空室対策できる補助金【住宅セーフティネット】100万の助成金を損している!?
住宅確保要配慮者は今後増加すると予想されますが、公営住宅不足は解決されないまま……。
そんな社会不安を解消するために住宅セーフティネット制度があります。 住宅セーフティネット制度は賃貸住宅改修工事の補助や家賃補助などがあり、アパート経営をする大家さんにとって魅力ある制度と言えるでしょう。
補助や融資を受けるための条件はありますが、空室問題が解決される可能性のある制度。 [住宅セーフティネット制度について「あぱたい」がくわしく紹介します。
目次[非表示]
- 1.3つの制度から成り立つ住宅セーフティネットとは?
- 1.1.【制度1】要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録
- 1.1.1.賃貸住宅を登録する場合
- 1.1.2.シェアハウスの場合
- 1.2.【制度2】登録住宅の改修や入居者への経済的支援
- 1.3.【制度3】住宅確保要配慮者に対する居住支援
- 2.リフォーム費用に100万円!空室対策になるふたつの補助金
- 3.補助金をもらう際に必ず注意すべきポイント
- 3.1.入居者の属性が限定される
- 3.2.家賃が自由に設定できなくなる
- 4.住宅セーフティネットの活用は今がチャンス!?
- 5.まとめ
- 5.0.1.この記事を読んだ方に人気の記事
3つの制度から成り立つ住宅セーフティネットとは?
(新)住宅セーフティネット制度が、2017年10月からスタート。
新たな住宅セーフティネット制度とは、
- 要配慮者向け賃貸住宅の登録制度
- 登録した住宅の改修補助や入居者への負担軽減
- 要配慮者への居住支援
住宅確保要配慮者の入居する住宅として民間の賃貸住宅が提供されるという制度。登録された住宅には、改修費補助や要配慮者への居住支援などがあります。
高齢者の増加は以前から日本全体の問題として認知されています。しかし、障害のある低所得者層や子どもを持つシングルマザーの世帯など、住宅の確保が必要な人が増えています。
それに対して、公営住宅は増えないまま。 空き家や民間の賃貸住宅における空室も増加していることから、住宅セーフティネット制度を利用して、上記のかたがたの住宅を確保しようというのが目的です。
【制度1】要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録
そもそも住宅確保要配慮者とは、
- 低額所得者:月収が158,000円以下の世帯。月収は1年間の収入から給与所得控除、配偶者控除や扶養親族控除などをおこなったうえで月額換算した金額が基準。
- 被災者:発災して3年以内という期限あり。
- 高齢者
- 障害者
- 子供を持つ世帯:18歳未満の子供がいる世帯。
住宅確保要配慮者に対し、住宅セーフティネット制度に登録する住宅にも規定があります。
情報元:住宅セーフティネット制度Q&A「住宅確保要配慮者とはどのような方々ですか?」
賃貸住宅を登録する場合
耐震性があり、床面積が25㎡以上の住宅など、規模や構造などが一定の基準に達していなければなりません。キッチン、トイレ、浴室、洗面所などの設置も必要です。
情報元:住宅セーフティネット制度Q&A「登録できる住宅の基準はありますか?」
シェアハウスの場合
専用居室が9㎡以上で、住宅全体の床面積が15㎡×居住人数+10㎡以上が必要。
情報元:住宅セーフティネット制度Q&A「シェアハウスの基準」
居間、食堂、台所、トイレ、浴室、洗面所、洗濯場を備える必要です。また集合住宅の場合は、住戸単位での登録です。
【制度2】登録住宅の改修や入居者への経済的支援
新たな住宅セーフティネット制度では、登録した住宅に改修費補助や、入居者負担が軽減される補助金があります。
- 国からの改修費補助
- 国、または国と自治体による改修費補助
- 国、または国と自治体による家賃や家賃債務保証料の低廉化補助
- 住宅金融支援機構からの改修費への融資
改修費補助とは、
- 国からの直接補助
- 国と自治体からの補助
というふたつにわかれます。
どちらか一方の補助を受けることが可能ですが、補助の対象となる工事は補助率や限度額が異なります。 また、独立行政法人住宅金融支援機構による改修費への融資を受けることも可能。融資条件は全体の工事費用の8割を上限として返済期間は20年以内の全期間固定金利です。
情報元:住宅セーフティネット制度Q&A「改修費への融資とはどのようなものですか?」
【制度3】住宅確保要配慮者に対する居住支援
都道府県は、居住支援を目的としてNPO法人などを居住支援法人と指定します。 居住支援法人は、賃貸住宅への入居に関する情報提供や相談を受けることが業務です。生活支援、登録住宅にいる入居者への家賃債務保証などもおこないます。
生活保護受給者が入居する場合は、手続きをおこうことにより本人に代わって家賃を支払う「代理納付」も可能です。
リフォーム費用に100万円!空室対策になるふたつの補助金
アパート経営をするオーナーは、住宅セーフティネット制度を利用することで空室対策も可能です。 たとえば築年数が経った賃貸住宅の空室対策ならリフォームなどの改修工事が有効。さらに、住宅セーフティネットに登録すれば改修費への経済的支援が受けられます。
また家賃低廉化補助制度は、アパート経営をするオーナーにとって大きなメリットと言えるでしょう。
家賃低廉化補助制度とは?( 読みかた:やちんていれんかほじょせいど)
登録住宅に低額所得者を受け入れることで国と地方公共団体が家賃補助をしてくれる制度。
改修補助と家賃補助のふたつがあれば、アパート経営の長期安定を目指すオーナーには強い味方! では、それぞれの補助金が具体的にどのような制度内容になっているかみてみましょう。
【補助金1】1戸あたり最大100万円のリフォーム補助!
補助の対象になる工事は、
- 耐震改修
- 間取り変更
- シェアハウスへの改修
- バリアフリー改修
- 居住のために最低限必要と認められた工事
- 居住支援協議会議会などが必要と認める工事
- これらに係る調査設計計画の作成
補助金の限度額は国費で1戸あたり50万円、1~3の工事を含む場合は2倍の額になります。
改修費補助は
- 国による直接補助
- 自治体による補助に国も支援する補助
2種類があり、どちらかの補助を受けることが可能。 補助は原則としては最長10年ですが、自治体の判断によっては20年間の延長が認められます。
【補助金2】1部屋で4万円も家賃が補助される!
家賃低廉化補助制度は、低額所得者を受け入れるオーナーに対してうれしい制度。自治体が必要と認めた場合に、1戸あたり月額最大で4万円を補助してくれます。
所得の低い人が入居する場合、入居者の家賃を軽くするために市場家賃よりも下げなければいけませんが、その減額分の家賃を補助してくれるのです。 対象となる入居者は、低額所得者(月収158,000円以下)。
ただし、生活保護制度などにより住居確保給付金を受給している世帯は除きます。 補助期間は原則として最長10年ですが、補助金の総額が10年間の限度額である480万円を超えなければ自治体の判断によって最長20年も可能。
こちらの記事では修繕費を科目ごとにお伝えしています>>【アパート経営にかかる修繕費の目安】屋根等15の費用と築30年アパートの試算
補助金をもらう際に必ず注意すべきポイント
住宅セーフティネット制度は、住宅確保要配慮者の住居を確保することが目的。したがって、改修工事への経済的支援は住宅確保要配慮者のための取り組みでなければなりません。
経済的支援を受けるのですから登録する賃貸住宅は要配慮者のニーズを満たし、国や自治体からの補助を受けるための支援条件に反してはなりません。
【補助要件】
- 要配慮者用の対象住宅として登録されている
- 同制度の専用住宅として10年以上管理する
- 入居者の家賃が以下の金額を超えていない
計算式
67,500×50/65×市町村立地係数
- 供給促進計画や地域住宅計画などにおいて、空家を有効活用する旨が記載されている
- 居住支援協議会などが、住宅の情報提供やあっせんをおこなう
- 地方公共団体が居住支援協議会などと連携の取り組みをおこなっている
改修工事などの補助を受けたい場合は、専門住宅で登録してから10年以上管理や運営が可能かどうかをよく判断する必要があります。
入居者の属性が限定される
住宅セーフティネットの補助要件をご覧いただきお気づきかもしれませんが、住宅セーフティネットの補助を受けることになると「配慮者だけが入居できる専用住宅」として10年以上管理しなければいけません。
つまり「専用住宅として10年以上管理すること」というのは、上記のことを指すのです。 これは言い換えると、住宅セーフティネットとして登録したあとは一般のかたの入居募集ができなくなるということでもあります。
情報元:住宅セーフティネット制度Q&A「補助を受けた場合の制約はどのようなものですか?」
いざ住宅セーフティネットが有効に機能しなくなった場合、空室が埋まらなくなるという結果になりかねません。ひとつのデメリットとして覚えておいたほうがよいでしょう。
家賃が自由に設定できなくなる
国から改修費の補助を受けた場合は家賃に上限があり、原則として10年間はその額を超える家賃の設定はできなくなります。 登録住宅の家賃は近傍同種の住宅の家賃と均衡を保つ必要があります。通常の市場家賃程度の家賃を設定するには、近隣の同じような物件の家賃を参考にしましょう。
具体的な上限額は公営住宅の家賃程度になるように、市町村ごとに算出されています。くわしくは管轄の自治体に確認することをおすすめします。
住宅セーフティネットの活用は今がチャンス!?
空室対策として住宅セーフティネット制度が有効であるということがおわかりいただけましたでしょうか。
募集できる入居者の属性などは制限されますが、セーフティネット登録物件であれば滞納や家賃下落で収入が減るというリスクを軽減できますし、リフォーム費用の負担も抑えられます。 住宅セーフティネットに登録した物件の場合、自治体や居住支援協議会を通じて住宅確保要配慮者へ入居づけをおこなうものと定められていることも特徴です。
実際は、手続きが煩雑なこともあって人気はイマイチというのが正直なところ。 昨今は徐々に登録条件などが緩和されてきています。だから、登録住宅が少ない今こそ、空室対策の一環として住宅セーフティネットの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
住宅セーフティネット制度を活用することのメリットは、入居者とオーナーの両者の目線で以下ふたつにわけることができます。
- 住宅確保要配慮者は住宅を確保できる
- オーナーは空室対策という悩みから解放される
社会貢献もできて空室対策にもつながる、住宅セーフティネットはまさに一石二鳥のような制度。 空き家増加などで入居者確保の競争に巻き込まれる前に、少し視野を広げて住宅セーフティネット制度の活用を考えてみても損ではないでしょう。
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