【アパート経営に必要なリフォーム費用】7つの項目と注意したい3つのポイント
アパートが築年数を重ねたことで、あなたもリフォームを検討されているのでは? 人が住まいに求めることは時代によって変わるもの。
ただ、おいそれとリフォームをするだけでは資産価値が下がってしまうというケースもあります。
そうした状況を避けるためにも、リフォームの際には資産価値が下がらないポイントを押さえておくことが大切。
目次[非表示]
- 0.1.家賃、物件価値の低下を防ぐ
- 0.2.利益の最大化が目的
- 1.アパート経営でおこなう7つのリフォーム項目と費用
- 1.1.1.壁紙・クロス
- 1.2.2.床材(フローリング・クッションフロア等)
- 1.3.3.キッチン
- 1.4.4.トイレ
- 1.5.5.ユニットバス・浴槽
- 1.6.6.クリーニング
- 1.7.7.その他
- 2.アパートのリフォームで注意したい3つのポイント
- 2.1.①工事期間の把握
- 2.2.②リフォームに掛ける費用、ふたつの考えかた
- 2.2.1.1.10年で回収できる費用に留める
- 2.2.2.2.築年数と広さから予算を組む
- 2.3.③築古物件はリフォーム費用が高くなる
- 3.資産価値を守る定期的な外壁塗装のリフォームについて
- 3.1.塗料によって耐候年数に差が出る
- 3.2.塗装に掛かる費用と内訳
- 4.リフォームと混同されがちなリノベーションとは
- 4.1.リフォームとリノベーションの違い
- 4.1.1.リフォームとリノベーションの違い【工事内容の場合】
- 4.1.2.リフォームとリノベーションの違い【工事費用の場合】
- 4.1.3.リフォームとリノベーションの違い【工事期間の場合】
- 5.リフォーム・リノベーション費用の計上について
- 5.1.原状に戻す修繕費は必要経費
- 5.2.資産価値が上がる資本的支出は減価償却費
- 6.リフォームするなら施工会社の比較検討を忘れずに
- 7.まとめ
アパート経営におけるリフォームの重要性
アパート経営において大切な項目は「入居率」です。
アパートの築年数が古くなっていくことで、建物の住環境が入居希望者のニーズに応えることが難しくなっていき、結果として入居率の低下を招いてしまいます。
入居率を維持するためにはリフォームを選択肢のひとつに考えておきましょう。リフォームをおこなうことで得られる具体的なメリットは?
家賃、物件価値の低下を防ぐ
リフォームをすると、不動産価値が高くなり、同築年数のアパートと比べても家賃の設定を高めに設定できることにつながります。
アパートなどの賃貸物件は、築年数が古くなることで家賃や物件価値が下がる傾向にあります。これを防ぐために大切なのがリフォーム。
建物自体の外壁や部屋の内装をキレイにしたり、設備を新しくしたりすることで、周辺の環境や築年数が同じアパートと比較した場合、入居者が見つかりやすくなります。
不動産仲介会社としても、外装や内装がキレイで設備が整っている物件のほうが内覧などの営業をかけやすいのは明白です。
利益の最大化が目的
アパート経営において収入は家賃に該当します。そして、支出の割合を大きく占めるものがリフォーム費用です。
- 外装塗装
- 屋上防水
- 給排水管の入れ替え
など建物の機能を維持するためのメンテナンス工事は不可欠。
こうしたプラスアルファを加える工事は必ずしも効果が得られるという訳ではありません。しかし入居希望者の求めるものに合わなければ、入居率が低下し家賃収入自体が減少する一方です。
利益を最大化するためには、リフォームをおこなうことでどれくらいの効果を得られるのかといった費用対効果を鑑みることが大切。
アパート経営でおこなう7つのリフォーム項目と費用
部位ごとに内装リフォームの費用と工事内容についてご紹介していきます。
1.壁紙・クロス
リフォーム費用は利用する素材によっても大きく変わってきます。量産品のクロスを利用することで1平方メートルあたり650~1,200円程度に抑えることができます。
壁紙やクロスは、内覧に来られる入居希望者に物件の住み心地のよさを感じ取ってもらう大切な箇所。アパートにおいて、代表的なリフォーム項目です。
壁紙やクロスの交換は、壁全体でおこなうようにしましょう。さらには天井のクロスも同時に代えることで室内のバランスがとれるようになります。
壁紙・クロスのリフォームは部屋の印象を左右するため、汚れが目立つ個所はすぐにでも交換したいと考えがち。しかし、気になる箇所だけを交換してしまうと、新しく交換したところだけ目立ってしまうというケースもあります。
2.床材(フローリング・クッションフロア等)
「複合フローリング」と呼ばれる、合板の表面に化粧材を貼り合わせた素材なら、メンテナンスが容易であることと6畳で55,000~10万円程度と比較的安価でリフォームが可能です。
またクッションフロアという塩化ビニル系床材を選ぶことでも6畳で5~7万円と安く施工することが可能。
現在は、畳よりもフローリングが好まれる傾向にあります。できることなら、フローリングに変えておくことがオススメです。
3.キッチン
一般的な単身者向けのキッチンタイプは2種類。シンクや調理台・ガス台がそれぞれ独立している「セパレートタイプ」と、それらがひとつのユニットとなっている小型なシステムキッチンである「ミニキッチン」です。
交換リフォームの費用としては、
- セパレートタイプが約10~30万円
- ミニキッチンの交換は約20万円
が目安となります。
水漏れなどの修繕をはじめとするリフォームは大切ですが、入居希望者はキッチンのタイプにも注目することが多いです。
キッチンもひとつの魅力としてアピールするなら、セパレートタイプのキッチンをミニキッチンに交換する工事をおこなってもよいでしょう。
ファミリー層をはじめとしてキッチンは、入居を決めるひとつのポイント。
近年では若い単身者も自炊が増えているため、キッチンのリフォームは大きなウリとなるケースもあります。
4.トイレ
シンプルなものは5~10万円、ウォッシュレット機能や便座暖房、脱臭機能などがついた便器を採用する場合にはおよそ10~20万円となります。
トイレのリフォーム費用は、便器自体の機能性やサイズによって異なってきます。
また築年数が古いアパートの場合、和式トイレが設置されているかもしれません。
ただ和式トイレから洋式トイレに交換する場合は、床を作り直す工程も含まれるため、25~40万円程度と比較的高い費用がかかりますのでご注意ください。
トイレには清潔さが求められているため、水漏れや給排水管の入れ替えのリフォーム工事は適宜おこなうようにしてください。
5.ユニットバス・浴槽
アパートでよく採用されている浴室とトイレ、洗面台が一体となった3点ユニットバスの交換には40~60万円がかかります。
ただし、分離リフォームをおこなうためには分離させたトイレを設置するスペースが必要。確保できるスペースがあるかどうかは、リフォームをおこなう施工会社に確認しましょう。
たリフォーム費用も、条件によって高額になります。費用対効果の点から検討するようにしてください。
水回りに関わるリフォーム費用の中でも、もっとも高額になりやすいのが浴室のユニットバスや浴槽のリフォーム。経年劣化によるひび割れや目地の痛みなどで定期的なメンテナンスが必要な箇所です。
6.クリーニング
リフォーム費用は単身者用の部屋だと、およそ15,000~5万円が目安。
ただし汚れ具合や部位の材質などによっては追加料金が発生するため、気になる点は事前に業者へ伝えておくことでトラブルを避けることができます。
居住者が決まりやすくなるように欠かせないのが、クリーニングを目的としたリフォーム。入居希望者に住み心地の良さを感じてもらうためにも、賃貸開始時期に合わせてハウスクリーニングをおこなうことをオススメします。
7.その他
火災報知器の設置
2006年の消防法改正にともない、すべての新築住宅への設置が義務付けられております。材料費と取り付け費用は合わせて、ひとつあたり15,000円程度です。
築古物件の中には火災報知器が取り付けられていないケースがあります。
既存住宅の場合は、設置の届け出は必要ありませんし罰則違反もありません。しかし万が一のときのためにも設置することをオススメします。
洗濯機置き場の蛇口交換やシャワーのホースやヘッドの交換
- リフォーム費用は洗濯機置き場の蛇口交換が15,000~2万円
- シャワーのホースやヘッドの交換はそれぞれ1万円程度
入居直後に止水弁などの異常に気付かず「水漏れがした」というトラブルが起きやすいため事前に確認し、できるなら交換リフォームをしておいたほうがよいでしょう。
アパートのリフォームで注意したい3つのポイント
①工事期間の把握
クリーニングなどは空室の間におこなうことで費用が安くなるというケースもあります。(※基本的にリフォームも空室時におこないます。)
つまりリフォーム期間は工事をおこなっている部屋からの収入はありませんし、内覧や室内写真を入居希望者に提供する営業行為ができなくなります。
費用対効果を考えるなら工事期間を把握しておき、次の入居者を確保するまでの期間を考慮したリフォームに臨むようにしたほうがよいでしょう。
②リフォームに掛ける費用、ふたつの考えかた
アパート経営においてはリフォームに掛ける費用の考えかたが大切。金額によってはリフォームローンを利用するケースも生じます。リフォーム費用と、将来の家賃収入のバランスを検討した上でローンを選ぶことが大切になってきます。
リフォームローンとは?
リフォームローンとは、住宅購入時に利用する「住宅ローン」とは異なり、リフォームの資金として利用できるローン。
一般的に「担保型」と「無担保型」にわけられ、
- 担保型は借入金額が大きく安い金利で、返済期間が最長30~35年と長い
- 一方で無担保型は借入金額が小さく、金利も高く返済期間が10年~15年と短い
デメリットばかりが目立つ無担保ローンですが、保証人が不要の場合が多く、審査結果も当日に出ることもあるお手軽さがウリです。
1.10年で回収できる費用に留める
アパート経営のリフォームで大切なのは中長期的な目線を持ち、物件の価値を下げないようにすること。そのためのひとつの指針が「10年間で回収できる費用かどうか」です。
リフォームに掛ける金額はオーナーによってそれぞれ。「家賃の3か月分」と定めていたり、金額で「○○万円まで」と定めていたりします。収入である家賃を基に10年で得られる金額を想定し、その上でどれだけの金額をリフォーム費用の予算として組み込めるかを考えることをオススメします。
すでにアパート経営をおこなっており、家賃の値上げを検討したうえでのリフォームの場合には 「リフォームに掛ける予算 = 値上げした差額 × 10(年) × 12(月)」 といった計算方法もあります。
アパート経営において高い入居率を維持していくことが何より大切。そのためにも予算と収入のバランスは意識するようにしてください。
2.築年数と広さから予算を組む
リフォーム費用は、築年数や広さによっても異なってきます。部屋ごとではなくアパート単位で予算を検討するのもひとつの方法だと言えるでしょう。
築年数が古いほど、内外問わず着手すべき箇所が増えるため、リフォーム費用はかさんでいきます。
同じような条件のアパートでも、築年数が古い場合には支出金額が大きくなることを想定するようにしてください。
また面積が狭い物件のリフォームは比較的割高になりやすい傾向があります。そのため、同一アパート内でも異なる面積の部屋がある場合には注意が必要です。
③築古物件はリフォーム費用が高くなる
これからアパート経営をはじめる場合は、物件を購入する前に修繕・メンテナンス費用とのバランスをみたうえで不動産投資を進めていくことをオススメします。
当たり前のことですが、築古のアパートは安く購入できる一方、メンテナンスにかける費用が比較的高くなります。リフォーム費用が高くなりすぎて、回収が困難になるということもあるので注意。
資産価値を守る定期的な外壁塗装のリフォームについて
外壁塗装は、内覧や写真を通して入居希望者の印象をよくすることに一役買ってくれます。しかし、それ以上に大切なのは塗装が建物自体の寿命を延ばしてくれるます。
塗料によって耐候年数に差が出る
塗料とひとくちで言っても、ウレタンやフッ素・アクリルなどさまざまな種類があります。
そのなかでも塗装リフォームの際に注目ポイントに挙げておきたいのが「耐候性」。
一般的に用いられるシリコン塗料の場合、約2000時間の耐候に効果があります。
そのなかでも「高耐候性塗料」と呼ばれるフッ素樹脂系の塗料などは3000時間以上耐えることができる素材です。 高耐候性塗料は、一般的な塗料に比べて材料費や工費が高くなります。しかし、雨や紫外線・熱などから建物を長期にわたって守ってくれるため検討しておきたいポイントです。 また耐久時間が長いためメンテナンス回数が少なくなります。
塗装に掛かる費用と内訳
建物によって塗装面積が異なってきますが、2階建てのアパート(500平方メートル)の塗装工事費の目安は200~300万円。
塗装にかかる費用の内訳は「塗料代」「足場代」「人件費(施工費)」となっており、それぞれの項目は次のようになっています。
塗料代
採用する素材によって金額は上下します。塗装業者と相談したうえで塗料を決めていきましょう。
足場代
足場代の相場は1平方メートルあたり600~800円。
家の外周よりも広い面積で計算しておく必要があり、建物自体の階数によっても値段が変動します。
足場は組み立てる度に費用がかかります。だから、屋根の修繕や防水工事をおこなう際には塗装と同時に検討するとよいでしょう。
人件費
人件費はおよそ全体費用の30~40%程度が目安。
工期が長くなったり、職人の人数が多くなったりした場合には金額が高くなるため事前に業者と打ち合わせをおこなうことが大切。
リフォームと混同されがちなリノベーションとは
リフォーム・リノベーション共に明確な定義はありませんが、異なる意味合いで使われることが多いです。
リフォームとリノベーションの違い
ではリフォームとリノベーションがどのように異なるのか、「工事内容」「工事費用」「工事期間」を例にあげて紹介していきます。
リフォームとリノベーションの違い【工事内容の場合】
- リフォーム……老朽化した建物の機能を新築の状態に “戻す” 工事。いわゆるメンテナンスや原状回復を目的とした工事。
- リノベーション……既存の建物の性能や機能を以前よりも高い状態にする工事。
入居者のニーズに合わせて住環境を現代的なスタイルに合わせたり、デザインを一新したりすることもリノベーションに含まれます。
リフォームとリノベーションの違い【工事費用の場合】
- リフォーム……修繕が目的なので工事個所は比較的小規模で費用も安価
- リノベーション……和式トイレを洋式トイレにするといった規模が大きい工事
費用はリノベーション工事のほうが高くなりやすいです。しかし入居者のニーズがあるため、資産価値は下がりにくいと言えるでしょう。
リフォームとリノベーションの違い【工事期間の場合】
規模が大きいリノベーションは工事期間が長くなりやすいという特徴があります。
リフォーム・リノベーション費用の計上について
オーナーにとっては重要な、リフォーム費用の計上を「修繕費」にするか「資本的支出」にするか? という問題ですが、「修繕費」として計上することで、税金が安くなります。
原状に戻す修繕費は必要経費
「メンテナンスや原状回復」を目的としたリフォーム工事は、「修繕費」に該当するケースがほとんど。リフォーム例としては、「キッチンや給湯器の入れ替え」「外壁塗装の同グレードの塗装」などです。
資産価値が上がる資本的支出は減価償却費
リノベーションに該当する工事は「資本的支出」に区分されます。
資本的支出は資産とみなされるため、減価償却費として計上する必要があるのです。そのため、耐用年数に準じた算出をおこなう必要があります。
リフォームするなら施工会社の比較検討を忘れずに
たくさんの施工会社から選ぶのはとても困難な作業です。しかし、ポイントは会社の「専門性」を把握すること。
施工会社によっては、マンションやアパートなどの集合住宅のリフォームを得意分野にしていたり、お風呂やキッチンといった水回りリフォームを得意分野にしていたりします。あなたが検討しているリフォーム箇所から専門的な会社を選ぶようにしましょう。
もう一点大切なのが、複数の会社から見積もりを出してもらうということです。同じリフォーム内容でも、施工会社によって見積もりが異なることはしばしば。
まとめ
アパート経営において物件価値を下げないために大切なのは、高い入居率を維持することです。そのためにも中長期的な目線で、家賃収入とのバランスを見た予算をリフォーム費用にあてましょう。
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