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アパート経営でマイナンバーが必要な5つの場面と教えたくない時の裏ワザ2つ

成28年1月1日以後に確定した不動産所得や賃料などの法定調書には、大家側のマイナンバーの記載が義務づけられました。


しかし、個人のマイナンバーを第三者に提供することに抵抗があり、実際には拒絶する大家さんがまだまだ多いのが現実です。


「そもそもマイナンバーってなに? 」 「どんなときにマイナンバーの提供が必要なの? 」 「マイナンバーを提供しないとどうなるの? 」 など、


アパート経営中の大家さんが不安に思うマイナンバーに関する疑問を今日「あぱたい」が、わかりやすく解説していきます。




マイナンバーの基礎知識

マイナンバーの基礎知識


最近ではマイナンバーという名前自体は、すっかり一般的になった感があります。しかしマイナンバーとはなにかと聞かれて、きちんと答えられる人はそう多くないでしょう。


ここではまずマイナンバーの目的やメリットなど、マイナンバーの基礎知識について解説していきます。


マイナンバー制度とは、国民全員に12桁の番号を与え、行政サービスが滞りなくスムーズにおこなわれるように制定されたシステムのことです。


しかしすべての分野に利用されるわけではなく、現在のところ、税金・社会保障・災害対策に限定されています。


まず税金に関してですが、マイナンバーは税金逃れを防止し確実に税金を徴収することで、各個人間の不公平を解消する目的があります。そのため、確定申告をはじめ、すべての税金手続きにはマイナンバーが必要。 そのほか、社会保障・災害対策の分野では下記の用途で利用されます。


  • 年金の資格取得・確認・給付
  • 年金記録の追跡・管理
  • 雇用保険の資格所得・確認
  • 医療保険・介護保険の給付請求
  • 福祉分野の給付(児童手当、介護保険、障害福祉サービスなど)・生活保護
  • 災害対策(救助の支給、被災者台帳作成など)



アパート経営でマイナンバーが必要な5つの場面は?

アパート経営でマイナンバーが必要な5の場面は?   


アパート経営をしている大家さんは、さまざまな状況でマイナンバーの提供を要求されます。そこでまずは、どんなときにマイナンバーが必要なのか、5つのシチュエーション別に解説していきます。


  1. 不動産の賃貸時
  2. 不動産の売却時
  3. 確定申告時
  4. 取引していない会社からナンバーを求められる場合もある
  5. 提供する必要のない場合もある


不動産の賃貸・売却・確定申告での提供が義務づけられています。



1.不動産の賃貸時


条件
借主が法人または不動産業者である個人
同一の取引先からの家賃・地代などの受取金額の合計が、年間15万円を超える場合(月額12,500円以上)


上記の2点を満たした場合、借主は「不動産の使用料等の支払調書」を税務署に提出しなければなりません。 支払調書には貸主のマイナンバーの記載が必要なので、借主から必ずマイナンバーの提供をお願いされます。  



2.不動産の売却時


条件
買主が法人または不動産業者である個人
同一の取引先からの売買代金の受取金額の合計が、年間100万円を超える場合


売却の場合、売主のマイナンバーを記載した「不動産等の譲受けの対価の支払調書」を買主は税務署に提出します。ですから賃貸と同様に、マイナンバーの提供を要求されるでしょう。  



3.確定申告時


平成28年度(2016年1月1日~12月31日)の確定申告書から、納税者のマイナンバーを記載する欄が設けられたため、提出時にマイナンバーを記載しなくてはいけなくなりました。 ただし、不動産所得があっても本業がほかにある会社員には、確定申告自体をしなくてもいいという軽減措置が設けられています。


  • 給与を1か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得・退職所得以外)が20万円以下の場合
  • 給与を2か所以上から受けていて年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得・退職所得以外)との合計額が20万円以下の場合


サラリーマン大家さんの場合、不動産所得が20万円以下であれば、確定申告は不要ということ。


例外として、会社員としての給与額が2,000万円を超えている場合は、どんなに不動産所得が少なくても確定申告が必要になります。 また気をつけたいのが、これはあくまでも会社員への軽減措置であることです。個人事業主は確定申告が必要ですから勘違いしないでくださいね。


20万円を超える不動産所得があれば確定申告をしなくちゃいけません。確定申告にはマイナンバーの記載が義務になっています。



4.取引していない会社からマイナンバー求められる場合もある


前述の「1.不動産の賃貸時」と「2.不動産の売却時」で解説しましたが、取引相手が法人の場合、大家さんのマイナンバーが必要になります。 ですから法人が大家さんに対して、マイナンバーの提供を手紙などで依頼してくるのが一般的。


ただ法人が大規模で、収集するマイナンバーが多数の場合、自社ではなく専門のマイナンバー収集業者に委託することがよくあります。 別に収集を委託すること自体は違法でもなんでもありません。


しかし、いきなり知らない委託業者からマイナンバー開示依頼の書類が届いたら、やっぱり不安ですよね。


マイナンバー情報取得を目的とした詐欺の可能性もあるから注意しましょう。マイナンバーを提供する前に、直接取引している法人に必ず確認してくだささい。



5.提供する必要のない場合もある


繰り返しますが、不動産の賃貸と売却時は税務署に提出する支払調書に、大家さんのマイナンバー記載が義務づけられています。 しかし、あくまでもこれは、取引相手が法人または不動産業者である個人の場合。相手が個人の場合は、大家さんのマイナンバー記載は不要


もしかすると、勘違いした相手(個人)に提出を依頼されるかもしれません。そのときは、上記の旨を説明してマイナンバーの提供は絶対に拒否しましょう。  


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マイナンバーを提供することで生じるリスクは?

マイナンバーを提供することで生じるリスクは?


マイナンバーのリスクを考えた場合、一番気になるのがマイナンバーを知られることによる個人情報の漏洩と悪用です。しかしこれについては、現時点では過度に不安に思う必要はないでしょう。


まずそもそもマイナンバーを知っているだけでは、なんの手続きもできません。最終的に窓口での本人確認が必要なのは、今までと変わりないのです。 ですから、マイナンバーを使って住民票を勝手に移動されたり、婚姻届を出されたりするようなことはあり得ませんので安心してください。


また国はシステム面での保護を強化しています。情報を一元管理すると漏洩の危険性が高まるため、管理自体は各機関でおこないます。 マイナンバーの役割はあくまでも情報のやり取りの簡易化だけ。ですからマイナンバー流出で個人情報がまとめて漏洩することはありません。


それよりもじつは「マイナンバーカード」の紛失のほうが危険です。 カードがあれば、なりすましの確率も大きくなります。ですからカード自体には税金や年金などのプライバシー度が高い情報は記録されていません。


マイナンバー管理に関しての罰則もかなり厳しく制定されています。


例えば騙したり、脅迫したりしてマイナンバーを取得した場合、3年以下の懲役or150万円以下の罰金というかなり重い罰則を受けます。 もしマイナンバーを提供するのであれば、情報の保護に対してしっかりとしたコンプライアンス体制を持った会社かどうかを確認することが重要です。


コンプライアンスがしっかりしているかどうかを見極めるのに、プライバシーマーク取得の有無を確認するのもいい方法です。


画像引用:一般社団法人 日本情報経済社会推進協会 プライバシーマークの表示


プライバシーマークとは?

日本産業規格「JIS Q 15001個人情報保護マネジメントシステム-要求事項」に適合して、個人情報の取り扱いを慎重におこなう体制を有していると認定された企業に対して発行されるマーク。 



マイナンバーを教えたくない!そんなときは……

マイナンバーを教えたくない!そんなときは……  


マイナンバーを提供して生じるリスクはあまり心配する必要がないとはいえ、できることなら教えたくないと考える人も当然出てくるはずです。 そういった場合はどう対処したらいいのかをこれから解説していきます。



拒否しても罰則はない


何度も説明しているように、支払調書には、大家さんのマイナンバーの記載が義務づけられています。ですがどうしても教えたくないときは、思い切って拒否することも可能です。 とはいえ、「えっ? 拒否なんてして大丈夫なの? 」と不安があるのが正直なところでしょう。


現在のところ、マイナンバーの提示を拒否しても罰則は特にありません


国税庁のホームページにその旨が記載されています。


税務署等が受理した申告書や法定調書等の税務関係書類にマイナンバー(個人番号)・法人番号の記載がない場合や誤りがある場合の罰則規定は、税法上設けられておりませんが、マイナンバー(個人番号)・法人番号の記載は、法律(国税通則法、所得税法等)で定められた義務ですので、正確に記載した上で提出をしてください。

引用:国税庁 番号制度概要に関するFAQ Q2-3-3


その代わり、マイナンバーの提供を受けられなかった借主・買主側は、提供するよう求めた経過を記録・保存し、自分の意思での義務違反ではない旨を税務署に説明しなくてはなりません。


取引相手はいわばお客さまです。あまり意固地になって拒否するのも人間関係を壊してしまいかねません。マイナンバー開示のリスクを説明し、できるだけ穏便に対応したいものです。



法人マイナンバーを教える


どうしても個人マイナンバーの提供に抵抗があるのであれば、法人マイナンバーを教えるという方法もあります法人マイナンバーとは公的機関や登記法人などに付与される13桁の番号です。ですから当然、個人では取得できませんが、いわゆる会社であれば取得は可能です。


個人のマイナンバーとの主な違いは、下記の3点。


比較項目
法人マイナンバー
個人マイナンバー
該当者
希望する法人のみ
全国民一律に支給
利用範囲
制限なし
税金・社会保障・災害対策に限定
公表範囲
国税庁のサイトで誰でも閲覧可能
本人のみ


厳密にいえば、法人マイナンバーは教える必要もありません。 なぜなら国税庁のホームページで自由に閲覧できるからです。「法人登録していますので確認お願いします」と説明するだけでいいので、精神的にも非常に楽な方法といえます。


参考:税庁 法人番号公表サイト  



サラリーマン大家さんへのアドバイス!

サラリーマン大家さんへのアドバイス!


専業ではなく、サラリーマン大家さんとしてアパート経営をしている場合、会社との関係にも気を配る必要があります。 副業がOKな会社であれば問題ありません。


しかし、副業が禁止の場合は、副業がばれないように上手に事務処理をおこなわなくてはいけません



会社に副収入を知られることも!


サラリーマン大家さんにとって一番心配なのは、マイナンバーを利用することによって会社に副業が知られてしまうことですよね。


まず結論からいうと、マイナンバーだから副業がばれるということはありません。ただしマイナンバーとは関係なく、税金の処理のしかたによっては、ばれる可能性があります。 所得税は確定申告で処理をすれば問題ありません。


しかし住民税は通常、会社の給料から概算金額を毎月天引きという形で支払っています。そして最終的に、給与と不動産所得を合算した金額から住民税を確定。 すると不動産所得が加味された住民税のお知らせが会社に届きます。


ですから仮に大きな不動産所得があれば、ほかにも収入源があることが簡単にばれてしまうのです。



確定申告の普通徴収で納税するのがおすすめ


幸いなことに、この問題には有効な対処法があります。ようは給与に対する住民税とは別に、自分で不動産所得の住民税を支払えれば問題ないわけです。


方法はいたってシンプル。確定申告時に「自分で納付」を選ぶだけです。そうすれば、不動産所得の住民税納付書は自宅に送付されてきます。


画像引用:国税庁 申告書の書き方


ただし、この方法を用いても会社に知られてしまう場合があります。それは不動産所得が大幅な赤字の場合です。 不動産所得の大幅な赤字は給与所得から差し引くこと(損益通算という)ができますので、給与だけで計算された住民税から減額されます。


少しくらいの減額であればいいのですが、極端に下がってしまうと当然会社は副業を疑うでしょう。 こういった場合は、自己判断ではなく、税理士などの専門家に相談してみることをおすすめします。



まとめ


  1. 不動産の賃貸時
  2. 不動産の売却時
  3. 確定申告時


アパートの大家さんは、上記の際にマイナンバーの提供が必要。しかし罰則がないわけですから、積極的に開示しない大家さんが多いのは無理もありません。


しかし、マイナンバーを知られることによる個人情報の漏洩と悪用も、現時点ではそれほど重大なリスクとは考えられません。 また過度の拒否は、相手との人間関係を崩す要因にもなります。


気負わずにマイナンバーの開示を検討してみても、いい結果を生むかもしれませんね。



不動明師
不動明師
不動産業界において10年以上の経験を持つ不動明師は、現在、複数の不動産を所有・運営する現役オーナーであり、資産運用に精通したコンサルタントです。不動産管理からリノベーション、賃貸経営まで幅広い知識を持ち、実践的なアドバイスを提供することで、多くのオーナーから信頼を得ています。不動明師の執筆する記事は、SEOにも強く、多くの不動産オーナーにとって必読の内容となっています。 <専門分野> ・賃貸管理と運営 ・不動産投資戦略 ・リノベーションと価値向上 ・不動産法務と税務対策

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