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アパート経営で「土地あり」が有利は嘘?「土地なし」でも有利な3つの理由

続した土地をアパート経営などで上手に土地活用したいと考える地主はたくさんいます。


しかし、

  • 「アパート経営にリスクはないのだろうか?」
  • 「アパート経営をはじめる際に、土地を所有しているメリットやデメリットはなんだろう?」

といった不安でいっぱいですよね。


今回はアパート経営において「土地あり」と「土地なし」で、どんな違いがあるのかをわかりやすく解説します。 



目次[非表示]

  1. 1.【土地あり】アパート経営は地価が高くて立地がよい地域が有利
    1. 1.1.借入総額を抑えられ、融資を受けやすい
    2. 1.2.大きな出費が建築費だけなので、返済負担が少なくて済む
    3. 1.3.土地代の分を建築費に回すことで、ワングレード上の建物にできる
    4. 1.4.土地購入の負担がないので、その分高利回りが期待できる
  2. 2.【土地あり】相続した土地でアパート経営をする4つのメリット
    1. 2.1.1.毎月の家賃収入
    2. 2.2.2.固定資産税、都市計画税が安くなる
    3. 2.3.3.相続税が安くなる
    4. 2.4.4.資産が残る
  3. 3.【土地あり】相続した土地でアパート経営をするデメリット
  4. 4.【土地あり】アパート経営に必要な資金はどのくらい?
    1. 4.1.アパート建築費用
    2. 4.2.そのほかの諸費用
    3. 4.3.自己資金は何割?
  5. 5.【土地あり】アパート経営に不利な土地を相続したら?
  6. 6.【土地なし】アパート経営は成功できる?〜唯一有利なのは立地を選べること
  7. 7.【土地なし】アパート経営が有利な3つ理由
    1. 7.1.1.立地が選べる
    2. 7.2.2.アパート経営開始までの維持コストがかからない
    3. 7.3.3.投資コストが安くなる
  8. 8.【土地なし】アパート経営のふたつのデメリット
    1. 8.1.1.土地購入を含む多額の資金が必要
    2. 8.2.2.投資利回りが低い
  9. 9.【土地なし】アパート経営は資金調達が一番の課題
  10. 10.まとめ



【土地あり】アパート経営は地価が高くて立地がよい地域が有利

【土地あり】アパート経営は地価が高くて立地がよい地域が有利 


新しくアパート経営をするなら、必ず「土地」と「建物」が必要です。幸運にも相続で土地がある人もいれば、新たに土地を購入する人もいるでしょう。


結論からいうと、アパート経営は「地価が高くて立地がよい地域の土地を所有(相続)している人が圧倒的に有利」


まずなんといっても土地があるメリットは「土地の購入資金が必要ない」ことに尽きます。土地の場所と面積にもよりますが、土地購入と比べて、少なくとも3,000〜6,000万円程度の支払いが浮くわけです。




借入総額を抑えられ、融資を受けやすい

アパートローンの借入れには、万が一のときでも貸し倒れがないように、銀行から、土地・建物に抵当権を設定することを求められます


ですがいくら担保があって、年齢・勤務状況などの条件をクリアしていても、際限なく借入れできるわけではありません。借入金の減額や最悪、融資が受けられないこともありえるのです。


そこで土地代が必要ないとなれば、借入総額を抑えることになり、その分融資がとおりやすくなります


また、土地の価値が高ければ担保価値も高く、融資に有利です。  



大きな出費が建築費だけなので、返済負担が少なくて済む

土地がなければ土地購入代金もローンを組み、返済していかなくてはなりません。土地があれば建物分だけ返済すればいいので、単純に土地購入代数千万円分の返済が浮くことに。


さらに、地価が高くて立地がよければ、需要が多いので家賃を高く設定できます。アパートの建築費は地価や立地に関わらず、全国どこでもほぼ同じ水準。


ですから家賃を高くできるぶん、当然返済が楽になります。  



土地代の分を建築費に回すことで、ワングレード上の建物にできる

土地代として支払うはずだったお金をある程度建物に回せます。そうすると例えば、アパートの構造体を木造から鉄骨に変更することも可能に


2018年国土交通省の建築着工統計調査によると、木造と鉄骨造の建築費用の差は平均でおよそ4,700万円ですから、土地の条件によっては十分に可能です。


参考:国土交通省 2018年建築着工統計調査 34(新築住宅)利用関係別、構造別、建て方別(住宅の工事費)/戸数、床面積、工事費予定額、1戸あたり工事費予定額、1平米あたり工事費予定額  



土地購入の負担がないので、その分高利回りが期待できる

土地ありと土地なしの表面利回りを比較してみましょう。


年間家賃収入 ÷ 物件価格 表面利回り


10戸建て、家賃:7万円、物件価格5,000万円、土地価格5,000万円の場合 【土地あり】 840万円 ÷ 5,000万円 × 100 = 16.8 % 【土地なし】 840万円 ÷1億円 × 100 = 8.4 %



また、土地代の分を使って、ニーズに合った広めの間取りにしたり、グレードの高い設備機器にしたりすることも可能。そうなると入居者がつきやすくなりますから、安定した収入と高い利回りが期待できます。 このように土地があればたくさんのメリットがあります。


しかしこれは、あくまでも「アパート経営に適した土地」を所有している場合。 所有している土地がアパート経営に向いてない場合は、別の活用方法を考えるべきです。これについては、またのちほど詳しく説明します。



【土地あり】相続した土地でアパート経営をする4つのメリット

  【土地あり】相続した土地でアパート経営をする4つのメリット


先ほどは土地をすでに所有していて、アパート経営をはじめるメリットについて説明しました。


しかし土地を相続したら必ずアパートを建築して、賃貸経営を続けなくてはいけないわけではありません。 駐車場やコインランドリーなどの事業施設にするのもいいでしょう。計画が決まるまで、更地のまま保有もできます。


それでも、アパート経営での土地活用を1番におすすめします。これからなぜアパート経営がおすすめなのか、4つのメリットについて詳しく解説していきますね。


  1. 毎月の家賃収入
  2. 固定資産税、都市計画税が安くなる
  3. 相続税が安くなる
  4. 資産が残る



1.毎月の家賃収入

アパート経営の醍醐味は「家賃収入が毎月あること」に尽きるでしょう。もちろん家賃収入には空室・滞納リスクがあるのですが、基本的には自分の労働とは関係なく入り続ける、ありがたい収入に変わりありません。


収入の入りかたを「アパート経営」と、ほかの代表的な土地活用である「駐車場経営」「土地売却」の3つで比較します。


◾️土地活用比較一覧

比較項目
アパート経営
駐車場経営
土地売却
収益性
長期的な収入
×
ただし一回だけ
収入の安定性
×
投資資金
×
節税効果
×
管理にかかる手間
×
ランニングコスト
×
トラブル対応
転用しやすさ
×
総合評価
×


アパート経営は、なんといっても長期的な収益が魅力。売却は一挙にまとまった現金が入りますが、「一度きりの収入」です。できれば継続的な収入を得る方法を選びたいですよね。


また駐車場や更地に比べて、税金の優遇措置があるのもうれしいところ(土地の固定資産税が1/6・土地の都市計画税が1/3に軽減)。


駐車場は更地と同じ扱いなので、税金面での負担が大きいままです。 駐車場はアパートに比べて小資金でスタートできるのが最大のメリット。しかし収入面では物足りないといわざるを得ません。 生和コーポレーションの土地活用比較表例によれば、賃貸経営(この例ではマンション)と駐車場経営では、年間おおよそ1,500万円も収益に差があります。


参考:生和ジャーナル VOL22 駐車場経営vs賃貸経営、どちらが儲かる? 土地活用簡易シミュレーション


また駐車場経営は、月極駐車場など長期契約をしている場合、どうしても未納料金の催促が発生します。アパート経営でも家賃滞納がありますから、リスクとしてはどちらも変わりませんが、管理会社に委託するなど上手にサポートを受けていきましょう。




2.固定資産税、都市計画税が安くなる

アパート経営には更地に比べて大きく税制上の優遇措置があり、「固定資産税」と「都市計画税」が軽減されます。


【土地の固定資産税・都市計画税の計算式】

固定資産税 課税標準 × 税率1.4 都市計画税 =課税標準 × 税率0.3



【固定資産税・都市計画税の軽減率】

 区分
固定資産税
都市計画税
小規模住宅用地 1戸×200㎡まで
1/6
1/3
一般住宅用地 1戸×200㎡を超える土地
1/3
2/3



【更地とアパート経営の税額例】

土地面積:300㎡、課税標準額:5,000万円、10戸建アパート(2,500万円)


  • 更地

固定資産税:5,000万円 × 1.4% = 70万円

都市計画税:5,000万円 × 0.3% = 15万円      

合計:85万円


  • アパート

【土地】 固定資産税:5,000万円 × 1.4% × 1/6 = 11.6万円

都市計画税:5,000万円 × 0.3% × 1/3 = 5万円   合計:16.6万円 【建物】 固定資産税:2,500万円 × 1.4% × 1/2(準耐火構造:新築後5年間) = 17.5万円 都市計画税:2,500万円 × 0.3% = 7.5万円     

合計:25万円


上記例では、更地の固定資産税・都市計画税の合計は85万円。アパートがあると、建物の税金も合わせて41.6万円ですから、更地に比べて年間43.4万円も節税できます。(新築後5年間の1/2の軽減がなくなっても、毎年25.9万円安い)

参考:旭化成ホームズ 駐車場経営のデメリット





3.相続税が安くなる

駐車場は税評価の面からみると、基本的に更地と同じように評価されます。一方、アパートがある土地は「貸家建付地」とされ、自分で使っている土地よりも安く評価できるのです。


【アパートと駐車場の相続税の違い】


 
アパート経営
駐車場経営
相続税の節税効果
あり(貸家建付地)
あり(小規模宅地等の特例) ※ただし通常は、駐車場に使われることはあまりない
相続税計算式
貸家建付地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
(路線価方式の場合) 自用地評価額=路線価×各種補正率×土地面積
相続税額例
・路線価:40万円 ・補正率:1 ・面積:200㎡ ・借地権割合:50% ・借家権割合:30% ・賃貸割合:80%   8,000万円×(1-0.5×0.3×0.8)=7,040万円
路線価:40万円 ・補正率:1 ・面積:200㎡   40万円×1×200㎡=8,000万円
 
駐車場に比べて約1,000万円評価が下がる


参考:国税庁 No.4614 貸家建付地の評価

参考:国税庁 No.4602 土地家屋の評価


駐車場は更地と同じように自家用地として評価されるため、上記例では土地の評価額は8,000万円です。対して、 “アパートあり” では貸家があることで自由に使用できませんから、その分評価額が下がり7,040万円になりました。


約1,000万円も安く評価され、その分税金が下がるため、アパート経営は相続税の面でかなり優遇されていますね。




4.資産が残る

アパート経営は、アパートと土地という資産が手元に残ります。もし土地を売却してしまえば、それでおしまいです。


たしかに一時的には多額の現金が手元に入ってきますが、その代わりにキャッシュを生む手段はもう残っていません


例えば所有する土地が3,000万円で売れたとします。しかし3,000万円がそっくり手元に入ってくるわけではなく、そのなかから「所得税と住民税」を支払う必要があります。  


土地売却の場合を相続(取得費2,000万円)で計算すると、


3,000万円 − 取得費2,000万円 − 譲渡費用200万円 = 800万円

800万円 × 長期譲渡所得税20% = 160万円

税金と譲渡費用を差し引いて純粋に手元に残る利益額は、

3,000万円 − 160万円 − 200万円 = 2,640万円になります。


今度はアパート経営をする場合をざっくりと計算してみましょう。


1DK家賃:7万円 × 12カ月 × 10戸 = 840万円

返済比率を50%・諸経費を20%とすると、年間の収益は252万円になります。

840万円 × 50% − 諸経費168万円 = 252万円


アパート経営を続けていけば、土地売却金額は単純に計算して約10年で回収可能。ただし、10年経過した時点でアパートローンは約1,800万円残ってしまいます。(アパート借入総額6,000万円・毎年の返済420万円と仮定)


そこから年間返済額420万円と収益252万円を全額返済に回すと、ローン完済は約2.7年後。つまりアパート経営をスタートしてから、最短約13年で土地売却金額を完全に回収できることになります。


そして、回収が終われば、あとは年間672万円の純粋な収益が継続します。


実際には、修繕積立金や固定資産税などが手取りから減額されますが、いずれにせよアパートは収益を生み出す資産であることは間違いありません。



アパート自体を相続することになったかたへのオススメ記事はこちら>>アパート経営の相続放棄と税対策の手続きまで!争続を避ける4つの行動



【土地あり】相続した土地でアパート経営をするデメリット

【土地あり】相続した土地でアパート経営をするデメリット

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  • 多額の建設資金が必要

アパートを建設するために最低でも数千万〜数億円という多額の資金が必要になります。更地であればとりあえず資金は必要ありません。


  • 長期経営を強いられる

駐車場経営は途中で止めることも容易ですが、アパートはそうはいきません。解体費用だけでも300〜400万円はかかります。そもそも数千万円も投資していますから、投資回収するまで(20年〜30年)は止められないのです。


  • 転用性の低さ

更地はいうまでもなく駐車場にしても、経営を止めてほかの用途に転用することは比較的容易です。ところがアパートは建物がありますから、転用には多大なコストが発生します。


  • 多額の修繕費用・家賃下落・空室増加のリスク

アパートは経年劣化により、15〜30年周期で必ず大規模な修繕工事が発生します。修繕費用として、最低でも1,000万円程度は確保しておかなくてはなりません。 また、年月が経つほど、空室増加・家賃下落リスクも増加していきます。


このようにアパート経営にも大きなデメリットがあります。アパート経営は長期戦です。事前にリスクをきちんと想定して、しっかりと計画を立てておく必要があります。




【土地あり】アパート経営に必要な資金はどのくらい?

【土地あり】アパート経営に必要な資金はどのくらい? 



アパート建築費用

アパートの建築費用は「土地の状況」「構造の種類」「建物の大きさ」「資材や設備のグレード」など、さまざまな条件によってまったく変わってきます


ここでは国土交通省の2018年建築着工統計調査のデータをもとに、主に「構造体の違い」と「坪単価」から建築費用の概算を算出します。


  • 構造体の違いによる坪単価一覧
 
木造
鉄骨造
工事金額
2,041万円
3,900万円
1棟あたり床面積
121㎡
167㎡
1棟あたり坪数
37坪
50坪
1棟あたり坪単価
55.2万円
78万円


※1坪:3.31㎡で計算

※上記の数値はアパートだけでなく全建物の平均値

参考:総務省統計局 2018年建築着工統計調査 3用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額



  • 敷地面積による建築費例
 
土地面積60
土地面積100
土地面積100
建物面積
72坪
120坪
120坪
建ぺい率
60%
60%
60%
アパートの構造
木造2階建6戸
木造2階建10戸
鉄骨2階建10戸
建築費用
55.2万円×72坪
55.2万円×120坪
78万円×120坪
 
3,970万円
6,620万円
9,360万円

​​​​​​​


  • 建築費の地域差

上記ではあくまでも全国の平均的な数値を用いて、概算を算出しました。しかし住む地域によって建築費に違いがあるかどうかは、誰しも気になるところですよね。




【木造建築の都道府県別建築費用】

地域
建築費
北海道
60.4万円 / 坪
宮城
56.4万円 / 坪
東京
58.8万円 / 坪
愛知
58.1万円 / 坪
大阪
52.8万円 / 坪
広島
54.4万円 / 坪
香川
57.6万円 / 坪
福岡
54.0万円 / 坪

参考:総務省統計局 2018年建築着工統計調査 6-1都道府県別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額


上記のデータをみる限り、エリアによって多少の差はみられるものの、大枠ではほとんど地域差はないといってよいでしょう。


それよりは各施工会社による違いのほうが大きいと考えられ、契約前にしっかりと見積もりを比較することが重要になってきます。




そのほかの諸費用

アパートの大まかな建築費は把握できましたが、前述の建築費だけでアパートが建てられるわけではありません。


建築費以外にも、手数料や税金など、さまざまな諸費用が必要です。


【アパート建築そのほかの諸費用一覧】建築費:8戸5,000万円の場合


項目
内容
設計料
150万円。ハウスメーカーの場合、建築費の約3%が目安
印紙税
1,000万円超〜5,000万円以下:2万円
住宅ローン保証料
三井住友銀行の場合:なし
住宅ローン事務手数料
三井住友銀行の場合:108,000円
団体信用生命保険料
三井住友銀行の場合:加入可能。金利が0.3%上乗せ
火災保険・地震保険料
木造〜50万円。契約内容により金額は変動
登録免許税
建物保存登記:課税標準額(建築費の約70%と仮定)×0.4% 5,000万円×0.7×0.4%=14万円 アパートには軽減措置はなし
司法書士報酬
5〜10万円
不動産取得税
固定資産税評価額−1,200万円×3% 5,000万円×0.6 −(1,200万円×8戸)×3%=0円 ただし、1戸あたりの面積が40㎡未満の場合は、1,200万円の軽減措置は適用されない
 
諸費用合計:236.8万円(団信保険除く)

参考: 三井住友銀行 アパートローン


上記の例では諸費用は建築費の約5%ですが、一般的に諸費用は建築費の10%程度といわれています。決して少ない金額ではありませんから、最初からしっかりと計画に組み込んでおきましょう。





自己資金は何割?

アパートローンは建築する建物と土地を担保として貸し出すローンなので、担保の範囲内ならローンはほとんど承認されます。


しかし自己資金(頭金)がまったく必要ないわけではなく、一般的には必要な資金総額のおおよそ10%は、最低限準備すべきだといわれています。 前述のとおり、頭金(自己資金)が多いほど、ローンの返済負担も減り、なによりもローンの審査自体がとおりやすくなるのです。


もちろん、頭金がほとんど必要ないフルローンのように、自己資金を用意しなくても借入れできるローンもあります。 フルローンを積極的に受け入れて売り上げをあげていたスルガ銀行では、頭金10%を融資条件としていました。


ところが、2018年に同行の不正融資が発覚したのをキッカケに金融機関全体の不動産向け融資条件が極端に厳しくなっていきます。

参考:朝日新聞DIGITAL 金融庁、不動産向け融資の監視強化 スルガ銀問題を念頭 2018年9月28日


銀行によっては、自己資金30%を要求されることも珍しくなくなってきました。担保の状況や交渉次第で下げることは可能ですが、しばらくの間は、できれば自己資金20%程度を計画しておくのが間違いないところだと考えられます。



【土地あり】アパート経営に不利な土地を相続したら?

【土地あり】相続した土地でアパート経営をするデメリット


これまでみてきたように、土地の所有はアパート経営にはとても大きなアドバンテージとなります。ただ、自分で選んで土地を購入するのと違い、土地を相続する場合は注意が必要です。


なぜならば、相続した土地が、必ずしもアパート経営に向いている土地とは限らないから。 アパート経営を成功させるポイントは、なにがなくても「立地条件のよさ」しかありません。


もし立地条件があまりよくないと判断した場合は、無理せずに土地の売却も視野に入れるべきです。いったん売却した資金をもとに、新たにアパートにふさわしい土地に買い換えるのも賢い選択といえます。


どうしても土地を手放したくないのであれば、アパート経営はやめて、駐車場やコインランドリーなどの別な土地活用を選択したほうがよい結果を生むでしょう。



【土地なし】アパート経営は成功できる?〜唯一有利なのは立地を選べること

【土地なし】アパート経営は成功できる?〜唯一有利なのは立地を選べること 


ここからは土地がない場合のアパート経営について検証していきます。


アパート本体に関しては、ニーズや資金に沿って新たに設計・建設をするので、土地があってもなくても変わりはありません。


大きく違う下記の2点を中心に、【土地なし】アパート経営のメリットとデメリットを詳しく解説します。


  • 土地の立地が決まっていないこと
  • 土地の購入資金が必要なこと



【土地なし】アパート経営が有利な3つ理由

【土地あり】相続した土地でアパート経営をする4つのメリット


土地なしのアパート経営のメリットを詳しくみていきましょう。


  • 立地が選べる
  • アパート経営開始までの維持コストがかからない
  • 投資コストが安くなる



1.立地が選べる

土地なしの唯一かつ最大のメリットが「立地が選べる」こと。前述のようにアパート経営は、立地条件がすべてと言えるからです。


どんなにきれいで最新の設備を備えていても、立地が不便であれば、いずれ入居者探しに苦労するでしょう。


特に重要な立地条件は

  • 駅から徒歩10分以内(最低でも15分以内)
  • 商業施設・金融機関・医療機関・学校などが近隣にある
  • 落ち着いた住環境で騒音が少ない・治安がよい
  • 周辺に競合物件が少ない

などです。


これから土地を購入するなら、こういった立地条件にマッチした物件を自由に選べます。 また “土地あり” ならアパートを新築するしかありませんが、 “土地なし” なら条件のいい中古物件を買えます



2.アパート経営開始までの維持コストがかからない

先ほどの立地が選べるメリットに比べると小さいかもしれませんが、この「維持コストがかからない」というのも、決してバカにはできません。


土地を所有していれば固定資産税が発生します。前にも説明したとおりに、仮に

  • 土地面積:300㎡
  • 課税標準額:5,000万円

の土地を所有していた場合、年間に発生する固定資産税額は、85万円です。


更地の税額は高いですから、これが3年4年となれば、あっというまに数百万円にも跳ね上がってしまいます。 さらに更地の安全管理や夏場の雑草処理も必要です。 “土地なし” なら、そもそもこういった無駄な経費が一切かかりません。



3.投資コストが安くなる

景気が悪くなると、土地の価格が下がることが多くなります。中古アパートの価格も同様。また、アパートローンの金利も下がるし、建築資材や施工費も下がる可能性が高くなります。


要するにアパート経営をスタートするのは、不景気のときがベストなのです。 “土地あり” では維持費の関係上むずかしいですが、 “土地なし” では景気の動向を検証しながら、よいタイミングまで待てますね。


また土地に関しては、一番コストの大きい「購入」ではなく、「借地権つき土地」でアパート経営をはじめる方法もあります


借地権とは?

他人の土地を借りて、その土地に自己所有の建物を建てる権利。


建物売却の際には土地所有者との煩雑なやりとりが発生しますが、土地を購入するよりも40〜60%も安く土地を利用できるのは大きな魅力。



【土地なし】アパート経営のふたつのデメリット

【土地なし】アパート経営のふたつのデメリット


“土地なし” アパート経営にもデメリットはいくつか考えられます。



1.土地購入を含む多額の資金が必要

“土地あり”に比べて、土地購入資金が余分に必要。 アパートを建てるとき、ほとんどの人がアパートローンを利用するはず。


アパートローンでは、借主の年収や勤務条件・勤続年数・他社での借入れの有無など、個人の条件を審査されるのは一般の住宅ローンと同じです。


しかし、それ以外に下記のような点も厳しく審査されます。

  • 土地と建物の価値・担保性
  • アパートの収益見込み
  • 自己資金・所有する資産の有無

ただでさえ条件が厳しいアパートローンなのに、土地購入費用の負担分も加算されることになりますよね。有り余る自己資金がない場合は、土地がないのは大きなデメリットなのです。



2.投資利回りが低い

先ほど土地がなければその分多額の資金が必要であるという話をしました。ということは当然アパート経営の利回りにも大きく関わってくるということです。


ここでは「土地あり」と「土地なし」の場合で、どのように利回りが違ってくるかを検証していきます。


【土地あり・土地なし比較一覧】

 
土地あり
土地なし
土地代
なし
5,000万円
建築費用
4,000万円
4,000万円
諸費用(10%で計算)
400万円
900万円
物件取得費用合計
4,400万円
9,900万円
家賃収入 (1戸8万円×8戸)
768万円 / 年
768万円 / 年
諸経費(20%)
153.6万円 / 年
153.6万円 / 年
ローン返済額 (返済比率50%)
384万円 / 年
384万円 / 年
表面利回り
19.2
8.5
実質利回り
14
6.2


当然ですが、 ”土地あり” に比べて “土地なし” の利回りは、半分以下にまで落ち込んでいます。土地がないことは、資金面で大きなデメリットになるのは間違いありませんね。




【土地なし】アパート経営は資金調達が一番の課題

【土地なし】アパート経営は資金調達が一番の課題


これまで検証してきたように、 “土地なし” では、とにかく3,000〜6,000万円にもおよぶ多額の追加資金が最大のデメリットです。


土地の価格が高い都心部などでは、土地代も含めると、 “土地あり” よりも倍の購入資金が必要になることも


「自己資金は何割?」の項目ですでにお話しましたが、自己資金はやはり最低でも20%は用意しておきたいところ。土地と建物合わせて1億円の物件であれば、2,000万円もの自己資金が必要になります。


いったいどのくらいの人が、すぐに2,000万円もの資金を用意できるでしょうか。 かといって、頭金がほとんど必要ないフルローンでは、いざというときに売却しても借入れが残ってしまうリスクがあります


やはり “土地なし” では、立地を自由に選べる大きなメリットを打ち消すくらい、資金面でのデメリットが大きいことが明確になりました。  



まとめ

アパート経営における「土地あり」と「土地なし」の違いをここまで、詳しく比較してきました。 どちらにもメリット・デメリットの両面がありますが、アパート経営は「土地あり」のほうが圧倒的に有利


なんといっても、何千万円にもおよぶ土地購入費用の支払いがなくなるのは、なにごとにも変えられないメリットでしょう。


しかし、相続した土地がアパート経営に向いているとは限りませんし、そもそも相続できる土地がなければ自分で購入するしかありません。


双方のメリット・デメリットをしっかりと頭に入れて、自分の状況に合った方法を上手に取り入れてください。



不動明師
不動明師
不動産業界において10年以上の経験を持つ不動明師は、現在、複数の不動産を所有・運営する現役オーナーであり、資産運用に精通したコンサルタントです。不動産管理からリノベーション、賃貸経営まで幅広い知識を持ち、実践的なアドバイスを提供することで、多くのオーナーから信頼を得ています。不動明師の執筆する記事は、SEOにも強く、多くの不動産オーナーにとって必読の内容となっています。 <専門分野> ・賃貸管理と運営 ・不動産投資戦略 ・リノベーションと価値向上 ・不動産法務と税務対策

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