アパート経営問題点ランキング【一括借上~空室対策まで8つ】宅建士によるトラブル解決のヒント
アパート経営をしたいと考えていても、
- 「なにか問題がおこったら対処できない」
- 「アパート経営はリスクが高い」
そう思って二の足を踏む人は多いですね。 アパート経営で想定されるリスクはいろいろ。実はそのほとんどについて有効な対策があります。
今回は「あぱたい」が、アパート経営で起こる8つの問題を取り上げそれぞれの対処法について詳しくご紹介します。想定されるリスクにはできるだけ早めの対処を。アパート経営を考えている人には必読です。
目次[非表示]
- 1.アパート経営でよくある8つの問題をランキングで紹介
- 1.1.1:空室問題
- 1.1.1.対策方法
- 1.2.2:地震や火災などの災害問題
- 1.2.1.対策方法
- 1.3.3:老朽化・大規模修繕問題
- 1.3.1.対策方法
- 1.4.4:立地の問題
- 1.4.1.対策方法
- 1.5.5:初期費用・ローン金利問題
- 1.5.1.対策方法
- 1.6.6:サブリース問題
- 1.6.1.対策方法
- 1.7.7:騒音問題
- 1.7.1.対策方法
- 1.8.8:入居者トラブル
- 2.こんなにある!入居者トラブルの事例!問題解決のヒントは?
- 2.1.家賃滞納
- 2.1.1.解決へのヒント
- 2.2.入居者同士のトラブル事例と解決のヒント
- 2.2.1.共有スペース(廊下など)においた荷物
- 2.2.2.ベランダでの喫煙
- 2.2.3.ゴミ問題
- 2.3.契約違反
- 2.3.1.解決へのヒント
- 2.4.そのほかのトラブル
- 3.入居者トラブルは早めの対応と繰り返しの注意がカギ!
- 4.まとめ
アパート経営でよくある8つの問題をランキングで紹介
アパート経営で成功するには、問題を解決するための対策をできるだけ先回りしておこなう必要があります。多少の費用を惜しんで後手にまわるのは失敗のもと。アパート経営でよく起こる問題点をランキング形式でご紹介します。
1:空室問題
アパート経営でもっとも重要な問題といえば「空室問題」。あるオーナーは、「不動産会社から電話があると退室連絡かと思ってびくびくする」といいます。それほど空室問題というのはアパート経営にとって影響が大きいのです。
空室になれば当然その部屋の家賃が入らなくなります。すぐ次の入居者が決まればいいのですが、そうでなければ収入は減ったまま。最悪の場合、空室が重なってローン支払い金額まで圧迫し、アパート経営が赤字におちいることも。
対策方法
空室問題の対策の鍵は「退室を出さないように先手を打つ」。
まず今住んでいる入居者の満足度を上げることが大切。共用部分が汚れていないか、雑草や伸び放題の植木がないかチェックしましょう。 アパートの空室に設備投資をする際は、入居している部屋にも適用できないかどうか検討してみましょう。
例えば無料Wi-Fiインターネットの導入は既存の部屋にも適用できます。 無料Wi-Fiインターネットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています>>アパート経営に無料Wi-Fiインターネット【大家の感想付】宅建士が5つのポイントを解説
無料Wi-Fiは有効な空室対策です!
2:地震や火災などの災害問題
アパート経営において大きな問題となるのが地震や火災などの災害。自然災害がおこってアパート経営が停止してしまうとローンの返済が滞ってしまいます。
また災害時には入居者に損害賠償をする必要があることも。 どんな災害が起こりやすいかはアパートのある地域によって異なります。自治体で作成しているハザードマップなどを参考にして予測をたてましょう。
対策方法
災害問題の対策方法は火災保険の加入をおすすめします。地震や火災などの自然災害だけでなく盗難や毀損といった人的災害についても補償してくれる火災保険。「必ず補償される災害」と「補償をつけるかどうか選べる災害」にわかれています。
必ず補償される災害
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災、雹(ひょう)災、雪災
補償をつけるかどうか選べる災害
- 水災
- 人的災害
どんな災害が起こるかを予測して必要な保険を選択しましょう。
アパートの火災保険についてはこちらの記事でも詳しく解説。>>アパート経営で加入したい保険6選!知らないと損する補償内容や保険料を解説
3:老朽化・大規模修繕問題
アパートが築20年を超えると浮上してくるのが老朽化・大規模修繕問題です。 今までの20年間で適切なメンテナンスがされていれば問題はそれほど大きくありません。
しかし20年間ほぼなにもしていないという建物も少なくないのです。 アパートの大規模修繕でもっとも重要なのは水の侵入を防ぐこと。屋根や外壁など一見問題がないようにみえても、雨どいがつまって壊れてしまっていたり、サイディングのつなぎ目がひび割れていたりとこまかい箇所から大きな損害につながります。
大規模修繕のもうひとつの悩みは、ちょうど建物の減価償却が終わり税金が高くなる時期に重なることです。この時期は以前に比べて家賃が下落したり空室が長引く傾向にあるため、費用を確保するのが困難になります。
対策方法
大規模修繕の対策は、もちろん新築時から想定して費用を貯めておくことですが、とりあえず手持ちの資金がなくとも水の侵入を防ぐ工事だけは先にやっておくといいでしょう。場合によっては新たにローンを組む必要があります。
また空室になったらその都度室内の設備をチェックしましょう。 洗面台やキッチンなど水漏れのしやすい箇所や給湯器、エアコンといった生活に必要な設備を、しっかりと動作確認して適切なメンテナンスすれば、工事費用は最小限に抑えられます。
修繕計画について、こちらの記事で詳しく読むことができます。>>アパート経営では修繕積立金が肝!老朽化に伴う修繕計画と費用の作り方
4:立地の問題
アパート経営は立地が大事といわれます。しかし立地について不勉強のまま不便な場所にアパートを建ててしまい、築年数が経ってからそのことに気づいたというケースがあります。 またアパート経営中に周辺環境が変わって、アパートの需要が下がってしまうケースも。
対策方法
アパートの立地は交通の便や買い物の便、周辺環境や道路状況などさまざまな要素が絡み合っています。
土地勘がない場所だと判断するのはむずかしいので、周辺のアパートの運営状況や周辺の不動産業者の意見を参考にしましょう。 また現時点だけでなく将来的に発展する地域かどうかの見極めも大切です。
アパートの立地問題の対策についてはこちらの記事も参考になります。>>アパート経営の失敗・成功まとめ!よくある事例とおすすめブログ5選
5:初期費用・ローン金利問題
現在は低金利が続いているのであまり問題になりませんが、今後金利が上昇してくると顕在化してくるのが初期費用・ローン金利問題です。 融資の審査が甘い時期に初期費用なしの変動金利でアパートを建てると、金利が上昇したとたんにアパート経営が破綻してしまう可能性があります。
対策方法
初期費用・ローン金利問題の対策方法は、こまめな情報収集が鍵となります。もちろん当初から自己資金を用意して低い金利のローンを組めることが一番ですが、なかなかそうもいきません。
もうアパート経営がスタートしている場合は、ローンの借り換えも視野に入れて金融機関のアパートローン情報を積極的に収集しましょう。もちろん、現在借りている銀行とのコミュニケーションも忘れずに。
アパートの初期費用、自己資金についてこちらの記事で詳しく解説。>>アパート経営に必要な初期費用|頭金・諸経費・自己資金について詳しく解説!
6:サブリース問題
サブリースとは不動産会社がアパートを一括借り上げすること。オーナーにとっては煩わしさがないなどのメリットもありますが、その反面デメリットも少なくありません。 もっとも多いのがアパートの築年数が経ってからサブリース賃料が大幅に減額されるトラブル。
減額を拒んだら契約解除されたという事例もあります。サブリースは経営状況がオーナーにみえづらいため、気づいたときには打つ手がないようなケースも多いです。
対策方法
サブリースはメリットもありますがデメリットも大きいもの。契約時にしっかり契約内容を確認しましょう。またサブリースをしているからといって安心するのではなく、オーナーとしてアパートの空室率や賃料、周辺の環境についてよく知っておくことです。
サブリース問題についてはこちらでも詳しく解説しています。>>アパート経営の家賃保証が危険といわれる5つの理由とトラブル回避術
7:騒音問題
あまり話題にはならないのですが、実はアパート経営の住民同士で一番むずかしいのが騒音問題です。 はっきりと騒音と認識できるものであればいいのですが、日常の音がトラブルになると解決は非常に困難になります。最悪の場合、クレームをつけた側とつけられた側が両方とも退去してしまうことも。
対策方法
鉄筋コンクリート造に比べると、木造や軽量鉄骨造のアパートは騒音問題が起きやすいもの。クレームになりやすいケースを把握して、問題点の改善をしましょう。
《騒音のクレームになりやすいもの》
- 子供の声、足音
- 夜中の来客
- 外階段の昇降音
- ピアノなど楽器の演奏
- ペットの鳴き声
防音効果のある建材を利用するなど、もともとの遮音性を高める工夫も効果的です。
8:入居者トラブル
8つめはアパートの入居者にまつわるトラブルです。いろいろな人が共同で生活をするのがアパート。当然そこではトラブルが起きます。なかには予測のつかないようなことも。
大家として対策方法はあるのでしょうか。次の項でトラブルのケースごとの対策をみていきましょう。
こんなにある!入居者トラブルの事例!問題解決のヒントは?
アパート経営をしている以上、入居者のトラブルやクレームは避けられません。大家が直接苦情を受けるケースもあれば、入居者同士のトラブルも。
最初はささいなできごとでも、場合によってはアパート経営を揺るがす大きな問題に発展してしまうことだってあります。ここでは、大家を困らせる入居者トラブルの代表的なものと解決に導くヒントを紹介します。
家賃滞納
家賃滞納はアパート経営の収入に直結するため深刻な問題です。 滞納への対処は最初が肝心。なぜなら1か月分なら支払えても、2か月分、3か月分となると支払えなくなる人がほとんどだから。数日遅れる、うっかり振込を忘れた、という初期の段階でしっかりと滞納は許可しないことを伝えましょう。
解決へのヒント
《家賃滞納を解決するための解決へのヒント》
- 賃貸借契約時の保証人は親ではなく保証会社にする
- 大家に直接支払いの場合は、早急な督促、支払い期限の設定をする
- 期日に入金がない場合は必ず連絡を入れる
入居者同士のトラブル事例と解決のヒント
入居者からのクレームは実はアパート経営の大切なヒント。
入居者から大家にクレームがきてはじめてアパートの問題点を把握することがあります。 これらのクレームを軽く扱っていると、退室が増えたり空室期間が長引いたりすることも。最悪の場合、近隣とのもめごとになったり事件まで発展するようなケースもあります。とにかくまだ問題が小さいうちの早めの対処が大切です。
共有スペース(廊下など)においた荷物
《共用スペースにおいた荷物の問題点》
- 見た目が悪く入居が決まらない
- 災害時に避難通路を防いでいると避難ができず危険
《共用スペースにおいた荷物の解決へのヒント》
- 賃貸借契約書に共有部への私物の設置・放置を禁止事項として記載
- 万が一契約書に記載がない場合、掲示板などにその旨を掲示して入居者に告知する
- 置いている入居者が特定できるようなら個別に通知
- 撤去期限を設け、それまでに撤去されなければ処分をするとの通知をする
- 自力救済禁止の原則により実際に処分はできないため、根気よく交渉をする
自力救済禁止の原則とは?
アパート経営において入居者の契約違反があったとしても、それを賃貸人が自ら実力を行使して解決することは禁止されています。これに違反した場合には賃借人から逆に損害賠償請求を受ける場合があります。また賃借人の所有物を無断で処分すると、器物損壊罪として刑事罰に処せられることも。
ベランダでの喫煙
《ベランダでの喫煙の問題点》
- たばこのにおいが洗濯物につく
- ほかの住人への副流煙被害
- 吸い殻の放置やポイ捨て
《ベランダでの喫煙の解決へのヒント》
- 賃貸借契約書にベランダは火気厳禁である旨を記載
- 万が一契約書に記載がない場合、掲示板などにその旨を掲示して入居者に告知する
- 喫煙している入居者が特定できるようなら個別に通知
ゴミ問題
《ゴミの放置や不分別の問題点》
- 放置されたり収集されないゴミから異臭、虫の発生で不衛生
- 住民だけでなく近所からクレームがくる可能性も
《ゴミの放置や不分別の解決へのヒント》
- ゴミ出しルールの徹底を通知、掲示する
- 改善されなければ管理費の値上げを提案する
- 廊下におく荷物のケースと同様に勝手に捨てることはできません。
契約違反
《契約違反の問題点》
- 無断転貸や用途違反は、素性の知れない人物が出入りして治安が悪くなる可能性がある
- 反社会的勢力や風俗業の事務所などに使用されることも
- 住人数の無断変更は、ワンルームに不法滞在の外国人が複数人で暮らすなどの問題に
- ペット飼育違反・楽器演奏違反は騒音や臭気の問題につながる
解決へのヒント
賃貸借契約書を参照し、契約違反を確認します。賃借人に対して契約違反である旨を通知して改善を促します。改善されないようであれば、契約解除の申し入れを。 ただし用途違反であっても、大家が許可できるような場合もあります。例えば居住用の部屋を個人事業の事務所として使用する。ほかの住民の迷惑にならないような場合は、事務所契約に契約変更して入居を継続してもよいでしょう。
そのほかのトラブル
そのほかにも多いトラブルは下記のようなもの。
- 外国人入居者のトラブル
- 高齢の入居者のトラブル
- 事故物件になる可能性
- 退去に関連したトラブル(原状回復や残置物など)
- 隣人同士のいやがらせ
外国人や高齢者のトラブルは時勢から増加傾向にあります。いずれにせよ問題が小さいうちにすぐ対応すること。
入居者トラブルは早めの対応と繰り返しの注意がカギ!
入居者のトラブルはおこるもの。しっかりと解決するためには早めの対処がなにより有効です。もし管理会社が入っていれば、管理会社に任せるのが一番でしょう。
しかし自主管理の場合は、できるだけ誠意をもって早めの対処を心がけましょう。 家賃滞納は入居者に支払い能力がない場合もあるので、猶予を与えたり分割払いにするなど柔軟な対応も必要です。
その一方で明らかな契約違反の場合は、早急にやめるよう働きかけたうえ、改善されなければすぐに専門家に相談しましょう。法的手段が必要になる場合も。
トラブルの多い入居者でも大家側から賃貸借契約を解除するのは困難です。できるだけこじらせないよう、大家と入居者双方にとって最善の方法を探っていきましょう。アパートのオーナーになったら法律的なことを相談できる先も必要です。
まとめ
アパート経営時に起こるさまざまな問題とその解決法についてご紹介しました。アパート経営で起こる問題は、事前にリスク回避できるものも多くあります。 また問題が発覚したときはできる限り早めに手を打つことが、円満なアパート経営のコツといえるでしょう。
リスクを回避して円満なアパート経営を!