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アパート経営の今後は?【調査】国交省の情報を宅建士が6つの懸念点から解説

「人口減少や少子高齢化で、将来アパートが余るって聞いたんだけど……」 「オリンピックが終わったら、不動産の価格が下がるって雑誌に書いてあった……」 どうも世のなかには、アパート経営に対するネガティヴな情報が蔓延しているようですね。


でもこういったマスメディアの情報は、本当に正しいのでしょうか。もしかしたらまた違った結論が隠されているかもしれません。


今回はアパート経営の今後についてよく耳にする6つの懸念材料についてだよ。「あぱたい」がその真偽と対応策を詳しく検証していきます。



目次[非表示]

  1. 1.【懸念1】アパート経営で今後も懸念される供給過剰と空き家の増加
    1. 1.1.アパートの数は今後減るかもしれない4つの理由
      1. 1.1.1.【1】空き家にはアパート以外の住戸も含まれる
      2. 1.1.2.【2】貸家が異常に増えたという事実はない
      3. 1.1.3.【3】持ち家より賃貸を選ぶ人が増えている
      4. 1.1.4.【4】アパートローンの貸し出し額減少
    2. 1.2. アパート経営は需要と供給を見極めよう!
  2. 2.【懸念2】生産緑地の開放でアパート経営が窮地に立たされる!?
    1. 2.1.今後の生産緑地問題は杞憂に終わる可能性も…
    2. 2.2.今後も地主はアパート経営より節税を選ぶ可能性
  3. 3.【懸念3】アパート経営に大ダメージ!今後の人口減少と少子高齢化
    1. 3.1.日本の人口は減っても世帯数は減らない
    2. 3.2.「負動産」にしないためのアパート経営をしよう!
  4. 4.【懸念4】オリンピックと海外投資家によるアパート経営への影響
    1. 4.1.今後のアパート経営に影響する根拠はない
    2. 4.2.アパート経営はインカムゲインを大事にしよう!
  5. 5.【懸念5】人手不足が原因で今後の修繕費が上がる!?
  6. 6.【懸念6】アパート経営の家賃が下がり続ける!?
  7. 7.6つの懸念から見えてくるアパート経営の今後
  8. 8.まとめ



【懸念1】アパート経営で今後も懸念される供給過剰と空き家の増加

【懸念1】アパート経営で今後も懸念される供給過剰と空き家の増加


賃貸物件を所有する大家であれば、空き家の増加問題がテレビや雑誌に取り上げられるたびにドキッとしていることでしょう。今や空き家の問題からは目を背けることができない、そんな厳しい状況になってきました。


アパート経営の将来的な方向性をどうすべきか考える前に、まずはきちんと空き家の実態を検証しておかなくてはなりません。


実は、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」をもとに野村総合研究所が作成した「住宅数、空き家数及び空き家率の予測」というグラフがあります。


「住宅数、空き家数及び空き家率の予測」というグラフ  

画像引用:野村総研 第236回メディアフォーラム 2030年の住宅市場 空き家数の予測(2016年度版)


上図は一戸建てや長屋住宅も含めた空き家の総数です。 世帯数の減少と総住宅数の増加に伴って、2033年(令和15年)の空き家数は約2167万戸、空き家率30.4%となる見通し。


予測値とはいえ、かなりインパクトのある結果ですよね。


また総務省統計局が発表した直近のデータ「平成30年住宅・土地統計調査」では、2018年(平成30年)単年の空き家総数は846万戸(前回調査より26万戸増加)で、13.6%という過去最高の空き家率を記録しました。


それに対し賃貸物件の空き家総数は431万戸(前回調査より2万戸増加)です。グラフでご紹介した見通しほど空き家数は増加しませんでした。いずれにせよ空き家数が増えている事実に変わりありません。


このままのペースで住宅供給がおこなわれれば、ますます空き家は増加していくでしょう。ただし、上記までの調査データがアパートの空室を増やす要因とは言い切れません。 実は空き家は増えつつもアパートの供給数は鈍化する可能性を示すデータもあるのです。だからといって、アパートの空室が増えるとは限りません。



アパートの数は今後減るかもしれない4つの理由

アパート 供給過剰 解体


空き家数増加の実情をみて不安に思うアパートオーナーもいらっしゃるかもしれませんが、空き家数の増加は必ずしもアパートの空室増加を裏づけるものにはなりません。 なぜなら以下の理由があるためです。


  1. 空き家数にはアパート以外の住戸も含まれる
  2. 貸家が異常に増えたという事実はない
  3. 持ち家より賃貸を選ぶ人が増えている
  4. アパートローン貸し出し額の減少


上記について「本当に? 」と思われるかたもいらっしゃるかと思いますので、実際のところをデータも交えてみてみましょう。



【1】空き家にはアパート以外の住戸も含まれる


前述までにご紹介した「空き家数846万戸」や「賃貸の空き家数431万戸」には「別荘」「売却中の住宅」「一戸建て」「長屋」などが含まれます。 そこでアパートの空き家数を知るためにアパート以外の住戸を除外すると、2018年のアパートの空き家数は375万5000戸が実際の数字なのです。


参考:平成30年住宅・土地統計調査「住宅数概数集計」より確認


前述の総空き家数846万戸に対して日本の総住宅数2642万戸として計算すると、「3戸に1戸が空き家」という計算になります。


ただアパートの空き家数の約375万戸で計算するなら「7戸に1戸が空き家」です。7戸のアパートで1戸くらい空き家になっても不思議なことではありませんから、空き家数が増加するからといって過剰に反応する必要はないでしょう。  



【2】貸家が異常に増えたという事実はない


「でも、相続税対策でアパートは増え続けてるんでしょ? 」


そんな風に思われるかたは多いことでしょう。 たしかに相続税対策やオリンピック特需などさまざまな要因が重なって、アパート経営をはじめる人は増えたと言われています。


画像引用:総合政策局建設経済統計調査室 平成31年1月の住宅着工の動向について


メディアが騒いでいるのは、建築すべきではない賃貸需要の低い土地にアパートを建てるケースが多発したためです。貸家数が増えたことで空室が増加するという話は、上記のグラフからして早計であると言えます。


注目すべきは、リーマンショックが起きた平成19年以降の貸家着工数の落ち込みと、安倍政権が発足した平成24年ごろからの貸家数の推移です。安倍権発足や平成25年の東京オリンピック決定前後、平成27年の相続税法改正以降の貸家着工数は増加しています。



【3】持ち家より賃貸を選ぶ人が増えている


「持ち家と賃貸のどちらが得か論」は昔から議論されてきました。結局のところどちらにもメリットとデメリットがありますから正解はありません。 ただ実は、持ち家より賃貸のほうがよいという人は増加傾向にあります。


下図は国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査」における、「住宅の所有に関する意識」の調査結果です。


「土地問題に関する国民の意識調査」における、「住宅の所有に関する意識」の調査結果  参考:国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」より独自作成


賃貸住宅でよいとする人が激増したわけではありませんが、少なくとも増加傾向にあることがよくわかります。 昨今は車を買う若年層が減ったという話は有名です。


そして、上図のとおり時代の変化とともに持ち家志向から賃貸志向が増えてきている住宅事情の様子が伺えます。 「モノは持たず、必要なときだけシェアする」という今どきの考えかたが表れた結果と言えるでしょう。  



【4】アパートローンの貸し出し額減少


スルガ銀行の事件をきっかけにアパートローンに金融庁も目を光らせており、ローンの貸出は減少傾向にあると言われています。


シェアハウス投資への融資資料の改ざんなどで1兆円以上の不正融資をおこなったことが発覚し、金融庁は新規の投資用不動産融資の停止処分をおこないました。これを発端に金融庁は、特に地方銀行に対する融資実態の調査にも乗り出しています。


参考:全国賃貸住宅新聞「金融庁の立入検査で揺れる地銀」

参考:金融庁 変革期における金融サービスの向上にむけて (平成 30 事務年度) ③ 投資用不動産向け融資


多くのメディアが地方銀行に対する金融庁の厳しい目について触れており、市場関係者の大半が「今後はアパートローンの貸し出しが厳しくなる」との向きです。 報道の過熱により空き家と空室の増加の流れは止められないように感じます。


ただ金融機関によるアパートローンの貸し出しが減少しているなら、今後アパートの数が減っていく可能性も否めません。 したがって、空き家の増加やアパートの増加という話に過剰に心配することはないというのがいったんの結論です。



 アパート経営は需要と供給を見極めよう!


空き家・空室に関して過剰に心配をする必要はないと解説しました。どちらにせよ貸家が増え続ければいずれ供給過剰になります。貸家の供給数の変化を把握しておくことはアパート経営に必要不可欠。


前述までのとおり、基本的に住宅総数や貸家の数は増加傾向です。 これは2012年(平成24年)からスタートした安倍内閣が掲げる「アベノミクス」による影響や東京オリンピックの特需、そして2015年の相続税法改正などが大きく影響しています。


ただバブル期1987年(昭和62年)と2018年(平成30年)を比べると、貸家新設住宅着工戸数は以下のようになっています。


【貸家新設住宅着工戸数】

1987年 (昭和62年)
約89万戸
2018年 (平成30年)
約40万戸

情報元:e-Stat 建築着工統計調査


しかも直近の2019年(平成31年)は「34.3万戸」とさらに減少していることは前述のとおりであり、新設住宅着工戸数はバブル時の1/2ほどの件数しかありません。


以上の流れをみる限り、貸家の極端な供給過剰は今のところ考えにくい状況といえそうだね。[/surfing_voice] とはいえ空き家増加や供給過剰による空室リスクは軽視できません。積極的にほかの物件との差別化が必要になります。


それさえできれば、常に入居希望者を抱える人気アパートの大家になることも夢ではありません。



【懸念2】生産緑地の開放でアパート経営が窮地に立たされる!?

【懸念2】生産緑地の開放でアパート経営が窮地に立たされる!?


先ほどの空き家・空室問題のほかにも、これからのアパート経営において懸念されていることがあります。 それが「生産緑地における2022年問題」。


生産緑地とは?

生産緑地とは農地として維持することを前提にした、一定の条件を満たした市街化区域にある農地のことです。


生産緑地は、固定資産税や相続税の大幅な軽減措置が受けられるのが大きなメリット。 ただ生産緑地に認定されると「30年間は農地以外の用途に変更できない」というルールがあります。逆にいえば、30年経過後は農地として維持する義務はなくなるということです。


高齢で農地を維持できないなど適切な理由があれば、市区町村に土地の買取りを要求できます。 ただ現在、215都市で約14,000haもの生産緑地があります。それをすべて買い取ってもらえるとはとても考えられません。 2022年(令和4年)には、14,000haの約80%が30年の期限を迎えます。


参考:国土交通省 都市計画 (20)緑化地域

参考:国土交通省 都市緑地法等の一部を改正する法律(都市農地関係部分) 生産緑地の買取り申出


生産緑地が解除されれば一気に税金が跳ね上がります。そうなると、土地を売る地主が増え、土地価格が暴落する危険性が懸念されています。 これがいわゆる「生産緑地における2022年問題」です。



今後の生産緑地問題は杞憂に終わる可能性も…


農地に関する話なので大多数の人の耳にはあまり届いていないかもしれません。しかし、国も生産緑地に対してはさまざまなアクションを起こしています。


まず都市部での農地の必要性が上がってきたことや人口減により宅地の必要性が低下したことがあり、2015年に都市農業振興基本法が制定されました。 これにより市街化区域の農地のポジションが、「宅地化」から「農地として存続させる土地」へと大きく変換されたのです。


そして平成29年には、生産緑地法や都市計画法などが改正されました。


生産緑地の要件
改正前
500㎡以上
改正後
300㎡以上(条例により制定可能)
生産緑地内の行為
改正前
生産に必要な施設のみ設置できる
改正後
農産物加工所・直売所・農家レストランの設置が可能
農地維持期限
改正前
30年経過後、市区町村に買取りを申し出できる
改正後
買取り申出可能時期を10年延長できる特定生産緑地制度ができた

出典:国土交通省 生産緑地制度の概要


正直なところ、現時点でこれらの政策が本当に効果をもたらすかどうかは未知数です。ただ何もせず2022年を迎えるよりも、地主の逃げ道が用意されたということはある程度の効果に期待してもよいと思います。



今後も地主はアパート経営より節税を選ぶ可能性


生産緑地の開放は、本当に市場に大きく影響が出るほど賃貸物件の増加につながるのでしょうか? これはある意味正解ですが、同時に不正解ともいえます。 アパート経営に参入する人がたくさんいても、すべての人が土地活用に積極的だとは限りません。


理由は以下のように「土地活用には手間がかかる」ためです。


  • アパートを新しく建築するには、多額の資金が必要
  • アパートローン・金利などファイナンス知識が必要
  • 建物の維持や管理など建築知識が必要
  • 入居者確保のためのマーケティング知識が必要
  • 相続やトラブル対応のために法律知識が必要


生産緑地の売却は30年が経過している人が対象ですから、主な地主は高齢者です。 これから勉強をしたり不動産投資のリスクを負ったりすることに積極的な人が、はたしてどれくらいいるのでしょうか? 


しかも国が、農地(緑地)を残していく方向に方針を転換したわけです。 巷でいわれるほどアパート経営に転身する人は多くなさそうという考えも頭に入れて、冷静に判断していくべきです。


関連記事 農家のアパート経営はリスクだらけ?大家になって収入ゼロにならない4つのポイント



【懸念3】アパート経営に大ダメージ!今後の人口減少と少子高齢化

【懸念3】アパート経営に大ダメージ!今後の人口減少と少子高齢化


不動産投資に限らずこれからの日本での生活を考えるうえで、避けては通れないのが「人口減少」と「少子高齢化」です。


【我が国の人口および人口構成の推移】

人口のグラフの写真です。

画像引用:総務省 平成30年版 情報通信白書 人口減少の現状 図表0-1-1-1 


人口総数の減少と同じペースで生産年齢人口(15~64歳)が減るのに対し、65歳以上人口は上昇しています。とりわけ65歳以上の高齢化は深刻で、2065年には「国民の約2.6人にひとりが65歳以上の高齢者」です。


これから「人口減少」と「少子高齢化」は、アパート経営にいったいどんな影響をもたらすのでしょうか。



日本の人口は減っても世帯数は減らない


賃貸物件の空室問題を語るうえで、「人口減少」「少子高齢化」ばかりがクローズアップされる傾向にあります。


しかし、実はもうひとつ注目しなければいけない数字があります。 それが「世帯数」です。 人口が減っても世帯数が減らなければ、それは大家族の代わりに核家族や単身者が増えただけであり、必ずしもアパートを借りる人が減るということには直結しません


では実際のところ、これから世帯数はどうなっていくのでしょうか。 これは、国立社会保障・人口問題研究所の『日本の世帯数の将来推計(全国推計)』を調べることですぐにわかります。


【世帯数の将来推計】


単身世帯数
核家族世帯数
2019年 (平成31年)
1918万2000
3024万
2025年 (令和7年)
1996万
3003万4000
2040年 (令和22年)
1994万4000
2746万3000

出典:国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(全国推計)』(2018(平成30)年推計) より抜粋


核家族世帯は2040年になるとさすがに大きな減少が見受けられますが、単身世帯は逆に増加しています。 つまり人口減少により空室が増加するというより、ターゲットが変わって賃貸住宅の需要が変化するととらえることもできるのです。


つまりこれからは、ワンルーム・1DK・1LDKなどのコンパクトな間取りが中心。 広くても2DK・2LDKまでの20~60㎡程度の物件を中心に不動産投資をすべきという、ひとつの方向性が見えてきます。



「負動産」にしないためのアパート経営をしよう!

「負動産」にしないためのアパート経営をしよう!


「人口減少」「少子高齢化」が不動産投資に与える影響について検証してきました。 これから長期的にアパート経営を続けていき、アパートの相続も考慮しているのであれば「所有者不明土地」についても頭に入れておくべきです。


所有者不明土地とは?

所有者不明土地とは、登記簿などの公簿情報を参照しても所有者が直ちに判明しない、または判明しても所有者に連絡がつかない土地のこと。


所有者不明土地は全国的に広がっており、2016年時点で登記簿上から所有者が判明できない土地は約20%、面積は優に約410万haにものぼります。410万haとは、九州全体の土地面積よりもはるかに多い面積ですから驚きです。


所有者不明土地のグラフの写真です。

画像引用:所有者不明土地問題研究会 <将来推計:所有者不明土地面積の増加>


2040年には新規に約310万ha増えて、合計で約720万haになる見込みです。(北海道とほぼ同じ面積) 実は土地・建物の登記は義務ではありませんし、罰則規定もありません。


土地を所有する課税対象者は使いもしない土地・建物に税金を払いたくありません。だから自分の所有物であると証明する登記をおこなわず放置するようになります。


これが所有者不明土地の増加原因です。 国や地方自治体も所有者不明土地を公園や公共施設に利用できるように法整備をしたり、登記の義務化を進めたりするなどさまざまな対応を進めています。


しかし残念ながら、これからも所有者不明土地は増え続けると予測されています。


所有者不明土地問題は、今すぐに賃貸物件の大家を直撃するものではないかもしれません。

しかし建物の経年劣化が進んで代替わりが必要になった際に、後継者に価値のない不動産の処理問題を押しつける形にならないよう注意が必要です。

「早めの売却」も視野に入れるなど、いわゆる「負動産」を家族に残さないように老後の賃貸物件に対するリスク対策を忘れてはいけません。



【懸念4】オリンピックと海外投資家によるアパート経営への影響

東京オリンピック村の写真です。


今現在の不動産価格は上昇傾向にあり、特に首都圏はその傾向が顕著にあらわれています。 不動産価格の写真です。

画像引用:東京都財務局 平均価格推移(指数)(用途別・地区別)


23区外の上昇はゆるやかですが、23区内では商業・住宅エリアともに急激に上昇しています。 2020年(令和2年)におこなわれる東京オリンピックに向けた、海外投資家による大規模な不動産購入が不動産価格の上昇要因であるというのが一般的な認識です。


上のグラフも東京オリンピック誘致が決定した2013年(平成25年)を境に急上昇していることから、土地価格の高騰とオリンピックの因果関係は間違いないといっていいでしょう。


ただ「オリンピック特需を見込んで大量に購入された不動産は、長期譲渡所得税率の適用が始まれば一斉に売却される」といわれており、大きな不安材料になっています。

なぜなら不動産を取得してから5年を超えて売却すると、譲渡所得による所得税が安くなるためです。 短期譲渡所得(5年以内)の半分になるとイメージしていただくとよいでしょう。


こうした税の仕組みを知ると、オリピック開催の前後で不動産の大量売却がおこなわれ不動産相場が下落するというシナリオは、確実に起こるように思えてきます。



今後のアパート経営に影響する根拠はない


海外投資家が大量に不動産を購入していると言いましたが、価格上昇を示した先ほどのグラフでは、あの上昇が海外投資家による影響ということまでは読み取れません。 実は海外投資家による不動産取引額の公式なデータは非常に少なく検証がむずかしいのです。


2017年度のみずほ信託銀行のレポートなどをみる限り、海外投資家による不動産投資はたしかに激増しています。価格上昇と関係あるのは間違いないでしょう。


みずほ信託銀行 不動産トピックス 2018.6月 みずほ信託銀行 不動産トピックス 2018.6月

  画像引用:みずほ信託銀行 不動産トピックス 2018.6月


しかし[図表1-10]をみると、すでに購入額以上の売却がおこなわれています。その結果アパート経営に大きな影響が出ている様子は見受けられません。今後のアパート経営へ悪影響が出るかどうかは、まだはっきりしないのが現状です。  



アパート経営はインカムゲインを大事にしよう!


これからのアパート経営で狙うべきは、売却差益を狙うキャピタルゲインではなく、安定したインカムゲイン(家賃収入)です。 マクロな不動産相場を気にするよりも、いかに空室を出さずに家賃を満額で手に入れ続けるかを考えたほうが、よほど建設的なのではないでしょうか。


長期譲渡所得税率の適用後すぐに一斉に売却がはじまれば、不動産相場の大幅下落はたしかにあり得る話です。 しかし一方で、インバウンド政策や継続する低金利などの理由から、不動産価格の大暴落はないという意見も少なからずあります。


将来の予測は非常にむずかしいです。仮に不動産相場が大幅に下落して半分になったとしても、賃貸物件の家賃まで半額になることはないですよね。



【懸念5】人手不足が原因で今後の修繕費が上がる!?

現場員の写真です。


オリンピックが開催される2020年には、さらに状況は厳しくなっていくはずです。したがって、修繕工事をオリンピックのあとに計画しているのであれば、前倒しておこなうことをおすすめします


アパートをはじめとする賃貸物件は、10〜15年周期で大規模な修繕工事をおこなう必要があります。オリンピックが終われば、建設需要が減って修繕費用が下がるので、それからゆっくりと物件の修繕をすればいいと考える人もいるでしょう。


しかし下記の数字をみれば、慢性的な建設業の人手不足により、賃貸物件の修繕費が高騰する可能性のほうが高いともいえます。


  • 2018年「人手不足」関連倒産:387件(前年から0%増)
  • 2018年の産業別倒産件数:建設業71件(2番目に高い数字)
  • 建設業就労者数:1997年685万人から2016年492万人へ激減


情報元:東京商工リサーチ  



【懸念6】アパート経営の家賃が下がり続ける!?

アパート家賃広告の写真です。


アパート経営は家賃のなかから利益を捻出し、アパートローンの返済や修繕費など、すべての支払いをします。まさに家賃は、アパート経営の生命線なわけです。 ところがそれまで上昇傾向にあった民営賃貸物件の家賃水準が、2000年以降に減少傾向に変わり、今現在もその傾向は続いています


民営賃貸物件の家賃水準のグラフの写真です。

画像引用:野村総合研究所 日本の不動産投資市場 2018 全国及び東京23区における民営家賃(年平均)の推移


本来なら家賃減少の原因を見つけて、家賃が適正な価格に戻るように手を打たなくてはなりません。しかし「人口減少」「少子高齢化」「オリンピック特需の終焉」「建設・修繕費の高騰」などが、直接どのように家賃減少に関係しているかは誰にもわかりません。


原因を究明するより、具体的な対策と素早い実行力は常に念頭におくべきでしょう。


【家賃の下落を防ぐ対策案】


  1. 周辺地域の賃貸ニーズを的確に把握する
  2. 長期目線での計画的なアパート経営
  3. 退去予防に事前の対策を練る
  4. 小まめなメンテナンスや修繕で資産価値を維持する
  5. ユーザーが求める設備を設置する


上記のような対策は家賃下落の阻止だけが目的ではなく、空室対策や資産価値の維持にもつながります。 不動産関連のメディアでは、空室対策や家賃の下落防止としてさまざまなアイディア・情報が飛び交っています。


それよりもまず、大家として基本的な義務を果たすことが最終的な利益の確保につながると考えましょう。  



6つの懸念から見えてくるアパート経営の今後

バランスをとっている写真です。


ここでアパート経営にまつわる6つの問題点をおさらいしましょう。


  1. 供給過剰と空き家の増加
  2. 生産緑地の2022年問題
  3. 人口減少と少子高齢化
  4. オリンピック特需の終焉
  5. 人手不足による修繕費の高騰
  6. 家賃の下落


たしかにどれも重要な要素であることは間違いないのですが、こういったネガティヴな情報を鵜呑みにしすぎるのはどうでしょうか。


一般的にテレビや雑誌などのマスメディアの情報は、センセーショナルなタイトルや論調が多い傾向にあります。そうしないと話題に上がらず、多くの人に見てもらえないからです。


もちろん上記の報道や記事には、裏づけとなるなんらかの根拠はあるでしょう。 その反面、ネガティヴな事実をあっさりと否定するデータや調査結果があることは、今回ご紹介させていただいたデータなどからおわかりいただけると思います。


根拠となるデータも前提条件や立場を変えてみれば、また違った結果が導き出せることも多いものです。ネガティヴ情報に対していたずらに不安に思う必要はまったくありません。 マクロとミクロの両方の視点を持ち、しっかりと正しい情報を選択していきましょう。


マイナスな情報に踊らされないで、しっかりと自分で調べましょう!



まとめ


今回検証した6つの不安材料が、アパート経営に悪影響をもたらす危険性は大いにあります。しかし、未来は誰にも予測できません。 マスメディアの情報を鵜呑みにせず、きちんと情報の真偽を確かめて自分なりの対策をみつけましょう。


そのうえで具体的な対策をきちんとおこなうことが、きっとアパート経営を成功に導きます。 いつの時代も「成功と失敗」をわけるのは、自分自身なのです。 アパート経営の懸念点は多かったですが、人気の設備などを導入して成功している大家もいます。


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