アパート経営の災害リスク(地震・火事)に対処する特約6選と土地調査で使える無料ツール紹介
アパートを所有しているオーナーならば災害へのリスク回避のために火災保険に加入していますよね。ではあなたが加入している火災保険は、どんなときにつかうものなのか正確に理解していますか?
自然災害や人的災害がおこることでアパート経営が停止してしまうと、オーナーには大打撃。また災害時には入居者に損害賠償をするような局面も想定されます。そういったリスクに対応するために、火災保険選びはなによりも重要。
今回は、アパートオーナーが知っていて絶対損はない火災保険の選びかたや、アパートオーナーにオススメしたい保険の特約について詳しく解説。さらに土地を調査するときに役立つ無料の調査ツールについてもご紹介します。
火災保険の機能をしっかりと押さえ、災害リスクに強いアパート経営を目指しましょう!
関連記事 アパート経営で加入したい保険6選!知らないと損する補償内容や保険料を解説
目次[非表示]
- 1.アパート経営の天敵! 5つの災害リスク
- 1.1.1.火災、落雷、破裂・爆発
- 1.2.2.地震
- 1.3.3.風災、雹(ひょう)災、雪災
- 1.4. 4.水災
- 1.5.5.人的災害
- 2.災害リスクからアパートを守る火災保険選び3つのポイント
- 2.1.1.どの災害リスクに補償をつけるか?
- 2.2.2.火災保険金額の設定のポイント
- 2.3.3.地震保険
- 3.アパート経営者なら知っておくべき特約6選
- 3.1.1.家賃収入(補償)特約
- 3.2.2.地震火災特約(地震火災30プラン・地震火災50プラン)
- 3.3.3.IoT住宅専用「売電収入・サイバーリスク」特約
- 3.4.4.事故対応等家主費用特約
- 3.5.5.事故再発防止等費用特約
- 3.6.6.施設賠償責任特約
- 4.ハザードマップなど災害リスクを調べる無料ツール3つ
- 4.1.1.ハザードマップ
- 4.2.ハザードマップとは?
- 4.3.2.揺れやすい地盤
- 4.4.3.地盤サポートマップ
- 5.まとめ
アパート経営の天敵! 5つの災害リスク
火災保険上で区分けされている災害というのは、次の5つです。
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 地震
- 風災、雹(ひょう)災、雪災
- 水災
- 人的災害
1.火災、落雷、破裂・爆発
おこる原因と生じる損害 |
|
火災 |
|
落雷 |
|
破裂・爆発 |
|
火災の1番の原因といわれているのは放火です。
総務省の発表した2017年の火災の状況によると、「放火」および「放火の疑い」を原因とした火災は14.8%ともっとも多くなっています。どんなにオーナーが火災に気をつけていても、放火を防ぐことは容易ではありません。
また、近年はゲリラ豪雨が多くそのたびに雷が多発します。雷によって屋根が破損してしまうと、雨漏りという2次被害を引き起こすのです。
2.地震
起こる原因と生じる損害 |
|
地震 |
|
いつくるかわからない大地震。最悪の場合、建物が全壊してしまうというリスクもあります。そうなれば未返済のローンだけが残るという大赤字になる可能性も。
政府の中央防災会議でまとめた南海トラフ巨大地震の被害想定は、太平洋沿岸に広い範囲で震度6の強い揺れ、そして広範囲の津波となっています。
3.風災、雹(ひょう)災、雪災
起こる原因と生じる損害 |
|
風災 |
|
雹(ひょう)災 |
|
雪災 |
|
季節ごとに起こる可能性のある災害。建物そのものがなくなってしまうほどの甚大な被害はおこりにくいですが、屋根や窓、外壁といった建物本体の損傷があると修繕にかかる時間も費用もばかになりません。
夏から秋にかけては台風による風災、冬には大雪による雪災、春と秋には雹(ひょう)による雹(ひょう)災が起きます。
4.水災
起こる原因と生じる損害 |
|
水災 |
|
水災は立地によって被害の大小がわかれる災害です。
谷と呼ばれるような低い土地や、すぐ近くに川があるような土地に建つアパートは、水災にあう可能性が高いでしょう。
都市部では、水の流れる場所がなくあふれ出てしまう「都市型洪水」がおこることもあります。
5.人的災害
起こる原因と生じる損害 |
|
人的災害 |
|
交通量の多い立地にアパートがある場合は、交通事故による被害も少なくありません。
災害リスクからアパートを守る火災保険選び3つのポイント
加入する火災保険を選ぶときに重要なのは、
- どの災害リスクに補償をつけるか?
- 火災保険金額の設定のポイント
- 地震保険
この3つです。
1.どの災害リスクに補償をつけるか?
アパートにかける火災保険では、「必ず補償される災害」と「補償をつけるかどうか選べる災害」とにわかれています。
〈必ず補償される災害〉
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災、雹(ひょう)災、雪災
〈補償をつけるかどうか選べる災害〉
- 水災
- 人的災害
2.火災保険金額の設定のポイント
火災保険の金額は建物の評価額にあわせます。建物の評価額には「時価」と「再調達価額」の2種類あります。
- 時価:建物の経年による減価償却を考慮した金額
- 再調達価額:同じ建物を再度新築するのにかかる金額
こちらの記事では火災保険についてモデルケースでシミュレーションして解説しています。
>>アパート経営の火災保険料相場を新築3000万でシミュレート!保険料を安くする5つのポイント
3.地震保険
損害の程度 |
お支払いする保険金(建物・家財) |
全損 |
地震保険金額の全額(ただし時価が限度) |
大半損 |
地震保険金額の60%(ただし時価が限度) |
小半損 |
地震保険金額の30%(ただし時価が限度) |
一部損 |
地震保険金額の5%(ただし時価が限度) |
地震保険はそれだけを単独でつけられず、火災保険とセットにしてつける保険。
地震がおきてアパートが壊れたとき、「全壊」「大半損」「小半損」「一部損」の4つの分類によって補償額が算定されます。地震保険の保険金額は火災保険の最大50%であることはよく知られています。
しかし、損保ジャパン日本興亜には、それ以上に補償を充実させる「地震火災特約」というものがあるのです。
地震が多い地域のオーナーは、ぜひチェックしてみてください。
アパート経営者なら知っておくべき特約6選
アパート火災保険には災害による建物の損害を補償するだけでなく、2次的損害を補償する特約があります。
こういった特約を付加することによって、オーナーは金銭的不安や心理的不安を解消できるでしょう。
1.家賃収入(補償)特約
家賃収入(補償)特約
| |
補償内容 |
賃貸しているアパートが火災などにより損害を受けた場合の家賃収入の損失を補填。 |
事例 |
アパートの室内が火災により使用できなくなり家賃収入が半年間停止してしまった場合、家賃の損失分を受け取ることができます。 |
参考:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」、三井住友海上「GK すまいの保険」、東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」
2.地震火災特約(地震火災30プラン・地震火災50プラン)
地震火災特約(地震火災30プラン・地震火災50プラン) | |
補償内容 |
火災保険だけでは補償されない地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災の損害について補償。地震火災30プランは火災保険金額の80%、地震火災50プランでは火災保険金額の100%までが補償される。 |
事例 |
地震火災30プランを付加しており地震を原因とする火災で家財が全焼した場合、最大で火災保険金額の80%まで受け取ることができます。 |
参考:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」
3.IoT住宅専用「売電収入・サイバーリスク」特約
売電収入補償 | |
補償内容 |
太陽光発電システムが火災などで損害を受けた場合の売電収入の損失を補償。 |
事例 |
屋根に設置したソーラーパネルが台風で破損し売電収入が減った場合、売電収入の損失分を受け取ることができます。 |
サイバーリスク費用補償 | |
補償内容 |
IoT住宅のパソコンや家電製品がサイバー攻撃を受けて事故が発生した場合のかかった費用を補償。 |
事例 |
IoT住宅のネットワーク機器やパソコンがサイバー攻撃を受けて故障した場合、修理にかかった費用を受け取ることができます。 |
参考:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」
4.事故対応等家主費用特約
家賃収入補償 | |
補償内容 |
死亡事故発見日から90日以内に当該室の賃貸借契約が終了した場合、アパート内での死亡事故に伴う家賃の損失を補償。 |
事例 |
アパートで死亡事故が発見され、家賃収入が半年間停止してしまった場合、家賃収入の損失分を受け取ることができます。 |
死亡事故対応費用補償 | |
補償内容 |
アパートで死亡事故が起こった場合、死亡事故発見日から180日以内に当該室を賃貸可能な状態にするための費用や火葬、遺品整理にかかる費用を補償。 |
事例 |
アパートで死亡事故が起こり、その部屋を賃貸可能にするための清掃や消毒にかかった費用を受け取ることができます。 |
参考:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」、三井住友海上「GK すまいの保険」、東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」
5.事故再発防止等費用特約
事故再発防止等費用特約
| |
補償内容 |
火災、落雷、破裂・爆発の事故と盗難の事故により損害保険金を受け取った場合、その事故の再発防止のためにかかった費用を補償。 |
事例 |
盗難の事故により損害保険金を受け取った場合、再発防止のためにホームセキュリティーサービスを利用する費用を受け取ることができます。 |
参考:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」、三井住友海上「GK すまいの保険」、東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」
6.施設賠償責任特約
施設賠償責任特約
| |
補償内容 |
アパートの欠陥やアパートにおける偶然の事故で他人にケガを負わせたり他人のものを壊したりした場合、損害賠償責任によって相手に支払う費用を補償。 |
事例 |
アパートの庇が落下して下に駐車してあった車を傷つけてしまい、車の所有者に損害賠償を請求された場合、損害賠償によって相手に支払う費用を受け取ることができます。 |
参考:損保ジャパン日本興亜「THE すまいの保険」、三井住友海上「GK すまいの保険」、東京海上日動「トータルアシスト住まいの保険」
ハザードマップなど災害リスクを調べる無料ツール3つ
1.ハザードマップ
画像引用:国土交通省ハザードマップポータルサイト
ハザードマップは国土交通省が作成した「ハザードマップポータルサイト」からみられるほか、ほとんどの場合自治体のホームページで閲覧することができます。
ハザードマップとは?
ハザードマップとは主に自治体が作成している過去の災害が起こった際の被害範囲を地図に記したものです。例えば台風によって浸水した場合、浸水の深さを地図に色わけしてあらわされています。
2.揺れやすい地盤
画像引用:揺れやすい地盤
防災科学技術研究所が作成している「地震ハザードステーション」をもとに作成されたサイト。「揺れやすい地盤」では、地盤の揺れやすさを調査することが可能。
住所入力欄に住所を入れるとそれをもとに検索された住所名が表示されます。そして、1番検索地に近いものを選ぶと、その地域の揺れやすさの目安が表示されて便利です。
揺れやすさの目安は0.5から3.0の数値で表示され、数値が大きければ大きいほど地盤がやわらかくゆれやすいということ。
またそのエリアの地盤の種類が表示され、どんな特徴を持つ地盤なのかを調べることができます。
3.地盤サポートマップ
画像引用:地盤サポートマップ
ジャパンホームシールド株式会社が提供している「地盤サポートマップ」は、地震・液状化・浸水など地盤のリスクをすぐ調査できるマップサービスです。
住所を入力するとその地域の地図が表示されます。調査できる項目は下記のとおり。
- 地耐力
- 地震時の揺れやすさ
- 液状化の可能性
- 活断層図
- その他活断層帯
- 浸水想定区域
- 土砂災害危険個所
- 地震の発生確率(震度5弱以上)
- 地震の発生確率(震度6弱以上)
そのほかにも、生活情報として駅の乗降客数や小学校、中学校の区域、用途地域。地盤情報として地質図や土地条件図。避難所情報など土地を調べるのに役に立つ情報が一度に確認できる高機能なツールです。
まとめ
アパート経営においては自然災害や人的災害はとても怖いものです。災害の内容によっては修理するのに莫大な費用がかかったり、経営がストップしてしまい収入が途絶えてしまったりすると、最悪の場合破綻してしまうことも。
火災保険はアパート経営において、いざというときに役立つ強力なパートナーです。しっかりと内容を確認してあなたのアパートにあった火災保険を選ぶことは、不安のないアパート経営を約束してくれるでしょう。