【2025年最新版】太陽光発電の設置費用はいくら?相場・内訳・補助金・回収年数まで徹底解説
昨今の電気料金の値上げなどから、自宅やアパートなどの屋根に太陽光発電システムの設置を検討する人が増えています。
そこで気になるのが、太陽光発電システムの設置費用です。
当記事では、太陽光発電システムの設置費用について、相場と内訳について詳しく解説します。
太陽光発電システムの設置費用を抑える方法や設置費用を回収するまでの年数なども紹介します。
これから太陽光発電システムの導入を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.太陽光発電の設置費用の最新相場(2025年版)
- 1.1.住宅用と産業用の平均単価
- 1.2.5 kWシステムの総費用推移
- 1.3.住宅用・産業用・容量別の概算費用早見表
- 2.太陽光発電の設置費用の内訳と単価目安
- 2.1.太陽光パネル(メーカー別kW単価)
- 2.2.パワーコンディショナの価格相場
- 2.3.架台の価格相場
- 2.4.工事費の相場(架台や足場の設置・配線や電気工事費など)
- 2.5.その他諸費用の相場(設計・申請手数料・メンテナンス初期費など)
- 3.太陽光発電の費用を左右する4つの要因
- 3.1.①システム容量と屋根面積
- 3.1.1.容量が大きく設置面積が広い場合
- 3.1.2.屋根の形状が複雑な場合
- 3.1.3.旧耐震基準の建物に設置する場合
- 3.2.②屋根の材質・角度・方角
- 3.3.③太陽光パネルメーカー・変換効率の高いパネル
- 3.4.④地域差と人件費
- 4.太陽光発電の設置費用を抑える方法
- 4.1.国や自治体補助金・助成金制度の活用
- 4.2.PPA・リースで初期費用ゼロの「0円ソーラー」
- 4.2.1.太陽光発電PPAを利用する
- 4.2.2.リース契約を結ぶ
- 4.3.相見積もり・共同購入を利用する
- 4.4.工事時期は閑散期を狙う
- 5.太陽光発電の費用対効果シミュレーションを紹介!
- 6.太陽光発電システム設置までのスップと必要コスト
- 6.1.現地調査・シミュレーション
- 6.2.見積もりの取得・契約の締結
- 6.3.設備認定・系統連系申請
- 6.4.設置工事・テスト運行・運用の開始
- 7.太陽光発電の設置費用に関するよくある質問(FAQ)
- 8.まとめ
- 9.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
太陽光発電の設置費用の最新相場(2025年版)
まず、太陽光発電システムを導入するために必要な費用の相場を見てみましょう。
なお住宅用と産業用によっても設置費用は異なります。
ここでは太陽光発電システムの設置費用について、住宅用と産業用それぞれの相場を紹介します。
住宅用と産業用の平均単価
経済産業省のデータでは、2025年度の住宅用太陽光発電システムの設置費用の平均単価は1kWあたり約26万円~29万円程度とされています。
一方、2025年の産業用太陽光発電システムの設備費用の平均単価は、1kWあたり約25万円~30万円程度と見積もられています。
参考:経済産業省『令和5年度以降の調達価格等に関する意見』
なお太陽光発電システム設置費用は、システム容量や住宅・建物の条件、機器を購入するメーカーによって必要になる費用が異なります。
最終的に太陽光発電に設置費用がいくらになるかを知るためには、専門の設置業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
また自治体によっては、太陽光発電の設置に関する補助金や助成金制度を受けることが可能です。これらの制度を利用することで、太陽光発電の設置費用を抑えることにつながります。
5 kWシステムの総費用推移
ここで、太陽光発電の設置費用の推移を見てみましょう。
【住宅用太陽光発電システム費用(設置年別の推移)】
画像引用:経済産業省『令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)』
経済産業省発表の資料によると住宅用太陽光発電システムの設置費用は、2022年までは下落傾向にありましたが、2023年からは上昇しています。
価格上昇の主な理由は、昨今の物価高やエネルギー価格の高騰などが影響しているためです。
特に新築住宅のシステム設置費用の上昇が大きいのは建築資材や人件費の値上がりが要因であることが考えられます。
そのため今後も価格は微増していくことが予想されます。
しかし、2012年の住宅用太陽光発電システムの設置費用の平均単価は1kWあたり46.5万円台(全体)だったのに対して、12年後にあたる2024年では平均単価が29.5万円と17万円も安くなっています。
電気料金も高騰している昨今、太陽光発電システムを上手に活用することで支出を抑える効果が期待できるでしょう。
住宅用・産業用・容量別の概算費用早見表
ここでは太陽光発電システムの容量別・屋根形状別の概算費用の早見表を掲載します。
なお、住宅用の太陽光発電システムは10kW未満となり、10kW以上になると産業用に区分されます。
一般的な戸建て住宅で太陽光発電システムを導入する場合、3 kW~5 kWが主流です。
太陽光発電の設置費用の内訳と単価目安
太陽光発電をおこなうためには、ソーラーパネルのほかにもパワーコンディショナや架台など各種設備が必要となります。
ここでは、前述した経済産業省発表の『令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)』の2024年の新築住宅用太陽光発電システムの設置費用を例にし、主な内訳ごとにそれぞれの単価目安を紹介します。
なお、基本的に太陽光発電システムの設置費用は容量と比例するため、容量が大きくなればなるほど設置費用は高額になることを念頭においておきましょう。
太陽光パネル(メーカー別kW単価)
太陽光パネルとは、太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変換する装置のことです。
ソーラーパネル、太陽電池モジュール、PV(Photovoltaicフォトボルタイク)などと呼ばれることもあります。
太陽光パネルの設置費用相場は13.6万円/ kWとなり、これは太陽光発電システム設置費用の内訳の中で一番大きな割合です。
住宅に導入される太陽光発電システムの主流は3 kW~5kWなので、およそ40.8万~68万円がかかる計算になります。
ただし、太陽光発電システムで使用する太陽光パネルはメーカーごとに発電量が異なり、価格にも差があります。下記は太陽光パネルを販売している主要メーカー3社の価格表です。
太陽光パネルは1枚当たりの発電量が少ない方が価格は安いです。その場合、発電量を増やすためにはパネルの枚数を増やさなければならず、より広い設置スペースが必要になるため注意が必要です。
パワーコンディショナの価格相場
パワーコンディショナ(通称:パワコン)は、ソーラーパネルで作られた「直流電力(DC)」を、日常の生活で使用している「交流電力(AC)」に変換するための機器です。
パワコンの価格相場は5万円/ kW程度です。3 kW~5kWの太陽光発電システムの場合、15万~25万円程度の費用が必要になります。
なお、パワコンには太陽光発電システム専用のほか、蓄電池と連携できるタイプなど複数の種類があり、価格はさまざまです。また出力量やメーカーによっても異なります。
ただし、パワコンはソーラーパネルの容量に応じて選ぶ必要があるため、価格だけでなく容量を考慮したうえで選びましょう。
架台の価格相場
架台は、ソーラーパネルを屋根や地面などに固定する構造物のことです。単に固定するだけでなく、太陽光発電を効率よくおこなうために適切な高さ・角度を保つ役目を持つ重要なパーツです。
架台の価格相場は、およそ2.8万円/kWです。発電量を増やすためにはパネルの枚数も増やす必要があり、結果的に架台の価格も容量によって増減します。
仮に3 kW~5kWの太陽光発電システムの場合、8.4万~14万円程度の費用が必要になります。
なお、設置する場所や使用するパネルなどによって使用する架台も変わるため、価格も変動する場合があります。
工事費の相場(架台や足場の設置・配線や電気工事費など)
太陽光発電システムの設置は、専門業者による設置工事が必要です。工事費には、架台設置・足場の設置・配線や電気工事費などが含まれます。工事費の相場は、8.4万円/kWです。
工事費も容量に比例するため、3 kW~5kWの太陽光発電システムを設置する際に発生する工事費の目安は25.2万~42万円程度になります。
ただし工事費は、設置場所・屋根の形状・工法などによって増減することを覚えておきましょう。
その他諸費用の相場(設計・申請手数料・メンテナンス初期費など)
太陽光発電システム本体(太陽光パネル・パワーコンディショナ/蓄電池・工事費用)のほかに、諸費用(電力会社や国への申請費用・助成金の申請費用・保証料・手続き手数料・消費税など)の費用がかかります。
なお、それぞれの金額は利用する制度や選択するメーカーなどによって異なります。
諸費用の詳細については、メーカーや工事業者の見積りを確認しましょう。
太陽光発電の費用を左右する4つの要因
太陽光発電システムの設置費用は、次の4つの要因によって金額が増減します。
- システム容量と屋根面積
- 屋根の材質・角度・方角
- 太陽光パネルメーカー・変換効率の高いパネル
- 地域差と人件費
それぞれの内容について詳しく解説します。
①システム容量と屋根面積
太陽光発電システムの容量や設置場所によっては設置費用が高額になるケースがあります。高額になりやすいのは次のような要因が考えられます。
容量が大きく設置面積が広い場合
前述したように、太陽光発電システムの設置費用は容量と比例します。そのため、容量が大きくなればなるほど設置費用は高額になります。
一般的な戸建て住宅に設置される太陽光発電システムの容量は3 kW~5kWが主流です。もし、設置費用が高額である場合は、容量を小さくすることで設置費用を抑えることが可能です。
屋根の形状が複雑な場合
屋根の形状が複雑な場合、設置工事の手間が増えるため設置費用も高額になりやすいです。
その場合、設置場所を変更することで設置費用を抑えられる可能性があります。
旧耐震基準の建物に設置する場合
1981年より以前に建築された建物は、新耐震基準が適用されていない「旧耐震基準」の可能性が高いです。
その場合、太陽光発電システムの重量に建物が耐えられるか耐震診断をおこなう必要がありますが、この診断をおこなうためには費用がかかります。
また耐震診断の結果、耐震性が不足していると判断された場合は耐震補強工事が必要になるため、その費用が発生します。
このように旧耐震基準の建物に太陽光発電システムを設置する場合は、設置費用が高額になりやすいため注意が必要です。
②屋根の材質・角度・方角
太陽光発電システムを設置する屋根の素材や角度、方角によっても設置費用は変わってきます。
屋根の材質
太陽光発電システムを屋根に設置する際は、固定するために屋根に穴をあけるのが一般的です。しかし、屋根の材質によっては設置がむずかしいものもあるため注意が必要です。
その場合、設置するために機材などが別途必要になるなど、追加の費用が発生するため設置費用が高額になりやすいです。
また、設置ができてもメンテナンスに手間がかかる場合もあります。
太陽光発電システムを設置する前に、かならず設置にてきしているかどうか屋根材を確認しましょう。
屋根の角度
一般的に太陽光発電システムは、設置する屋根の傾斜角度によって発電効率が変わります。
もっとも発電効率がよい屋根の傾斜角度は30度程度と言われています。
そのため、屋根の傾斜がない陸屋根や30度以上の傾斜がある屋根の場合、太陽光パネルを固定する架台で角度を調整する必要があるため、設置費用が高額になりやすく注意が必要です。
屋根の方向
屋根の向いている方角も発電効率に大きく影響します。特に屋根が北向きの場合は発電効率が低くなってしまうため、設置には不向きと言えます。
北向きの屋根にしか太陽光発電システムを設置できない場合は、架台などを利用して向きや角度を変えることで発電効率を上げることも可能です。
ただしその場合、通常よりも多くの架台を使用する必要がありますし、工事の手間もかかります。そのため太陽光発電システムの設置費用が高額になりやすいです。
③太陽光パネルメーカー・変換効率の高いパネル
太陽光パネルの価格はメーカーによって異なります。そのため、太陽光パネル1枚当たりの単価が高い場合、設置費用も高くなります。
ただし、前述したように太陽光パネルの価格は1枚当たりの発電量が少ない方が安くなりますが、その代わり発電量を増やすためにはパネルの枚数を増やさなければならず、やはり設置費用に影響します。
また、太陽光発電システムによる発電効率を上げるために、変換効率の高いパネルを選んだ場合も設置費用は高額になりやすいため注意が必要です。
しかし、変換効率の高い太陽光パネルは、同じパネル面積でもより多くの電力を発電できるため、長期的な目線では費用対効果が高いと考えられます。
変換効率の高いパネルを選ぶ際は、複数の業者に見積もりを依頼し比較したり、補助金制度を活用したり、できるだけ設置費用を抑える工夫をすることをおすすめします。
④地域差と人件費
太陽光パネルや配線などの材料などは地域差が少ない傾向ですが、運搬費や工事に関わる人件費は地域によって大きく異なるケースがあります。
特に人件費は、そのエリアの建設業の需要な状況に左右されるため、地域差が大きくなりやすいのです。
そのため、太陽光発電システムを設置する際は、その地域の人件費や運搬費などの相場を把握しておく必要があります。
太陽光発電の設置費用を抑える方法
太陽光発電システムの設置工事費は、住宅用の3 kWでも78万~87万円程度と、決して安価ではありません。
設置工事費を抑えることができれば初期費用が安くなり、投資した資金を回収しやすくなります。
ここでは、太陽光発電システムの設置工事費を抑えるための方法を4つ紹介します。
国や自治体補助金・助成金制度の活用
太陽光発電システムや蓄電池の設置を対象に、国や各自治体で補助金や助成金制度を提供しています。
たとえば東京都では、「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」として、新築住宅で10万~12万円/kW(上限36万円)、既存住宅で12万~15万円/kW(上限45万円)の補助金を支給しています。(金額などは各市区町村により異なる、適用条件あり)
2025年現在、国の太陽光発電システム設置に対する補助金制度はありませんが、蓄電池の設置に関しては最大60万円の補助金が支給されます。(適用条件あり)
また、以下の補助金・減税制度では、適用条件として太陽光発電システムの設置が条件のひとつになっていたり、システムを設置することで控除額が上乗せされたり、ポイントが付いたりといったメリットがあります。
- ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金
- 住宅ローン減税制度
- グリーン住宅ポイント制度
なお各自治体によっては、国の補助金と自治体が提供する補助金を併用できるケースもあり、その場合は最大100万円までの補助金を受け取れる可能性があります。
補助金や助成金を上手に活用できれば太陽光発電システム設置費用を大幅に削減できる可能性があるため、まずはお住いの自治体窓口やホームページなどで確認するとよいでしょう。
ただし、各自治体によっては太陽光発電システム設置に関する補助金・助成金制度を設けていない場合もあるため注意しましょう。
PPA・リースで初期費用ゼロの「0円ソーラー」
太陽光PPA(電力販売協定)や太陽光発電システムのリース契約を結ぶことで、太陽光発電システム設置費用をゼロすることが可能です。
このように太陽光発電システムの設置費用(初期費用)をゼロにできる仕組みを「0円ソーラー」と呼びます。
太陽光発電PPAを利用する
太陽光発電PPAとは「電力販売契約」のことです。
PPA事業者は、契約者となる需要家(一般家庭や企業など)が所有する屋根や敷地内に太陽光発電システムの設置費用を負担して設置し、そこで発電された電気を需要家に有償で提供する仕組みです。
太陽光発電システムの設置費用や管理・メンテナンス費用はすべてPPA事業者が負担します。
そのため、需要家は負担ゼロ円で太陽光発電システムを導入できますし、管理などをおこなう必要もないのです。
参考:環境省『PPA等の第三者所有による太陽光発電設備導入について』
リース契約を結ぶ
太陽光発電システムをリースすることも可能です。
リース契約のメリットは、太陽光発電システム設置の初期費用がかからない点です。加えて、保守(メンテナンス費用・修理費用など)も基本的に不要です。
また、リースした太陽光発電システムは、契約満了時に無償で譲渡される可能性もあります。
発電した電力は自家消費でき、余剰電力を電力会社に売却することも可能です。
ただし、月々のリース料は支払わなくてはなりません。特に長期契約の場合、本来のシステム設置費用よりも総リース料が高くなる可能性も考えられるのがデメリットです。
しかし、初期費用を用意する必要がないため、手元に資金がない場合に活用したい仕組みと言えるでしょう。
相見積もり・共同購入を利用する
太陽光発電システムの設置費用を抑えるためには複数の設置業者から見積りをとり、内容をよく比較しましょう。
同じシステムを取り扱っていても、設置業者によって金額は異なります。また、提供するサービスもさまざまなため、業者同士をよく比較したうえで検討する必要があります。
また、部材共同購入に参加することで、太陽光発電システムを安く設置することが可能です。
共同購入とは、太陽光発電システムの部材を複数でまとめて購入することで、1件あたりのコストを通常よりも安くできる仕組みです。
共同購入は、自治体や民間企業が実施しており、個人向けの住宅用(10kW未満)だけでなく、産業用(10kW以上)も募集しています。
ただし、太陽光発電の共同購入の受付の有無や受付期間は、自治体によって異なります。
まずはお住まいの自治体窓口やホームページへ問い合わせてみるとよいでしょう。
工事時期は閑散期を狙う
太陽光発電の設置費用は、時期によって異なります。
一般的に4月~6月・10月~12月の繁忙期は、設置業者の工事依頼が増えるため、工事費用が高くなる傾向があります。
一方、1月~3月、7月~9月は閑散期です。工事の依頼が少なくなるため費用が安くなるため、太陽光発電システムの設置費用を抑えたいのであれば、閑散期を狙うとよいでしょう。
太陽光発電の費用対効果シミュレーションを紹介!
ここでは、太陽光発電システムを設置した場合のシミュレーションを紹介します。
*太陽光発電システムの発電量は、設置場所や天候変動、経年劣化などによって、発電量が低下する場合があります。したがって下記のシミュレーションは、あくまで参考であることをご留意ください。
4 kW住宅用モデル:年間発電量・節約額・回収年数
ここでは、4kWの住宅用太陽光発電システムを導入した場合のシミュレーション結果を紹介します。
条件:年間消費電力4,000 kWh・年間電気料金約108,000円(2人暮らしの平均的数値)
【住宅用太陽光発電システムのシミュレーション(4kW)】
- 初期費用 : 約110万円( @27.5万円/kW × 4kW )
- 年間発電量 : 約4,000kWh( @1,000kWh × 4kW )
- 自家消費率 : 約30%( 1,200 kWh )
- 年間売電収入 : 約44,800円 ( FIT価格:@16円 × 2,800 kWh )
- 電気料金節約額: 約37,200円 ( 電気料金@31円 × 1,200 kWh )
- 回収期間 : 約13年 (初期費用 ÷ (売電収入+電気料金節約額))
参考:経済産業省資源エネルギー庁『買取価格・期間等|FIT・FIP制度』
4kWの住宅用太陽光発電システムのシミュレーションの結果から、初期費用110万円を回収するためには、約13年かかることがわかりました。
回収期間を短くするためには、自家消費率を上げると効果的です。
4kWの太陽光発電システムの自家消費率は30%~55%程度と言われています。たとえば、自家消費率を50%まで上げると年間の電気料金節約額は62,000円、年間売電収入は32,000円となり、回収期間は約11 .7年となります。
さらに国や自治体の補助金や助成金を活用すれば初期費用を抑えられるため、より回収期間を短くすることも可能です。
10 kW以上産業用モデル(100 kWの場合)
次に100 kW産業用太陽光発電システムを導入した場合のシミュレーション結果を見てみましょう。
なお、産業用の太陽光自家発電システムで発電した電力に関しては「FIP制度」が適用される可能性があります。
FIP制度とは、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電した電力を売電した際に、通常の売電収入に加えて「プレミアム(補助金)」が上乗せされる制度です。なお対象は法人による50kW以上の太陽光発電システムになります。
- FIP価格(基準価格)=参照価格(売電収入)+ プレミアム(補助金)
今回はシミュレーションを簡易にするため、プレミアム(補助金)は1円としています。
【産業用太陽光発電システムのシミュレーション(100kW)】
- 初期費用 : 約2,500万円( @25万円/kW × 100kW )
- 年間発電量 : 約100,000kWh( @1,000kWh × 100kW )
- 自家消費率 : 約30%( 30,000 kWh )
- 年間売電収入 : 約714,000円 ((FIT価格@9.2円+補助金@1円)× 70,000kWh )
- 電気料金節約額: 約930,000円 ( 電気料金@31円 × 30,000 kWh )
- 回収期間 : 約15年 (初期費用 ÷ (売電収入+電気料金節約額))
参考:経済産業省資源エネルギー庁『買取価格・期間等|FIT・FIP制度』
100kWの産業用太陽光発電システムのシミュレーションの結果から、初期費用2,500万円を回収するためには、約15年かかることがわかりました。
産業用太陽発電システムは容量が大きなため、FIT価格にプレミアム(補助金)が1円上乗せされただけでも収益性が向上し、初期費用の回収期間が短縮される可能性が高いです。
ただし、FIP制度は20年間の交付期間が設けられているため注意しましょう。
電気料金上昇シナリオ別のROIの変化
ROI(Return on Investment)とは、「投資利益率」を示す指標で、投資した金額に対して、どれだけの利益が出るのか・どのくらいで投資額を回収できるかを判断する際などに利用します。
設置費用 ÷(年間の売電収入+電気代の削減額)=ROI(投資回収年数)
ここでは、前述シミュレーションの数字を使って、電気料金が上昇した際のROI(投資回収年収)の変化を「4kW住宅用太陽光発電システム」を例に計算してみました。
なお、自家消費率30%(1,200kWh)・基本の電気料金1kWhあたり31円(税込)・設置費用は110万円で計算します。
【基準のROI(投資回収年数)】
設置費用110万円 ÷(年間の売電収入42,000+電気代の削減額37,200)
=ROI(投資回収年数)約13.9
約13.9年で設置費用110万円を回収できる計算です。
では、電気料金が上昇した場合はどうなるのでしょうか。
【電気料金が年2%上昇(@31.6円の標準シナリオの場合】
設置費用110万円 ÷(年間の売電収入42,000+電気代の削減額37,920円)
=ROI(投資回収年数)約13.7
電気料金が年2%上昇したことで、投資回収年数は約13.7年となり、基準の回収年数よりが約2ヶ月短縮されました。
【電気料金が年5%上昇(@32.6円)の高インフレシナリオの場合】
設置費用110万円 ÷(年間の売電収入42,000+電気代の削減額39,120円)
=ROI(投資回収年数)約13.5
電気料金が年5%上昇したことで、投資回収年数は約13.5年となり、基準の回収年数よりが約4ヶ月短縮されました。
このように電気料金が上昇することで、自家消費で節電額が多くなり、結果的に太陽光発電システムの設置費用の回収期間が短くなります。
ただし、インフレなどで電気料金が上昇する場合、そのほかの物価も上昇することが予測できます。
また上記のROIの計算にはランニングコスト(メンテナンス費用など)は反映されていません。
そのため、あくまでシミュレーションとして参考程度に留めてください。
太陽光発電システム設置までのスップと必要コスト
ここでは太陽光発電システムを設置するための手順を紹介します。主な手順は、次のようになります。
- 現地調査・シミュレーション
- 見積もりの取得・契約の締結
- 設備認定・系統連系申請
- 設置工事・テスト運行・運用開始
それぞれの工程について詳しく解説します。
なお、現地調査から実際に太陽光発電システムを設置し運用を開始するまでの期間は、おおよそ半年程度が目安となります。
現地調査・シミュレーション
まず、太陽光発電システムの設置場所の確認をおこないます。
設置業者に連絡し、現地調査を依頼しましょう。
現地調査では、まず設置予定の建物や土地が太陽光発電をおこなえる地目かどうか確認がおこなわれます。
システムの設置場所が建物の場合は、屋根の形状や方角、日照状況、耐震性などが確認されます。土地の場合は、地盤や日照に影響するものがないか周辺環境などを確認します。
特に問題がなければ、設置業者に太陽光発電システムの設置計画(見積もり)を依頼します。
なお、太陽光発電システムを検討するにあたって、比較のためにかならず複数の業者に見積りを依頼しましょう。
見積もりの取得・契約の締結
各業者の見積りを検討したうえで設置業者が決まったら契約を締結し、本格的に発電システムについて打ち合わせをおこないます。
設備認定・系統連系申請
固定価格買取制度を利用するための事業計画認定を経済産業省資源エネルギー庁に申請します。
なお、申請から認定までの期間の目安は、10kW未満のシステムの場合、約2ヶ月~3ヶ月、10kW以上の設備では約3ヶ月程度かかるため、余裕を持って申請をおこないましょう。
認定取得後には、電力会社に系統連系申請をおこない、問題がなければ、接続契約を締結します。契約締結後、電力会社から低圧メーターが支給されます。
設置工事・テスト運行・運用の開始
太陽光発電システムの設置工事を開始します。工事期間は設置場所や状況によって多少の変動はありますが、約2ヶ月程度が目安となります。
工事が完了したら、太陽光発電システムのテスト運用をおこない、問題がないことを確認できたら発電システムの運転を開始します。
太陽光発電の設置費用に関するよくある質問(FAQ)
ここでは太陽光発電システムの設置費用についての疑問点をQ&A形式にまとめました。
Q:初期費用ゼロの「ゼロ円ソーラー」の注意点は?
A:太陽光発電PPAモデルやリースモデルなどの「0円ソーラー」は、初期費用0円で太陽光発電システムを設置できるのが大きなメリットです。
注意点としては、契約を締結する前に、以下の契約内容をしっかりと確認するのが重要なポイントになります。
- 契約期間と解約条件:契約期間中に解約する場合の解約条件・違約金が発生するかどうか確認する
- 設置に向いているか:自宅の屋根などが太陽光発電に向いているか、傾斜角度・方角・耐震性などを確認する
- 保証内容:自然災害時の補償・経年劣化による太陽光パネルの交換など、保証サービスの有無を確認する
- 経済的なメリットの有無:ゼロ円ソーラーを導入することで経済的なメリットを得られるか確認する
Q:雨漏り時の修理や防水にかかる費用の目安は?
A:太陽光パネルを設置する際は、屋根に穴を開ける必要があります。その場合、不適切な工事や経年劣化によって雨漏りが発生する可能性が考えられます。
雨漏りを防止するためには、屋根を補強したり、防水処理をしたりすると効果的です。
その場合の費用は雨漏りの程度によって異なりますが、被害が軽微であれば5万~10万円程度となります。被害が大きな場合は30万円以上かかることもあります。
防水処理に関しては複数の種類があり、屋根の素材にあわせて選択も可能です。おもな防水処理方法と費用相場は以下のようになります。
- ウレタン塗料: 1,500〜1,800円/㎡
- シリコン塗料: 2,000円〜2,500円/㎡
- フッ素塗料 : 2,500円/㎡
- 防水シート : 6,000円~8,000円/1㎡
なお、屋根の修理や防水処理をおこなう際、あらためて足場を設置する場合は設置費用として10万~30万円程度かかります。
また、屋根を修理する際、太陽光パネルを取り外す場合は1枚あたり1万円程度かかります。
Q:設置費用回収後のメリットは?
A:設置費用回収後のメリットとしては、引き続き売電収入が得られる点があげられます。売電収入はシステムの維持費に充てる・生活費として使用するなど、使い道は自由です。
また太陽光発電の電力を自家消費することも引き続き可能なので、電気料金を節約することも可能です。
まとめ
太陽光発電システムの設置費用などについて解説しました。
2012年と比較すると、2024年時点の太陽光発電システムの設置費用の平均単価は大幅に安くなり、導入しやすくなりました。
ただし、昨今の物価の高騰の影響などから2013年以降のシステムの設置費用はわずかずつ上昇しており、今後も上昇していくと考えられています。
上昇傾向にある太陽光発電システムの設置費用ですが、国や自治体の補助金や助成金制度などを活用することで、初期費用を大幅に削減することも可能です。
また、PPAやリースなどの「0円ソーラー」を利用することで高額な初期費用を支払うことなく、太陽光発電システムを設置することができます。
太陽光発電システムの導入は、売電収入を得たり、電気料金を節約できたりするだけでなく、CO2排出量の削減への貢献にもつながります。
ぜひ、太陽光発電システムの設置費用だけでなく、導入することで得られるメリットも含めて検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
>>アパート経営シミュレーション無料エクセルソフト5選
>>カテゴリー別おすすめアパート建築会社一覧
>>大家さん必見の空室対策アイデア10選
>>アパートWiFi導入のメリット&デメリット
>>入居者募集テクニック8選