アパート経営の悲惨な現実【儲からない4つの実態】データで紐解く大損しない金言
せっかくアパート経営をはじめるなら儲けたいのは誰でも同じ。「でもどうしたらうまくいくんだろう……」そう思いながら、悲惨な末路をたどる大家も多いです。 あなたには、そんな悲惨なアパート経営をおこなってほしくありません。
今回は、4つの悲惨な儲からない物件パターンを紹介! そして、悲惨な失敗から学び、リスクを回避するためのノウハウをお伝えします。
パターンさえ知れば失敗する確率もきわめて低くなります。ぜひご参考になさってください。
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【パターン1】「立地」が悲惨で誰も借りない物件!
【これ以上は譲れない「最寄り駅からの距離(徒歩分数)」】
画像引用:at home ニュースリリース 2012 お部屋を探す際の“あきらめ”度合い調査
最初に不動産情報の総合サイト「アットホーム」が2012年に発表した、アンケート結果。
このグラフによると、最寄り駅から15分以内じゃないと住みたくないと答えた人が約77%も占めています。つまり徒歩15分以上離れると借りたい人が激減するということです。
もともと土地を持っている地主が営業マンに乗せられてアパート経営をはじめたところで、誰も借りようとしない悲惨な物件になる可能性があるのです。 同じことはこれからアパート経営をはじめる人にも言えます。立地の良し悪しをロクに考えず、利回りの高さや物件価格の安さに目がくらんでアパート経営をはじめても儲かりません。
儲からないだけならまだしも、毎年払う税金やアパートローンを利用しているなら返済もあります。
立地の悪い悲惨な物件を買うことは空室増加や収益減少、迫られる債務という二重苦三重苦に苦しむことになるのです。
アパート経営は立地が命と心得よう!
【重要視される主な立地条件】
- 最寄り駅・バス停から近い
- 会社や学校が近い
- スーパー・病院・コンビニが近い
- 治安がいい
- 公園や景観のよさ・静かさ
- 駐車場の確保
賃貸物件を探す人は、なにも交通の利便性だけで選ぶわけではありません。単身世帯かファミリー世帯かによって立地条件は違いますし、年齢や性別などでも重要視するポイントは違ってくるものです。
大事なのは“入居者層のニーズとのマッチング” 。
所有する土地でアパート経営をはじめようと思っても、交通や周辺環境などは自分ではコントロールできません。
しかしこれから新たにアパート経営をスタートするのであれば、自分で立地条件を選ぶことができます。
ですから“自分がもしこれから住むとしたら、こういう物件に住みたいと思う立地を選ぶ” のが、うまくいくコツです。
アパート経営において立地条件は最重要。前述のように賃貸ユーザーは駅から徒歩15分以内の物件を探すため、駅近物件が手に入るに越したことはありません。
ただスーパーや病院など周辺環境が大事だという人もいます。気にする立地条件は人それぞれ違うのも事実です。
関連記事
アパート経営の立地選びに必要な8項目【立地が悪いのに満室になる土地の共通点】
【パターン2】「売るに売れない」悲惨な物件は詰む!
立地の良し悪しは積算価格にも影響します。
積算価格とは?
積算価格とは「土地」と「建物」の原価と考えるとよいでしょう。積算価格の概念は少し複雑で説明が長くなるため省略しますが、簡単にいうと以下のように計算して求められます。
土地面積 × 路線価 = 土地の原価
再調達原価 × 建物面積 × (残りの耐用年数 ÷ 本来の耐用年数) = 建物の原価
土地の原価 + 建物の原価 = 積算価格
再調達原価とは?
その建物を評価する日において再建築するとかかる建物の原価
土地は築年数という概念がありませんから、価値がゼロになることはありません。それに対し建物は劣化するため、耐用年数まで加味した原価を計算すると価値はいずれゼロになります。
つまり自分が「まだまだこのアパートは使えるし土地建物で2000万円くらい」と思っていても、積算価格では「建物0円、土地1000万円」ということもあり得るのです。
なぜ積算価格の説明をしたかというと、前章の立地を考えるうえで積算価格が深く関係するため。
積算価格は資産価値の見極めとして銀行も使用します。「アパートは使えるし土地建物で2000万円くらい」と思っていても、積算価格では「建物0円、土地1000万円」だと、銀行は積算価格の1000万円までしか融資しません。よって仮に物件を気に入った購入者があらわれても、1000万円までしか融資が受けられないので買いづらくなるのです。
では上記の説明を前提に、アパート経営の出口戦略を考えてみましょう。
アパート経営の出口戦略の考えかた
そもそもアパート経営は儲ける目的ではじめるものですが、「出口戦略」を考えなければいけません。
- 長期保有して長く収益を得る
- ある程度の収入を得たら売却する
では上記の出口戦略を前提にした場合、以下どちらの物件を買うべきでしょうか。
- A物件:駅徒歩5分、土地面積30坪(旗ざお地)、建物なし
- B物件:駅徒歩30分、土地面積100坪(成形地)、建物の築年数40年
結果、出口戦略の点で考えると以下のように言えるでしょう。
- A物件:土地に価値があるため積算価格は高くなるが、収益性が悪く、売却価格も安くなる
- B物件:土地が広いため積算価格はそれなりだが、立地の悪さから収益性が悪く、売却価格
どちらの物件も収益性が悪いため長期保有しても投資額を回収するまでに時間がかかりますし、それが原因で売却すると損失が出ます。
つまりどちらも買うべき物件ではなく、買ったが最後「売るに売れない」悲惨な物件になり得るのです。
前章で立地が大事だとお伝えしました。積算価格という視点から考えるとさらにその重要性がおわかりいただけると思います。
売るに売れない悲惨な物件になるのを防ぐためには、以下ふたつを意識しましょう。
1.長期的に収益を得る目的なら、立地を十分に考慮する
2.いずれ売却するなら積算価格と市場価格が乖離していない物件を買う
最終的に「売却」「長期継続」どちらの出口戦略を選ぶかは、その人の状況によります。
いずれにしても上記ふたつの方法どちらでも選択できるように、立地には特に細心の注意を払って物件を選びましょう。
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【パターン3】「新築物件」に待ち受ける悲惨な末路!
新築物件と中古物件のどちらにもメリットとデメリットがあります。どちらかと言えば、新築物件を選択してたいへんな状況におちいっている大家さんが多い傾向にあります。
新築物件に待ち受ける悲惨な末路は、往々にして以下が主な原因です。
- 新築プレミアム家賃が下落し、経営を圧迫する
- ローン残債が多く、短期間での売却が困難
1.新築プレミアム家賃が下落し、経営を圧迫する
せっかく新築を建てても入居者の居住期間が短ければ十分な恩恵が受けられず、収益の計画が大幅に狂うリスクをはらむのが新築物件なのです。
新築物件の家賃は相場の10〜20%ほど高く設定しても入居者が見込めます。これがいわゆる「新築プレミアム家賃」で新築だけのスペシャルプライスです。
全員が長期間住み続けてくれれば御の字ですが、高い家賃を払い続ける人は少なく1〜2年で退去する人も少なくないでしょう。一度退去されればプレミアムの恩恵は終了。入居者を確保するために次からは相場の家賃まで下げなくてはなりません。
2.ローン残債が多く、短期間での売却が困難
新築物件の悲惨さは「売れない」という点にもあります。
理由はふたつ、
- 新築アパートには建築業者の利益がたっぷり乗っている
- アパートローンの残債があるため売っても借金が残る
新築物件の建築費は業者の利益分が乗るため高額になりがち。したがって基本的にアパートローンを利用します。逆に言えばアパートを購入した瞬間に業者の利益分だけ資産価値が落ちるため、ローンの残債と売却価格のあいだに大きな差が生まれます。
もっとわかりやすく言うと、前述のように新築プレミアム終了による収益の悪化という理由で売却しても、アパートローンの残債のほうが多いため借金が残るのです。
選択肢は「そのまま苦しい経営を続ける」か「借金が残ってもアパートを売却するか」。
さらに新築物件の悲惨さはローンの話だけにとどまりません。
- 駅から遠い、近所にお店がなく空室率も高い
- 築年数の経過により積算価格が低い
新築は急激な家賃の下落リスクはあるものの、建物が新しいためしばらくは安定収入が期待できます。しかし、新築物件に「立地が悪い+積算価格が低い」という条件が加わると、さらに悲惨です。
もはや目も当てられない状況になりそうなのがご想像いただけると思います。
「悲惨」が重なりがちな新築アパート
- 新築物件は家賃の下落率が高い
- 立地が悪いと収益性が低くなる
- 築年数の経過により積算価格が落ちる
上記のような条件がそろった物件は誰も買いませんし、むしろ自分が所有するにしてもリスクが大きすぎます。大した収入が得られず、売ったところで借金が残るまさに悲惨な状況になりがちなのが新築物件なのです。
仮に立地がよかったとしても土地値が高くて買えるかどうかでしょう。さらに家賃の下落はまぬがれないうえに、購入直後に大きく下がる積算価格。
くれぐれも「新築物件・立地が悪い・積算価格が低い」という条件が重ならないように、気をつけてください。
【パターン4】「地域に依存した物件」が悲惨なことに!
「新築物件・立地が悪い・積算価格が低い」以外にも、地域依存には注意しましょう。
地域依存の代表例が大学周辺に乱立する賃貸物件です。
たとえ供給過多でも一定の賃貸需要が見込めます。立地としてはかなり美味しい部類といえるでしょう。ところが、大学が移転してしまったら状況は一変します。
近年では「都心回帰」と呼ばれる大学の移転が活発です。もともと大学という施設に依存した郊外の物件であれば、大学が移転することでアパート経営はあっという間に経営破綻。
地域に依存したばかりに、アパート経営が悲惨な目にあうこともあるのです。
地域の特需に頼らないアパート経営を!
地域依存の対象は大学だけではありません。
大手企業の工場なども典型的な地域依存対象です。 大企業や工場が誘致されれば多くの従業員が周辺に住みますから、賃貸住宅の需要が高くなります。
ところが近年では「合理化に伴う他地域への移転」「業績不振による閉鎖」などが、相ついでおこなわれるようになりました。
「シャープ亀山工場の大規模縮小」と「ホンダ狭山工場の完全閉鎖」の報道は、地域依存による賃貸物件の危うさをあらわすにはよい例でしょう。
三重県亀山市にあるシャープの工場では、iPhone関連生産が中国工場へ移転したことにより約2900人もの外国人労働者が退職しました。
また大手自動車メーカー「ホンダ」は、生産体制の見直しとして埼玉県にある狭山工場を2023年度までに完全閉鎖することを発表。狭山工場で働く約4600人もの従業員は別の地域での再雇用が予定されていますが、これにより一気に狭山市から大量の人が流出することになります。
今現在、企業よりも移転に拍車がかかっているのが大学です。中央大学・東京理科大学など、都心部への移転を決定する大学があとを絶ちません。
以下にご紹介する記事では、青山学院大学が移転したことで家賃相場が半値まで落ち込んでしまった相模原の例を報じています。特定の大学や企業に依存したアパート経営の怖さをつくづくと思い知らされます。
出典:日本経済新聞電子版 【家賃2万円台、首都圏マンション激戦地を歩く】
地域の特需に寄り掛からない、安定したアパート経営をめざしていきましょう。
まとめ
アパート経営の最大の目的は“利益を出し続けること” です。
下記の4つの儲からないパターンさえ回避できれば、大きな失敗はまず起こりません。
- 立地が悪いために借り手がつかない
- 積算価格と乖離しすぎて売却できない
- 新築・悪立地・低積算価格という条件がそろっている
- 特定の大学・企業に依存した物件
これらはすべて、物件購入前にわかることばかりです。
取り返しのつかない事態におちいるのを防ぐために、アパート経営をスタートする前にしっかりと検討しましょう。
利益を出し続けるために空室対策をしっかりおこないましょう。
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