【2025年版】マンションのインターネット接続方式を完全解説|確認方法・最適な回線選びのポイントも紹介
マンションなアパートに導入されているインターネット回線は、共用部から各部屋までの「接続方式(配線方式)」には複数の種類があります。
では、接続方式によってどのような点が異なるのでしょうか。
今回は、マンションに導入されているインターネット回線の接続方式(配線方式)について、それぞれの仕組みや違い・特徴を解説します。
またマンションのインターネット回線の通信速度が遅い場合の対策方法なども紹介しています。
目次[非表示]
- 1.そもそも「マンションのインターネット接続方式」とは?
- 2.マンションのインターネット接続方式の主な種類と特徴
- 2.1.光配線方式:各部屋まで光ケーブルで配線する
- 2.2.VDSL方式:各部屋まで電話線で配線する
- 2.3.LAN配線方式:各部屋までLANケーブルで配線する
- 2.4.その他の方式:CATV方式、無線方式など
- 3.マンションのインターネット接続方式の確認方法
- 3.1.不動産屋・管理会社に確認する方法
- 3.2.回線業者のWeb検索から判別する方法
- 3.3.室内の機器を確認する
- 4.マンションの接続方式ごとの通信速度と安定性の違い
- 5.住んでいるマンションのネット環境が悪いときの対処法
- 6.これから引っ越す人必見!ネット環境の良いマンションの選び方
- 7.まとめ|自宅マンションの接続方式を理解して快適ネット生活を
- 8.この記事を読んだ方に人気のお役立ち資料一覧
そもそも「マンションのインターネット接続方式」とは?

まず、インターネット回線を建物に引き込む場合、マンション・アパートなどの集合住宅向けの「マンションタイプ」と「戸建てタイプ」の2種類にわけることができます。
ここでは、マンションと戸建てにインターネット回線(光回線)を導入する場合の仕組みと違いについて解説します。
インターネットの仕組みをマンション向けに簡単解説
マンションなどの集合住宅にインターネットを導入するの一般的な仕組みは以下のようになります。
最寄りの電柱から建物内の共用部に光ファイバーケーブルを引き込む
共用部から各部屋へ配線する
各部屋でインターネットに接続する
マンションタイプのインターネット回線は、建物に引き込んだ1本の光ファイバーケーブルを全部屋で共有するのが一般的です。
なお配線方式には複数の種類があり、各部屋までの配線方式によって送信速度に差が出る場合があります。
配線方式の種類については、後述する『マンションのインターネット接続方式の主な種類と特徴』をご覧ください。
集合住宅と戸建てで違う「配線方式」の重要性
戸建てタイプのインターネット回線は、最寄りの電柱から光ファイバーケーブルを直接住宅内へ引き込み、家庭内でのみ使用します。
回線を共有する必要がないため、高速かつ安定した通信がおこなえるのが特徴です。
ただし、1本の光ファイバーケーブルを専有するため、戸建てタイプのインターネット回線の月額料金はマンションタイプよりも高くなるのが一般的です。
マンションのインターネット接続方式の主な種類と特徴

前述したように、マンションの各部屋でインターネットを使用するためには、最寄りの電柱から共用部まで引き込んだ光ファイバーケーブルを各部屋まで配線する必要があります。
ここでは、以下のマンションタイプのインターネット配線方法について解説します。
- 光配線方式
- VDSL方式
- LAN配線方式
- その他の方式
光配線方式:各部屋まで光ケーブルで配線する
「光配線方式」は、共有部から各部屋までの配線に光ケーブルを使用します。
そのため、ほかの配線方式と比較すると高速で安定したインターネット接続が可能です。
ただし、光配線方式による配線はマンションによっては導入がむずかしいケースがあります。
光配線方式が導入できない主な理由は以下ようになります。
設備が古い場合:共有部に設置されている光回線集合装置(電柱から引き込んだ光ファイバーケーブルを接続する装置)のポート数が足りず、全部屋に配線できない
光回線を通す配管がもともと設置されていない、配管に空きがない・破損している
特に古いマンションの場合、上記のケースが多く、光配線方式を採用できない場合が多いです。
一方で、新築・築浅のマンションやアパートでは、光方式でインターネット回線が導入されるケースが増えています。
VDSL方式:各部屋まで電話線で配線する
「VDSL方式」は、共用部から各部屋までの配線に電話回線を使用します。
ほとんどのマンションには、もともと各部屋に電話回線が引き込まれているため工事をする必要がなく簡単に配線できます。
ただしVDSL方式は途中から電話回線でインターネット接続をおこなうため、速度が低下しやすいのがデメリットです。
特に同時間帯にインターネット接続が集中すると、さらに通信速度が遅くなってしまいます。
LAN配線方式:各部屋までLANケーブルで配線する
「LAN配線方式」は、共有部から各部屋までの配線にLANケーブルを使用します。
LAN配線方式は、前述のVDSL方式と比べると通信速度は速いですが、光配線方式よりは遅くなるのが一般的です。
また1本の光回線を全部屋で共有するため、インターネット接続が集中する時間帯などは、通信速度が遅くなったり、通信が不安定になったりする場合があります。
その他の方式:CATV方式、無線方式など
「CATV方式」はケーブルテレビ会社が提供するサービスで、既存のケーブルテレビ回線(同軸ケーブル)を利用してインターネットに接続する方法です。
光回線が利用できないエリアなどで、よく利用されます。
ただしCATV方式は、マンションにケーブルテレビが導入されていなければ利用できません。
また、利用するにあたってはケーブルテレビの契約と同時にインターネットの契約することが一般的であり、インターネット回線のみでは契約できないため注意が必要です。
「無線方式」は、光ファイバーケーブルを共用部に引き込んだ後、共用部(廊下や外壁など)にWi-Fi装置を設置して、インターネットに無線(Wi-Fi)接続します。
共有部から物理的なケーブルで配線する必要がないため、各部屋での工事などは不要なのがメリットになります。
一方デメリットは、無線でインターネットに接続するため接続が安定しない場合があります。また、電化製品によって電波干渉を引き起こすケースもあります。
マンションのインターネット接続方式の確認方法

ここでは、マンションやアパートなどに導入されているインターネット回線の接続方式を確認方法について解説します。
不動産屋・管理会社に確認する方法
マンションやアパートのインターネット接続方式に関する内容を知りたい場合は、物件の管理をおこなっている不動産屋や管理会社に確認しましょう。
マンションやアパートの問い合わせの際や内見時に確認するとよいでしょう。
なお、物件情報にインターネット回線の接続状態が記載されている場合もあります。
回線業者のWeb検索から判別する方法
回線事業者のサイト上で、マンションやアパートの住所を入力し検索することで、その建物に導入されているインターネット回線の接続方式を確認できる場合があります。
インターネット回線の状況を確認するとともに、契約できるプランの種類のほか、光電話や光テレビなどのオプション契約についても確認できるケースもあります。
24時間いつでも検索できるため、仕事などで忙しい方にもおすすめの確認方法です。
室内の機器を確認する
室内の壁などに設置されたインターネット接続用のコンセントなどから、インターネットの接続方式を確認することも可能です。
「光コンセント」が設置されている場合は光回線の引き込み工事が完了している場合が多いです。
「コンセント(回線終端装置)」に「ONU」や「VDSL」と記載されている場合は、VDSL方式でインターネット回線が導入されていることを差します。
記載がない、または判別ができない場合は、上記のどちらかの方法で確認するとよいでしょう。
マンションの接続方式ごとの通信速度と安定性の違い

ここでは、マンションやアパートに導入されているインターネット回線の接続方式による、速度の目安や混雑時の速度の変化などについて解説します。
接続方式別通信速度の目安比較表
マンションの接続方式別に速度の目安を一覧表にまとめました。

3種類の接続方式のなかでもっとも速度が速いのが、各部屋まで光ケーブルで配線される光配線方式です。最大1~10Gbpsの高速通信が可能です。
次いで速いのが、共用部から各部屋までLANケーブルで接続されるLAN方式です。1本の光ファイバーケーブルをマンション全戸で共有するため、インターネット接続が集中する時間帯には、通信速度が低下しやすいです。
3種類の中でもっとも遅いのが、共用部から各部屋まで電話回線で接続されるVDSL方式となりますが、現在では導入されているケースは多くありません。
ラグ・混雑・利用者数の影響とは?
回線速度の変化は、インターネット回線の接続方式によって異なります。
もっとも回線の速度が速く安定しているのは、やはり光方式です。
光ケーブルは電磁波対策が施されているためノイズの影響を受けにくいため速度などが低下しにくいのが特徴です。
またインターネットの接続が集中する時間帯であっても、VDSL方式やLAN配線方式に比べるとほとんど速度が低下せず、安定した通信を保てます。
一方、VDSL方式やLAN配線方式は、1本の光ファイバーをマンション全戸で共有します。
そのため、マンション内でインターネット接続が集中する曜日や時間帯によっては、回線が混雑し、通信速度が低下する可能性があります。
またケーブルに電磁波対策が施されていないため、ノイズの影響を受けることがあります。
テレワーク・動画視聴・ゲーム用途での最適解
マンションやアパートでテレワークや動画視聴、オンラインゲームを快適におこなうためには、回線速度とともに「PING値」、そして安定した通信状態を維持できるかが重要です。
PING値とは、回線のレスポンスや応答速度を示す値であり、数値が小さいほど速度が速い回線であるとみなされます。
そのため、マンションやアパートでテレワークや動画視聴、オンラインゲームを快適におこないたい場合は、速度が速く安定した通信が可能な光配線方式が最適です。
ただし光配線方式以外でも、IPoE方式のIPv6に対応の回線へ変更することで通信状態を安定させることも可能です。
住んでいるマンションのネット環境が悪いときの対処法

ここでは、居住中のマンションやアパートのインターネット環境が悪い場合の対処方法を紹介します。
回線変更はできる?可能な方法と交渉術
ほかの光回線やプロバイダーへ乗り換えることで、回線速度が改善するケースがあります。
特にマンションがVDSL方式でインターネット回線を導入している場合、光配線方式の戸建てタイプへの変更により、大幅な速度改善が期待できます。
ただし、マンションやアパートの場合、個人でインターネット回線を引き込む場合は、マンションの管理組合や管理会社、賃貸の場合は大家さんの許可が必要になります。
その際は、現況のインターネット回線速度の状態を詳細に伝えたり、工事にかかる費用を入居者自身で負担したり、退去時には元に戻すことを確約したり、上手に交渉することが大事です。
なお、許可がもらえても、建物の構造によっては工事ができないケースもあるため注意しましょう。
管理組合で回線一括導入の提案も可能?
マンション内の住人の多くが現況のインターネット回線に不満がある場合、マンションの管理組合などに働きかけることで、マンション内のインターネット回線を変更できる可能性もあります。
ただしその場合はマンション管理組合や管理会社が定めるルールや契約に従う必要があります。
Wi-Fiルーターを変えるだけでも改善する?
ネットの速度が遅くなる原因のひとつとして、使用中のWi-Fiルーターやモデム、LANケーブル類、接続している端末(パソコンやスマートフォンなど)が古いケースが考えられます。
古いルーターやLANケーブル、端末を使用している場合、ネット回線の最新の規格に対応していないことが原因で速度が出ないことがあります。
その場合、新しいものに交換することで回線速度が改善する可能性があります。
なお、回線速度の低下が一時的である場合は、Wi-Fiルーターや端末の不具合を起こしているケースがあります。
その場合は、ルーターや端末を再起動することで不具合が解消され、速度が改善することがあります。
これから引っ越す人必見!ネット環境の良いマンションの選び方

ここでは、マンションのインターネット回線の見極め方について解説します。
できるだけネット環境の良いマンションやアパートに住みたい方は、以下のポイントに注意しましょう。
内見時にチェックすべき「ネット回線の確認項目」
内見時に、マンションに導入されているインターネット回線について確認する際は、かならず光コンセントの有無をチェックしましょう。
光コンセント以外の場合は、LAN配線方式やVDSL方式の可能性が高いです。
光コンセントは、壁に設置された四角いプレートに「光」「光回線」「光コンセントSC」などの文字が記載されている場合が多いです。
また光コンセントには、通常のコンセントと一体化しているタイプと分離しているタイプがあります。
目視で分からないときは、内見を案内している不動産会社や管理会社のスタッフにその場で確認するとよいでしょう。
SUUMOやホームズなどでの検索時の注意点
最近の賃貸物件や分譲マンションを探す際は、SUUMO(SUUMO)やホームズなど、ポータルサイトで探したい物件の条件を入力して検索するのが一般的です。
その際、検索条件のひとつとして「インターネット回線の種類」を設定することを忘れずにおこないましょう。
ポータルサイトによって、インターネット回線の検索条件は多少異なりますが、ほとんどの場合、「インターネット完備(インターネット無料)」や「インターネット対応」といった項目になります。
下記は、マンションやアパートなどの集合住宅に導入されているインターネット回線の主な種類です。
インターネット完備(無料):入居者は無料でインターネットを使用できます。各部屋までインターネット回線が配線されているため、回線業者やプロバイダーとの契約は不要であり、入居後すぐにインターネットが利用できる状態です。
インターネット対応:共用部分まではインターネット回線が引かれている状態です。各部屋でインターネットに接続するためには、入居者自身で回線業者やプロバイダーと契約する必要があります。
インターネットに関する記載がない:建物内に回線が通っていない可能性があります。
マンションやアパートに導入されているインターネット回線の接続方式とともに確認しておくとよいでしょう。
検索時にインターネット回線の条件をチェックしない場合、インターネット回線の種類に関係なく、ほかの検索条件にマッチした物件すべてが検索結果として表示されてしまいます。
物件を検討する時間を短縮するためにも、かならずインターネット回線の種類を検索条件に加えておきましょう。
「ネット無料」物件に潜む落とし穴とは?
マンションやアパートの「インターネット無料」とは、その名称通り、入居者が無料でインターネットを使える設備のことです。
手続きなどをすることなく、入居当日から無料でインターネットを使用できるという手軽さから人気の設備です。
インターネット無料の仕組みは、マンションやアパートのオーナー(大家)があらかじめ導入費用や月額料金を支払っているためです。
その一方でインターネット無料は、すでにインターネット回線が導入されているため、入居者自身で回線を選べないのがデメリットです。
また、インターネット無料はほとんどのケースで1本の光ファイバーケーブルをマンション全戸で共有するタイプの接続方式であるため、インターネット接続が集中する時間帯は通信速度が落ちる場合があります。
そのため、オンラインゲームやテレワーク、大容量の動画視聴など、通信速度や安定性を重視する方は注意が必要です。
まとめ|自宅マンションの接続方式を理解して快適ネット生活を
マンションやアパートに導入されているインターネット回線の接続方式(配線方式)について、それぞれの仕組みや特徴を解説しました。
マンションの各部屋でインターネットを使用する際は、建物の共用部から各部屋までの接続方式があり、それぞれ使用するケーブルなどが異なります。
もっとも快適なインターネット接続をおこなえるのは、各部屋まで光ケーブルで配線された「光配線方式」がおすすめです。
マンションやアパートを探す際は、建物に導入されているインターネット回線の種類と接続方式をかならず確認しましょう。