アパート経営で遠隔地物件は投資であり?過疎地域でも入居率92%達成!購入時の注意点とは
アパート経営は自身の居住地をエリアとしておこなうべきだ、と主張する大家がいます。一方、遠隔地の競争が少ないエリアでは、高い収益性の不動産を確保できると主張する大家もいます。 どちらも経験豊富な大家で、これまでの実績と投資家としての考えかたから生まれる主張でしょう。
だけど遠隔地でのアパート経営を経験していない大家は、漠然とした不安を感じるよね
遠隔地での賃貸アパート経営に重要なのは管理会社の役割です。大家が抱く不安を解消し期待どおりの収益姓を確保できるのは、管理会社の選びかた次第といっても過言ではありません。
また、遠隔地の賃貸物件を所有するならサブリースやサ高住もおすすめ。 管理会社を選ぶポイントと遠隔地ならではのメリット・デメリットなど、遠隔地アパート経営の注意点を「あぱたい」がお伝えします。
目次[非表示]
- 1.遠隔地でアパート経営をおこなうメリットは?
- 1.1.購入物件の選択肢が増える
- 1.1.1.地方物件のメリット
- 1.1.2.大都市圏物件のメリット
- 1.2.物件を分散することで災害時のリスク対策になる
- 2.遠隔地でアパート経営をおこなうデメリットは?
- 2.1.自主管理がしづらい
- 2.2.土地勘がない
- 2.2.1.物件の情報を得にくい
- 2.2.2.時間やお金がかかる
- 3.遠隔地物件には信頼できる管理会社選びが重要!
- 3.1.集客力や管理体制の確認
- 3.2.管理費用は妥当か
- 3.3.管理会社は地元密着型?それとも大手?
- 3.3.1.大手管理会社のメリットとデメリット
- 3.3.2.地元密着型管理会社のメリットとデメリット
- 4.遠隔地でアパート経営を成功させるヒント
- 4.1.管理会社と信頼関係を築く
- 4.1.1.放置しない
- 4.1.2.ある程度の裁量を認めておく
- 4.2.サブリースやサ高住も視野に
- 4.2.1.サブリースのメリットとデメリット
- 4.2.2.サ高住のメリットとデメリット
- 5.まとめ
- 5.0.1.この記事を読んだ方に人気の記事
遠隔地でアパート経営をおこなうメリットは?
遠隔地のアパートをあえて経営するメリットはなにか? と問われるとズバリ次の2点です。
- 購入物件の選択肢が増える
- 物件の所在地が分散され災害によるリスク対策を図れる
物件を探すエリアを自身が住む地域から日本全国へと拡大してみると、着目ポイントが変化し視野が広がることを実感できます。
- 特殊な物件は競合が少ない
- 過疎化が進んでいると思われる地域に空室率が極端に少ない地方都市がある
など新しい発見をすることになるでしょう。
有利な条件でアパート経営をできる可能性があります。
購入物件の選択肢が増える
複数のアパートを所有し経営するオーナーには、自身の居住地を中心にしたエリアに限定するケースと、条件のよい物件であればエリアはあまり意識しないというかたがいらっしゃいます。
ここでは遠隔地の物件も投資対象にすると “選択肢が増える” というメリットに着目して、大都市部の大家にとって地方物件のメリット、逆に地方の投資家にとって大都市圏にある物件のメリットを検証してみましょう。
地方物件のメリット
- 投資資金が同じなら地方の物件は規模が大きく、立地条件のよい物件を取得できる
- 同じ規模の物件であれば、地方のほうが安く買える
- 広範囲に探すと高利回りの物件をみつけることができる
- 大都市圏と比べて競合が少なく安定した経営をおこなえる
居住地を中心にした賃貸事業をおこなっていると、なかなか実感できないことかもしれませんが、空室率の低い地方都市には “高い入居率と利回り” を実現できるチャンスがあるのです。
総務省統計局の住宅・土地統計調査の「全国市区町村の住宅戸数と空家戸数」を参考に空室率を算出して、ターゲットに適した地域を見出すのも方法のひとつ。
人口減少の激しい北海道で25棟300戸の物件を、入居率92%利回り16%で経営をつづけている実例があります。地方の物件に活路を見出した好例でしょう。
地方の格安物件を探し出し、それを高利回り物件に再生させる──。広之内さんは徹底した独自の投資スタイルで、どん底から見事に復活。死を決意してから7年後、投資総額は10億800万円、保有不動産は26棟306戸を数える(2017年9月現在)までになった。 中略 「株やFXは知識や経験、投資センスなどで大きく結果が左右されます。不動産投資の場合、特別な才能はなくとも、立地、物件の内容がよければ比較的堅実に収益を上げることができる」(広之内さん) 実際に広之内さん自身、かつては30戸中26戸空室だとか、20戸中19戸空室といった、絶望的な物件を次々に再生している。
引用:『楽待不動産投資新聞』人口減少地域で入居率92%・利回り16%の秘密
大都市圏物件のメリット
地方のかたは逆に大都市圏の不動産に投資するメリットがあります。アパートのような賃貸用物件の敷地は「貸付事業用宅地等」に該当し路線価が50%減額されるのです。
仮に相続税の基礎控除を超える預金が5千万円ある場合、相続税は800万円になるよ[/surfing_voice] 5千万円をアパート用敷地購入費に充て節税しようとしても、土地面積に制限があるため200㎡までであり、地方都市の土地では1千万円~2千万円しかこの制度をつかえません。
[大都市であれば200㎡の土地購入に5千万円かかるケースはたくさんです。このように、あまり苦労することなく節税することが可能です。
物件を分散することで災害時のリスク対策になる
遠隔地の物件を複数所有するメリットとして、災害による被害や経営状況の悪化を防ぐ効果があります。日本は災害の多い国、アパート経営においても甚大な被害を受けた場合の収入減は深刻なものがあるでしょう。
同一地域に複数のアパートがある場合、同様の被害を受ける可能性は否定できません。一級河川の氾濫は広大な面積におよび、2棟3棟と所有するアパートが同時に浸水する状況は、想像したくないですがあり得ることです。
仲良くさせてもらっている埼玉県在住の大家は、埼玉に3棟、北海道に2棟、仙台に2棟と地域を分散して所有するよう最初から戦略としておこなっていました。
同一道県内の物件でも数十キロ離れた地域にあり、それぞれ街の産業構造や人口動態も異なる地方都市の物件です。 年に2度ほど遠く北海道の物件を点検がてら、旅にでることが楽しみとおっしゃっていました。
物件の分散はリスク対策になり、心のリフレッシュにもなる絶好のチャンスをくれるようです。
遠隔地物件を戦略的にとらえる視点が重要です。
災害リスクは保険も大事!>>アパート経営の災害リスク(地震・火事)に対処する特約6選と土地調査で使える無料ツール紹介
遠隔地でアパート経営をおこなうデメリットは?
遠隔地のアパート経営はメリットもあればデメリットもあります。
- 自主管理がしづらい
- 土地勘がない
ひとつは「自主管理がしづらい」ことです。そしてもっとも不安に感じるのが「土地勘がない」ことでしょう。
自主管理がしづらい
アパートの管理業務には賃貸契約の締結や入退去確認、そのほかどうしても現地を確認しなければできないことがあり、遠隔地の場合は管理会社に委託せざるを得ません。 管理委託業務費用は家賃の5%が相場といわれます。
管理会社には空室分の費用も請求するケースがあり、大家にとって負担であることは否めません。 しかし自主管理をしようとしても遠隔地の管理は、意欲や心意気だけでできるものではありません。緊急事態の対応などを考えると管理会社に委託するのが最善です。
最近は高齢者のひとり住まいも増えています。
以前の話ですが、脳梗塞で倒れた入居者の救急搬送をおこなうにあたり、消防救急隊からの要請で開錠立会したことがありました。このときなど遠隔地の大家であれば対応できなかったと思われます。
管理委託と経費増は止むを得ないです。
土地勘がない
遠隔地のデメリットは「土地勘がない」ことが最大です。 生まれ故郷だとか小さいころに数年過ごしたことがあるなどの土地であっても、時間が経ってしまうとはじめての土地とあまり変わりません。
物件の情報を得にくい
インターネットで多くの情報を収集できる時代。しかし投資物件はネット情報だけでは判断できません。やはり現地におもむき不動産会社から得られる情報は貴重です。
- 家賃相場
- 入居率
- 客層
- 競合状況
実際に現地にいき物件を点検し、周辺の利便施設の状況により見込まれる需要を、投資家の目で確かめる必要があります。
時間やお金がかかる
物件の所在地によっては管理や情報収集のため、旅客機による往復が必要な場合もあります。車で移動できる場合でも片道3時間を超えるようだと、たいへんな労力です。
物件次第では購入を見送ることもあります。費用と時間を無駄にしてまで遠隔地の物件を求める必要があるのだろうかと、自問自答するようなことがあるかも知れません。 しかしこのような苦労をしてはじめて、利回りがよく入居率の高い物件を取得できるともいえるのです。
遠隔地物件には信頼できる管理会社選びが重要!
前述した「遠隔地のデメリット」を解消するには、信頼できる管理会社をみつけること以外ありません。 すでに管理会社に委託する方法でおこなっている大家であっても、遠隔地の管理を委託する場合には、これまで以上に管理会社選択は慎重にしたいもの。
自主管理でやられている大家にとっては、はじめての外部委託になります。
信頼できる管理会社の選びかたを解説します。
集客力や管理体制の確認
不動産管理会社の多くは自社HPなどで「管理戸数」を公開しています。
丁寧な会社は「入居率や空室率」まで記載することもあり、これらの情報から「集客力」をある程度推測することができます。集客力の高い管理会社は自社の集客メディア以外にも、エリア内の仲介会社とは太いパイプがあり、情報交換やスタッフ同士のコミュニケーションも活発です。
逆に集客力の劣る管理会社は管理戸数を公にすることもありません。仲介会社を通じて契約する件数が少ないと業者間ネットワークは縮小し、ますます集客力が低下していきます。
管理戸数が少ない管理会社は業務効率が悪く、清掃作業や退去後の修繕工事を外注している場合は発注コストが下がらない傾向も。また外注先の作業品質にも影響を与え、管理状態が悪化する原因になることもあります。
管理業務の規模と仕事の質を見きわめて管理会社を選ぶことが大切ですよ!
管理費用は妥当か
管理会社に委託する管理料は5%が相場。管理費用と管理業務の範囲を確認することが大切。管理を委託する具体的な業務は次のようなものです。
- 入居管理 入居審査、重要事項説明、賃貸借契約締結など入居に関わる手続きと契約業務
- 退去管理 退去通知受理、退去立会、退去時精算など退去に関わる手続きと確認業務
- 家賃管理 家賃集金代行、延滞対応など家賃集金に関わる業務
- 空室対策 入居希望者の募集、家賃設定、内装設備の提案など、集客力を高める企画の立案業務
- クレーム対応 入居者同士のトラブルや第三者によるトラブルなど、苦情や相談に関する業務
- 建物管理 退去後の清掃、リフォーム工事、大規模修繕計画、共用部や建物周囲の清掃など建物全般の管理業務
遠隔地の物件管理はすべての業務を委託することが望ましく、管理業務の範囲を具体的に確認するようにしましょう。
関連記事 アパート経営の管理会社選び【費用や手数料、変更方法】大家目線で探す6つのポイント
管理会社は地元密着型?それとも大手?
管理会社は全国に約3万社ほどの業者が存在するといわれています。
大手管理会社と圧倒的な数の小規模な管理会社が混在する業界ですが、それぞれに特徴があります。
大手管理会社のメリットとデメリット
大手管理会社は知名度のある大手ハウスメーカー系列や、テレビCMでおなじみの会社が多く、入居者への安心感が魅力です。
また、空室対策やトラブル対応のノウハウも多く頼りがいがあります。ただ、業務がルーティン化されていたり、マニュアルから外れるケースには対応できないなどのデメリットもあります。
また大手管理会社のなかにはフランチャイズで全国展開する企業もあり、地元の不動産会社が加盟している場合は、次項の「地元密着型管理会社」のメリットと大手のメリット両方を受けることもできるでしょう。
地元密着型管理会社のメリットとデメリット
賃貸管理会社のほとんどは地元密着型の不動産会社です。賃貸物件の仲介をしながら地元の大家の物件も管理する……そのような業態で事業をおこなっています。
前述した大手管理会社のなかには、入居者募集業務を地元不動産会社に依頼しているケースもあり、 “客付け” の面では頼りになる存在です。
地元情報に精通しており、新規物件の検討に際しては的確なアドバイスをもらえます。
デメリットとしては事業規模が小さい会社の場合、人手不足などにより管理業務がこなしきれないとか、緊急時の対応が遅くなる可能性もあるので注意したい面があります。
遠隔地でアパート経営を成功させるヒント
遠隔地でのアパート経営は管理会社の選択が重要であることを説明しましたが、ではすべて管理会社に任せたままで安心かというと、そんなことはありません。
委託した管理会社とは “一蓮托生” ともいえる関係。大家が管理会社を信頼すると同時に、管理会社も大家を信頼できる関係の構築が必要です。 遠隔地の賃貸事業に有効なしくみが実はあるのですが、ご存知でしょうか?
「サブリース」と「サ高住」です。
管理会社と信頼関係を築く
遠隔地であることが、コミュニケーション不足の原因になることは避けなければなりません。遠隔地であっても意思疎通を図り 、“win-win” の関係を構築するポイントをふたつ紹介します。
なんと「放置しない」ことと「裁量権」がキーワードです!
放置しない
遠隔地の場合だけではありませんが、管理会社に任せきりにし、家賃の入金状況や送金案内を毎月受け取るだけという大家がいます。遠隔地であればこそ実践したいのが “積極的なコミュニケーション” です。
毎月の報告書が届いたら、担当者あてにメールや電話でお礼と着信の連絡をするだけでも、担当者は「そつがない大家」と感じるよ。なにかトラブルがあれば、担当者からすぐに連絡を寄こすようになり、「報連相(ほうれんそう)」が密になる効果もあります。
放置してしまいほとんど連絡のない大家は、担当者にとっても存在感が薄れ対応優先度が低下し、空室対策などおろそかになる可能性が高いものです。
年に1回か2回は手土産持参で直接会社を訪問し、小さな規模の会社であれば担当者を含め全社員とも顔見知りになっておくことが大切。すると月1回の電話でも親近感が増していき、良好な関係をつくることができます。
ある程度の裁量を認めておく
管理業務のなかには緊急で判断しなければならないことが多いもの
- 設備機器の故障
- 雨漏り
- 火災や事故
- 救急搬送対応
入居者の集客活動においても、わずかな金額の賃下げ要求に対し大家の判断が必要な場合、連絡が取れずに機会を逃してしまうこともあります。このようなことを防ぐため管理会社に「裁量権を与える」のも方法です。
- 事後報告でよい修繕工事金額の上限を決める
- 入居者の人命に関わる場合の判断は管理会社に一任する
- 入居条件変更の範囲
これらについて管理委託契約などに記載し、ルールを明確にしておく方法が望ましいでしょう。
裁量権を与えるのは管理会社の業務効率向上にも役立ちます。
サブリースやサ高住も視野に
デメリットも多いといわれる「サブリース」は視点を変えると、大家の負担を大幅に低下できる方法です。メリットとデメリットを正しく理解すると活用方法がみえてきます。
一方、賃貸事業分野に生まれた「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が、制度スタート8年を経過し、認知度が向上し社会インフラとして位置づけられるようになりました。 介護業者との提携により運営する方法もあり、遠隔地の物件を活用する方法として有効でしょう。
サブリースのメリットとデメリット
【サブリースのデメリット】
- 家賃保証期間があっても賃料値下要求がある
- サブリース会社の要求に応じない場合は契約解除がある
- 賃料下げにより収益性が低下する
遠隔地の物件であれば「サブリース」も有力な選択肢。管理業務を含め一括して管理会社に借上げてもらい、設定家賃から一定金額を差引いた残りが、大家へ家賃として入金されるしくみです。
デメリットとして以下のようなことがありますが、遠隔地であるがゆえのリスクは解消され、あらかじめデメリットへの対策を考慮しておくと遠隔地戦略として有効であると考えられます。
これらデメリットに対応できる厳しいシミュレーションをしてみて、事業が成り立つようであればサブリースによる遠隔地物件の経営は可能です。
サ高住のメリットとデメリット
賃貸事業のジャンルのひとつが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」です。高齢化社会の到来とともに制度化され、公的なバックアップもある賃貸住宅なら、遠隔地での経営も成り立ちやすいでしょう。
補助金や助成金制度があり、開業にあたっては資金負担の軽減が図れます。登録制になっており基準を満たした物件が「サ高住」として認められ、入居者募集などの運営バックアップは公的機関「一般社団法人 高齢者住宅協会」がおこないます。
画像引用>>一般社団法人 高齢者住宅協会
一般の賃貸住宅と異なる点が「介護サービス」の一部を提供することです。最低限提供する介護サービスは「安否確認」と「生活相談」であり、外部の介護サービス業者への委託も可能。大家としての負担が大きくなるものではありません。
まとめ
競合の激しいエリアでアパートを経営されている大家には、ぜひ検討してほしいのが “遠隔地” 物件です。 丹念に物件情報を調べていくと、入居率と利回りがともに高く、堅実な管理会社が永年管理をやっているような優良物件をたまにみつけることがあります。
物件情報はやみくもに探しても時間がかかるばかりなので、空室率の低い市町村に狙いを定めて調べるのが効率的です。 『総務省統計局の住宅・土地統計調査』から「全国市区町村の住宅戸数と空家戸数」データにもとづき、空室率を算出しておくと1,741ある全国の市区町村をいつでもターゲットに調査できます。
一見地味な作業ですが大家業には必要なこと! 空室率を下げる方法はもうひとつあります。無料のインターネット設備の導入です。