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アパート経営でクーリングオフは可能?【解約適応6つの条件】と内容証明の書き方

動産投資の契約はクーリングオフできる? という話題をよく目にします。 ただクーリングオフという観点でみるなら、不動産投資とアパート経営は別で考えたほうがよいでしょう。不動産投資と一口に言っても、物件の種類や取引内容によってはクーリングオフできないからです。


アパート経営を含め、「悪徳業者による不動産投資の詐欺」なんてニュースも目にします。


詐欺被害を受けた人たちは、クーリングオフで解約できなかったのでしょうか。


そこで「あぱたい」では、「アパート経営」と「クーリングオフ」の関係をわかりやすい言葉で解説! ネットショッピングやテレビショッピングと違って安易に購入しない不動産取引。クーリングオフできる可能性を説明しながら、具体的な方法もご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.アパート経営の契約をクーリングオフ!でも、解約できないかも
  2. 2.アパート経営・投資マンション・自宅は関係なし!クーリングオフがしづらいワケ
  3. 3.【アパート経営と宅地建物取引業法】クーリングオフできる範囲は狭い……
  4. 4.アパート経営の契約を確実にクーリングオフ!解約する方法と6つの条件
    1. 4.1.【クーリングオフの注意点1】不動産会社の事務所以外とは
    2. 4.2.【クーリングオフの注意点2】クーリングオフで解約する旨の書面とは
  5. 5.アパート経営のクーリングオフは内容証明で!自分で送る際の書きかた
  6. 6.まとめ



アパート経営の契約をクーリングオフ!でも、解約できないかも

アパート経営 クーリング オフ 解約 できない


アパート経営に限って言うなら、「クーリングオフしづらい」と言い換えられます。 理由は適用される法律物件探しから契約までの流れが、取引する物件の種類で違うためです。


  • 自分が住む賃貸や売買の契約:クーリングオフという概念が一般的ではない
  • 投資用マンションの契約:クーリングオフできるケースが多い
  • アパート経営の契約:クーリングオフできない可能性がある


例えば自宅を買うときや借りるときは、不動産屋さんを訪れて契約します。自ら物件という商品を探しに不動産会社を訪れて契約するので、消費者保護を目的としたクーリングオフの趣旨とは正反対です。 不動産契約は本人の固い意志をもって取り交わされる契約。


クーリングオフで解約しなければならない状況にはなりづらいと言えるでしょう。


「業者側の一方的なコンタクトにより無理やり契約させられるトラブルを防ぐ」のがクーリングオフの目的


つまり「物件を積極的に探して不動産屋を訪れて契約」をしている時点でクーリングオフはできっません。「どういう目的」「どういった状況」の取引だったかで、アパート経営の契約をクーリングオフできるケースもあります。


ただ基本的には、アパート経営を含めた不動産取引でクーリングオフの制度で対応する場面は多くありません。  



アパート経営・投資マンション・自宅は関係なし!クーリングオフがしづらいワケ

アパート経営 クーリング オフ できない理由


そもそもクーリングオフは、消費者保護を目的とした制度。主に特定商取引法における訪問販売通信販売電話勧誘による契約を解除するための制度です。 つまり不動産の契約解除の手続きに対し、特定商取引法のクーリングオフ制度を当てはめるのは適切ではないとも言えます。


もちろん取引が続行できない事情があれば、不動産の契約解除は可能です。手付金の放棄や損害賠償が必要になるから注意してください。


特定商取引法の内容と一般的な不動産取引の流れをみれば、アパート経営や投資マンション、自宅に関係なくクーリングオフしづらいのがおわかりいただけるでしょう。



【特定商取引法 第9条】

商品やサービス、特定の権利を販売する業者と営業所以外の場所で契約した人は、申し込みの撤回、契約の解除ができる。ただし契約書等を受け取った日から8日経過した場合は、その限りではない。

参照:特定商取引に関する法律


大事なポイントだから必ず確認する


訪問販売とは?

業者の営業所以外での契約、営業所以外の場所で呼び止められて営業所内に同行しておこなう契約(例:街頭アンケートと称した絵画商法など)


通信販売とは?

業者が郵便などによりおこなう契約であり、電話勧誘に該当しない契約や販売方法


電話勧誘とは?

業者が電話勧誘行為によりおこなう売買契約やサービスを提供するための契約


参考:特定商取引に関する法律


どれにも共通する「営業所以外でおこなった契約」という点が大事です。



【不動産の契約の一般的な流れ】


アパート経営ともなれば、不動産会社へ自らコンタクトを取りつつじっくり物件を探します。その時点で特定商取引法に該当しません。 さらに緻密な収支をシミュレーションしたり、融資を受けるために不動産会社に相談したりします。


ローンの審査が承認されたら、ようやく不動産会社で正式な契約を締結するという流れが一般的です。 すべて自らの意思で行動して契約を締結するため、普通ならクーリングオフの考えかたは当てはまらないと言えます。  




【アパート経営と宅地建物取引業法】クーリングオフできる範囲は狭い……

アパート経営 クーリング オフ 宅地建物取引業法


そもそも日本において、「クーリングオフ法」というような法律はありません。「宅地建物取引業法」や「特定商取引法」、「保険業法」など、取引別に適用される法律のなかでクーリングオフが定められているというのが正解です。


ただ宅地建物取引業法におけるクーリングオフの定めは、対象となる取引がかなり限られています。


【宅地建物取引業法 第37条の2】

以下のすべてに該当していれば不動産の買い付け申し込み売買契約の解除をできる


  • 不動産業者が売主である土地や建物の契約
  • 申し込みの撤回ができること、その方法について伝えられてから8日以内
  • 不動産の引き渡しと代金の支払いが完了していない
  • 不動産会社の事務所以外の場所での申し込みや契約


※買付けの申し込みが事務所で、契約が事務所以外は適用除外


参考:宅地建物取引業法


不動産のクーリングオフは、条文の「不動産業者が売主」「事務所以外での契約」という部分がなかで重要。 不動産業者が売主の物件も多くあります。ただ宅地建物取引業法のクーリングオフに関しては、対象になる取引が狭いと言えます。 実際に不動産投資やアパート経営のよくあるパターンで確認してみましょう。



パターン①②ともに業者の営業所以外で契約していますから、どちらもクーリングオフが可能に思えます。しかし実際は、どちらも宅地建物取引業法におけるクーリングオフの対象になりません。


パターン①は不動産の契約ではなく「建築請負契約」。宅地建物取引業法における「買い付け申し込み」や「売買契約」ではありません。


パターン②については、物件の売主ではなく仲介業者との契約。やはり宅地建物取引業法によるクーリングオフの対象ではありません。「訪問販売」「電話勧誘」だから特定商取引法の視点で考える必要があります。



アパート経営の契約を確実にクーリングオフ!解約する方法と6つの条件


前章にて、宅地建物取引業法の第37条2におけるクーリングオフの条件を大まかにご紹介しました。 アパート経営に関する契約をクーリングオフで確実に解約するなら、以下の正確な条件をしっかり把握しておきましょう。


【宅地建物取引業法によるクーリングオフの条件】

参考:宅地建物取引業法



【クーリングオフの注意点1】不動産会社の事務所以外とは


宅地建物取引業法のクーリングオフにおける「事務所以外の場所」とは、「宅地建物取引士がいる不動産会社に関係する場所」を前提として以下のように規定しています。


  • 不動産業者が主な事務所以外で継続的に業務をおこなえる場所
  • モデルルームや支店、セミナー会場など
  • 買主からの申し出があった場合の自宅、勤務先


参照:宅地建物取引業法施行規則


かつて大問題となった悪質な投資マンションの営業やサブリース契約。以下のようなパターンによる契約トラブルも多くありました。



上記の場合、セミナーを誰がどこで開催したかが問題。


もしセミナーの内容や開催場所が物件を取り扱う不動産会社とは無関係で、セミナーの主催者が売主でなかったらクーリングオフは不可です。しかも電話勧誘などを受けて参加したセミナーでもありません。だから、特定商取引法にも該当しないでしょう。


「不動産会社の事務所以外」という範囲はさほど広くありません。勘違いしないように注意が必要です。  



【クーリングオフの注意点2】クーリングオフで解約する旨の書面とは


アパート経営に限らず、クーリングオフは必ず書面でおこなわなければいけません。 書面とは内容証明ハガキFAXを指し、昨今ではメールも有効だとされています。


ただ大事なのは、証拠として残るかどうか。いざトラブルに発展した際、証拠がないとクーリングオフが認められない可能性があるため十分注意しましょう。  



アパート経営のクーリングオフは内容証明で!自分で送る際の書きかた

画像引用:日本郵便


アパート経営とクーリングオフの関係や法律上のルールをみてきました。ルールや決まりは大事ですが、不動産の契約ならクーリングオフの期間が8日以内です。


必要なら早々に手続きをはじめたほうがよいでしょう。 とはいえ、アパート経営や不動産のクーリングオフは内容証明を送れば成立します。


内容証明は横書きでよく、マス目がなくても問題ありません。記載事項や書きかたもむつかしくありませんが、記述方法に一定のルールがありますので確認しておきましょう。



【文字数と行数】

縦書き
1行20字以内/1枚26行以内
横書き
1行20字以内/1枚26行以内 1行13字以内/1枚40行以内 1行26字以内/1枚20行以内



【主に記載すべき事項】

内容証明の作成日
相手の住所・氏名
自分の住所・氏名
契約を解除する旨
手付金や申込金を返金してほしいとの旨
契約内容の概要



【内容証明の費用】

内容証明
料金
1枚
440円
2枚
700円
3枚
960円
4枚
1,220円
5枚
1,480円


※その他オプションや定形外郵便については「内容証明 ご利用の条件等」を参照


【不動産でクーリングオフする書式見本(横書き)】


上記の書面を用意したら、郵便局で送付するだけです。ただ契約内容が複雑だったり特殊な事情を抱えていたりするなら、自分で内容証明を送付するだけでなく弁護士や司法書士にも相談したほうがよいでしょう。  



まとめ


アパート経営でクーリングオフしなければならないケースに遭遇することは、あまり多くありません。ただ万が一のために、以下の内容は覚えておきましょう。


  • 不動産業界ではクーリングオフが一般的ではない
  • 訪問販売や電話勧誘で購入した物件ならクーリングオフ可能
  • 宅地建物取引業法のクーリングオフできる範囲は限られている
  • クーリングオフには満たすべき条件がある
  • 確実にクーリングオフするなら内容証明を送る


裁判をおこすわけではないので、クーリングオフする際の手続きはむつかしくありません。 大事なのは「クーリングオフの対象か」「対象ならすぐに手続きする」ということです。


いざというときに備えて、この記事をブックマークして何度でも確認しつつ、お知り合いにも教えてあげてくださいね!



不動明師
不動明師
賃貸管理&売買仲介経験20年。アパート新築、購入、仲介、リノベーション、大規模リフォームに携わり、自身でも2棟のアパートを所有する不動産オーナー。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格を有し、不動産経営者に対して役立つノウハウを共有している。

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