アパート経営の差別化で満室経営【3C分析、SWOT分析】で賃貸競合物件に勝つ
アパート経営の入居募集では「ペット可」、「駐輪場無料」など、その物件ならではのサービスや設備を設け、競合物件との差別化を図ることが満室経営をする有効な対策手段となります。どんな家賃プランの差別化を用意するかは所有物件の特徴や土地の地域性をトータルで考え、オーナーが賃貸ニーズに合わせるのが大切です。
賃貸ニーズを導き出すには、マーケティング戦略で定番となっている「3C分析」と「SWOT分析」を活用する方法がおすすめ。
「あぱたい」では「3C分析」と「SWOT分析」を用いて、物件の有効な差別化の手順を解説します。
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満室になるように差別化の具体的なアイデアを考えてみよう!
一般的な賃貸アパートにない付加価値をつける努力は、賃貸価値の向上や差別化につながります。賃貸価値が向上すれば、入居率アップも期待できるでしょう。 アパート経営における差別化とは、具体的に以下のような施策です。
- ペットOK
- インターネット接続済(アパート全体がWi-Fi環境)
- 入居者は独身女性のみ(独身女性が安心して住める環境)
- デザイナーズ物件
- シェアハウス
- 敷金礼金0円(通称、ゼロゼロ物件)
- 24時間の警備サポート(アパート単位で警備会社と契約)
「アパートがどうすれば満室になるか? 」「どうすれば入居者に選ばれる物件になるか? 」を考えたときに、上記のような付加価値で差別化を図るのが有効です。
ただ入居者のニーズから外れた差別化では意味がありません。アパート経営での差別化を検討するときは、事前のマーケティングが重要なのです。
アパート経営で必須になりつつある無料インターネットについては、こちらの記事でくわしく説明しています。 ぜひご覧ください>>アパート経営に無料Wi-Fiインターネット【大家の感想付】宅建士が5つのポイントを解説
【アパート経営を差別化する方法~その1~】まずは現状を知る!「3C分析」
アパート経営における差別化も3C分析と呼ばれるマーケティング分析によって多角的に分析すれば、ニーズに合った差別化の方法を導き出せます。
3Cとは環境を意味する単語の頭文字をとった言葉。
- Customer(市場環境)
- Company(自社環境)
- Competitor(競合環境)
上記3つの「環境」を分析して「現状」を把握。最後に現状に見合った具体的な対策を練るのが3C分析です。
アパート経営の差別化は3C分析による現状把握がスタート!
3C分析における3Cにアパート経営を照らし合わせると、以下のように分類てきます。
- Customer(市場環境)=【周辺地域の環境による賃貸ニーズは? 】
- Company(自社環境)=【所有物件の強みは何か? 】
- Competitor(競合環境)=【周辺の競合物件はどんな強みがあるか? 】
以上を踏まえ、所有するアパートの環境を3項目にわけて記載していきます。 例えば所有するアパートの環境が以下だったとしてみましょう。
- 夜遅くまでやっているスーパーが2店舗
- 大きな公園が近くにある
- 戸建てと賃貸物件が混在する地域である
- 徒歩圏内に駅がふたつあるが少し遠い
- 所有するアパートの築年数はほかのアパートより浅い
- 家賃は相場より低めにしている
- 1部屋28㎡と普通の1Kより広い
- 駐車場がない
- 日当たりが悪い
- 街灯が少なく前面道路も狭い
- 学校の校庭が近いため昼間はうるさい
- 周辺アパートは空室が多いため家賃を下げる傾向にある
- 1LDKや2LDKなどの夫婦やカップル向けの間取り物件が多い
- 1LDK以上の物件が多いため、平均的な家賃相場は少々高め
- 周辺のアパートは築年数が新しくもないが古すぎない物件が多い
上記の情報を3C分析に当てはめると、以下の表のように分類できます。
あくまで事実だけを記載するのが3C分析の基本。主観的な考えや根拠のない憶測による情報の記載は控えましょう。
【アパート経営を差別化する方法~その2~】アパート経営を外部と内部からみる!「SWOT分析」
「SWOT分析」とは以下4つの頭文字をとっています。
- 強み(Strength)
- 弱み(Weakness)
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
SWOT分析をおこなうにはまず以下のような表を作成し、4つの欄に具体的な情報を入れ込みます。
前章の3C分析が「現状把握」だとするなら、SWOT分析は内部環境と外部環境を確認して「戦略決定」をおこなうマーケティング手法です。
つまり3C分析で現状を把握し、SWOTで更にこまかく分類すれば今後の戦略を決めやすくなります。
SWOT分析は3C分析の要素をそのまま当てはめよう!
- 強み(内部環境)
内部環境の強みとは自社の強み。アパート経営では所有物件の長所に当たり、強みの情報はプラス面の情報です。
- 弱み(内部環境)
内部環境での弱みとは自社の弱み。アパート経営では所有物件の端緒に当たり、弱みの情報はマイナス面の情報です。
- 機会(外部環境)
外部環境の機会は、自社にとってビジネスチャンスになる要素の情報。アパート経営においては、周辺環境から考えられるチャンスになりそうな要素です。
- 脅威(外部環境)
外部環境での脅威とは自社の強みを打ち消すような環境的要因や、競合他社の動きを指します。アパート経営における脅威とは、競合物件の存在や環境によるマイナス面です。
情報を分類しただけではSWOT分析にはなりません。4つの情報を以下の組み合わせで考察するのがSWOT分析です。
- 強み×機会(Opportunity)
- 強み×脅威(Threat)
- 弱み×機会(Opportunity)
- 弱み×脅威(Threat)
では3C分析の情報もとにSWOT分析の表に当てはめてみましょう。
SWOT分析で自社の強み、弱み、と周囲の環境を照らし合わせて分析すると良いです。
分析結果からアパート経営を差別化しよう!
SWOT分析の4カテゴリーに情報を分類できたら、「強み」「弱み」を「機会」「脅威」にそれぞれに掛け合わせて考察します。
【差別化事例1】物件の「強み」を活かしたアパート経営の差別化
前章のSWOT分析表にまとめたように、所有物件の内部環境による強みと外的環境による脅威を組み合わせると以下のようになります。
強み |
脅威 |
・築年数はほかのアパートより浅い |
・徒歩圏内に駅がふたつあるが少し遠い |
・家賃は相場より低めにしている |
・周辺アパートは空室が多いため家賃を下げる傾向にある |
・1部屋28㎡と普通の1Kより広い |
・1LDK以上の物件が多いため平均的な家賃相場は少々高め |
周辺には1LDK以上の広い物件が多く、平均的な家賃相場は高め。ただ全体的に空室が目立ちます。 それに対して所有物件は、1ルームにしては広めで家賃も低めの設定です。
上記を考えると所有物件は、1LDKでは家賃的に厳しいと感じる人にとって次の候補となるでしょう。よって低めに設定している家賃は、そのままにしておくのが得策という答えが導けます。 次に「強み×機会」で考察してみます。
強み |
機会 |
・築年数はほかのアパートより浅い |
・夜遅くまでやってるスーパーが2店舗 |
・家賃は相場より低めにしている |
・大きな公園が近くにある |
・1部屋28㎡と普通の1Kより広い |
・戸建てと賃貸物件が混在する地域である |
・1LDKや2LDKなどの夫婦やカップル向けの間取り物件が多い |
|
・築年数は新しくもないが古すぎない物件が多い |
所有物件の強みはさほど古くなくワンルームにしては広めで、家賃は相場よりも安く設定している点。 ただワンルームはどんなに広くても、ひとり暮らしが前提です。
近くに大きな公園があるため散歩にも適した地域であり、ひとり暮らしでペットを飼いたい人に向いている場所柄と言えます。そのため「ペット可」とする差別化が、広めのワンルームと地域性を活かした選択になりそうです。
【差別化事例2】「弱み」から考察するアパート経営の差別化
弱み |
脅威 |
・駐車場がない |
・徒歩圏内に駅がふたつあるが少し遠い |
・街灯が少なく前面道路が狭い |
・周辺アパートは空室が多いため家賃を下げる傾向にある |
・日当たりが悪い |
・1LDK以上の物件が多いため平均的な家賃相場は少々高め |
・学校の校庭が近いため昼間はうるさい |
周辺に駅がふたつある魅力的な立地ですが、どちらも少し遠い欠点があります。移動手段が確保された自動車の所有者なら、選択肢に入るエリアとなりそうです。
逆に駐車場があったり家賃に駐車場代が含まれていたりという、お得感のある物件が理想的でしょう。
また所有物件に駐車場を設けられないなら、近くの地主さんに交渉してみましょう。
空き地をみつけて「駐車場としてつかうために土地を貸してもらえないか? 」「土地を売ってもらえないか? 」など、駐車場スペースを確保するのが課題になりそうです。 「弱み×機会」で考察してみます。
弱み |
機会 |
・駐車場がない |
・夜遅くまでやってるスーパーが2店舗 |
・街灯が少なく前面道路が狭い |
・大きな公園が近くにある |
・日当たりが悪い |
・戸建てと賃貸物件が混在する地域である |
・学校の校庭が近いため昼間はうるさい |
・1LDKや2LDKなどの夫婦やカップル向けの間取り物件が多い |
・築年数は新しくもないが古すぎない物件が多い |
所有物件は日当たりの悪さが弱みですが、日中にほとんど家を空ける単身のサラリーマンならばあまり気にならない要素。さらに夜遅くまで営業しているスーパーがあるため、こちらもサラリーマンにはうれしい要素ですね。
これらの点から、所有物件は未婚男性ならば弱みがあまり気にならないため相性がいいと言えるかもしれません。未婚男性は家具などをあまり所有していない傾向があるので、収納ボックスなどの内装を充実させた部屋にするのが得策とも考えられます。
あらかじめ設備として洗濯機が設置されている物件にするのも、独身男性にとって魅力的な条件となりそうだね。
まとめ
顧客の賃貸ニーズに応えられる条件がそろっていれば、アパート経営における物件の差別化が実現します。多くの物件から選んでもらえる決め手となるでしょう。
大切なのは所有物件の特性や地域性を整理して、「どんなタイプの入居者に向いている物件か? 」を客観的に分析する点。そのために「3C分析」や「SWOT分析」が役に立つのです。