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アパート経営で2棟目を購入するタイミングは?返済比率等4つの条件を満たす

パートを経営する不動産投資家やサラリーマン大家さんが集まって意見交換する「大家の会」をご存知でしょうか? 


不動産投資をする人たちによるネット上の集まりで、全国にたくさん存在します。 大家の会でよく話題になるのが「2棟目や3棟目を購入できる条件やタイミングの考えかた」。


不動産投資で大事なのは物件の購入に “融資” がつくかどうかですが、2棟目の購入は融資しだいと言っても過言ではありません。アパート経営で2棟目や3棟目を取得した大家さんの話は、最新の融資環境が聞けるチャンス!


融資を引き出す裏ワザはありませんが、金融機関が判断する投資物件の評価ポイントはあります。 2棟目の購入を確実にするにはどうすべきか。重要なポイントを「あぱたい」が解説します。


目次[非表示]

  1. 1.2棟目を買うタイミングは1棟目のアパート経営で決まる!
  2. 2.アパート経営の2棟目に向けて!満たすべき4つの条件
    1. 2.1.【条件1】「健全」なアパート経営であること
    2. 2.2.【条件2】「資金的な余裕」があること
    3. 2.3.【条件3】「資産価値」が維持できていること
      1. 2.3.1.収益還元法でアパート経営の価値を計る!
    4. 2.4.【条件4】「返済割合」のバランスがよいこと
      1. 2.4.1.「返済比率」と「DSCR」を計算しよう!
  3. 3.「節税目的のアパート経営」は2棟目を限りなく遠ざける!
  4. 4.まとめ



2棟目を買うタイミングは1棟目のアパート経営で決まる!

2棟目を買うタイミングは1棟目のアパート経営で決まる!


ピーター・ドラッガーの有名な言葉


未来を語る前に、今の現実を知らなければならない。現実からしかスタートできないからである。



不動産投資にも通じる言葉です。アパート経営に当てはめるなら「2棟目のアパートを買う前に1棟目の経営状態を知る必要がある」と言い換えられるでしょう。 2棟目を確実に購入して事業規模の拡大を狙うなら、1棟目のアパート経営が以下3つの状態であるのが望ましいと言えます。


  1. 常に満室に近い状態である
  2. キャッシュフローに余裕がある
  3. 2棟目の購入も融資が受けられる


できればすべてクリアしていたほうがいいです。なぜなら「1.常に満室に近い状態である」「2.キャッシュフローに余裕がある」ができていなければ、「3. 2棟目の購入も融資が受けられる」にはつながらないためです。 2棟目を購入できるかどうかは、1棟目のアパート経営が順調でなければなりません。  



アパート経営の2棟目に向けて!満たすべき4つの条件

アパート経営の2棟目に向けて!満たすべき4つの条件


現金購入なら融資は関係ないのでは? と思ってはいけません。


アパート経営が

  1. 常に満室に近い状態である
  2. キャッシュフローに余裕がある
  3. 2棟目の購入も融資が受けられる


この3つの状態でなければ、ベストな状態とは言えません。融資が前提でなくても、銀行の担当者が「融資したい」と思える状態が1棟目の成功を判断する目安と言えるのです。


だからこそ「2棟目の購入も融資が受けられる」が重要。そこで銀行の担当者が「融資したい! 」と思える、1棟目のアパート経営について4つの条件を解説します。



【条件1】「健全」なアパート経営であること


アパート経営の2棟目に向けて満たすべきひとつ目の条件は「健全性」です。 1棟目のアパート経営が健全か自己分析してみると、改善すべき点や足りないポイントが見えてきます。


空室率

空室率は「(空室数×空室月数)÷(総室数×12ヶ月)」によって算出します。

例えば6戸中の2戸が2ヶ月空室になり、1戸が3ヶ月空室であったとするなら、空室率の計算方法は以下のとおりです。

(2戸 × 2ヶ月 + 1戸 × 3ヶ月) ÷ (6戸 × 12ヶ月) = 9.7% 空室率が高いか低いかの明確な判断基準はありません。


ただ「公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会」統計データによると、平成25年度の空室率は全国平均で22.7%です。 不動産投資向けの銀行融資において、空室率は審査項目の重要なポイント。 「20%以内ならよい」とか「25%超えたらだめ」という基準はありません。


ただ金融機関も各種データを参考にしますので、全国平均値を大きく割込む空室率なら厳しい評価をされます。 今は問題なくても、年間をとおして空室率がどうだったか確認してみましょう。



経費率

経費率は「必要経費 ÷ 家賃収入」で計算。必要経費は税法上の経費ではなく収支計算上の実質的な費用で計算しますので、アパートローン返済や減価償却費を除いて計算するのが普通。 経費には以下の費用が含まれます。

  • 管理委託費
  • 仲介手数料
  • 修繕費
  • 共用部水道光熱費
  • 火災保険料経費率はおおむね15~30%が適正な目安です。ご自身のアパート経営が高い経費率になっていないか確認してみましょう。


空室対策

満室経営に欠かせない空室対策。インターネットで「空室対策」と検索すると、興味深いアイデアが多くみつかります。空室対策として最低限はやっておきたいのは以下の施策。

  • 管理会社や仲介会社に入居促進を働き掛ける
  • 仲介会社や情報媒体を追加する
  • 住戸の内装や設備などの改善をおこなう
  • 共用部分の清掃などを充実させる
特に最近は「無料Wi-Fi」のついた賃貸住宅が人気です。 既存のアパートでも40万円ほどで導入できるので、入居率アップに期待できます。無料Wi-Fiは必須と考えつつ、ほかに “入居者目線” で空室率を下げる工夫ができないかチェックしてみましょう。


こちらの記事でくわしく解説しています。ぜひご覧ください。>>アパート経営に無料Wi-Fiインターネット【大家の感想付】宅建士が5つのポイントを解説 



【条件2】「資金的な余裕」があること


アパート経営や不動産投資には「自由に使えるお金」といった意味を持つ “フリーキャッシュフロー” という言葉があります。


フリーキャッシュフロー = 営業キャッシュフロー - 投資キャッシュフロー “営業キャッシュフロー” とは、毎月の家賃収入から経費やローンを払った残りの額。 そして以下のような貯蓄や積み立てるお金を “投資キャッシュフロー“ と言います。


  • 大規模修繕工事の為の資金
  • 2棟目以降を購入する自己資金分


つまり営業キャッシュフローから必要な貯金を引いて残った額が、フリーキャッシュフロー


最低でも1棟目のアパートでは、大規模修繕に向けた計画的な積み立てが必要です。そのうえでプラスになる賃貸事業ができていなければ、2棟目の融資はむずかしいです。



【条件3】「資産価値」が維持できていること


2棟目の購入にあたっては「1棟目の資産価値が維持できているか」が非常に重要。 なぜなら金融機関が1棟目の資産価値をみて、担保に値するかどうかをみるためです。


ほかの物件と比較して1棟目の評価が低いなら、担保に値しないと判断されて2棟目の融資はむずかしくなるでしょう。


だからこそ、1棟目の資産価値が維持できているかどうかは大変重要です。ただ2棟目の評価が1棟目より高ければ、総体的に融資が可能と判断されるケースもあります。1棟目の評価が低いからといって、必ずしも諦める必要はありません。



収益還元法でアパート経営の価値を計る!


収益還元法は収益性から逆算した資産の評価額で、金融機関が必ず使用する方法です。 これまで金融機関の審査では物件価格などをもとに資産評価するのが一般的でしたが、最近は収益性も重視するようになりました。


そこで役立つのが「収益還元法」。


正確には「直接還元法」と「DCF法」の2種類にわかれますが、比較的計算が簡単な直接還元法で解説します。

※DCF法は非常に複雑なため割愛。


税引前利益 ÷ 還元利回り = 評価額


年間の利益を還元利回りで割ると評価額を算出できます。


 還元利回りとは

「その不動産から得られると思われる利益」で、いったんここではよく耳にする “利回り” をイメージしていただければ差し支えありません。


なお築年数10年前後くらいのアパートなら、還元利回りの目安は3%~5%程度。ではモデルケースの物件をもとに、直接還元法で評価額を試算してみましょう。 


【モデルケース】

  • 物件価格:6000万円
  • 満室時の家賃収入(年間):624万円(家賃6万5000円 、8戸と想定)
  • ローン返済額:約298万円(借入額4000万円・金利1.5%・借入期間15年と想定)
  • ランニングコスト:約94万円(経費率15%と想定)
  • 差し引き収入(税引き前):232万円‬


還元利回り3%
試算式
232万円 ÷ 3%
評価額
約7733万円
還元利回り5%
試算式
232万円 ÷ 5%
評価額
4640万円‬


収益還元法で計算した物件価格は「4640~7733万円」です。つまりモデルケースの物件価格6000万円は、妥当な範囲と判断できます。 1棟目のアパートも2棟目に購入するアパートも、収益還元法をつかって資産価値を常に意識するようにしましょう。  



【条件4】「返済割合」のバランスがよいこと


アパートの収益に対するローンの返済割合を見る指標として「返済比率」と「DSCR」があります。どちらも金融機関が融資を決めるかどうかの判断基準です。


返済比率
定義
満室収入に対するアパートローンの返済割合
計算方法
(返済額 ÷ 満室時収入) × 100 = 返済比率(%)
補足
50%以下が望ましい
DSCR
定義
総営業収益がアパートローン返済額の何倍かをあらわす
計算方法
総営業収益 ÷ 返済額 = DSCR(倍)
補足
1.2~1.5倍の範囲が望ましい


返済比率は空室で家賃収入が減ったとき、返済できなくなる可能性をあらわす指標とも言えます。 つまり借入金の返済原資である家賃収入に対し、返済の負担がどの程度か把握するために必要なのが返済比率なのです。


またDSCRは、倍率が高いほど返済が楽だと言えます。逆にあまりに高い倍率だと、レバレッジが効いていない非効率な投資であるとも判断できます。


注意すべきがDSCRの「総営業収益」。 別名で「NOI」とも呼ばれ、ローン返済額や減価償却を含めるかどうかという定義が人それぞれです。


ただ、ここでは解説をわかりやすくするために、前述のモデルケース「差し引き収入232万円‬」をもとに解説させていただきます。


「返済比率」と「DSCR」を計算しよう!

ではモデルケースをもとに、返済比率とDSCRを計算してみましょう。


【モデルケース】

  • 物件価格:6000万円
  • 満室時の家賃収入(年間):624万円(家賃6万5000円 、8戸と想定)
  • ローン返済額:約298万円(借入額4000万円・金利1.5%・借入期間15年と想定)
  • ランニングコスト:約94万円(経費率15%と想定)
  • 差し引き収入(税引き前):232万円‬


返済比率の計算

232万円 ÷ 624万円 = 37.2%

50%を切っているので安全な返済比率です。

DSCRの計算
362万円÷232万円=約1.56倍

返済金額に対して1.56倍の利益があり、返済にはかなり余裕があります。

ただ、少しレバレッジが利いていない非効率な不動産投資だとみることもできます。


モデルケースの物件なら返済比率は50%を切りますし、DSCRも1.56倍とかなりの余裕があります。このような物件なら金融機関の担当者も融資をしやすいです。


関連記事 アパート経営ローン(融資)で差が出る活用法5つ!返済できない等を避ける3つの注意点 



「節税目的のアパート経営」は2棟目を限りなく遠ざける!

「節税目的のアパート経営」は2棟目を限りなく遠ざける!


老後のための資産形成や相続税対策などについて話題になることが多くなりました。そのなかで “節税目的の不動産投資“ を勧める意見を聞くことがあります。


節税目的の不動産投資とは、わざとアパート経営を赤字にして所得税を安くする方法です。


例えばローン金利や減価償却、そのほかの費用をすべて経費計上すると帳簿上で赤字が発生するケースがあります。サラリーマン大家さんのアパート経営が赤字なら、本業の収入からマイナスを引けるため納める所得税が安くなるのです。


1棟だけ所有して節税するなら、節税目的の不動産投資もまだ許容範囲です。ただ2棟3棟と投資物件を増やしていく計画なら、まったく逆の効果になります。


なぜなら経費計上で節税するということはキャッシュフローが少ないという構図になるためです。もっとわかりやすく言うなら、わざと赤字にしているのですからそれだけ支出が多いということ。


節税効果を求めるよりも、無料Wi-Fiを導入したりリフォームを検討したりといった空室対策が先です。満室につながる投資を積極的におこない、収益性を高めることが2棟目を取得するための近道です。



まとめ


アパート経営や不動産投資を真剣に考える人は意外に多いもの。 私もこれまでご縁のあった大家のなかには、一部上場企業のサラリーマンもいました。2棟目を取得できたオーナーと、できなかったオーナーの違いは1棟目のキャッシュフローでした。


「大家さんになってみたい」という気持ちはよくわかりますし、応援したい気持ちでいっぱいです。 ただ2棟目を視野にスタートするかしないかで、結果は大きく変わります。本文で述べた「4つの条件」はアパート経営という事業を拡大するためにとても大切なことです。


ぜひ参考になさってください。 アパート経営のノウハウは基礎からしっかり学びたいものです。


こちらの記事では現役宅建士がアパート経営のノウハウを紹介しています>>アパート経営ノウハウ【宅建士が暴露】資金計画から5段階で基礎から具体的方法まで



不動明師
不動明師
賃貸管理&売買仲介経験20年。アパート新築、購入、仲介、リノベーション、大規模リフォームに携わり、自身でも2棟のアパートを所有する不動産オーナー。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格を有し、不動産経営者に対して役立つノウハウを共有している。

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