の有無は決して疎かにはできません。
 
そこで今回は、アパート経営で経費計上が可能な費用とできない費用について詳しく解説します。また経費計上以外の節税対策についても紹介します。
ぜひ、確定申告で役立ててください。


目次[非表示]

  1. 1.アパート経営で認められる経費の判断基準
  2. 2.アパート経営で経費として認められる費用
    1. 2.1.租税公課
    2. 2.2.損害保険料
    3. 2.3.減価償却費
    4. 2.4.修繕費・修繕積立金
    5. 2.5.借入金の利息部分
    6. 2.6.管理委託手数料
    7. 2.7.交通費
    8. 2.8.通信費
    9. 2.9.新聞図書費
    10. 2.10.接待交際費
    11. 2.11.消耗品費
    12. 2.12.その他の費用
  3. 3.アパート経営で経費として認められない費用
    1. 3.1.借入金の元本部分
    2. 3.2.所得税や法人税など不動産に関係のない税金
    3. 3.3.修繕積立金は原則として経費ではないが条件付きで経費にできる
    4. 3.4.アパート経営に関係のない費用
  4. 4.アパート経営で利益が出たら確定申告が必要
  5. 5.アパート経営時にできる節税対策
    1. 5.1.不動産所得が赤字なら損益通算をおこなう
    2. 5.2.事業規模(5棟10室)なら青色申告を選ぶ
    3. 5.3.課税所得が900万円を超えたら法人税の方が安くなる
  6. 6.まとめ
  7. 7.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧


アパート経営で認められる経費の判断基準

円滑なアパート経営をおこなうにあたって、さまざまなケースで出費が伴うこともあります。それらの支出は、確定申告時に経費として計上できる可能性がありますが、支払った費用のすべてが経費として認められるわけではありません。
 
アパート経営で経費として認められる費用は、「アパート経営に直接関係している」ことが絶対の条件です。
 
しかし「これはアパート経営に必要だから」と購入した物品が経費として認められないケースもあるため注意が必要です。逆に経費にならないと思っていた支出が経費として認められる可能性もあります。
 
確定申告時に経費として認められない費用を計上した場合、修正申告を求められることがあります。その場合は、正しく経費計上をしたうえであらためて確定申告をおこなわなければなりません。
 
ただし、修正申告を軽く見てはいけません。もし修正申告を求められた際に「悪質だ」と判断されてしまうとペナルティが課される可能性もあるのです。
 
慣れないうちは経費として認められる費用かどうかの判断はむずかしいかもしれません。しかしアパート経営をおこなううえで確定申告は毎年おこなう必要があります。
ぜひ、アパート経営における正しい経費の知識を身に付けましょう。


アパート経営で経費として認められる費用

先に述べたように、アパート経営をはじめとする不動産投資で経費として認められる費用は「アパート経営(不動産投資)に直接関係している」ことが条件となります。
 
ここではアパート経営の経費として認められる費用を紹介します。
 
なお経費にできるかどうか迷った際は自己判断せずに税理士や税務署に相談することをおすすめします。専門家に相談することで正しく確定申告ができるのはもちろん、経費の漏れも防止できます。


租税公課

アパート経営で得た利益や、取得した不動産には税金が課されます。経費として認められる税金などは以下のようになります。

  • 固定資産税:毎年1月1日時点に不動産を所有している場合に課される
  • 都市計画税:所有する不動産が市街化区域内にある場合に課される
  • 登録免許税:不動産登記手続きの際に国に納める税金
  • 不動産取得税:不動産取得時に課される税金
  • 印紙税:不動産売買契約や建築契約、ローン契約などの契約書作成時に課される税金
  • 自動車税・自動車重量税:車に課せられる税金(使っている部分のみ経費計上可能)
  • 法人事業税:一定規模以上の事業をおこなっている法人に課される税金

 
なお、所得税・住民税、法人税・法人住民税は経費として計上できません。詳しくは後述する『アパート経営で経費として認められない費用』で解説します。


損害保険料

アパート物件に掛けた火災保険や地震保険などの保険料は経費となります。そのほかにも「孤独死保険」など、アパート経営に関係のある保険へ加入した場合の保険料も経費として認められます


減価償却費

減価償却したアパートの建物や設備は、減価償却費として経費計上が可能です。
減価償却とは、経年によって価値が減っていく固定資産を法定耐用年数で分割し、その費用を毎年経費計上する会計処理です。
 
法定耐用年数は国によって定められており、建物は構造によって、備品などは種類によって耐用年数が異なります。
なお、経年によって価値が下がらない土地は減価償却の対象外となるため注意しましょう。


修繕費・修繕積立金

建物や設備施設のメンテナンスや修繕・交換のための支出や、原状回復のためのリフォーム費用は修繕費として経費計上できます。
 
ただし、増築やリノベーションなどで資産価値を高めたり、既存の設備よりもグレードの高い設備に交換したりした場合は「資本的支出」とみなされ減価償却の対象となります。
修繕費であれば確定申告で一括して経費として計上できますが、資本的支出であれば定められた期間中一定額を減価償却として経費計上することになります。
 
修繕費と資本的支出のどちらになるのか判断に迷ったときは、税理士など専門家に相談しましょう。
またアパート経営における修繕積立金については、原則として経費として計上することはできません。詳しくは後述する『アパート経営で経費として認められない費用』で解説します。


借入金の利息部分

アパートを取得する際に金融機関から融資を受けた場合、毎月ローンの返済をおこないます。その際、借入金の利息部分については経費として認められます。ただし土地購入分の利息は経費計上できません。
 
また借入金の元本部分についても経費にできないため注意が必要です。詳しくは後述する『アパート経営で経費として認められない費用』で解説します。


管理委託手数料

アパートの管理業務を不動産管理会社に委託した場合に支払った、管理委託手数料は経費として認められます。


交通費

アパート経営に関わる外出で支払った交通費は経費として計上できます。たとえば購入を検討中のアパート物件の現地調査に行った場合にかかった電車賃や、打ち合わせのために管理会社を訪れた際のバス代などが該当します。
 
また移動に自家用車を使用した場合は、ガソリン代や駐車場料金などのほか、高速料金・自動車保険料・自動車税なども経費として計上できます。
 
ただし自家用車をプライベートでも使用している場合、経費として認められるのはアパート経営に使用した分のみです。
このように事業とプライベートで共用している物品については「家事按分」をおこない、事業として使用した分の金額を算出する必要があります。


通信費

アパート経営に関係した電話料金やインターネット料金などは通信費として経費計上が可能です。
たとえば管理会社と電話で通話した際の電話料金や、不動産の情報集をおこなうためにインターネット検索をおこなった場合のインターネット料金・プロバイダー料金などが該当します。
 
通信費についても、プライベートで共用している場合はアパート経営で使用した分だけが経費として認められます。


新聞図書費

アパート経営のための情報収集や勉強のために購入した新聞や書籍などの購入費は経費として計上できます。
 
資格所得のためのテキスト代なども経費計上が可能ですが、その場合はアパート経営に必要であると判断された資格に関連する費用のみが経費として認められます。
たとえば「宅地建物取引主任士」の資格は、アパート経営に直接必要な資格ではないため経費として認められません。
 
なお資格取得費用が経費として認められた場合、テキスト代だけでなく受験費用なども経費にできます。
経費にできるかどうか判断に迷ったときは、税理士などの専門家に相談しましょう。


接待交際費

アパート経営に関連した会食や冠婚葬祭にかかった費用は経費にできます。
たとえば、アパート経営の管理業務を委託している管理会社担当者と食事をした場合などが該当します。


消耗品費

パソコンやプリンターなど、アパート経営に必要な物品の購入費は消耗品費として経費計上が可能です。ただし、10万円以上の物品は備品として扱われ、減価償却の対象となるため注意が必要です。


その他の費用

上記の費用以外にも経費として認められる支出もあります。
たとえば、アパートを立て替えるために既存の入居者に支払った立ち退き料や解体費用は経費にできます。
 
またアパートを取得した際に登記手続きを依頼した司法書士に支払った報酬、入居者の家賃滞納に関して弁護士に相談した場合の報酬なども経費として計上可能です。
 
繰り返しになりますが、経費にできるかどうか迷った場合は自己判断せずに、かならず税理士などの専門家に相談しましょう。


アパート経営で経費として認められない費用

前述したように、アパート経営で経費として認められるのはアパート経営に直接関係する費用だけです。したがって、アパート経営に関係のない支出については経費として認められません。
 
しかし、一見するとアパート経営に関係のある費用でも経費として認められない費用もあります。
ここではアパート経営の経費として認められない費用について、その理由とともに解説します。


借入金の元本部分

アパートを取得する際は金融機関から融資を受けた場合、毎月ローンの返済をおこないます。その際、ローン返済金の利息部分は経費になりますが、元本部分については経費にすることはできません。
 
その理由は、「元本部分は借りたものを返しているだけで、アパート経営のために発生した費用ではない」とみなされるためです。
借入金の元本部分を含めて経費計上にしないよう注意しましょう。


所得税や法人税など不動産に関係のない税金

アパート経営では、所得税や住民税、法人税、法人住民税は経費として認められていません。
なぜなら、所得税や住民税などは、アパート経営に関係なく、すべての所得に課せられる税金だからです。

また不動産の相続や贈与で発生した相続税や贈与税も、アパート経営とは関係なく個人の財産に対して課される税金なので経費にはなりません。


修繕積立金は原則として経費ではないが条件付きで経費にできる

アパート経営における修繕積立金については、原則として経費計上はできません。
なぜなら、修繕費を積み立てている時点ではまだ修繕がおこなわれていないため、会計上は資産の扱いとなるためです。
 
実際に修繕が発生し、修繕積立金で修繕工事をおこなった時点であらためて修繕費として経費計上が可能になります。
 
ただし、「大規模修繕積立金共済制度」を利用して共済掛金として積立する場合は全額経費として計上できます。


アパート経営に関係のない費用

明らかにアパート経営と関係のない費用については経費として認められません。
しかしアパート経営に関係があるかどうか判断のむずかしい物品も多いです。たとえば管理会社との打ち合わせ用に購入したスーツやカバンなどは、かならずしもアパート経営に関係がないとみなされ、経費として認められないため注意が必要です。


アパート経営で利益が出たら確定申告が必要

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に得た所得の金額と、それに対する所得税額を計算して確定させる手続きを言います。
 
基本的にアパート経営をおこない、収入があった場合は確定申告が必要です。
課せられる所得税率は「不動産所得」によって決まります。
不動産所得とは、不動産投資で得た収入(家賃収入など)から経費を差し引きした額のことです。
 
当然ですが、不動産所得が多ければそれだけ課せられる税は高くなります。
しかし、アパート経営にかかった経費をもれなく計上することで所得が圧縮され、自然と節税につながります
 
なお確定申告は、所得が一定額を下回る場合は申告手続きが不要になります。アパート経営の場合、以下のケースでは確定申告をおこなわなくてもかまいません。

  • 不動産所得が48万円以下(個人事業主としてアパート経営をおこなっている場合)
  • 不動産所得が20万円以下(会社員がアパート経営をおこなっている場合)

 
ただし、不動産所得が赤字の場合、「損益通算」の対象になる可能性があるため、確定申告することをおすすめします。
損益通算について詳しくは、次項の『アパート経営でできる節税対策』で解説します。
 
また確定申告期間は毎年2月16日から3月15日までとなります。(土曜・日曜・国民の祝日・休日にあたる場合は、翌日または翌々日の月曜日が期限日になります)
なお、所得税の納付期間も同じく3月15日までです。
 
申告が必要なのにもかかわらず申告期間内に確定申告をおこなわなかったり、申告した所得が実際よりも少なかったり、なんらかの不備があった場合はペナルティが課されるため注意しましょう。


アパート経営時にできる節税対策

ここではアパート経営時にできる節税対策を3つ紹介します。


不動産所得が赤字なら損益通算をおこなう

不動産所得が赤字の場合、「損益通算」をすることで、課税対象の所得額を減らすことにつながります。
損益通算とは、赤字の所得と黒字の所得を合算する会計処理のことです。
 
たとえば会社員がアパート経営をおこない、給与所得が500万円、不動産所得が100万円の赤字だった場合、損益通算をおこなうことで課税対象となる所得額は400万円となります。
このように損益通算することで課税対象となる所得額が下がります。すると課せられる税金も減少するため結果的に節税になるのです。
 
アパート経営開始初年度は、さまざまな軽費が発生するため赤字になりやすいです。そのような場合は損益通算を利用して節税につなげましょう


事業規模(5棟10室)なら青色申告を選ぶ

確定申告をおこなう際は「白色申告」または「青色申告」のどちらかで申告します。
特になにもしなければ自動的に白色申告になりますが、できるだけ節税をしたい場合は青色申告がおすすめです。
 
特にアパート経営が事業規模(5棟10室:賃貸戸建てを5棟、または区分所有やアパートで10室を所有している状態)の場合、青色申告をおこなうことで最大65万円の「青色申告特別控除」を受けることも可能です。
 
そのほかにも「青色事業専従者給与」としてアパート経営で家族に支払った給与を全額経費計上できたり、赤字を3年間繰り越しできたり税制上のメリットが多いです。
 
その代わり、青色申告をおこなうためにはあらかじめ所轄の税務署に「開業届」を提出したうえで、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
また帳簿は「複式簿記」で記帳しなくてはならないなど、白色申告よりも手間がかかります。


しかし青色申告することで大きな節税効果が期待できるため、アパート経営である程度の規模を超えたら、青色申告で確定申告をおこなうことをおすすめします。


課税所得が900万円を超えたら法人税の方が安くなる

アパート経営の所得が増え、課税される所得の合計金額が900万円を超えた場合、法人化することで節税につながるケースがあります。
 
個人の所得税は、課税される所得額が900万円を超えると税率が33%になります。
一方で法人税の最高税率は23.4%であるため、法人化することで税負担を軽減することができるのです。
 
そのほかにも法人には、赤字を最大9年間繰り越せたり、経費計上できる範囲が広がったり、個人の青色申告以上に節税できるチャンスが増大します。
 
ただし法人化するには、ある程度の手間と費用がかかります。また維持費用も増えるため、節税効果と法人化することで増える費用などを考慮したうえで、法人化の検討をおこなうとよいでしょう。


まとめ

アパート経営ではさまざまな費用が発生し、それらは経費として計上することも可能です。
ただし、経費として認められる費用は、あくまでアパート経営に直接関係するものだけです。
経費として認められない費用を計上して確定申告してしまうと修正申告を求められますが、悪質だと判断されるとペナルティが課されるケースもあるため注意しましょう。
 
経費にできるかどうか判断に迷った場合は自己判断せずに、かならず税理士などの専門家に確認することをおすすめします。
正ししい経費をもれなく計上することで節税につながるのです。


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岩崎
岩崎
不動産ジャンルのライター歴は2年半以上。その間、100本以上のコラム構成・執筆を担当。満室経営を目指す大家さんに役立つ記事をお届けします。

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