アパート経営の引き継ぎで確認する9つのポイント!売却か経営の境界線もアドバイス
家族がアパートやマンションの不動産を所有しているときには、なんらかの事情で引き継ぐときがやってきます。まったく経営に参加していない場合には、なにからはじめてよいのかわからないですよね。
相続の際の手続きや注意すべきこと、また相続したくないときなど、引き継ぐといってもさまざまなケースが考えられます。
まずは引き継ぐべきかどうかを確認することから検討してみましょう。
アパートの経営を引き継ぐときのポイントや注意事項、相続を拒否する際の方法など、「あぱたい」でくわしくご紹介していきます。これから相続する可能性がある人や相続する予定がある人など、参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.アパート経営の引き継ぎで確認したい9つのポイント
- 1.1.アパート経営を引き継ぐとき確認すべきこと
- 1.1.1.1.ローン残債の有無
- 1.2.アパート経営を引き継ぐとき決定すべきこと
- 1.2.1.2.相続人(アパートの所有者)を決める
- 1.3.アパート経営を引き継ぐとき注意すべきこと
- 1.3.1.3.相続人決定までの賃料収入の取り扱い
- 1.3.2.4.連帯保証人は残債の返済義務がつづく
- 1.4.アパート経営を引き継ぐとき手続きすべきこと
- 1.4.1.5.アパートの相続登記をおこなう
- 1.4.2.6.銀行へ遺産分割についての申し出
- 1.4.3.7.入居者へ連絡する
- 1.4.4.8.管理会社へ連絡する
- 1.4.5.9.準確定申告をおこなう
- 2.引き継いだアパートを好転させるには
- 2.1.管理会社との契約を見直す
- 2.1.1.切り替えるなら管理内容、手数料を要確認
- 2.2.一括借り上げの契約内容を見直す
- 2.2.1.管理委託契約への切り替えも検討
- 3.アパート経営は引き継ぎせずに売却を検討してみる
- 4.まとめ
アパート経営の引き継ぎで確認したい9つのポイント
アパート経営を引き継ぐときの9つのポイントはこちら
確認
1.ローン残債の有無
決定
2.相続人(アパートの所有者)を決める
注意
3.相続人決定までの賃料収入の取り扱い
4.連帯保証人は残債の返済義務がつづく
手続き
5.アパートの相続登記をおこなう 6
.銀行へ遺産分割についての申し出
7.入居者へ連絡する
8.管理会社へ連絡する
9.準確定申告をおこなう
アパート経営を引き継ぐとき確認すべきこと
1.ローン残債の有無
相続予定の賃貸物件のローン残債の有無を確認しましょう。
もしローンが残っている場合には、相続人が返済の義務も相続するので、返済をする必要があります。
簡単にローンの引き継ぎをおこなうことができそうですが、支払者を変更するので、金融機関の承諾を得る必要が出てきます。だから、再度ローンを引き継ぐ相続人の返済能力の審査がおこなわれるカニ。
もし、支払い能力に難ありとなると、新たな保証人を要求されることもあるので注意しましょう。金融機関の審査に通ったら、アパートローンの契約書を作成し提出します。まずは、ローンの返済は可能かどうかから相続がはじまっているのです。
ローンの残債金額を知ったうえで、相続するかどうか検討してみてください。
アパート経営を引き継ぐとき決定すべきこと
2.相続人(アパートの所有者)を決める
アパートの所有者である相続人を決めましょう。
しかし、共有名義は避けるようにしてください。共有名義になると、トラブルのもととなるため単独名義での相続がおすすめです。 共有名義にした場合、アパートの大規模修繕や不動産そのものを売却する際に、全員の意見をすり合わせて決定していかなければなりません。
意見の食い違いで、兄弟や親族とトラブルになる可能性大です。実は、共有名義の場合でも自分の名義だけを売却することが可能です。
もし興味があるかたは「ソクガイ.jp」に相談してみましょう。 相談者は他の共有名義者との接触は不要なので、関係が良好でない場合でも安心して相談することができます。また全国対応で、すぐに連絡をくれるところもおすすめポイントです。
アパート経営を引き継ぐとき注意すべきこと
3.相続人決定までの賃料収入の取り扱い
被相続人が亡くなった日が相続開始日と決められています。
兄弟などがいる場合には、遺産を分割する話し合いがもたれることが一般的。だから、相続人が決定したあとの家賃は、相続人が得ることができます。
だけど、相続人決定までの間の家賃収入はどうなるの?基本的に相続人が複数いる場合には、すべての相続人が対象となり、それぞれ法で定められた相続分において得ることができるます。
そのため、相続人決定までの賃料収入の取り扱いは、すべての相続人というわけです。
4.連帯保証人は残債の返済義務がつづく
被相続人がアパート経営のためにしたローンの連帯保証人に自分がなっているケースを考えてみましょう。相続の際には財産もローン返済も合わせて相続人が引き継ぎます。
ただ、経営がうまくいかない場合には、売却や相続放棄という手段で、ローンの返済をしないという選択肢もあります。 しかし、相続人がローンの連帯保証人になっている場合は違うので注意しましょう。
相続人が連帯保証人となっている場合、アパート財産の放棄をしても、ローン残債の返済義務は解消されません。連帯保証人は、必ず借金を返す義務があるからです。連帯保証人からは抜けることはできないので、売却や相続放棄の手段をとる際には気をつけてください。
アパート経営を引き継ぐとき手続きすべきこと
5.アパートの相続登記をおこなう
アパートの相続人が決定したら、相続の登記をおこないます。
登記をしないと罰則などがあるわけではないです。しかし、そのままにしておくと、のちにトラブルの元となる可能性があります。
相続登記とは、不動産の登記上の名義変更をする手続きのことで、司法書士に依頼することも可能。そして、相続登記は、アパートがある地域を管轄している法務局に足を運びます。
法務局で登記申請書をもらい、記入し提出します。 インターネットでも登記申請書をダウンロードすることができるので、自宅で印字し提出することも可能です。作成自体は、むずかしいものではないので、自分で記入してもよいでしょう。
6.銀行へ遺産分割についての申し出
相続人が決定したら、銀行へ遺産分割の申し出に行きましょう。 民法上は、被相続人の借金は、法定相続分どおりに負担することになっています。
相続人が決定したのにも関わらず、相続したことを銀行に伝えないままにしておくと大変です。ほかの相続人にアパートローンの返済が請求されてしまいます。
アパートなどの不動産は相続していないのに、借金の請求がきたとなると問題になりかねません。そのため、相続人が決まったら、早めに銀行へ申し出にいきましょう。
7.入居者へ連絡する
所有者が変更したことを、入居者へ連絡しましょう。
もし管理を不動産にお願いしているのであれば、管理会社を通して通知してもらってもよいです。
自己管理している場合には、自分で書類を作成し、名前や連絡先などを伝えます。退去や入居中のトラブルの際に、入居者が困らないためにも、被相続人が亡くなったら早めにおこなってください。
8.管理会社へ連絡する
被相続人が亡くなったことは管理会社へ伝えてあったとしても、次に誰がオーナーになるのか管理会社も連絡を待っています。
入居者への連絡のお願いも合わせて、相続が決まりオーナーになったことを伝えておきましょう。そのあとの経営方針や管理方針などは後日に話す機会をもうけてください。
9.準確定申告をおこなう
最後のポイントは準確定申告です 。
被相続人が亡くなった場合に、相続人が代わりに確定申告をすることを意味しています。 準確定申告を申告するのは、相続の開始をしった翌日から4ヶ月以内です。確定申告の日ではないので、忘れないうちに早めにしたほうが無難です。
書類の内容は、被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を知らせます。
相続人がおこなう必要があるので、所得を確認し書類を作成しましょう。
提出先は、被相続人の納税地の管轄税務署長当てに出す必要があります。遠方の場合には、送付に時間がかかることも考えて、提出してください。
引き継いだアパートを好転させるには
被相続人からアパートを引き継ぎ、手続きなどが完了したら終わりではありません。ここからがスタートです。引き継いだアパートの経営を守り、さらに好転していくための方針を決めていきましょう。
管理会社との契約を見直す
被相続人のアパート経営を近くで見ている場合には、管理会社の良し悪しもなんとなく判断できているでしょう。管理会社としての役目を果たしてくれているのであれば、そのまま継続して問題はありません。
しかし、なかには被相続人の昔からのつき合いで委託契約関係にある場合もあります。 特に、被相続人の古くからの知人やはじめの物件購入でお世話になったからというような情で結ばれているとやっかいです。
持ちつ持たれつも大切ですが、アパート経営にとって必要ないと感じた場合には、他社に切り替えたほうがよいでしょう。悪魔のように思われるかもしれませんが、経営が傾いてしまっては元も子もありません。
切り替えるなら管理内容、手数料を要確認
もし、管理会社を変える場合には各管理会社の管理内容や、管理料をチェックしてみましょう。 これは、管理会社へ足を運ばなければわかりません。管理会社によっては、管理料を統一していない場合もあるカニ。そのため、それぞれの管理会社での手数料はバラバラ。
管理内容もよく読んでみると、清掃の回数や夜間のトラブルの対応など各管理会社で違うことがわかります。はじめの一歩として、自分に一番合った管理会社を選択してみてください。
一括借り上げの契約内容を見直す
相続したアパートをどこかの管理会社が一括借り上げしているケースもあります。しかし、一括借り上げにより収益性が落ちている場合もあるのです。 被相続人の場合には、一括借り上げでよかったかもしれません。
しかし、相続して自分でいろいろな経営方針があるのであれば、解約を検討してもよいでしょう。さらに、借り上げ料率のアップ要求をすることもできます。料率に不満がある場合や、他社と比べて明らかに低いと感じたときには、要求してみるのもひとつの手です。
管理委託契約への切り替えも検討
一括借り上げの場合には、経営のすべてを管理会社がおこない、家主は毎月一定の収入を得ることができます。
しかし、相続人となって新たに経営方針がある場合、一括借り上げとなると口出しができません。
一度一括借り上げ契約を解約したうえで、管理委託契約へ切り替えが可能かどうかも考えてみタイね。管理は委託しつつも、経営に口を出すことができるようになるカニ。
相続人の考えや性格によっては、管理委託契約へ切り替えたほうがよい場合もあるので、ひとつの方法として頭の片隅に置いておいてください。
アパート経営は引き継ぎせずに売却を検討してみる
アパートの売却というと簡単に感じるかもしれません。しかし、売却時には、さまざまな費用がかかりタダではないのです。そのため、相続人は費用面も含めて検討する必要があります。
不動産の知識やアパート経営のノウハウもゼロからのスタートとなると、負の資産になりかねません。よいタイミングで売却してしまうのも正しい対応方法のひとつです。
売却にかかる費用
アパートを売却する場合には、
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 住民税
- 登録免許税
がかかります。 ほかにも、売却を仲介してくれた不動産へ手数料を払わなくてはいけません。仲介手数料は、売却が成立した際の成功報酬です。
印紙税
印紙税は、売買契約書に貼る印紙のことです。印紙税には、物件の売買価格によって定めがあります。
物件の売買価格 |
印紙税 |
100万円超から500万円以下の場合 |
1,000円 |
500万円超から1,000万円以下の場合 |
5,000円 |
1,000万円超から5,000万円以下の場合 |
10,000円 |
5,000万円超から1億円以下の場合 |
30,000円 |
1億円超から5億円以下の場合 |
60,000円 |
売買契約書は、売主分と買主分の2通作成され、どちらにも印紙税がかかります。一般的には、売主と買主がひとつずつ負担するので、1通分として計算しましょう。
出典:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁(平成30年4月1日時点)
譲渡所得税
譲渡所得とは、収入金額から取得費と譲渡費用を引いたものです。その譲渡所得に税金がかかります。
譲渡費用は、
- 土地や建物を売買の際にかかった仲介手数料
- 印紙税
- 入居者への立退料
- 借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料
などと定められており、すべての費用が譲渡費用となるわけではありません。
住民税
不動産を売却して利益が出た際に、もうひとつ必要となるのが住民税です。 住民税の税額の計算は以下のとおりです。
- 短期所有の場合には、課税短期譲渡所得金額の9%。
- 長期所有の場合には、課税長期譲渡所得金額の5%。
譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の場合と、5年を超える場合において、税率が変わるので注意しましょう。
出典:土地や建物を売ったとき|国税庁
登録免許税
アパートを売却する際の名義変更に必要となるのが、登録免許税です。 登記の種類によって金額が違い、売却により所有権を移す場合には、固定資産税評価額の2%となります。 平成31年3月31日までは軽減税率の適用があるので、1.5%での計算で算出されます。
出典:登録免許税の税額表|国税庁(平成30年4月1日時点)
まとめ
被相続人よりアパートを相続する場合には、即決せずにローン残債の確認をしましょう。相続を決定したら、たくさんの手続きがあるので、忘れずに一つひとつクリアしてくださいね。
アパート経営はどこかのタイミングで出口戦略を考える必要があります。